最新医療:PRP法

はじめに:PRPとは?

『PRP』とは『Platelet Rich Plasma』の略で日本語では『多血小板血漿』と言います。
『PRP』とは『血液中の血小板を濃縮した血漿』のことであり、近年、『PRP』が歯肉の治療や骨の増殖を促進する物質であることが、多くの研究により解明されてきています。(Saltz ら1991、Anitua 1999、Kassolis 2000)

『PRP』を おおさっぱに言いますと濃度の濃い血液のことです。
骨の再生に大切な細胞がいっぱい詰まっています。
『PRP』を使えば、なんか骨がいっぱいできそうですよね。

この治癒に必要な成分が凝縮された『PRP』を歯周病やインプラント治療に応用することにより早期の回復が期待できます。
インプラント治療ではGBR法やソケットリフト法、サイナスリフト法、スプリットクレスト法(リッジエクスパンジョン法)等に併用します。
骨の再生能力が高まります。

また治癒が早いことにより治療後の不快感や疼痛を最小限に押さえることもできます。
今までの骨の増大をはかるような治療と最も異なることは患者さん個人の生体治癒能力を利用するため、治癒反応が非常によいということです。

骨を再生させたり、骨の増大を促進させる材料は過去にもいくつもありました。
そのうち、人間以外の生物から採取したものも多くありました。
人間以外の生物からの応用といっても実際には免疫処理等をきちんとしてあるので問題は起りませんが、治療を受ける患者様にとっては他に選択肢がないかと不安なことがありました。
『PRP』は患者様ご自身の血液の成分を使用するため、安全性と信頼性に高い治療法と言えます。

成長因子としてのPRP

PRPは凝固反応する時に、

  • PDGF(細胞増殖の促進、血管の新生などに関係する成長因子)
  • TGF―β(細胞サイクルを刺激し、細胞の分化や増殖、遊走を調整する成長因子)
  • VEGF(局所の血管新生と炎症をコントロールする成長因子)
  • EGF(上皮細胞の成長を促進し、創傷部表面を被覆する成長因子)

などの様々な組織成長因子を放出します。
また、PRPが凝固反応をおこし形成されるフィブリン網(かさぶたのようなもの)が遊走してきた骨芽細胞や線維芽細胞の足場となり、創傷治癒が促進されると考えられています。

成長因子としてのPRP

PRPの生成方法 ステップ1および ステップ2

ステップ1

20~30ccの採血を行います。 
静脈内鎮静法という麻酔を行う際には同時に採血しますので、特別な作業はいりません。

ステップ2

採取した血液を遠心分離器にかけます。
当医院ではHeraevs社製のLabofuga300という器械を使用しています。

PRPの生成方法 ステップ1および ステップ2

PRPの生成方法 ステップ3~ステップ5

ステップ3

『PRP』と『PPP』の遠心分離作業 まず、血小板が濃縮された血漿:『PRP』と血小板の少ない血漿『PPP』に分離します。

ステップ4

アクチベータの生成 『PRP』に自己トロンビン(0.75cc)と塩化カルシウム(0. 25cc)を混合し、1ccのアクチベーターを生成します。

ステップ5

完成した『PRP』をインプラント本体に塗布したり、骨欠損部に入れたり、人工骨や自家骨と混ぜて使用したりします。
またコラーゲンのシートにこの『PRP』をしみ込ませて使用することもあります。

PRP症例(GBR法との併用)

PRP症例(GBR法との併用)

最後に!余談ですが…

上記のように作製します。
患者様にとっては採血するだけの簡単なものです。
今、『PRP法』は美容外科の分野でものすごく注目されています。(はやっているそうです)
PRPを患者様の皮下に注入するらしいです。
皮膚の張りがでたり、シワが消えたり、美容効果があるそうです。
もちろんPRPはご自身の血液ですので、拒絶反応がありませんので、安心して使用できる点も注目されているのでしょう。
私の周囲ではPRPを皮膚に注射した人はいませんが…

先日PRPに必要な注射器等のセットがあるのですが、これを業者に注文しようとしたら、『在庫がないので、納品までに時間がかかります』との連絡がありました。
今まではこんなことがなかったのに…
理由を聞いてみると『今、一番注文が多いのは美容外科です』とのこと。
ちなみに私が調べたところ、美容外科での PRPの皮下への注入費用は1回(1本)15万円程度です。
あまりにもぼったくりすぎ!というくらい高いです。
どうしたらこのような料金になるのでしょう。
これでも支払う患者様はいっぱいいらっしゃるのですから…
美容はおそろしい!