『SRP:スケーリング・ルートプレーニング』 をさらに効果的に行う方法として
1
『局所的薬物送達療法:LDDS(Local drug delivery system)』と
2
『抗菌性グルコン酸クロルヘキシジン含嗽剤の使用』、
3
『経口的抗菌薬の投与』
が考えられます。
順番に説明します。
『局所的薬物送達療法:LDDS(Local drug delivery system)』とは、歯肉の内部(歯周ポケット)に抗菌作用のある薬を直接注入し、歯周ポケット内部の細菌を直接除菌するという方法です。
日本の歯科界では、
『塩酸ミノサイクリン』という 薬 が良く使用されています。
『塩酸ミノサイクリン』は、 テトラサイクリン系 の抗生物質で、細菌の発育を抑制する作用があります。
ブドウ球菌、レンサ球菌、肺炎球菌、リン菌、赤痢菌、大腸菌、緑膿菌、クレブシエラなどに効力を示します。
まあ難しい言葉はいいとして、
簡単に言えば、歯周ポケット内部 に薬を入れるだけの治療です。
痛みもありません。
しかし、
『局所的薬物送達療法:LDDS』は、歯周病ポケット内部の細菌の数を減らすことはできても、それ自体が 歯根表面 に付着した『歯石』そのものを取り除くことはできません。
つまり、
『局所的薬物送達療法:LDDS』だけでは歯周病は治りません。
次に
『抗菌性グルコン酸クロルヘキシジン含嗽剤の使用』です。
『グルコン酸クロルヘキシジン』という 含嗽剤 は 歯周病細菌 に対して効果が高いものです。
しかし、
『グルコン酸クロルヘキシジン』は、 使用部位 と 使用濃度 を厳守しなければならない 薬品です。
ちょっと難しいですが、その詳細を書きたいと思います。
『グルコン酸クロルヘキシジン』は、1954年に英国 ICI社(現 AstraZeneca 社)で製造されたビグアナイ ド系の 殺菌消毒剤 です。
歯周病と関連する グラム陽性細菌 や グラム陰性細菌 および多くの 真菌 に対して 優れた 殺菌力 を発揮します。
簡単に言えば、歯周病細菌 に効果があり、昔から使用されてきた 殺菌薬 ということです。
また、 他の消毒剤 と比較して優れたところは、
皮膚 に 残留 して 持続的な抗菌作用 を発揮することです。
この 持続的 ということが口腔内にとって良い点がいっぱいあります。
口腔内というのは 殺菌・消毒 が困難な場所です。
手術前に消毒してもすぐ 唾液 に触れてしまったりすると 効果が薄れてしまいます。
また、 舌には 舌乳頭 という 小さな突起 がいっぱいあり、そこに汚れ(細菌)が潜んでいます。
そのため、舌 を完全に 消毒する ことは難しいのです。
それ以外にも 歯自体にも 凹凸があり、消毒 を困難にさせています。
ですから 粘膜 を消毒してもすぐ他からの 細菌 が付着してしまうため、
粘膜も再感染しやすいのです。
そこで
『グルコン酸クロルヘキシジン』の 持続効果 が発揮されるのです。
粘膜に 停滞する時間 が長いため、手術前 には最適です。
当医院では 手術前 には
まず 患者様ご自身で
『グルコン酸クロルヘキシジン』の ジェル で歯ブラシをしていただきます。
その後、
『グルコン酸クロルヘキシジン』の うがい薬 で うがい をしていただきます。
さらに
『グルコン酸クロルヘキシジン』の 綿 で 口腔内全体 を 拭い取り清掃します。
このように 非常に効果がある
『グルコン酸クロルヘキシジン』ですが、
日本では規制があります。
それは過去に
アナフィラキシーショックを起こした事例があるからです。
そのため、日本では 口腔以外 の 粘膜 への使用は 禁忌 となっています。
しかし、アメリカ では粘膜に使用される 消毒薬 としては第一選択薬となっています。
0. 12〜 0.2%程度の濃度での使用で効果があるとされています。
だいぶ長くなりましたが、このような抗菌性がある
『クロルヘキシジン』を治療中に使用していただくことにより 口腔内の 歯周病細菌 の 繁殖 を防ぎます。
さらに
『経口的抗菌薬の投与』です。
簡単に言えば、歯周病細菌に効果がある
『抗生剤』をある程度の期間(2〜4週間程度)服用していただきます。
全ての 歯周病 に行うのではなく、限られたケースにはなりますが、歯周病治療と並行して
『抗生剤』を一定期間服用することは効果があります。
しかし、この方法は日本ではほとんど普及していません。
その理由としてまず 保険 が適応されない ということがあります。
次に
『抗生剤』を服用する期間が長いために
副作用 や 耐性菌(細菌が抗生剤に効かないようになる)の問題があります。
無理に
『抗生剤』を服用しなくても 他に治す方法があるため、
患者様にも理解を得にくい
『経口的抗菌薬の投与』は普及していないのです。
ただし、ケースによっては非常に 効果を発揮する 場合もあり、私も行うことがたまにあります。
このシリーズのまとめとして
『局所的薬物送達療法:LDDS(Local drug delivery system)』と
『抗菌性グルコン酸クロルヘキシジン含嗽剤の使用』、
『経口的抗菌薬の投与』
を併用することにより
『SRP:スケーリング・ルートプレーニング』の効果は高まるのです。
しかし、歯周病治療の基本 である ブラッシング がきちんとできていなければ、こうしたことは 意味 がなくなってしまいます。
まず、ブラッシングがきちんとできていることが第一であり、
上記の3つはあくまでも 補助的 なことと思って下さい。
歯ブラシで汚れ(細菌)が取り除けない状態でいくら
『SRP:スケーリング・ルートプレーニング』、
『局所的薬物送達療法:LDDS(Local drug delivery system)』、
『抗菌性グルコン酸クロルヘキシジン含嗽剤の使用』、
『経口的抗菌薬の投与』
を行っても効果はありません。
歯ブラシ はきちんと行っているつもりでも100%行える方はいらっしゃいません。
もちろん100%ということは難しいことですが、
一度歯周病になってしまったということは、歯ブラシの方法や時間等に問題があったということです。
同じような状態いれば、当然、歯周病は再発します。
歯周病でない方の『2倍の時間をかけ』丁寧 に行うことが大切です。
毎食後 の ブラッシング が再発するかしないかの 大きなポイント になります。
よく患者様に以下のような たとえ話 をすることがあります。
糖尿病 や 高血圧 の患者様に対して、生活習慣の改善をせず、薬だけを処方しても治りません。
いくら 薬 を服用しても、食事も普通の人と変わらず、十分な運動もせず、ましてや 喫煙 されていれば、治るはずもありません。
また 睡眠 や ストレス もそうです。
これは 歯周病 にも言えることです。
特に 喫煙 されている方は 歯周病は治らない と思って下さい。
また 、インプラント に対しても 喫煙は大きな問題となります。
いくら ブラッシング がきちんと行われていてもダメになる可能性があると思って下さい。
『SRP:スケーリング・ルートプレーニング』、
『局所的薬物送達療法:LDDS(Local drug delivery system)』、
『抗菌性グルコン酸クロルヘキシジン含嗽剤の使用』、
『経口的抗菌薬の投与』
はあくまでもきちんとした 生活スタイル が確立できてこそ効果のある治療となります。
大船駅北口歯科インプラントセンターインプラント 歯周病 専門医