インプラント治療

骨増大(骨再生)治療

骨再生治療(GBR法)の限界

はじめに

この項のテーマは『GBR法でどこまで骨は再生(増骨)できるのか?』
という話になります。
GBR法(骨増大法)については、このホームページのさまざまなところで良く書いているので、知っている方も多いかと思いますが、GBR法について再確認の意味も含め解説したいと思います。

インプラントを行うにあたり、インプラントを植立するための骨幅や骨の高さがない場合、そのままの状態でインプラントを行うと成功率は非常に低くなります。

適切な状態で植立してこそインプラントの長期安定が望めるのです。

GBR法とは、インプラントを行うにあたり、骨の幅や高さがない時に、骨を再生させる方法です。

術式としては2つの方法があります。
一つはインプラントを植立するに骨の増大をはかる方法です。
これは『インプラントの前準備としてのGBR法』です。

専門用語で、『ステージドアプローチ』と言います。

まず、歯肉の中に骨の再生を促す特殊なを入れます。

状態によって異なりますが、3~6ヶ月間骨が成熟するのを待ちます。

その後、を除去するとインプラントに適した骨が膜の下に再生しています。
*現在は、は自然に吸収するものを使用することが多い

そこで初めてインプラントの植立を行います。

この方法は治療期間が長くなりますが、もともと大きく骨の幅がない人などはこのGBR法を行ってからインプラントを行う必要性があります。

無理な状態でインプラントを行ったとしても長期的な安定は期待できません。
今後のことを考えれば確実な選択といえます。

次に『インプラントと同時にGBR法を行う方法』です。
専門用語で、『サイマルテイニアスアプローチ』と言います。

インプラントを植立すると同時GBR膜を併用します。

3~6ヶ月後に膜を除去し、後は上部構造を作製するだけです。
*現在使用する膜の多くは、
自然に吸収される物を使用します。

説明の図は、以下を参考にして下さい。

骨はなぜ再生(増骨)できるのか?(骨再生のメカニズム)

それでは『骨は本当に再生(増大)可能なのでしょうか?』
『可能です』

基本的に骨は再生(増大)可能なものです。

例えば、腕 や 足 が 骨折したとします。
ギブス等をし、安静にしていれば、骨はくっ付きますよね。
これは、骨折した部位に骨が再生しているからです。

が再生するためには、『骨の細胞』が必要です。

『骨の細胞』が増えることにより骨は再生するのです。

しかし、骨の再生スピードは非常に遅いのです。

それに対し、歯肉や皮膚等(『歯肉の細胞』)は、再生スピードが非常に早いのです。

骨折した部位がくっつくのに数ヶ月はかかりますが、
皮膚(指 等)の粘膜が切れても 傷口がくっつくのに数ヶ月かかるということはありませんよね。 数日あれば、十分傷口は治ります。

つまり、皮膚や歯肉等の粘膜の治りは非常に早いのですが、
骨は治るのに時間がかかるのです。
この骨と歯肉の再生するスピードの違いが、骨の増骨(再生)に違いを及ぼすのです。

再生スピードの違いの話を 抜歯 に例えて解説します。
抜歯をすると “穴” があきます。
歯の根が埋まっていた骨の中の “穴” です。
この “穴” は、いつまでも開いているわけではありません。
次第に埋まっていきます。

ここで登場するのが、先程の『骨の細胞』『歯肉の細胞』です。

『歯肉の細胞』は、治り(再生スピード)が早いため、抜歯でできた“穴”を急速に埋めてしまいます。

抜歯でできた “穴” に歯肉が入り込むということです。
この理由として、抜歯でできた “穴” がそのまま空いていたら大問題です。
“穴” の中には、食べ物は入ってしまいますし、
なにより “穴” の中は 骨 ですから感染してしまいます。

そのため、生体防御のために、歯肉(『歯肉の細胞』)は早く治り “穴” を塞ごうとするのです。
その結果、抜歯によりできた “穴” は、歯肉(『歯肉の細胞』)でいっぱいになってしまいます。

骨(『骨の細胞』)が再生(増骨)する場所がなくなってしまうのです。

抜歯後の歯肉の治り

GBR法の原理

GBR法の原理は、単純なもので、この歯肉が“穴”の中に入り込むのを防ぐのです。
そこで登場するのが、GBR膜です。
GBR膜は、薄いシート状でできています。
紙のようなものです。
このシート状のGBR膜を抜歯でできた“穴”の上におきます。
そして歯肉を縫合します。
つまり、GBR膜は、歯肉の間に設置するということです。
GBR膜は、歯肉の下にあるため(歯肉と骨の間)、歯肉は、下方(GBR膜より下)に行けなくなったのです。
(歯肉が抜歯した“穴”に入り込まない)
つまり、GBR膜は、歯肉が“穴”に入り込まないようにするための『バリアー』なのです。
『バリアー』があるからこそはゆっくりと再生するのです。
下図を参考にして下さい。

GBR法の原理

骨再生の限界

それでは、GBR法を行うと骨はどこまででも再生可能なのでしょうか?

答えは『NO』です。

骨の再生(増骨)には、限界があります。
骨の吸収状態により治療の難易度は変わります。
骨吸収が大きければ 大きい程 骨の再生(増骨)治療は困難を極めます。

骨のを増やすことはわりとしやすい(可能な)のですが、
骨の高さを増やすことは難しいのです。

一番簡単に骨が再生できる条件は、先に解説したように“穴”です。

抜歯でできた骨の“穴”の中に骨を再生させることはさほど難しいことではありません。
歯肉の間の『バリヤー』であるGBR膜を入れれば、膜(GBR膜)で塞がれた
“穴”の中は骨で再生(増骨)されます。

しかし、垂直的(高さが吸収)に骨が吸収された部位をもとの高さまで骨を再生させることを難しいのです。
つまり平になった状態を高くすることは難しいのです。

例えば、歯周病等で、骨の高さが、5ミリ吸収したとします。
インプラントを行うために、この5ミリを増骨(再生)させようとします。
この場合の骨再生は、非常に難しいのです。
その理由を説明します。

まず、骨が吸収するとそれに伴い歯肉も吸収(下がります)します。
歯肉が下がってしまった状態で骨を回復させようとする場合、
歯肉を上方に引っ張り上げる必要性があります。
骨が増大(増骨)するための場所(スペース)を確保する必要性があります。

例えてお話すると 骨吸収により歯肉が下がった状態は、
『つぶれたテント』のようなものです。
『テント』の中に人や物が入る(入れる)ためには、『つぶれたテント』を立て直す必要性があります。
『つぶれたテント』を立て直すことにより、『テント』の中にスペース(隙間)を確保するのです。

『テント』であれば、支柱を立てれば良いのですが、歯肉はそのように うまくはいきません。
下がった(つぶれた)歯肉を上に引っ張り上げようと思っても 歯肉はそんなに伸びることはできませんし、歯肉がつぶれないように支柱を入れることも困難なのです。

骨呼吸が垂直的にある場合のGBR法

まとめ

ここまでは、骨が再生するためのスペースを確保することは、非常に困難であることを解説してきました。
最後に骨再生が困難な理由についてさらに詳細に解説します。

実際の臨床では、歯肉の中に人工骨等を入れたり、
支柱の変わりになるような材料(チタン等でできたピン)を入れることにより歯肉の間の隙間(スペース)を確保することを行いますが、100%元に戻させる(回復させる)ことは難しいのです。

以下のような問題も生じます。
例えば、歯が多数欠損していたとします。
骨吸収が大きく、そのままでは、インプラントができないため、GBR法を行う必要性があったとします。
治療期間は長いので、暫くの間は、義歯(入れ歯)がないと噛めません。
義歯を使用しながらGBR法を行うことになります。
そして、骨の高さを確保(再生、増骨)するためにGBR法を行います。
GBR法では、人工の骨を入れて高さを増したり、支柱のような材質(GBR膜 等)を歯肉の中に埋め込み歯肉をテント上に高くします。
しかし、骨ができるまでには、時間がかかります。
その間に義歯を使用すると義歯でGBR法を行った部位は圧迫されてしまいます。
義歯により、歯肉が圧迫されると 骨が再生(増骨)するための、スペースが確保できません。
こうした問題も起ります。

また、歯肉は、多少伸びますが、いくらでも高さを確保するために
歯肉が伸びるわけではありません。
限界があります。
歯肉はゴムのように伸び続けるものではないのです。
歯肉が伸びないと高さは確保できないのです。

まとめますと、骨吸収が“穴”のような状態であれば、歯肉の侵入を防ぐためのバリアー(GBR膜)を歯肉の間に入れることにより、ある程度骨の回復(増骨、再生)させることは可能ですが、
骨吸収が縦方向に起っている(骨吸収により高さが非常に少ない)場合には、
骨を100%元の状態に回復(再生、増骨)させることは困難になります。
これが、GBR法の限界なのです。

大船駅北口歯科インプラントセンターインプラント 歯周病 専門医

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