インプラントと天然歯の違い

インプラントと天然歯の違い

インプラントと天然歯はどこが違うのでしょうか?
天然歯の構造(図1)とインプラントの構造(図2)をもとに説明します。

インプラントと天然歯の違い

インプラントと天然歯の違い
図1:天然歯
  • (1)歯根膜が存在する
  • (2)歯根面に対して垂直的な線維が存在する
  • (3)3つの方向から血液供給がある
図2:インプラント
  • (2)水平的な線維が存在する
  • (3)2方向のみの血液供給

(1)天然歯には“歯根膜”というものが存在し(図1)、歯と骨がじん帯でつながっています。
その中には咬む力を感知する知覚神経が存在します。この歯根膜には一定の幅があり、物を咬むとこの幅の分だけ歯は動きます。つまり歯根膜はクッションのような役割をしています。
しかし、インプラントにはこの歯根膜は存在しません(図2)。
骨とインプラントがダイレクトに骨と接触しているため、咬むカによって動くことはほとんどありません。
そのため噛合わせに問題がある場合には無理な力がインプラントに直接影響を及ぼします。インプラントの失敗の多くは噛合わせによるものです。

(2)歯肉と歯根は線維により付着しています。
天然歯の場合は歯根面に対して垂直的な線維(図1)により強固に付着しています。
しかし、インプラント場合は線維が歯根面に対して水平的に付着しています(図2)。
この水平的な繊維の付着は比較的に弱いため、剥がれやすく、炎症が深部へ起こりやすい状態になっています。

(3)天然歯の血液供給は1.歯肉 2.骨 3.歯根膜の3つの方向(図1)から行われています。
この血液供給により歯周ポケット(歯周病の項目参照)の内部には好中球(細菌と戦う血液の成分の一つ)が存在しており、ポケット内部に細菌が侵入してもそれを排除しようとする働きがあります。
しかし、インプラントは1.歯肉 2.骨の2つの方向(図2)からしか血液の供給がないため、好中球の出現が乏しく、外的侵襲に対する抵抗性は低くなっています。

(2)と(3)から言えることは、インプラントは炎症に対する防御機構が非常に弱いため、いったん炎症が進むと天然歯より早く骨の吸収は進行してしまいます。
さらにインプラントは感染を起こしても天然歯のように腫れる等の自覚症状が認められないことが多いので注意が必要です。
つまりインプラントを行えば、なにもしなくてもずっと維持できるわけではありません。
天然歯と同じかそれ以上の口腔清掃が必要ですし、定期的な検査(下記参照)が必要になってきます。 インプラント治療が終わったら