短いインプラントしか埋入できない場合

インプラントを成功に導くためにはしっかりした骨の中にできる限り長く太いインプラントを埋入する必要性があります。

さまざまな項でも話していますが、骨の高さがなく、骨が薄い方が多いのが現状です。
それでは短く、細いインプラントしか埋入できない場合はどうすれば良いのでしょうか?
短いインプラントしか埋入できない場合には大きく分けて次の2つの治療法が考えられます。

治療法1

『噛み合わせが安定していて複数のインプラントが埋入できる場合』
この場合は、インプラントの被せ物自体を連結することにより安定をはかります。

治療法1

治療法2

『噛み合わせがあまりよくなく歯ぎしり等が強い方、インプラントが1本のみしか行わない場合(複数のインプラントの場合も)』
この場合は、短いインプラントでは安定が得られないと診断し、骨の高さや幅を増大させるような治療法(GBR法、ソケットリフト法、サイナスリフト法、リッジエクスパンジョン法(スプリットクレスト法)等)を行います。(下記参考リンク参照)
下の写真は右上奥が骨の高さがないため、サイナスリフト法を行い、インプラントを埋入した後の写真です。

治療法2

症例:治療前の写真

今回御紹介する症例は上顎の骨が極度に吸収してしまったケースです。
本来であれば吸収してしまった部分に骨移植をし、骨の高さを増大する治療(サイナスリフト法)を行ってからインプラントを埋入しなければならない状態です。
しかし、噛み合わせ(歯軋り等もなく)、全ての被せ物を連結できる等の成功のための一定条件をクリアーしていたため短いインプラントで対応することにしました。(ソケットリフト法を行っています)

下の写真の1枚目が初診時で2枚目の写真が治療後です。
使用したインプラントは6~8mmと私が使用しているI.T.Iインプラントでは最も短いインプラントです。
現在メインテナンス中ですが、非常に安定もいい状態です。

治療前の写真

症例:治療後の写真

治療後の写真

確実な治療法の選択

結局無理な治療を行っても将来的にダメになってしまってはいけませんので、確実な治療法を選択します。
ただし、患者さんにとっては治療回数、期間は少なく、痛みもない方法で行いたいという希望は当然ありますので、安全で苦痛がない方法を行うことを考えていきたいと思います。