インプラントの基礎知識
どれくらい持つの?
インプラントはどれくらいもつのか?-インプラントの成功率-
『インプラントはどれくらいもつのですか?』という質問がよくあります。
一言で『何年持ちます。』と答えるのは非常に難しいことです。それはインプラントを行った方の全身および口腔内環境やその後の手入れにもかなり左右されるからです。『必ず一生持ちます。』という答えは本当の答えではないと思います。
インプラントは虫歯にはなりませんが、きちんとしたブラッシングができないと歯周病にはなります。また噛み合わせに問題がある場合もリスクは増えます。喫煙も大きな因子になります。(喫煙とインプラントの関係参照)
しかし、インプラントは適切な診断と治療、その後の定期検査、毎日のブラッシングがきちんと行われれば大きなトラブルは非常に少ないと言っても良いと思います。
そこでこの項ではインプラントに関する成功率の報告(論文)を通常の被せものと比較して説明していきたいと思います。
インプラントの成功率
表1はインプラントの成功率の臨床報告です。5~10年間で95%程度の成功率が最も多い報告です。
失敗の原因で一番多いのは噛合わせの問題とブラッシング不足による炎症(インプラントの歯周病)です。
天然歯によるクラウン(被せ物)の成功率
次にインプラントではない通常の被せ物(クラウン)の成功率(表2)を見てみましょう。
10年間で80~90%程度の成功率が最も多い報告です。
しかし、このデータは海外でのもので日本の保険診療で使用されるクラウン(被せ物)の成功率はもっと低いとされています。
インプラントブリッジの成功率
次にブリッジ(ブリッジとは歯が欠損している場合に両隣の歯を土台にして作製する被せ物のこと。“新しい治療法と従来の治療の比較”参照)の場合について、同様に臨床報告を参考にしてインプラントと通常の治療の比較をしてみましよう。
インプラントブリッジの成功率(表3)ですが、5~10年間で95%程度の成功率が最も多い報告です。
天然歯ブリッジの成功率
次にインプラントではない通常の被せ物(ブリッジ)の成功率(表4)を見てみましょう。
10年間で80~90%程度の成功率が最も多い報告です。
しかし、このデータは海外でのもので日本の保険診療で使用されるブリッジ(被せ物)の成功率はクラウンと同様にもっと低いとされています。
現在、インプラントの成功率は非常に高く、通常の天然歯をクラウンやブリッジにした場合より成功率は高いという報告が多くみられます。特に天然歯で神経がないケースでは成功率はさらに低くなってきます。
そうしたことから米国では神経のない歯を治療して被せる(クラウン)よりは抜歯してインプラントを行うことの方が良いという考えがあります。
しかし、日本とはいろいろな面でこの考えをあてはめることはできません。
米国では基本的に被せ物等の歯科治療は保険がききませんし、もし神経のない歯にクラウンを行って数年してダメになった場合、裁判を含めた保証問題に発展するケースが多くあり、その時に、より成功率の高い治療を選択したかどうかが問題になる場合があるからです。
米国の考え方は極端であり、全てが日本の医療システムにはあてはまりませんが、逆に言えば、インプラントは非常に予知性が高い治療法であることとも言えます。
上記のことからインプラントの成功率についてまとめてみますと、インプラントは虫歯にはなりませんが、ブラッシングを怠れば歯周病のようになる可能性もありますし、噛合わせ等の診査がきちんとできずにインンプラントを行えばダメになる可能性もあります。
また喫煙はインプラントの寿命を確実に短くしていきます。
しかし、現在インプラントは歯科治療に完全に定着してきており、その成功率も非常に高いもので、安心して行える治療法であると言えます。
しかしその反面、インプラントを行う歯科医師自身が知識と技術力が身に着いていない者も多く、歯科医師間での差が非常に開いている分野でもあります。上記のような成功率の報告は知識も技術もある一定のレベルに達した歯科医師が行った場合であり、まだそのレベルに達していない歯科医師での数値ではありません。
患者側からインプラントを選択する上で大切なのはどの歯科医師にインプラントを行ってもらうかということです。
そうした意味からインプラント治療を選択される場合はその歯科医師自身がいままで行ったインプラントの症例数および成功率を聞くことは歯科医院を選択する上で非常に重要なことになってきます。
インプラントの成功率報告(2004年度版)
ここではインプラント成功率に関する最新報告(最新論文で報告されたもの)を行います(表5)。
また新しい報告があれば追加掲載を随時行います。
報告(論文掲載)された雑誌名:
米国の公的機関誌『THE INTERNATIONAL JOURNAL OF ORAL & MAXILLOFACIAL IMPLANT』
今回の論文の対象となった患者さん:
イタリアのミラノ大学歯科病院でインプラント治療を受けた250名(男性:106名、女性144名で20~67歳の患者さん)の患者さん。
歯周病、全身疾患、喫煙者(1日10本以上)は除外しています。
使用したインプラントは長さ8~16mm、直径は3.3~4.8mmで合計759本のインプラントを埋入しました。
治療観察期間:
1995~2002年の間に治療を行った患者さんで、治療を終了後(被せ物を装着後)16ヶ月~7年間(平均3.5年)の範囲が調査対象となりました。
上記の結果からインプラント成功率は約95~97%であるが、失敗インプラントの20%が8mmの短いインプラントで、同じく26.6%が直径3.3mmの細いインプラントでした。
こうした結果から8mm以下の短く、3.3mm以下の細いインプラントは基本的に使用せず、もし使用したとしてもいくつかのインプラントと連結固定をして使用すべきであると考えています。
またインプラントと天然歯は連結しないことは大原則であると考えています。
こうした結果を考えてインプラントを行うとインプラントの成功率は非常に高くなります。







































