インプラント治療後いつ噛めるか?

インプラントと骨との結合時期

インプラント開発当時から1990年中頃までは、インプラントを埋入してから骨と結合(くっつく)するまでに上顎で約6ヶ月、下顎で約3ヶ月、場合によって1年程度(インプラントのメーカーにより異なります)の期間がかかっていました。
患者さんにとってはその期間歯が入らず大変なことでした。
その後、各インプラントメーカーの研究によりインプラントと骨が結合するまでの期間がどんどんと短縮されてきました。
インプラントと骨が結合する期間を大幅に短縮することに貢献したインプラントの一つが、I.T.Iインプラント(ストローマン・インプラント)です。
当医院でも使用しているインプラントの一つです。
当医院で、I.T.Iインプラント(ストローマン・インプラント)を使用している理由の一つとしてしっかりとした研究開発があるということです。
I.T.Iインプラント(ストローマン・インプラント)は、10年以上の研究期間を経て骨との結合期間の短いインプラントを1999年に発表しました。
これは、SLAインプラントといわれ、骨との結合期間が非常に短くなっています。
当医院で使用しているI.T.Iインプラント(ストローマン・インプラント)の全てがSLAインプラントです。
現在最も信頼性と治癒期間が短いインプラントで、SLAインプラントの登場により骨との結合期間は最短で6週間となり、患者さんへの負担も減少しました。
それではちょっと難しい話になりますが、このSLAインプラントが開発されるまでのインプラントの歴史をお話したいと思います。
初めの頃のインプラントはネジのように棒状のものに切り込みがあっただけです。
木に打ち込むネジのように機械的にくっついているだけでした。
その後、TPS表面(Titan Plasma Sprayサーフェイス)をもったインプラントが開発されました。
これは、骨の細胞が取り込まれやすいようにインプラント表面に凸凹をつけてあります。
これにより強固に結合され、治癒期間も短くなりました。
そしてSLA(Sand-blasted Large-grit Acid-etched)インプラントの登場です。
インプラント表面は、粒径250~500ミクロンの研磨剤によりサンドブラスト処理し、さらに酸で処理を行ったものです。
初期タイプのTPS表面のものよりさらに骨の細胞との結合がよく、短期間で骨と結合します。
また、現在ではさらに結合期間を短くするための最新のインプラントが登場しています。(2009年現在)
これは、SLActiveと言われるインプラントで、さらに骨との結合期間の短縮されています。

話しはだいぶズレましたが、『インプラント埋入後いつ噛めるか?』というタイトルの答えは、現在(2009年)最新のインプラントであるSLAインプラントでは 最短で約6週で骨と結合することが 基礎研究や臨床研究から明らかになっています。
ただし、これは骨の硬さや骨の状態により異なるものです。
逆に言えば、最低6週間までは、インプラントの型を取ることはできないのです。
しかし、インプラント埋入(手術)当日に仮歯を作製する方法もあります。
インプラント手術当日から固定式の仮歯を作製することができるため、今まで歯がなかった方でも、手術当日から歯が入るようになることも可能な場合があります。
この方法を『インプラント即時負荷(加重)』と言います。
また、抜歯と同日にインプラントを埋入することも可能な場合があります。
この方法を『抜歯即時インプラント』と言います。