カルシウムの効果

はじめに

インプラント治療後に患者さんからよく質問されることがあります。『治療後、治りを良く(早く)するために何かしたほうが良いことはありますか?たとえばカルシウム等の栄養補助食品を摂取したり・・・』このような質問です。

実際、生体内のカルシウムの99%は骨と歯に存在します。インプラント治療後にカルシウムを摂取することは良いことであると考えられます。(カルシウムの効果は骨の形成促進のみでなく、全身的な効果があります。詳細は後の事項で説明します)しかし、カルシウムは吸収が難しいミネラルです。魚の骨を食べても人間の体はその全てを吸収する能力を持っていません。腸はカルシウムを「イオン」の形で吸収しますが、大部分の魚の骨のカルシウムは腸内で完全に吸収されないまま、直接排出されてしまうのです。
原因としてイオンへの分解が十分でない、あるいは他の食事の成分の影響が考えられます。仮に胃酸分泌が正常で、カルシウムのイオン化が完璧に行われたとしてもカルシウムを正しく血中に導入するためには活性化されたビタミンD3が適切にあること等いくつかの条件を満たさなくてはなりません。

そこで、始めからイオン化されているカルシウムを服用することが有効です。
写真1はイオン化したカルシウム溶液です(医薬品)。このイオン化されたカルシウムは吸収スピードや吸収率に優れています。

イオン化したカルシウム溶液

カルシウムイオン溶液の服用方法!

基本的には朝20ml、昼10ml、夜10mlです。朝がなぜ多いかといいますと、カルシウムの排出量は夜中に一番多いため、朝が一番カルシウム不足になるからです。

カルシウムイオン溶液はおいしくない?

カルシウムが不足している方は”まずい”と感じるようです。しかし徐々になれていきます。”良薬は口に苦し”と思って下さい。

お茶との服用はさけて下さい!

お茶に含まれるタンニンがカルシウムをキレート(金属に結合すること)してカルシウムの結合を防ぐからです。カルシウムイオン溶液を服用後10分経過すればお茶は飲んでもかまいません。

お湯で薄めて飲むのはさけて下さい!

温めることで溶解しているカルシウムイオン濃度は減少してしまいます。

牛乳との服用はさけて下さい!

カルシウムによって牛乳の塩類の濃度が高くなるとともに、牛乳中の脂肪がカルシウムの吸着にマイナスに働きます。

酢との服用はさけて下さい!

酸性液(果汁飲料も含む)との混和により中和されてしまいます。

カルシウムはなぜ必要か?

最初の項でカルシウムの99%は骨と歯に存在することを話しました。残りの1%は血液中に存在します。このわずかな量のカルシウムが身体全体の細胞活動を支えているのです。そして血液中のカルシウムの濃度は常に一定に保たれています。そのため、カルシウムが不足すると貯蔵庫である骨からカルシウムが溶け出し、血液中のカルシウム濃度を均衡に保とうとします。このカルシウム不足が長引くと骨に影響を及ぼすのです。

どれくらいの量が必要か?

カルシウムの必要量は年齢によって異なります。
骨格が形成される時期にある子供は1日に700~800ミリグラムが必要です。妊婦の方は1グラム以上とされていますし、成人の1日のカルシウム必要量は体重1kgにつき約10ミリグラムが必要です。つまり体重60kgの人であれば1日600ミリグラム必要ということになります。
またお年を召すほどカルシウムを多く摂取する必要性があります。これは加齢とともに胃腸の消化吸収能力が低下するためです。

日本の土地にはカルシウムが少ない!

火山列島である日本は火山灰地がベースになっているため、土壌に含まれるカルシウムはわずかです。そのために、水はカルシウムの少ない軟水になります。一方欧米では、土壌が主にカルシウムを多く含む石灰質なので、水にもたくさんのカルシウムが溶け込んでいます。日本の飲料水や農作物はどうしても欧米のものに比べカルシウムが少なめになってしまうのです。そのため日本人は日常的にカルシウム不足なのです。
水質に含まれるカルシウムの量(ppm)は日本8.8に対し、ヨーロッパは31.1、北アメリカ21.0です。

具体的にどれくらいの量が必要か?

最初の項でカルシウムは吸収が難しいミネラルであることを話しました。魚の骨を食べても人間の体はその全てを吸収する能力を持っていません。 豆腐、ほうれん草、わかめ、ひじき等はカルシウム吸収率が低く、摂取したカルシウムのうち約17%しか体内に吸収されません。カルシウム含有率が高いと考えられえいる魚(ししゃも、あじの開き、しらす干し)も吸収率は30%程度です。最もカルシウム吸収率が高いヨーグルト、プロセスチーズでもカルシウム吸収率は50%です。
成人の1日に必要なカルシウム摂取量は600ミリグラムですからこの量を達成するためには写真2のような量を摂取する必要性があります。
とても1食品では600ミリグラムという量を摂取するのが困難であるかがわかるかと思います。

摂取表