| 研究者 |
Hirschfeld, Wasserman(J Periodontaol 1978) |
| 対象患者 |
600名 |
| 観察期間 |
平均22年 |
| 治療方法 |
歯石の除去及び歯周外科治療 |
| 結果 |
1464歯の分岐部病変のうち460歯(31.4%)が抜歯された。
しかし、ブラッシングが良くでき、定期検査に良く来ている患者さんでは18%が喪失したのみであったが、ブラッシングが悪く、定期検査に来ていない患者さんでは抜歯される率が非常に高かった。 |
| 研究者 |
Ross, Thompson(J Periodontol 1978) |
| 対象患者 |
100名/td>
|
| 観察期間 |
5〜24年 |
| 治療方法 |
歯石の除去及び歯周外科治療 |
| 結果 |
387歯中341歯(88%)が生存し、46歯(12%)が抜歯された。しかし、抜歯された歯のうち25歯は6〜18年維持されていた。 |
| 研究者 |
McFall(J Periodontol 1982) |
| 対象患者 |
100名 |
| 観察期間 |
平均15年 |
| 結果 |
分岐部病変を有する大臼歯のうち57%が抜歯された。しかし、平均的な存在年数は急激に悪化した群でも9年間に及んだ。 |
この3つの論文から何がわかるかといいますと分岐部病変(重度歯周病)であっても徹底したブラッシングと定期検査を受けることによりある程度の期間は問題なく歯は残ることをあらわしています。しかし、ブラッシングを怠ったり、定期検査を受けないとダメ(抜歯)になるリスクは高いことを示しています。また先程のインプラントの予後報告と比較しても成功率は若干低くなっています。
特にインプラントを行う場合、インプラントの近くにこのような分岐部病変があった場合には慎重な計画が必要になってきます。
慎重な計画というのはもし患者さんが徹底したブラッシングと定期検査にいらしていただけるのであれば、たとえ分岐部病変があったとしてもその予後はインプラントには劣るが、それなりに保っていけるということが先程の論文でわかりました。
しかし、ブラッシングを怠ると分岐部病変は再発するリスクも高いこともわかりました。
もし、ブラッシングがうまくいかないと歯周病は再発します。再発するとその歯周病菌はインプラントにも感染します。
次にインプラントは天然歯と同様に歯周病菌に感染するのか?という話に移りたいと思います。
また話は難しくなりますが、論文を解説していきます。
| 論文1:インプラントの細菌学的検索 |
| 研究者 |
Lekholm,U., Gunne, J., Henry, P etal |
| 掲載論文 |
Int. J.Oral Maxillofac. Implants, 1999 |
| 対象患者 |
127名(18〜70歳、平均50歳)
(ブラッシングが十分できている患者) |
| 対象インプラント |
上顎176本、下顎262本 |
| 観察期間 |
10年 |
| 結果 |
インプラントの10年後の成功率は上顎で92%、下顎で 93.7%でした。残存した天然歯およびインプラントからは歯周病菌が天然歯で 9.7%、インプラントで 10.6%検出された。 |
| 結論 |
このことによりインプラントも天然歯と同様に感染することが確認された。 |
論文1からインプラントも天然歯と同様に歯周病細菌に感染することがわかりました。
それでは次に歯周病に罹患した患者さんにインプラントを行った場合の成功率は健康な口腔内の患者さんに比較してリスクがあるかという論文を紹介したいと思います。
| 論文2:軽度歯周病患者におけるインプラントの予後報告 |
| 研究者 |
Nevins, M.& Langer, B:J. Periodontol.,1995 |
| 掲載論文 |
Int. J.Oral Maxillofac. Implants, 1999 |
| 対象患者 |
59名(50〜60歳)
(ブラッシングが十分できている患者 |
| 対象インプラント |
上顎177本、下顎132本 |
| 観察期間 |
1〜2年が21%、3〜4年が50%、5年以上が29% |
| 結果 |
成功率は上顎で98%(174本)、下顎で97%(128本)であった。 |
| 結論 |
徹底した管理を行えば、歯周病患者においてもインプラントを行うことは可能である。 |
論文2から軽度の歯周病であれば健全な口腔内の患者さんと同程度のインプラントの成功率が得られることがわかりました。
それでは今度は健康な患者さんと歯周病の患者さんにおける長期的な経過についてまとめた論文を解説したいと思います。
| 論文3:歯周病患者と非歯周病患者におけるインプラントの予後報告 |
| 研究者 |
Karoussis, l. K. et al : Clin. Oral. Impl.Res.,2003 |
| 対象患者 |
グループ1:歯周病患者さん
歯周病で抜歯された患者8名に対し21本のインプラントを埋入した。
グループ2:非歯周病患者さん
虫歯、破折等度で抜歯された患者45名に対し91本のインプラントを埋入した。 |
| 観察期間 |
10年 |
| 結果 |
インプラントの成功率はグループ1(歯周病患者)で90.5%、グループ2(非歯周病患者)で96.5%であり、長期的に見ると歯周病患者さんの方がインプラントがダメになる確率が高いことがわかった。
また急性炎症の発現率は歯周病患者さんで29%非歯周病患者さんで6%であった。
特に特徴的なのは歯周病患者さんにおいて6年目以降に急激にインプラントに問題が起こりはじめた。 |
論文3から得られたことは長期(10年程度)的にみると歯周病患者さんにインプラントを行った場合、歯周病ではない患者さんと比較するとダメになる確率は若干ですが高くなるということです。
特に注目すべきことは、歯周病患者さんにおいて6年目以降に急激にインプラントに問題が起こってくるということです。このような報告は他の論文でもあります。
それでは次の論文に移りたいと思います。
歯周病の患者さんと非常に進行した歯周病の患者さん(広汎性侵襲性歯周病といいます)にインプラントを行った場合どのような結果であったかという論文です。
| 論文4:中程度歯周病患者と非常に進行した歯周病患者における
インプラントの予後報告 |
| 研究者 |
Mengel, R. et al : J. Periodontol., 2001 |
| 対象患者 |
グループ1:中程度までの歯周病患者さん
中程度までの歯周病患者5名に対し12本のインプラントを埋入した。
グループ2:非常に進行した歯周病患者さん
広汎性侵襲性歯周病患者5名に対し36本のインプラントを埋入した。 |
| 観察期間 |
中程度までの歯周病患者さん:3年
非常に進行した歯周病患者さん:5年 |
| 結果 |
インプラントの成功率は中程度の歯周病患者さんで100%、非常に進行した歯周病患者さんで88.8%であった。 |
| 結論 |
非常に進行した歯周病(広汎性侵襲性歯周病)でも適切な歯周病治療、メインテナンス(定期検査)が行われれば、インプラントは可能である。
しかし、徹底したブラッシングと管理を行ってもリスクは高かった。 |
この論文から重度歯周病であったとしてもインプラントは可能であることがわかりました。しかし、軽度や中程度の歯周病と比較するとその予後(成功率)には問題が残ることもわかりました。
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