総義歯患者さんにおけるレントゲン診査

はじめに

それでは総義歯の患者さんにおけるレントゲン診査おより治療の流れを説明します。
症例2は歯肉が腫れて痛みがあるとのことで来院された患者さんのケースです。歯周病やレントゲン診査の結果、全ての歯を抜歯しなければならない状態でした。
抜歯後の治療方針としてできるだけ違和感のない状態を希望されたため、下顎は義歯を避け、インプラントを応用し、上顎はとりあえずは義歯で対応するという計画をたてました。しかし、抜歯後の審美的問題や機能的問題(噛むこと、話すこと)、義歯の違和感の問題から抜歯後できるかぎり早期に義歯ではない状態を希望されたため、抜歯後3週間で、インプラントを埋入後すぐに固定式の仮歯を装着する計画を立てました。
患者さんにとっては抜歯後すぐに固定式の歯になるため非常に有効な方法ですが、治療する側にとっては綿密な計画と準備がないと適確にいかないケースです。

症例2:口腔内所見

症例2:抜歯後3週の状態

下記の写真は抜歯後3週の状態です。抜歯した直後(その日)に上下の義歯を装着しますので、歯がない時期はありません。

症例2:インプラント埋入直後の仮歯の作製

下記の写真はインプラント埋入直後に装着する固定式の仮歯です。
症例1で説明したような診断用ワックスアップを元にして作製された仮歯です。
適確な診断用ワックスアップを行うことにより、インプラント埋入直後から違和感のない固定式の歯を装着することができます。

症例2:外科用ステントにおけるレントゲン診査

診断用ワックスアップより得られた情報により作製されたプラスチック性の外科用ステントです。
インプラントの予想埋入位置に12mmの金属製のピンが平行性の確認や骨の高さの確認のために付与されています。

下記の写真は外科用ステントを口腔内に装着した状態です。

症例2:外科用ステントにおけるレントゲン診査

先程の外科用ステントを口腔内に装着し、レントゲン写真(オルソパントモグラフィー)を行ったところです。
オルソパントモグラフィーは約10~30%程度拡大されて撮影されるため金属製のピン(今回は12mmの長さを使用)の拡大率をレントゲン上から計測し、実際の骨の高さを計算します。

外科用ステントで得られた情報をもとにして骨の高さ等の診査を行いインプラントの埋入シュミレーションを行います。

症例2:治療終了後の状態

適切な診断用ワックスアップ、外科用ステント等を行うことにより、治療結果はもちろんのこと治療中の不便性を解消することができます。