短いインプラントによる治療(ショートインプラント)

1.はじめに

インプラントを成功に導くためには、しっかりした骨の中に できる限り長く太いインプラントを埋入する必要性があります。
このHPの さまざまな項でも書いていますが、インプラント治療を希望される患者様の多くは、骨の高さがなく、骨幅も薄いのです。
その理由は、骨吸収が起ったためです。
骨吸収の原因には、主に以下のようなことがあります。

  • 歯周病
  • 歯根破折
  • 欠損部の放置

そして、骨吸収が大きい場合には、骨の増大治療が必要になります。
骨増大法には、主に以下のような方法があります。

  • GBR法
  • サイナスリフト法(上顎洞底挙上術)

骨増大治療は、簡単な治療もあれば、非常に大変な治療もあります。
ただし、GBR法自体は、多くのケースで行う治療ですので、骨吸収がさほど進行していなければ、さほど大変ではありません。
しかし、あまりにも骨吸収が大きい場合には、かなり大変な治療です。
そして、骨増大治療の中で 最も大変な治療がサイナスリフト法(上顎洞底挙上術)なのです。
サイナスリフト法(上顎洞底挙上術)は、治療後の腫れ等も大きくなる治療法です。
そのため、仕事が忙しい等の理由もあり、サイナスリフト法(上顎洞底挙上術)による骨増大治療をご希望されない方も多くいらしゃいます。

それでは、骨移植を避ける方法は、ないのでしょうか?
以下では、骨の吸収が大きい場合の治療法について症例を加え解説します。

2.症例1:複数のインプラントによる連結固定!

『噛み合わせが安定していて 複数のインプラントが埋入できる場合』
この場合は、インプラントの被せ物自体を連結することにより安定をはかります。
下の症例では、奥の3本のインプラントは短いが、手前側(中心側)のインプラントが長いため、全てのインプラントを連結することにより安定を得ることができた症例です。

3.症例2:短いインプラントを複数埋入し全て連結固定!

下の症例は、上顎の骨が極度に吸収してしまったケースです。
本来であれば 吸収してしまった部分に骨移植をし、サイナスリフト法(上顎洞底挙上術)を行ってから インプラントを埋入しなければならない状態です。
しかし、患者様は、腫れが大きくなる治療は希望されなかったため、短いインプラントを複数埋入し、連結固定する経過を立てました。
また、この治療を選択するにあたり、噛み合わせ(歯軋り等もなく)、全ての被せ物を連結できる等の成功のための一定条件をクリアーしていたため短いインプラントで対応することにしました。

下の写真の1枚目が初診時で、2枚目の写真が治療後です。
使用したインプラントは、I.T.Iインプラント(ストローマン・インプラント)であり、その長さは、6~8mmと最も短いインプラントです。

4.最後に!

この項のテーマは、ショートインプラントです。
ショートインプラントは、上顎洞底挙上術(サイナスリフト法)を避けるための一つの方法です。
しかし、骨吸収が高度に進行しており、長さが6ミリのインプラントも埋入できないようなケースでは、適応されません。
また、ショートインプラント以外の治療方法には以下のような方法もあります。
ご興味のある方は参考にして下さい。