5. 子供の口臭Q&A

Q.5-4 口臭対策:おしゃぶりは3歳頃まで継続することが重要!?

A:小児の口臭の原因を大まかに分類すると

  • 1.歯磨きを行わない習慣 と
  • 2.鼻閉やアデノイド過形成に伴う口呼吸による口腔内乾燥

が大半です。
特に口呼吸による口腔乾燥は、口臭の大きな原因となるだけでなく、さまざまな問題を引き起こします。
口呼吸による問題は以下のようなことがあります。

1.口腔内免疫力が低下する

口呼吸を行うと 咽頭扁桃(アデノイド)、 口蓋扁桃(左右に対に存在し、俗にいう扁桃腺)、 舌根(ぜっこん)扁桃、 耳管(じかん)扁桃 といったリンパ組織が乾燥します。
このリンパ組織の役目は、 鼻や口から侵入する病原体に対する免疫を作ったり、 病原菌が体内に侵入するのを防ぐ働きをもっています。
乾燥すると病原菌とっては、最も好都合な条件です。
したがって、容易にインフルエンザなどの侵襲を受けます。

2.血液中の抵抗力の低下

口呼吸を繰り返すと、いつもウイルスに暴露されている為に、血液中の免疫細胞が減少します。
これは口腔内の問題だけではなく、生体自身の免疫力の低下を起こします。

3. 口の中の抵抗力の低下

口腔乾燥が続くと唾液中に含まれる免疫成分が働かなくなります。
その結果、舌苔の付着や口の中の細菌のバランスに変化が起こります。
結果として、菌交代現象が発生します。
口腔内粘膜自体の抵抗力もダウンし、容易に、口内炎などが出来やすくなります。

口呼吸による口臭の原因は、 口腔内が乾燥してくると、扁桃の免疫機能を低下させ、 バクテリアが舌苔や扁桃腺内の膿栓内で増殖を起こします。
そしてバクテリアが産生する揮発性硫黄化物が口臭を起こすのです。

近年の日本では、口呼吸の子供が多くなっていると言われます。
その理由の一つとして、日本の乳幼児のしつけの問題を指摘する報告があります。
「日本では、離乳を1歳前後で始めて、離乳直後から、哺乳行為を禁止させ、 おしゃぶりも行わないようにする。
という乳幼児教育が口呼吸を起こさせている。」 というものです。

哺乳中の赤ちゃんは、口呼吸が適切に出来ず、鼻呼吸を行います。
離乳時期が早いと、直ちに口呼吸に切り替わると言われています。
口呼吸の問題点は、先に説明したとおりです。

鼻で呼吸できないことは大きな問題なのです。
鼻呼吸に重要な役割を果たす口輪筋の完成は3歳頃とされています。
諸外国では3歳くらいまではおしゃぶりを与えていますが、 日本ではほとんど見かけることがありません。
そのために、口輪筋の発達が未熟で 口呼吸を早くから覚えてしまっていることが多いのです。

ただし、おしゃぶりをずっと行なっていることの問題点もありますので、定期的に病院で判断してもらった方が良いでしょう。