5. 子供の口臭Q&A

Q.5-6 子供の舌の清掃方法:絶対に行ってはいけないこと!

A:子供の口臭が気になる親は、子供の舌をみて、白っぽい汚れが付着しているのが、 口臭の原因と考えて、歯ブラシ等で擦って取ろうとします。
これは、絶対に行ってはいけません。

鏡で舌を見ると白くなっていることがあります。
この舌の汚れが口臭の原因となっているのでは?
と考えられている方がいらっしゃいます。
そのため口臭が気になる方の多くは “舌磨きブラシ” で磨いているのです。
実際に舌磨きブラシで取れた汚れを実際に嗅いでみると臭います。
そのため、「舌の白いのは口臭の原因」と思うようになります。
これは明らかに間違っています。
舌はブラシのような物で擦ってはいけません。
舌は粘膜であり、舌の表面には「舌乳頭」という非常に細かいヒダのような物が覆っています。
イソギンチャクのヒダのようなものがいっぱい舌の表面には存在するというものと思って下さい。
舌乳頭というと一般的には「糸状乳頭」というのをさすことが多いのです。
が、この機能は食物をなめとりやすくしたり、
舌の感覚を鋭敏にする感覚装置とされています。
ネコを飼っている人なら分かるかと思いますが、 ネコの舌がザラザラしているのもこの「舌乳頭」です。

先程書きましたように舌は粘膜ですから「舌ブラシ」で強く擦ってしまう と傷がついてしまいます。
例えていうならば、皮膚を強く擦ると皮膚に傷がついてしまうのと同じです。
腕や足の皮膚は角化(硬い状態の皮膚)している状態ですので 多少擦っても問題ありませんが、 舌は皮膚のような角化組織ではありませんので、 舌ブラシで擦ってしまうと剥がれ落ちてしまいます。
舌が傷ついてしまうのです。

舌が傷つくと当然痛みがあるだけでなく、炎症が起こりますので なおさら舌からの口臭は強くなります。
また一番問題なのは、剥がれ落ちた舌乳頭をもとにして口腔内細菌がさらに繁殖してしまいます。
結果的に口臭はさらに強くなります。
舌ブラシ等で舌の清掃を頻繁に行っている方の唾液は 混濁(濁っている)しています。
これは剥がれ落ちた舌乳頭等が唾液の中に混じっているのです。

さらに舌には味蕾(みらい)という味覚を感じる受容器があります。
この味蕾も傷ついてしまうことがあります。
そのため、舌が白っぽくなっているからといって舌ブラシで強く擦っては絶対にいけません。
また、根本的なこととして 舌に付着している汚れは、口臭の原因となることがありますが、 その多くは舌ブラシで取れる範囲ではなく、 喉の奥の方や舌の奥1/3ですので、 舌ブラシでいくら擦っても効果は低いと言えます。

ただし、舌表面の汚れを取ること自体は口臭予防として効果はあります。
正しい舌磨きの方法は、ブラシを使用するのではなく、 ヘラのような専用の器具がありますのでそれを使用して下さい。
あくまでブラシで舌を擦るのではなく、傷つけずにヘラで汚れを落とす程度にして下さい。