抗菌性 グルコン酸クロルヘキシジン含嗽剤

『グルコン酸クロルヘキシジン』という含嗽剤は歯周病細菌に対して効果が高いものです。
しかし、『グルコン酸クロルヘキシジン』は、使用部位と使用濃度を厳守しなければならない薬品です。
ちょっと難しいですが、その詳細を書きたいと思います。

『グルコン酸クロルヘキシジン』は、1954年に英国 ICI社(現 AstraZeneca 社)で製造されたビグアナイド系の殺菌消毒剤です。
歯周病と関連する グラム陽性細菌やグラム陰性細菌および多くの真菌に対して 優れた殺菌力を発揮します。
簡単に言えば、歯周病細菌に効果があり、昔から使用されてきた殺菌薬ということです。

また、 他の消毒剤 と比較して優れたところは、皮膚に残留して持続的な抗菌作用を発揮することです。
この 持続的 ということが口腔内にとって良い点がいっぱいあります。
口腔内というのは 殺菌・消毒 が困難な場所です。
手術前に消毒してもすぐ唾液に触れてしまったりすると効果が薄れてしまいます。
また、舌には舌乳頭 という小さな突起 がいっぱいあり、そこに汚れ(細菌)が潜んでいます。
そのため舌を完全に消毒することは難しいのです。

それ以外にも 歯自体にも 凹凸があり、消毒を困難にさせています。
ですから粘膜を消毒してもすぐ他からの細菌が付着してしまうため、粘膜も再感染しやすいのです。

そこで『グルコン酸クロルヘキシジン』の 持続効果 が発揮されるのです。
粘膜に 停滞する時間 が長いため、手術前には最適です。
当医院では インプラントの手術前には、まず患者様ご自身で『グルコン酸クロルヘキシジン』のジェルで歯ブラシをしていただきます。
その後、『グルコン酸クロルヘキシジン』のうがい薬でうがいをしていただきます。
さらに『グルコン酸クロルヘキシジン』綿で口腔内全体を拭い取り清掃します。

このように 非常に効果がある『グルコン酸クロルヘキシジン』ですが、日本では規制があります。
それは過去にアナフィラキシーショックを起こした事例があるからです。
アナフィラキシーショック

そのため、日本では 口腔以外の粘膜への使用は禁忌となっています。
しかし、アメリカでは粘膜に使用される 消毒薬としては第一選択薬となっています。
0. 12~0.2%程度の濃度での使用で効果があるとされています。
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