骨再生治療症例:エムドゲイン法 GTR法

骨再生治療症例:1

骨再生治療について説明致します。
治療前は、レントゲン上(矢印→部分)に骨吸収が認められます。

歯周病で失った骨の再生治療ですが、患者様にとっては、どこまで骨が再生するのか?
ということは当然のことながら興味があるところです。
骨は本当に再生するのでしょうか?
ここではそうした内容を実際の症例を見ながら解説していきます。
再生治療でどこまで骨ができるか(再生するか)は、骨欠損の形態に大きく左右されます。

下の写真の左側は、初診時で右側の治療後は、骨再生を行なったレントゲンです。
初診時にあった骨の凹み(矢印→)は、治療後に平坦になっています。

骨再生治療前と治療後

骨が再生したのです。
しかし、骨の再生が認められますが、元の状態に回復したわけではありません。
骨再生には、限界があるのです。

右側の初診時の骨欠損部(→部)には、穴のような凹みがあります。
再生治療を行なうと この凹みは骨再生で埋まる可能性があります。
しかし、穴(凹み)の上まで骨が再生することは難しいことです。
その理由について解説します。

骨が再生するには、『骨の細胞』が必要です。
『骨の細胞』が増殖することにより骨は再生するのです。
大切なのは、『骨の細胞』が再生するための場所や条件が必要だということです。

例えば、『コップ』があるとします。
そして、この『コップ』の中に『血液』を入れます。
『骨の細胞』は、この『血液が満たされたコップ』の中で再生(増殖)することができます。
しかし『骨の細胞』は、『コップ』の外に出て、骨を再生(増殖)することはできません。
『骨の細胞』は、血液で満たされたコップの中でしか生存できないのです。
この『コップ』を骨に置き換えてみます。
骨の吸収と言っても、骨の中に穴があいているような状況であれば、骨の中に血液が溜まる場所があります。
血液が溜まることができれば、その中で骨は再生することが可能になります。
しかし、骨が水平的に吸収してしまっている場合、骨の上方へは、血液が溜まりません。
平な板の上に血液を溜めようと思っても流れてしまうのと同じ現象です。
血液が留まるための堤防がないとダメなのです。

また、歯周病で骨が水平的に吸収してしまい、歯肉が退縮している場合、歯肉に押しつぶされてしまい、骨が増殖するスペースが存在しません。
そのため、歯肉が退縮している場合、GTR法を行っても歯肉が上に盛り上がってきて、骨が再生することはできません。
これが再生治療の限界なのです。

しかし、骨の骨吸収が認められる凹みが平坦になることが非常に重要なことです。
この再生が起こることで将来性は大きく変わります。
骨吸収が起こっている部位は、歯周病治療を行なったとしても再発が起こる可能性が高くなります。
歯周病により吸収した骨の凹みが平になることで歯の将来性は格段に向上します。
それでは次の再生治療の症例を見てみましょう。

症例:2

始めに再生治療のレントゲン写真からみて見ましょう!
以下の写真の左側が初診時で右側が治療後です。

骨再生治療前と治療後

左側のレントゲン写真の(*)印の矢印(→)部分に骨吸収があります。
右側のレントゲン写真の矢印(→)部分に骨の再生が認められます。
どれだけ骨が再生しているのかを見てみましょう!

赤の線(点線)が初診時の骨の吸収している位置です。
それが右側の再生治療後では、青の線(点線)に骨が再生しています。

治療前と治療後の骨再生量

このケースではかなりの骨再生が認められますね。
このように 骨吸収の状態 等によって 骨の再生程度には大きく差がでます。
しかし、歯周病で骨吸収がある場合には、再生治療を行なうことで歯の将来性は大きく変わってきます。

実際にこの症例2では、初診時には歯がグラグラしており、抜歯してもおかしくない状態でしたが、治療後には、骨の再生が大幅に起こったことで、動揺(歯のグラグラ)は、改善になくなりました。

骨再生治療の詳細については以下のページをご覧下さい。 失った骨の再生治療:エムドゲイン法