歯周病治療

歯周病症例

症例報告

それでは実際の患者さんの症例(中程度から重度の前半程度で歯周病を主訴に来院される患者さんの中で一番多い程度の歯周病です) で検査から治療後まで見ていきましょう。(1~13)
以下は私達歯科医師同士が意見交換(症例検討会)する時の形式です。
私達はデータをもとにして各専門分野の先生の意見をまとめて治療計画を立てていくのです。以下には専門用語が入り難しいところはありますが、できるかぎり原本を忠実に再現して解説していきたいと思います。

  • 1.問診および主訴

    問診および主訴
    名前: T.Y
    生年月日: 1940年○月○日
    性別: 女性
    職業: 主婦
    初診日: 1996年1月17日
    主訴: 全体的に歯が浮いた感じがし、出血があり、膿がでる。
    全身既往歴: 特に問題なし。
    口腔既往歴: 3年ほど前より歯肉が腫脹し、ブラッシングにより出血を認めた。近医にて歯周炎と診断され、歯石除去を受けていたが、出血は改善されず、歯牙の動揺も増加してきたような感じがするため不安になり歯周病専門医である当医院を受診。
  • 2.咬合診査 Occlusal Observation

    咬合診査

    左記の内容は専門用語であり、非常に複雑で難しいため、簡単に解説します。
    これは噛み合わせ等の検査結果です。
    上から

    1. 噛み合わせの前後的位置は正常
    2. 前歯の噛み合わせに位置も正常
    3. 噛んだときに歯がゆれる所あり
    4. 真直ぐ噛んだ時に全体的に当たらず一部(奥歯)のみに強く当たる所あり
    5. 歯を前方に動かすときに異常はない
    6. 歯を右に動かしたときに一部の歯に強くぶつかる部分あり
    7. 歯を左に動かしたときに一部の歯に強くぶつかる部分あり
    8. 顎関節に痛み等の異常はない
  • 3.初診

    歯周ポケット検査表の見方
    下記は歯周ポケットの検査表です。
    歯周ポケットについては「歯周病の進行」の項を参考にしてください。
    この検査結果も複雑であるので、すぐ下に検査表の見方を解説します。

    初診

    初診

    初診
  • 4.術前口腔内写真

    術前口腔内写真

    解説
    前歯に歯肉の炎症が認められる

  • 5.術前レントゲン写真

    術前レントゲン写真

    解説
    上下の奥歯に骨の吸収が認められる

  • 6.歯周病菌測定検査

    歯周病菌測定検査

    PERIOCHECK®にて強陽性反応の結果を得た。
    歯周病菌の測定については「歯周病菌測定検査」の項を参考にしてください。

  • 7.診断

    診断
    重度歯周病                  
    中程度歯周病                        
    軽度歯周病              
      7 6 5 4 3 2 1 1 2 3 4 5 6 7
    軽度歯周病                
    中程度歯周病                    
    重度歯周病                    

    その他まだ検査(ページの都合上省略)はありますが、これまでのデータをもとに診断を行います。
    前歯は軽度の歯周病であるが、奥歯は重度の歯周病であることが分かります。
    噛み合わせの検査にて噛み合わせにも問題があることが分かります。

  • 8.治療計画

    治療計画

    解説
    歯周病の治療で最も大切なことは早期に原因菌と歯石の除去を行い、進行を停止させることです。また治療と同様に重要なことはせっかく取った汚れが再度感染を起こさないように管理することが必要です。そのためには歯ブラシの方法を治療を行う前に確立しておかなければなりません。治療をどんどんと進めることは大切ですが、ブラッシングがきちんとできないと必ず再発します。実際に歯周病治療を終了した人でもブラッシングがきちんとできていないために再発する人は多くいます。最初の時点でいかに歯ブラシの方法を完全にマスターすることが今後を決定します。歯ブラシの指導後、歯石の除去を行い、歯周病の本格的な治療である歯肉の下の歯石の除去(ルートプレーニング )を行います。この方法は下図を参考にしてください。次に初期治療の段階で噛み合わせの治療を行います。またこの患者さんは歯ぎしりの既往があるので歯ぎしりを防止するための「ナイトガード」という歯ぎしり防止装置を使用してもらいます。ぐらぐらする歯等は固定をして安静にします。その後再検査を行い、どこまで治ったかを判定します。ポケットが5ミリ以下のような中程度以下の歯周病はこの ルートプレーニングにて治ることも多いのですが、進行した歯周病の場合は専門的な歯周病治療 Flap operation を行います。その後歯肉が治癒したら再度ポケット検査を行います。この時点でポケットが全て3ミリ以下になっていることが目標です。
    後はかぶせものの治療を行い、定期検査に入ります。この定期検査はメインテナンスといわれ、治療と同じかそれ以上に大切なことです。定期的に管理を行い、再発がないか? 歯ブラシの仕方を含めチェックし、口腔内のクリーニングを行います。

  • 9.ルートプレーニング

    歯周ポケットが深いところには歯肉の下に歯石がついています。
    また歯根には細菌がだす毒素が根面に浸透しています。そうした歯石や細菌を除去し、根面の汚染物質を取り除くことが、ルートプレーニングなのです。
    まず、歯肉に若干の麻酔をします。ただ歯石を除去するだけでは麻酔は必要ありませんが、歯周ポケットの深い部分の汚染物質を除去するためには麻酔をしないと絶対に取れません。
    歯石や汚染物質はキュレットといわれる専用の器具をポケット内部に入れ、歯の根にそわすように上下に動かし、除去していきます。

    ルートプレーニング
  • 10.初期治療終了後の歯周ポケット再検査

    初期治療終了後の歯周ポケット再検査

    解説
    初期治療(ルートプレーニング)により歯周ポケットは減少しているが、まだ深い部分も残っている。まだ深い部分には Flap operation を行う。

  • 11.歯周外科治療後の歯周ポケットの値

    歯周外科治療後の歯周ポケットの値

    解説
    歯周外科措置(Flap operation)を行うことにより歯周ポケットはほとんどの部位にて3ミリ以下となった。

  • 12.治療終了後口腔内写真

    治療終了後口腔内写真

    解説
    歯肉の炎症はなくなっている。

  • 13.治療終了後レントゲン写真

    治療終了後レントゲン写真

    解説
    上下の奥歯に骨の再生が認められ、骨の安定かがうかがえる。

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