歯周病になると歯がしみることがあります

歯周病の進行と知覚過敏

歯周病が進行すると歯を支えている骨が吸収してきます。

歯周病になると歯がしみることがあります!
骨が吸収すると それに伴い歯肉も退縮します。
歯肉が退縮すると 今まで歯肉の中にあった歯の根が露出します。
この根の中には、『象牙細管』という非常に細い管が入っています。
『象牙細管』と神経は つながっているのです。
そのため、歯肉が退縮し『象牙細管』が露出すると冷たいものや、熱いものがその管を伝わってしみたりします。
この状態を知覚過敏(象牙質知覚過敏症)と言います。

歯周病治療中には、歯がしみる!

歯石等を除去した後にも歯がしみることがあります。
これは虫歯ではないので心配しないで下さい。
歯周病治療を行う前の歯肉は 炎症があり、腫れている状態にあります。
歯石を除去すると 炎症が消退するために歯肉は引き締まり、見かけ上歯肉が下がります。
歯肉が下がると 今まで歯肉の中にあった歯の根が露出するためにしみてくるのです。
知覚過敏(象牙質知覚過敏症)です。

知覚過敏の治療

知覚過敏の治療方法ですが、知覚過敏の薬を歯の根に塗ります。
それでは、薬を塗れば、治るかと言いますと状況にもより違いますが、完全に治らないケースもあります。

先程、知覚過敏が起る原因として、歯肉が退縮し、歯の根の表面にある『象牙細管』という非常に細い管が露出することを説明しました。
この『象牙細管』は、歯の表面に無数に存在します。
知覚過敏の薬には、さまざまな種類がありますが、基本的な作用として、この『象牙細管』の中に薬が入り込み、細い管を封鎖するのです。
しかし、『象牙細管』の穴は無数にあるので、全てを封鎖させることはできません。
また、一度封鎖したとしても、取れてしまうこともあります。
特にブラッシング圧が強い方の場合、歯ブラシで 歯の根を擦ることにより『象牙細管』に詰めた薬が取れてしまうのです。
また、『象牙細管』を薬により封鎖できたとしても、知覚過敏により 神経に刺激が伝わり過ぎた場合には、神経自体に炎症が生じてしまいます。
こうなるといくら『象牙細管』を封鎖しても内部の神経が炎症を起こしているので薬の効果はありません。
また、知覚過敏を防止する他の方法には、薬局等で市販されている『知覚過敏防止歯磨き剤』を使用することも有効なことです。
症状によっては、この歯磨き剤で治ることもかなりあります。

知覚過敏を悪化させないために!

知覚過敏を悪化させないために、以下のことを注意することが大切です。
まず、ブラッシングの圧力です。
歯を一生懸命磨こうと思い、強い力で"ゴシゴシ "と擦ると歯の根の表面も削れてしまいます。
歯の根が削れると、『象牙細管』がさらに露出し、しみるのが強くなってしまいます。
また、硬い歯ブラシを使用しても同様なことが起ります。

また、噛み合わせが強い方も知覚過敏が起りやすいのです。
この話はちょっと難しい話にはなります。
見えている歯の表面は、『エナメル質』という硬い組織で被われています。
また、歯肉の中にある根の表面を『セメント質』と言います。
そして、『エナメル質』と『セメント質』の境目を『エナメル・セメント境』と言います。
『エナメル・セメント境』は、『エナメル質』と『セメント質』という違う組織の境目であるため、脆くなっています。
噛む力が強い方は、この『エナメル・セメント境』に負担がかかりやすいのです。
『エナメル・セメント境』に負担が加わると、亀裂が入り、割れてきます。
『エナメル・セメント境』が崩壊するのです。
このことを専門用語で『デンタル・コンプレッション・シンドローム』と言います。
『エナメル・セメント境』が壊れると『象牙細管』が露出してきます。
これにより知覚過敏が生じやすくなるのです。
『デンタル・コンプレッション・シンドローム』を防止するためには、『ナイトガード』と言われるマウスピースを装着することが有効です。