インプラント症例:44回目

5/10(月曜日)です。
ゴールデンウィーク中はこのブログもお休みしていましたので 久しぶりの症例報告になります。
今日も『インプラント症例 44回目』になります。
いつもこの症例報告では
骨吸収があったり、
歯周病で問題があったり、
前歯部の欠損であったり、
奥歯が欠損していたり、
歯が多数欠損していたり、
等 多くの問題に対して報告きました。
その中でもよく解説しているのは、上顎の奥歯の骨吸収についてです。
いつも このブログをご覧になっている方は、上顎の奥歯の上方に上顎洞 という空洞があるのをご存知かと思います。
以下のような症例です。
緑色の線より上方が上顎洞になります。
スライド06
以下のレントゲンは、
上顎洞(空洞部分)を緑色で表しています。
歯周病等で骨吸収した部位は赤色です。
現在残っている骨は、緑色赤色の間のみになるのです。
スライド07
緑色の部分は空洞ですので、このままでは空洞内部にインプラントを入れることはできません。
そのため、上顎の奥歯にインプラントを行う場合には、
骨の高さに制限ができてしまいます。
つまり、長いインプラントが埋入できないのです。
それではなぜこのようなことが起こるのでしょうか?
この上顎洞は、歯がなくなると下方に下がってきます。
実は、もともとこの上顎洞は、もっともっと上の方にあったのです。
上顎洞は、硬い骨のようなものではなく、布のようなものと思って下さい。
例えれば、ハンモックが垂れ下がっているようなものです。
そして、歯がそのハンモックを支えているのです。
歯が支柱になっているのです。
歯が抜けるということは、ハンモックの支えがなくなるのと同じです。
支えがなくなった布(上顎洞)は、重力にしたがって下がっていくのです。
本日の症例はそのようなことを中心にご紹介します。
以下が初診時です。(先程の参考症例とは違います)
患者様は、上顎右側の奥歯が欠存しており、噛めないとのことで来院されました。
スライド01
上顎右側が3歯分欠損しています。
スライド02
まず、右側上顎洞と骨吸収の状態を線で書いてみましょう。
青線が骨吸収を起こす前の骨の位置です。
赤線は、現在の骨の位置です。
緑線は上顎洞です。
スライド03
さらに分かりやすくするために右側上顎洞緑色で塗りつぶしてみましょう。
この右側上顎洞は下方に下がってきたのです。
スライド04
それを分かりやすくするために左側上顎洞も一緒に表示してみましょう。
スライド05
右側の上顎洞左側の上顎洞では、その位置が違うのが分かるかと思います。
歯が欠存したために右側の上顎洞が下がってきたのです。
このように比較すると分かりやすいかと思います。
上顎が下がってくるのは、時間が経過すればするほど起こりやすくなってきます。
つまり、抜歯後はできるかぎり早急に対応しないとインプラント治療が難しくなるのです。
スライド06
それでは、この患者様の治療方法はどのように行ったら良いのでしょうか?
現在の状態のままでインプラントを行うと以下のようになります。
スライド07
上顎洞が下方に下がってしまったために短いインプラントしが埋入ができなくなります。
インプラントが安定するためには、可能なかぎり長いインプラントを埋め込むことが最も大切です。
そのための確実な方法は、上顎洞の中に骨の移植を行うことです。
この治療方法をサイナスリフト法(上顎底挙上術) と言います。
サイナスリフト法(上顎底挙上術) は、骨の増大を確実に行える治療方法です。
しかし、結構大変な治療にはなります。
移植する骨をどこかから採取することが必要になります。
一般的には、顎の尖端(顎先)や 下顎枝(下顎の奥歯のさらに後ろ側)から取ってきます。
取ってきた骨を粉砕して 人工の骨 と ミックスさせて上顎洞内部に入れるのです。
下顎から採取した骨 と 人工骨 のミックスしたものが骨になるまで 6ヶ月から1年程度待ちます。
そして、骨の増大が確認できたらインプラントを埋入することができるのです。
私自身もこのような治療法も行うことがありますが、できるかぎり避けたい治療です。
(比較するために 次回の症例報告ではサイナスリフト法(上顎底挙上術) を行ったケースを紹介します)
その理由として治療を受ける患者様にとっては負担が大きいからです。
できるかぎり簡単で、
できるかぎり負担の少ない治療、
ということを行いたいと 考えています。
それは もし私自体がこのような治療を受ける立場であったとすれば
できるかぎり大変な治療は避けたいと思うからです。
サイナスリフト法(上顎底挙上術) を行えば、骨の増大は確実に行えますが、
それに対する治療後の腫れが大きくなったり、
骨移植による治療費の負担があったり、
治療期間が長くなります。
患者様ご自身もそうした治療方法はご希望されませんでした。
そこで最終的な治療方法は以下のようになりました。
スライド09
上顎洞を避けてインプラントを斜めに埋入することにしました。
これをインプラントの傾斜埋入 と言います。
これにより、骨移植を避けることができました。
また、長いインプラントを埋入することも可能になりました。
長いインプラントを埋入することで インプラントの本数も最小限の2本で行うことが可能になりました。
以下がインプラントを埋入した直後です。
スライド10
このレントゲンに上顎洞の線を記入したのが、以下のレントゲンです。
上顎洞を避けてインプラントが埋入されているのが分かるかと思います。
スライド11
以下のレントゲンは治療終了時です。
スライド12
本日の症例を見ていただくと 歯を失うと上顎洞が下がってくることがお分かりになったと思います。
また、骨吸収と上顎洞が下がっているために、インプラントが埋入できないケースでも
工夫(インプラントの傾斜埋入 )をすることで大変な治療を避けることも可能になりますし、治療費の削減にもなりました。
難症例を簡単に治療する!
これも大切なことなのです。
次回のブログは5/13(木曜日)になります。
次回も皆さんに少しでもインプラント治療をご理解していただくためにさまざまな症例をご紹介していきたいと思います。
次回の症例は、サイナスリフト法(上顎底挙上術) を行ったケースです。
今回の治療のように骨移植しか治療方法がなかったからです。
ゴールデンウィーク前に行ったインプラント手術報告
今週(昨日)のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。
それでは、先週のインプラント手術の中から上顎にインプラント埋入を行った1症例について解説します。
患者様は今回で2回目のインプラントでした。
前回は下顎の左側に2本のインプラントを埋入しました。
今回は上顎の右側でした。
このように2回に分けてインプラントを埋入することもあれば、
上下同時にインプラントを埋入することもあります。
1回で全て行う方法と2回に分けて行うことには それぞれ 利点と欠点があります。
まず、1回で治療を終了させことをの最大の利点として、
治療期間の短縮(治療回数の短縮)です。
『大変なことは1回で終了させたい!』という方も多くいらしゃいます。
次に左右に分けて2回で行う方法の利点としては、
例えば、右側のインプラント手術を行ったとします。
この場合、手術直後は まったく腫れなかったとしても
やはり右側で食事をしたりすることは多少でも不自由になります。
この場合、左側が食事の中心になることが一般的です。
それが、左右同時に手術を行うとどうしても噛む場所を確保できずに食事が不自由になることもあります。
そのため、
左右別々に行うか?
左右同時に行うか?
は、治療の大変さ や 患者様のご希望 等に合わせて決定されます。
初診時は、以下のような状態で来院されました。
スライド05
下顎の左側の奥歯がかなり以前から欠損していました。
そのため、食事のほとんどを右側で食べることになっていました。
ところが、少し前から上顎の左側の奥歯で噛むことができなくなってきました。
上顎左側が歯根破折 していたのです。
歯根破折 についてはこのブログでも良く紹介する内容です。
スライド06
歯根破折 している場合、抜歯となることがほとんどです。
スライド07
この歯を抜歯すると奥歯では噛めなくなるとの思いから
当医院を受診された患者様です。
また 診査の結果、さまざまな問題が起こっていました。
その一つが、噛み合わせのズレです。
下顎の右側の奥歯が欠損した状態で長期間放置してしまったため、
噛み合う上顎の歯が挺出してきたのです。
以下のレントゲンは、噛み合わせのズレを表示したものです。
青線は、正常な状態を表した状態です。
スライド08
以下の赤線は、現在の患者様の状態です。
スライド09
上顎の歯が挺出し、噛み合わせが斜めになっているのが分かるかと思います。
青線赤線を合わせたのが以下の写真です。
スライド10
『奥まできちんと噛みたい!』という患者様のご希望もあり、
下顎左側に2本のインプラントを埋入し、3歯分のブリッジ、
上顎右側も2本のインプラントを埋入し、3歯分のブリッジを行うことになりました。
治療(インプラント手術)は2回に分けて行う計画です。
先に下顎左側のインプラントを埋入し、
先日上顎の右側のインプラントを埋入しました。
その時のレントゲンが以下になります。
スライド1
下顎に使用したインプラントは、ストローマンインプラント(ITIインプラント) を2本です。
今回上顎に使用したインプラントは、アンキロス インプラント が2本です。
麻酔は、前回に続いて静脈内鎮静法(眠っている間に終了します) で行いました。
1回この麻酔で治療を行うと ほとんどの方が次の治療の際にも静脈内鎮静法 をご希望されます。
それだけ治療が楽だったということです。
今後の治療スケジュール
今後の予定としては、
1. 約7〜10日後に“抜糸”、
2. その後、 約3〜4ヶ月後に型を取ります。
治療費
インプラントモニターですので、1本168.000円(消費税込)になります。
最終的な被せ物は、
ハイブリッドセラミック(1歯84.000円:消費税込)の予定です。
つまり、最終的な治療費の合計は、
168.000円×2本+84.000円×3=588.000円(消費税込)になります。
これが治療費の全てです。
当医院のインプラント治療費用の中には、
治療中のレントゲン撮影や薬代、
土台(アバットメント) の費用、
仮歯 の費用、
治療経過のレントゲン撮影、
セラミック等の被せ物の費用、
スプリッティング法(リッジエクスパンジョン法)
OAM(大口式)インプラントシステム
GBR法(骨増大法)
ソケットリフト法 の費用、
静脈内鎮静法(眠っている間に終了します) の費用も含まれています。
治療計画以上の追加費用はありません。
全て含まれた費用です。
インプラントモニター募集(20%割引
現在、新規にインプラント症例集のページを作成しています。
さまざまなケースを見ていただくことにより、よりインプラント治療についてご理解していただきたいと思います。
そのため、症例を公開しても大丈夫という方(インプラントモニター)を募集しています。
インプラントモニターの詳細については、下記をクリックして下さい。
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今回のモニター募集は、できるかぎり多くの症例を掲載したいと思っているため、1歯欠損も募集しています。
何歯欠損でも大丈夫ですので、ご希望がございましたらご連絡下さい。
最近インプラント治療を行う際に静脈内鎮静法(眠っている間に終了します) をご希望される方が非常に多くなってきています。
そこで、静脈内鎮静法 による麻酔をもっと多くの方にご利用していただくために 今まで3万円かかっていた費用を無料にしました。
これは、静脈内鎮静法 でインプラント治療を行いたいが、麻酔費用がかかるのがネックと考えられ断念されるケースがでてきたためです。
そのため、暫くの間 試験的に無料とさせていただくことにしました。
ご希望の方は、ご利用下さい。
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