最新インプラント症例ブログ

カテゴリー: インプラントの基礎(NEW)の記事一覧
2007年8月26日

インプラント周囲炎の治療方法(CISTの分類):その2

今日も昨日から始まったインプラント周囲炎の治療方法(CISTの分類)の続きです。
『CISTの分類』についてです。

それでは、この『CISTの分類』について解説する前に 『歯周ポケット』について説明したいと思います。
歯周ポケットとは歯肉とインプラントとの境目にある溝です。
通常この溝の深さは約1〜2ミリ程度です。
しかし、歯ブラシをしないとインプラントと歯肉の境目から汚れが入り込み、炎症が起ります。
『歯周ポケット』についてちょっとわからない方は先に こちらを御覧になって下さい。

1 歯周ポケット3mmが以下の場合で
  汚れの付着がなく
  出血もない場合:

特に治療する必要性はありません。

2 歯周ポケット3mm以下の場合で
  汚れの付着がないが、
  出血がある場合:

  A : PMTCを行う
    『PMTC』とは『 Professional Mechanical Tooth  Cleaning』の略で、
    歯科医師や歯科衛生士のように特別に訓練を受けた専門家が器具や
    ペースト(フッ素入り歯面清掃剤)を用いて歯面および歯周ポケット
    内部に存在している汚れ(細菌)を機械的に除去することを言います。

3 歯周ポケット4〜5mmの場合

  A : PMTC
    +
  B : 薬液で歯周ポケット内部を洗浄し、
    グルコン酸クロルヘキシジンで毎日口洗する。
    使用する薬液は0.1〜0.2%のグルコン酸クロルヘキシジンが有効
    とされています。(商品名:コンクール)
    また、0.2%のグルコン酸クロルヘキシジンジェルを歯肉に塗布する
    ことも有効とされています。
    こうした薬液による口洗を約3週間続けます。
    もちろん歯ブラシを徹底して行うことは基本です。
    徹底した歯ブラシができないと薬液の効果はありません。
  
4 歯周ポケット5〜6mm程度で
  出血がある場合
  ただし、骨吸収はない
  
  まず、レントゲンによる検査が必要になります。
  レントゲン検査の結果、骨の吸収がない場合には以下の処置を行います。

  A : PMTC
    +
  B : 薬液で歯周ポケット内部を洗浄し、
    グルコン酸クロルヘキシジンで毎日口洗する。
    
  上記の処置を行い、3週間程度経過したら再度検査を行い、問題がないか
  確認する。問題があれば、次の5の治療に以降する可能性があります。
  参考文献:
   掲載論文:Clin Oral Implants Res(1992年)
   研究者 :Mombelli

今日は『CISTの分類』の1〜4までですが、明日は『CISTの分類』5と6になります。

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神奈川県横浜市にある日本歯周病学会歯周病専門医 国際インプラント学会認定医の歯科医院
I.T.Iインプラント認定医でもあり、GBR法、サイナスリフト、審美インプラント等の難症例も行います。
HPでは治療費(費用)の説明やインプラント症例、無料相談コーナーもあります。
2007年8月25日

インプラント周囲炎の治療方法(CISTの分類)

今日からまた新しいテーマになります。
インプラント周囲炎の治療方法です。

インプラント周囲炎とは、インプラントが歯周病と同じような症状になることです。
インプラント治療後に歯ブラシが不十分になると汚れは歯肉とインプラントの境目から内部に侵入していきます。
(後で説明します、 歯周ポケットです)
この汚れは歯周病細菌と同様の細菌です。
そして初期の段階ではインプラント周囲の歯肉が腫れて行きます。
その後インプラントを支えている歯槽骨を吸収してしまいます。
最終的にはインプラントはダメになり、撤去することになります。
人工物であるインプラントには神経が通っていません。
そのため初期の段階では多くの場合、自覚症状がありません。
そのため、かなり状態が進行しなければ気付かないのが特徴です。

この続きは こちらを御覧下さい。

それではインプラント周囲炎になった場合、インプラントはもうダメなのでしょうか?
摘出しなければ、ならないのでしょうか?
治療方法はないのでしょうか?
以下にその説明をします。

CISTの分類です。

インプラント周囲炎の治療を説明する前にインプラント周囲炎の分類を解説したいと思います。
それはどんなインプラント周囲炎でも治療できるのではなく、インプラント周囲炎の初期であれば、治療は可能だということです。
そのためにはインプラント周囲炎の分類(インプラント周囲炎の程度)を知ることが必要になります。

現在インプラント周囲炎を分類する方法として『CISTの分類』というものが広く使われています。

私達インプラント専門医はインプラント周囲炎が起った場合、この『CISTの分類』に従い治療を行います。

明日は『CISTの分類』の詳細について説明します。

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2007年8月20日

インプラントのための抜歯術:ソケットプリザベーション:その7

ここ1週間続けてきました『ソケットプリザベーション』の最終回です。

『上皮の侵入防止』の重要性 と まとめ

『ソケットプリザベーション』において大切なこととして
『上皮の侵入防止』があります。
先日、『上皮』の治るスピードは非常に早いため、抜歯した穴(抜歯窩)を『上皮』が埋めてしまい、骨ができる場所を奪ってしまうことを書きました。
『ソケットプリザベーション』において『血餅保持』と同じように大切なことは『上皮の侵入防止』です。
『上皮』が抜歯窩に入り込まなければ、骨が再生する場所が確保されるのです。
そのため、必要なことは まず、傷口をでききるかぎり小さくすることです。
傷口を小さくする最も簡単な方法は『縫合』することです。
縫えば、単純に傷口は小さくなります。
ですから、抜歯後に縫合する歯科医師は良い歯医者ということになります。
よく抜歯後に患者様から『縫うのですか?』と聞かれることがあります。
患者様にとっては『縫合』=『痛い、大変』というイメージがあるのかもしれませんが、傷口を小さくすることは痛みを少なくすることにもつながります。
傷口が小さいのですから…

しかし、現実問題として抜歯後に傷口を小さくすることは難しいものです。
これは、抜歯した部位には『穴』が開きますので、単純に縫合しても完全に傷口を閉鎖することはできません。
そのために、『抜歯した周囲から歯肉を移植し、抜歯部に縫い付ける方法』
(2004年にPract Proced Aesthet Dent誌に掲載された Tal Hの論文 等)や
『人工の皮膚を使用する方法』(2003年にClin Oral Implants Res誌に掲載されたCarmagnola Dの論文 等)、
仮歯が使用できる場合には、『仮歯で抜歯窩を塞ぐ方法』(2004年にImplant Dent誌に掲載されたWang HLの論文 等)
等が発表されています。
それぞれ、『ソケットプリザベーション』には効果が認められます。
2007年現在、当医院においては
患者様の負担が少ない以下の方法を行っています。
(今後、もっと有効な治療法があれば、行います)
まず、抜歯後に内部の汚染物質を徹底した取り除いた後、
『人工骨(β―TCP)』を入れます。
これは『血餅の保持』と『骨の再生促進』のためです。
その後『コラーゲンスポンジ(テルプラグ)』を入れ、人工骨が抜歯窩から飛び出さないようにし、さらに『血餅の保持』を行います。
次に『人工の皮膚(テルダーミス)』を周囲歯肉と縫合し、『上皮の侵入を防止』します。
もちろん全ての抜歯症例に行うことはありませんが、抜歯後の治療の内容によってはこうした『ソケットプリザベーション』は有効な方法です。

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2007年8月19日

インプラントのための抜歯術:ソケットプリザベーション:その6

今日もソケットプリザベーションの続きになります。

昨日は抜歯した穴に(抜歯窩)に『血餅』(かさぶたのようなもの)ができることが、骨が再生するために非常に大切であることを書きました。
そして『血餅』を保持(ためる)するための方法として人工の骨( βーTCP)を抜歯窩に入れることを書きました。

また抜歯を行うということはその歯がダメなことです。
ダメな歯は感染していることが多く、単に抜歯しただけでは骨が回復してきません。
感染物質が骨の再生を邪魔しているからです。
そのため、徹底して抜歯窩を清掃することが重要です。
こうしたことを私達は『抜歯窩の掻爬(そうは)』と言います。
つまり、抜歯した部位に単に人工の骨を入れれば良いということではなく、抜歯窩をいかに清潔にすることがいかに大切かということです。

話は人工骨 βーTCPに戻りますが、抜歯窩に人工骨を入れただけでは人工骨は穴から飛び出してしまいます。
人工骨は小さな顆粒状になっているからです。
そのため、人工骨を入れた後にこぼれ出ないように蓋をしなければなりません。
それがコラーゲンでできた綿のような素材です。
『コラーゲンスポンジ』と言います。
その名前のとおり、コラーゲンでできた スポンジです。
これを人工骨 βーTCPの上や人工骨を使用しない場合でもそのまま抜歯した穴(抜歯窩)に挿入します。
抜歯によって起った出血はこのスポンジの内部に溜まり、『血餅』になります。
この『コラーゲンスポンジ』による骨の再生効果については多くの研究報告があり、私自身も大学病院の勤務していた頃(歯周病科)、研究をしていました。
単に抜歯したままであるのと、抜歯後に『コラーゲンスポンジ』を入れた場合では明らかに骨の再生には違いがありました。
『抜歯窩治癒過程におけるアテロコラーゲンの有用性について
 第26回日本口腔インプラント学会 1996.9.14.』
『血餅保持』は『ソケットプリザベーション』において最も大切なことです。


明日は抜歯窩において『血餅』と同じくらい大切なことを解説します。
『上皮の侵入防止』です。
お楽しみに!

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2007年8月18日

インプラントのための抜歯術:ソケットプリザベーション:その5

今日もソケットプリザベーションの続きになります。

今日は『血餅保持』の重要性です。

『ソケットプリザベーション』を行うにあたり、移植材は大きなポイントになります。
なぜ大切であるかは以下の内容を見終えるとわかると思います。

抜歯した穴(抜歯窩)に移植材を入れることの大きな目的として
『血餅』の保持ということがあります。
『血餅』とは『血液』の『餅』です。
わかりやすく言いますと、『かさぶた』と思って下さい。
指や足を切った後にできる『血の塊』のことです。
指を切ると傷口ができます。
出血もします。
まず、出血が止まらないといけませんから、血を止める働きが始まります。
『血小板』による『止血効果』です。
また、傷口がそのまま開いていては外から バイ菌 が入ってしまいますから皮膚が早く傷口を閉じようとします。
皮膚の治り(再生)には多少の時間がかかりますので、皮膚が傷口を閉じるまで、バイ菌が傷口に入らないように『かさぶた』ができます。
この『かさぶた』は新しい皮膚が傷口をふさぐまで維持されます。
『血餅』は傷口が治癒するのに非常に大切な役目をするのです。

話は戻りますが、
先程、骨の再生に大切なことは3つあることを解説しました。
1 細胞
2 成長因子
3 足場
になります。
もし、抜歯した穴(抜歯窩)に『血餅』がないと上記の『骨の再生に大切な3条件』が達成できないことになります。
骨の『細胞』や『成長因子』は血液の中(血餅)でしか生存はできません。
つまり、骨の『細胞』や『成長因子』は空気中でぽつんと生き残ることはできません。
また、『足場』は細胞が生きるための『家』であり、『家』がなければ、骨の『細胞』や『成長因子』は生きられないのです。
血液が満たされた『血餅』は、『骨の再生に大切な3条件』が備えられた大切なものなのです。
この『血餅』が『足場』となり、その内部で『細胞』や『成長因子』が
骨の元を作っていくのです。
ここで移植材の話に戻ります。
移植材の役割は『血餅』の保持になります。
移植材を足場にして『血餅』が移植材周囲に付着します。
そのため、移植材は生体に適応したものでなければ、いけません。
代表的な移植材として『β―TCP』という人工骨があります。
『β―TCP』の詳細は こちらを御覧になって下さい。
また移植材として一番良いのは、ご自身の骨(自家骨)になります。
『自家骨』は『血餅』の保持になるだけではなく、それ自体に『骨の細胞』を含んでいるため、再生能力が高いものです。
しかし、実際には採取(取ってくる)場所等の問題もあり、抜歯と同時に行うことは困難です。
そのため、一般的には人工骨が使用されています。

この続きはまた明日

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2007年8月17日

インプラントのための抜歯術:ソケットプリザベーション:その4

今日からお盆開けの診療です。
まだまだ熱いですね。

さて今日もソケットプリザベーションの続きになります。

昨日は『骨が再生する3つの条件』である
1 細胞
2 成長因子
3 足場
について解説しました。

『骨が再生する3つの条件』がそろえば、抜歯した穴(抜歯窩)に骨はできるはずです。
その3つの条件を邪魔するのが『歯肉』です。
なぜ『歯肉』?

骨が再生するスピードは『遅い』のです。
わかりやすい話として 骨折 があります。
骨折した腕や足がギブスをしてくっつくまで、2〜3日ということはありませんよね。
骨折した部位が結合(くっつくまで)するまで、1ヶ月、2ヶ月、場合によりそれ以上という感じがしますよね。
つまり、骨の再生するスピードは遅いのです。
それに反して、『歯肉』や『皮膚』が治るスピードは非常に『早い』のです。
例えば、指を切ったとします。
健康な方であれば、傷口がくっつく(治る)まで 何ヶ月もかかる
ということはありませんよね。
ちょっと切っただけであれば、通常1日でくっつきます。
(厳密には1日ではありませんが…)
つまり、『歯肉』や『皮膚』は治りが早いということです。

話を戻します。
先に理論上、 抜歯窩には なにもしなくても骨は再生すると話しました。
しかし、実際には抜歯した穴(抜歯窩)に骨ができる前に再生スピードの早い歯肉 が先に治ってしまいます。
つまり、抜歯窩に歯肉が入り込んでしまのです。
これは もし、抜歯でできた穴に『ばい菌』が入り込むと身体は感染してしまいます。
そのため、抜歯した穴(傷口)を生体は早く、ふさぐ必要性があります。
ばい菌から感染しないための生体の働きです。
抜歯窩もまったく同じです。
抜歯でできた穴から ばい菌 が入り込まないように歯肉はどんどんと急いで増殖し、抜歯窩を埋めます。
埋まってしまった抜歯窩には骨が再生する『場所』がなくなってしまいます。
骨が再生する『場所』がないため、骨は再生しないのです。
この『骨の再生する場所』を作ることが『ソケットプリザベーション』の大きな目的になります。
少しずつですが、なんとなく『ソケットプリザベーション』についてわかってきたと思います。

明日もソケットプリザベーションの続きになります。

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2007年8月16日

インプラントのための抜歯術:ソケットプリザベーション:その3

今日で当医院の夏休みも終了です。
明日から診療になります。

今日も昨日と同様にソケットプリザベーションの話になります。

昨日は単に抜歯しただけでは骨の吸収が40〜60%起ることを説明しました。
この理由にはいくつかあります。
抜歯した部位の骨吸収のメカニズムを知ることにより、
『ソケットプリザベーション』の必要性がわかります。
単に歯を抜くだけではダメなのです!
そのためには 抜歯部の骨吸収と骨の再生のメカニズムを知ることが大切なのです。

まず、理論上、 抜歯窩には なにもしなくても骨は再生します。
例えば、腕 や 足 を骨折したとします。
骨折した 腕 や 足 はギブスをし、安静にするとくっつきます。
もちろん年齢等によりくっつく期間は違いますが…
これは『骨の細胞』が再生する能力を持っているからです。
この骨の再生に大切なことは3つあります。
1 細胞
2 成長因子
3 足場
難しい言葉ですね。
それぞれについてわかりやすく説明します。

まず、『細胞』です。
これはなんとなくわかりますよね。
骨の元となるものです。
これが、ないと骨はできません。
当たり前ですが…

次に『成長因子(せいちょういんし)』です。
あまり聞き慣れない言葉です。
『成長因子』とは特定の細胞の増殖や分化を促進する内因性のタンパク質の総称です。
これもちょっと難しい言い方ですが、
『細胞増殖因子(さいぼうぞうしょくいんし)』と言うと先程よりちょっとわかりやすくなったかと思います。
細胞が増えるために働く(手助けする)物質です。

次に『足場』です。
これも なんだか わからないですね。
簡単に言いますと『骨ができる場所』です。
骨が再生(増える)ためには場所がないとダメです。
よく骨の再生について 患者様に以下のように例えて話すことがあります。
コップの中に血液を満たします。
この血液が入った コップの中 に骨の細胞を入れたとします。
そうするとこの コップの中 で骨の細胞は増殖しますが、コップの外では骨の細胞は増殖することはできません。
つまり、血液が満たされた コップの中 が『足場』なのです。
『足場』を別の言い方をすると
骨の細胞が生きるための、『住む場所(家)』と言ってもいいでしょう。
『細胞』は自分達が生きることができる『家』の中でしか動くことができません。
骨の再生に大切な『足場』は細胞が生きるための『家』なのです。
『家』がなければ、生きられないのです。

ちょっと難しい話でしたが、
骨の再生の話をするためにはどうしても知っておきたい『3つの条件』です。

明日もこの話の続きになります。

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2007年8月15日

インプラントのための抜歯術:ソケットプリザベーション:その2

今日も昨日の続きになります。
ソケットプリザベーションの2回目になります。
今日は論文の話も多く、ちょと難しい内容になっています。

昨日は抜歯して時間が経過し、骨の吸収が起ると、その後にインプラントを行うのが困難であることを書きました。
また骨が存在しない場合には骨を増大させる治療法 GBR法が必要なことも書きました。
そしてGBR法は簡単な治療ではなく、治療の大変さや治療期間が長くなるといった欠点もあることを書きました。

この骨の吸収が起る原因は他にもあります。

歯周病であったり、 歯の根が折れてしまった場合には 炎症により、歯周囲の骨が吸収してしまっています。
そのため、抜歯後にインプラントを行おうと思ってもできないことがあります。
『インプラントのための抜歯術:ソケットプリザベーション』は抜歯と同時に骨の吸収を少しでも防止するための治療法です。
抜歯と同時に『ソケットプリザベーション』を行うと、その後のGBR法を極力少なく(最小限の治療)する、もしくは回避できる可能性が高くなります。
インプラントを行う場合には抜歯の段階で、すでに治療は始まっているのです。
抜歯の技術もその後の治療を左右する大きなポイントです。

『ソケットプリザベーション』の歴史
『ソケットプリザベーション:socket preservation 』は日本語で『抜歯窩の温存』という意味です。
抜歯窩(ばっしか)と読みます。
『窩』とは抜歯した『穴』のことです。
つまり、歯を抜いた穴をできるかぎり吸収させず、温存することを目的とした治療法なのです。
この治療は1980年頃にはすでに行われていた治療方法です。

『ソケットプリザベーション』の最初の方法は抜歯窩に人工骨を充填するというものでした。
代表的な論文として1985年に Oral Surg Oral Med Oral Pathol誌に発表された Ashmanの報告があります。
この論文によると『人工骨を抜歯窩に入れることにより、抜歯窩の吸収を極力防ぐことができた』
とのことでした。
ただし、現在の『ソケットプリザベーション』はAshmanの報告のような単に抜歯窩に人工骨を入れるという方法ではありません。
現在の『ソケットプリザベーション』については後で解説します。
話は戻りますが、Ashmanの論文と同様の報告は多数あり、『ソケットプリザベーション』の効果は実証されています。
ただし、1990年頃になるとちょっとした変化がありました。
それは骨をもっと積極的に再生させようとする方法が取り入れられたのです。
『GBR膜』の誕生です。
使用方法によっては『GTR膜』とも言います。
『GBR膜』と『GTR膜』については ここで話しますとかなり長くなりますので、ご興味のある方は先に こちら『GBR膜』 こちら『GTR膜』を参考にして下さい。
簡単に説明しますと『GBR膜を用いたソケットプリザベーション法』は従来の人工骨を入れた治療法よりさらに積極的に骨を再生することが可能となってきました。
1997年に J Periodontol誌 に掲載されたLekovicらの報告でも『非吸収性のGBR膜を用いたソケットプリザベーション法』の効果が報告されています。

その後、1999年に Atlas Oral Maxillofac Surg Clin North Am誌でSclarが発表した『 The Bio-Col technique 』があります。
この方法の詳細はこの項の最後に詳しく説明しますが、
抜歯窩を清掃後、人工骨を入れ、抜歯でできた穴をコラーゲンで封鎖し、仮歯にてその穴を密封する方法です。
現在、非常に有効な『ソケットプリザベーション』とされています。
またそれを改良した方法(論文)を2004年にImplant Dent誌 でWangが発表しています。
現在では人工の骨にコラーゲンの吸収する膜(GBR膜)を併用し、歯肉や仮歯で、抜歯窩を閉鎖する方法が多く行われています。

『ソケットプリザベーション』は
1 抜歯窩に人工骨を入れる方法
2 非吸収性のGBR膜を併用する方法
3 人工の骨にコラーゲンの吸収する膜(GBR膜)を併用し、歯肉や仮歯で、
  抜歯窩を閉鎖する方法
へと変わっていったのです。

ちょっと難しい話ですが、『ソケットプリザベーション』を行った場合と
行わなかった場合ではかなりの違いがあります。
2003年のIasella(掲載誌:J Periodontol)、
2006年のNevins (掲載誌:Int J Periodontics)の
報告においてのその優位性が報告されています。

明日もこの続きになります。

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2007年8月9日

インプラントの構造:その1

今日は木曜日でいつもは休診ですが、明日が臨時休診のため、本日は診療です。

さて今日から新しいテーマになります。
『インプラントの構造』です。
構造?
例えば、車であれば、タイヤ、エンジン、バンパー…等
さまざまな部品で作られていますよね。
インプラントも車のように複雑ではありませんが、いくつかのパーツで構成されてます。

ここではインプラントの基本構造について解説したいと思います。
結構、マニアックな話になりますが、
『インプラントについてもっと知りたい!』
と思われる方は是非御覧になって下さい。
他のホームページにはあまり記載していない内容ですので…

その前にインプラントとはどうしてできたのか?
インプラントの歴史について簡単に解説したいと思います。

インプラントの歴史は1950年にスエーデンの化学者ペル・イングウァール・ブローネマルク博士の発見から始まります。
ブローネマルク博士は純チタンが骨と拒否反応を起こさず、チタン表面の酸素の膜を介して非常に強く結合することを発見しました。
これがブローネマルクインプラントです。
その後1965年に臨床応用され、2000年までに、世界中で約60万人の患者さんがこのインプラントの治療を受けています。

本題のインプラントの構造になります。
インプラントの基本構造は下図のようになっています。
kouzou1






ちょっと写真が小さくてすみません。

1. インプラント本体: 『フィクスチャー』と言います。
2. アバットメント: 被せ物の歯を付ける『土台』のことです。
3. 上鵜構造『補綴物(ほてつぶつ)』とも言います。: 被せ物のことです。
インプラントの構造は大きく分けてこの3つから成り立っています。

次回は1〜3についての詳細を順番に解説していきたいと思います。

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2007年8月3日

インプラント 歯周病 専門医のブログ:インプラントの被せ物:2

昨日はインプラントの被せ物(セラミックとハイブリッドセラミック)の素材についての話でした。

今日も昨日の続きになります。
セラミックやハイブリッドセラミックは歯と同じ色のため、審美的にはいいのですが、噛み合わせによっては欠けたりすることがあります。
そのために被せ物の素材を『金属』にする方法があります。

金属製の被せ物は噛み合わせの長期安定からすると最も優れている材質です。
長期的にはセラミックやハイブリッドセラミックと同様に 若干 は磨り減りますが、かけたりすることはありません。
インプラントの被せ物としては一番お勧めです。
しかし、欠点として金属製ですので見た目に問題があります。
最も奥歯であればよいかと思いますが、少し手前になると見えてしまいます。
そのため多くの患者さんは金属を避ける傾向にありますが、私達からすると安全性の高い金属がいいと思います。

結論としてどれが優れているということではなく口腔内の状態により使い分ける必要性があるかと思います。

見える前の部分をセラミックやハイブリッドセラミック、見えにくい奥歯の部分を金属にするという方法もあります。
また上顎場合には被せ物の外側は見えますが、下の歯と噛み合う部分は見えないため、見える部分のみセラミックやハイブリッドセラミックにして、
見えない部分(噛み合う部分)のみ金属にするという方法もあります。

被せ物の治療は一時的なことではありません。
30歳代で治療した人は今後、50年も60年も使用していかなければなりません。
できるかぎり、トラブルの起らない材料を選択することが大切です。

ただし、審美的な部位に関しては オールセラミックがいいでしょう。


インプラントの被せ物は 噛み合わせ や 歯ぎしり や くいしばり の有無
、審美性、耐久性、歯周病の状態等 さまざまなことを考慮して選択することになります。

明日はこうした被せ物の将来性についてです。

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