最新インプラント症例ブログ

カテゴリー: インプラントの記事一覧
2007年2月18日

インプラントにおける難症例

0222488e.gifインプラントにおける難症例

最近、インプラント治療の中でも難症例が非常に多くなっています。
なにが難症例かと言いますと、インプラントを埋入するための骨の高さや幅がないことです。
幅や高さがない場合には骨を増大させる『GBR法』や骨移植を行い骨の高さを増大させる
『(上顎洞底挙上術)サイナスリフト法』、骨の高さを増し長いインプラントを埋入するための『ソケットリフト法』、骨幅の増大を骨移植を伴わないで行う『リッジエクスパンジョン法』
等があります。

新しいシリーズとしてこうした骨を増大させる治療法について書きたいと思います。

現在毎日のようにインプラントの手術はありますが、ほとんどの症例においてこの骨を増大させる治療法を併用します。
一番多いのはインプラントの埋入と同時に行うGBR法です。
このGBR法についてはブログで何度も書いてきましたが、また視点を変えてお話したいと思います。

インプラントを行うにあたり、インプラントを植立するための骨幅や骨の高さがない場合、そのままの状態でインプラントを行うと成功率は非常に低くなります。適切な状態で植立してこそインプラントの長期安定が望めるのです。
GBR 法とはインプラントを行うにあたり、骨の幅や高さがない時に、骨を再生させる方法です。
術式としては2つの方法があります。
一つはインプラントを植立する前に骨の増大をはかる方法です。これはインプラントの前準備としてのGBR 法です。(図参照:2回法のGBR)
まず、歯肉の中に骨の再生を促す特殊な膜を入れます。状態によって異なりますが、3〜4ヶ月間骨が成熟するのを待ちます。その後、膜を除去するとインプラントに適した骨が膜の下に再生しています。そこで初めてインプラントの植立を行います。この方法は治療期間が長くなりますが、もともと大きく骨の幅がない人などはこのGBR 法を行ってからインプラントを行う必要性があります。無理な状態でインプラントを行ったとしても長期的な安定は期待できません。今後のことを考えれば確実な選択といえます。
次にインプラントと同時にGBR 法を行う方法です。
これはインプラントを行うには骨が少ないが(骨幅に問題があるが)、術前GBR 法をしなくても大丈夫な場合に適応します。インプラントを植立すると同時にGBR 膜を併用します。3〜6ヶ月後に膜を除去し、後は上部構造を作製するだけです。

この膜は後で取り出す必要性があるもの(非吸収性膜)と自然に溶けてなくなるもの(吸収性膜)があります。


インプラントの大船駅北口歯科インプラントセンター
2007年2月17日

インプラント歯周病専門医のブログ

dbea7e76.jpg歯周病について:15

前回はメインテナンスの重要性について研究論文を紹介しながらお話をしました。今回はメインテナンスで行う内容についてです。
メインテナンスは以下のように進めていきます。

1.歯周病検査
 ○歯周ポケットの検査(歯周病の進行参照)
 ○歯周病菌の検査
  (再発部位が多い場合初診と同様に行うことがあります)
 ○レントゲン撮影
  (毎回ではありませんが、2〜3年に1回は行った方が良いでしょう)
 ○口腔内写真
  (初診時に撮影をした状態と比較をし、歯肉の状態や噛み合わせ、被せ物 
   の状態等を比較することにより問題点を見ます:必ず行うものではあり
   ません。)
 ○噛み合わせの検査
  (噛み合わせも問題が起こっていないかを確認します。もともと噛み合わ
   せに問題があった方はとくに重要です)
   
 上記のような診査を行うことにより問題点を発見します。

2.口腔内清掃の指導
 これは非常に大切なことです。
 歯周病治療開始直後は非常に良く歯ブラシを行っているものですが、時間の
 経過とともにおろそかになっていくものです。
 またご自身では磨けているように思えても磨き残しがある場合もあり、その
 ままにしていると必ず悪化します。
 問題点を指導し、再度歯ブラシに対する意識の向上をはかることを目的とし
 ています。メインテナンスにおいて非常に重要な部分です。

3.プロフェッショナル・トゥース・クリーニング
 病院で行う、専門的な歯の清掃のことです。
 始めに歯石の除去を行います。次に歯石の除去後は歯の表面はざらざらにな
 っているため歯の面をつるつるに磨きます。
 この過程が非常に大切です。歯の表面をつるつるに磨くことにより汚れをつ
 きにくくします。
 またポケットが再発している部分には再度歯肉の下の炎症物質の除去を行い、
 再発傾向が高い部位にはポケット内部に薬を入れます。

4.予防措置
 虫歯のリスクが高い方は虫歯予防薬であるフッ素を塗り込み予防処置を行い
 ます。虫歯のリスク検査を行い、リスクが高かった方は再度虫歯のリスク検
 査を行う場合もあります。

5.処置時間
 歯の数や口腔内の状態にもよりますが、30分〜60分程度です。

次回は新しいテーマになります。

インプラントの大船駅北口歯科インプラントセンター

2007年2月16日

歯周病について:14

6862158d.jpg歯周病について:14

前回はメインテナンスについて書きました。
本日もその続きになります。
メインテナンスに関連する論文を紹介し、その解説をしたいと思います。

まずどれくらいの間隔でメインテナンスは必要か?ということです。
それではメインテナンス期間についての論文です。
前回の続きですので研究2からになります。歯周外科処置後にメインテナンスを行わなかった場合どうなるか? 歯周外科処置後にメインテナンス治療が行われなかったり、歯ブラシが不十分であれば、結果的に歯周病は再発することが多くの研究により実証されています。
研究2: 
WestfelとNyman(1983)により歯周外科処置後に専門家による歯面清掃を繰り返し行うことの重要性が報告された。_24名の患者さんは2週、4週、12週の間隔をもってメインテナンスグループにわけられた。その結果メインテナンス間隔が短いほど再発が少なかった。
この研究の解説です。
メインテナンスの期間はその人の歯ブラシ(口腔管理のレベル)の程度や歯周疾患の程度により違いますが、特に問題が大きいとされる患者さんは来院期間を短くした方が再発のリスクは少ないことが実証されています。
当医院では歯周外科処置を行った患者さんおよびご自身では完全に口腔内のケアーができない方は基本的に1〜3ケ月に1回、軽度の歯周病であり、口腔内のケアーも良くできている方は6ケ月に1回メインテナンスを行っています。


次に『口腔管理がきちんと行われ、適切なメインテナンスを行うことで歯周病で失った骨は再生する!』という歯周病患者さんにとっては朗報な研究論文です。
研究3: 
RoslingとNyman(1976)らは口腔内の管理とメインテナンスがきちんと行われた場合、口腔内管理およびメインテナンスがあまり行われなかっった場合に比べて、骨の再生に効果があることを報告した。また逆に、歯周外科処置を行っても、その後の口腔内管理とメインテナンスが行われなかった場合は再発することをKeer(1981)が報告した。この報告によると歯周外科処置後 5年の再検査の結果、口腔内管理とメインテナンスがきちんと行われなかった患者さんのうちその45%に失敗が認められたと報告した。
この研究の解説をします。
メインテナンスにおいて何年かおきにレントゲンで骨の再生状態を確認しますが、口腔内の管理(日常の歯ブラシの程度)やきちんとメインテナンスが行われなかった場合は明らかに骨の再生は認められない場合が多いです。
歯周病の治療が終わった患者さんには、メインテナンスは実際の治療以上に大切なことであり、ご自身の歯で一生過せるかどうかはこのメインテナンスにかかっていることを話します。
しかし、このメインテナンスは日本ではまだ一般的でないのが現状です。ご自身の歯で一生を過ごしたいと思われる方は必ずこのメインテナンスを受けて下さい。


次の論文にいきたいと思います。
『メインテナンスを行うと本当に歯は保存できるのか?』という論文です。
現在、歯周病でメインテナンスを行っている患者さんにとっては非常に興味があることですよね。
研究 4: 
例え進行した歯周疾患であっても、歯周治療を受け、適切な口腔内管理とメインテナンスを行った場合はかなりの確率で歯を維持することが可能であるという報告が多数ある。
0liver(1969)は5年から17年間(平均10.1年)のメインテナンスケアーを行っている歯周疾患患者さん 442人について報告した。この研究によれば歯の喪失率は1.6%という非常に低いものであった。Ross(1971)らは 2〜20年メインテナンスを受けた患者さん 180人について歯の喪失率は患者1人当たり0.78歯であった、と報告している。同様に、口腔内管理をし、メインテンスをきちんと受ければ歯周疾患にかかった人でもメインテナンス期間中に失う歯の平均はHirschfeld (1978)は 1.8歯、Becker(1984)は0.72歯、Nabers(1988)らは0.29歯であったと報告している。
この研究の解説です。
もともとの歯周疾患の程度やどこまで治療するかによってもその予後は異なりますが、口腔内の管理がきちんとできて、適切なメインテナンスを行えば、その予後はメインテナンスを受けない方よりはるかに良いことはまちがいないことです。
治療が終わった患者さんが良くする言葉があります。「また痛くなったり、問題があったら来ます。」もし本当に問題があってからくれば当然歯を抜歯したりすることになるのです。特に歯周病は自覚症状がある状態はかなり進行していることがほとんどです。
歯を抜きに歯科に来院するのか?歯を保存するために来院するのか?ということです。ご自身の歯はご自身で守ることができるのです。もう痛みがあってから治療するという考え方を変えてみてはいかがでしょうか?

今日は以上です。

また次回も歯周病のシリーズになります。

インプラントの大船駅北口歯科インプラントセンター

2007年2月15日

歯周病について:13

7a6faec4.gif歯周病について:13

昨日は歯周病の治療の最終段階である歯周外科処置の話をしてきました。
歯周外科処置の中でも骨を再生させる治療(GTR法)については9〜12回に分けて解説してきました。

本日は歯周外科治療後の話についてです。
歯周外科処置後約1ヶ月してから歯肉(歯周ポケット)の治りを待ち再度歯周ポケット検査を行います。
この段階でほとんどの部位は3mm以下に治っています。
つまり歯周ポケットの内部の細菌感染は取り除けたということになります。
後はこの状態をいかに維持するかということになります。

それはまず毎日の徹底とした歯ブラシが基本になります。
毎食後のブラッシングがきちんとしていないと必ず歯周病は再発します。

ただし毎日100%ブラッシングを行うことは難しいことです。
完全にできているかということを確認するのも困難です。
また取り残してしまった歯石等もあるはずです。

定期検査(メインテナンス)が必要になってきます。

歯周病の治療が終了したとしても、きちんとした管理ができていないと必ずと言ってもよい程再発してしまいます。実際に歯周病で時間をかけて治療したにもかかわらず、再発をしてしまい抜歯をしなければならない状態になった方も多くいらっしゃいます。歯周病の治療中や治療終了直後は歯周病菌(歯周病を悪化させる問題の菌のこと)が非常に少なくなっています。
はじめは歯ブラシも非常に注意をし、時間をかけて行っていますが、だんだんおろそかになっていく場合もあり、ふたたび問題となる歯周病菌が繁殖しやすい環境となるため再発を起こしてしまいます。
メインテナンスとは定期的に口腔内を管理することにより、歯周組織の健康を維持していくことです。
アメリカの歯周病学会では歯周病のメインテナンスを『歯周病の治療の延長であり、新しいあるいは再発する異常や疾患を早期に発見し、治療しようとすることである』としています。そしてこのメインテナンスの有効性や期間を科学的に実証する論文も多数あります。

以下にはなぜメインテナンスが必要なのかということと、どれくらいの頻度で受ければ良いのかということを論文をもとに説明いたします。

『なぜメインテナンスは必要か?』
メインテナンスに関する研究

歯周外科処置後にメインテナンスを行わなかった場合どうなるか? 歯周外科処置後にメインテナンス治療が行われなかったり、歯ブラシが不十分であれば、結果的に歯周病は再発することが多くの研究により実証されています。
研究 1. _AxellsonとLindhe(1981)は6年間にわたり歯周外科治療を受けた患者さんが適切なメインテナンスが行われないとどうなるかを調べた。_2〜3ケ月の間隔でメインテナンスを受け、その時に診査と指導、および歯石除去等のクリーニングをした患者さん(メインテナンス群)と、メインテナンスを受けなかった患者さん(指導やクリーニングはしないで検査のみに来院してもらった)ではあきらかにメインテナンスを受けなかった患者さんは再発していた。

研究結果からもメインテナンスの重要性がわかっています。

次回もこのメインテナンスの重要性について論文をみながら解説していきたいと思います。

インプラントの大船駅北口歯科インプラントセンター
2007年1月27日

サイナスリフト法:治療法その9

サイナスリフト法:治療法その9

今日はサイナスリフト法シリーズの最終回です。

サイナスリフトの成功率についてです。
このシリーズで何度も書きましたが、サイナスリフト法は上顎の奥歯にインプラントを埋入するための骨の高さがない場合に骨の移植を行い、骨を再生(増大)させてインプラントを埋入する方法です。
通常、インプラントができないと言われた方でもこの治療を行えば可能になります。その反面、治療期間は非常に長くななり、治療自体も難しいものです。また治療後に腫れる可能性が高いというお話もしました。
良い点もあれば悪い点もあります。
それではサイナスリフト法はどんな場合でも成功するのでしょうか?
どんな治療もそうですが100%の治療というのはありません。
虫歯一つの治療でもそうです。
通常のインプラントの治療もそうです。
診断も十分問題なく行え、治療も問題なくできたとします。
それでもインプラントと骨がくっつかないということは稀に起ります。
生体の治癒反応もあります。以前お話をした喫煙との関係もあります。
さまざまな因子はありますが、思ったよりも骨ができないということもあります。
私達は決められたパーツを組み立てて物を作る作業とは違います。
どんなに手順がきちんとされても生体の反応の差もあります。
サイナスリフト法の予後報告の論文も多くあり、80%の成功率となっている論文もありますし、100%だったと報告している論文もあります。
論文には全てその背景が違います。例えば調査対象の患者さんは予め喫煙者は除外しているとか、噛み合わせの問題もそうです。インプラントにとってリスクのある患者さんを除外して行えば、成功率は高くなります。しかし、歯がなくて困っている患者さんに対し、あまりにもリスクが高い場合は別ですが、全て安全だという方のみインプラントを行っているわけではありません。
重度歯周炎の方にもインプラントを行うこともあります。(もちろん歯周病の治療が完了してからインプラントを行います)。噛み合わせの強いような方にもインプラントを行うこともあります。(こうしたことはインプラントにとって失敗のリスクが高いとされています)
サイナスリフト法は大変な治療ですが、成功率は高いものです。しかし思ったより骨ができていないということを今までに経験したことがあります。
そうした場合にはそれをフォローするような第2の治療法を提案させていただきます。
最終的に患者さんにとって有益な治療ができればと思っています。
単にインプラントと言ってもさまざまな方法があります。
治療する側からみて難しいケースもあります。
そうした場合にはそれに合わせた治療法が必ずあります。
もちろん治療の費用の問題もあります。
今お困りのことがありましたら現在通院されている歯科医院の先生とお話になってみて下さい。
サイナスリフトだけでなくきっと良い治療法があるはずです。
今回は長々とサイナスリフト法についてお話をしてきました。
難しい話しもあったかもしれません。
これが患者さんのお役に少しでもたてたらと思います。
明日からはまた違うお話をしたいと思います。

インプラントの大船駅北口歯科インプラントセンター

2007年1月26日

サイナスリフト法:治療法その8

サイナスリフト法:治療法その8

 昨日は休診のため書けませんでしたが、今日もサイナスリフトの続きです。
何故このうようにシリーズでサイナスリフトについて書きているか言いますと
最近非常に多いからです。
サイナスリフト法が1日2件という日もかなりあります。
つまり上顎の奥歯に骨はないが、インプラントを行いたいという人が多いということです。
インプラントを行いたいと思っている方は歯がなく噛めなかったり、義歯では違和感が強く馴染めない、義歯が外れてしまうと言った不満等があるからです。
その希望を叶えるのがサイナスリフト法です。
しかし、このシリーズの第1回目で書きましたようにサイナスリフトは治療後のダメージが強い治療法です。
痛みはさほどではありませんが(個人差はあります)、治療後腫れることが多く認められます。
腫れる場所が手や服で隠れる所であればよいのですが、顔は腫れると目立ちますので、マスクを暫くする可能性があります。
もちろん腫れない方もいらしゃいますし、通常のインプラントでも腫れる方はいらしゃいます。
明日でサイナスリフト法についての話しは終了します。
その後は上顎の奥歯で骨の高さがない場合の他の治療法についてお話したいと思います。

インプラントの大船駅北口歯科インプラントセンター

2007年1月24日

サイナスリフト法:治療法その7

サイナスリフト法:治療法その7

だいぶ続いているサイナスリフト法の話しです。
今日はサイナスリフト法には2つの方法があるというお話です。

昨日は上顎の奥歯において骨の高さが低く、5mm以下しかない場合にはサイナスリフト法が必要であることをお話しました。
そのサイナスリフト法には2つの方法があります。
一つはサイナスリフトと同時にインプラントを埋入する方法です。
インプラントを固定(安定)させる骨がある程度残っていれば可能です。
これが1回法です。
もう一つでは事前にサイナスリフトを行い、骨が成熟(できてから)してからインプラントを行う方法です。
インプラントを埋入しても固定する(安定する)ことができなければ同時にはできません。
これが2回法です。
もちろん1回法の方が治療期間が短くて良いということになります。
しかし基本的にサイナスリフト法を行うということは骨は少ないわけです。
多くの場合、1回で行うことは難しいのが現状です。
また研究論文では1回法より2回法のが予後良いという報告もあります。
基本的に骨が少ない場所に骨を作るわけですから時間をかけても確実な方法をとることが大切であると考えられます。

それでは明日もサイナスリフト法の続きです。

インプラントの大船駅北口歯科インプラントセンター

2007年1月23日

サイナスリフト法:治療法その6

サイナスリフト法:治療法その6

 今日もサイナスリフト法についてです。
前回まで上顎洞に移植する骨は御自身の骨のみでは量が十分でなく、人工の骨を併用することがあるとお話しました。
また人工の骨はそれ自体は骨になりませんが、移植した骨の細胞の影響を受け時間をかけて骨に置き換わっていくこともお話しました。

今回は骨に置き換わるまでの時間についてお話します。
移植した骨が御自身の骨と完全に置き換わるまでにはかなりの期間がかかります。
移植した条件にもよりますが、約4〜6ヶ月です。場合によりもっと時間がかかることもあります。
その後にインプラントを埋入し、さらにインプラントと骨が結合するまで3ヶ月以上かかります。
ですから被せ物を行い、噛めるまでにはどんなに早くても7〜8ヶ月はかかります。
ここでサイナスリフト法を行う時にの基準ですが、一般的に上顎の奥歯で骨の高さが5mm以下の場合により行います。
サイナスリフトを行わないと5mm以下では安定したインプラントが埋入できないからです。
現在は4〜5mm程度であればソケットリフト法(HPインプラントの特殊な治療を参照)を行えば長さ8mm程度のインプラントが埋入できるケースもありますが、上顎の場合より長いインプラントを埋入した方が安全です。
このテーマの最初の頃にもお話しましたが、上顎の奥歯は他の部位と比較してインプラントの成功率が最も低い場所なのです。
先程お話したソケットリフト法は治療自体は簡単なもので骨の大幅な移植は伴いません。
また治療期間も通常のインプラントとさほど変わりません。
5mm程度の骨の高さであればインプラント埋入と同時に8mm程度の長さのインプラントまでは埋入できる非常に楽な治療法です。
そのため近年では上顎の奥歯に骨の高さが少ない場合に非常に多用されている治療法です。
ただし、より長いインプラントを埋入する必要性がある場合にはサイナスリフト法しかありません。
時間がかかる治療法ですが、骨の高さがない場合にはしかたがないことです。

明日もサイナスリフト法にかかる時間についてです。
サイナスリフト法には2つの方法があり、治療方法により若干かかる時間(期間)も違います。
明日も患者さんにとっては難しいお話で実際にはやくにたつような話しではありませんが、このブログの主旨の一つである他にははい話しを書きたいと思います。

御興味のある方は明日も是非読んで下さい。
得にこれからサイナスリフトを行う予定の方やお考えの方はどうぞ。

インプラントの大船駅北口歯科インプラントセンター

2007年1月22日

サイナスリフト法:治療法その5

サイナスリフト法:治療法その5

昨日はかなり難しい話をしました。『β-TCP』の組成と骨に置き換わる仕組みです。
移植した人工骨である『β-TCP』が血液で満たされることが重要であることをお話しました。

今日はその移植材である『β-TCP』がさらに効果を発揮するための方法をお話しします。
サイナスリフトとはちょっと違う話しになります。
骨を増大させるための治療法(GBR法)についてです。
(サイナスリフトにもつながりますが、GBR法の方がわかりやすいので)
GBR法も骨を増大するために御自身の骨(自家骨)を使用します。
GBR法においても自家骨は骨を増大させるのに一番良いとされていますが、サイナスリフト法と同じように全てを自家骨で補うのは採取する場所等の問題から困難になります。
そこで人工の骨を併用して行うことがあります。

GBR法を行う時、骨が吸収したところに骨を増大(再生)させるために自家骨と『β-TCP』を吸収した骨の上におきます。そして歯肉を閉じると『β-TCP』は骨と歯肉の間に挟まれることになります。
この状態では十分に骨が再生されません。
それは骨の治りのスピードと歯肉の治りのスピードの違いに関係があります。
例えば腕を骨折したとします。骨折の状態によっても違いますが、ギブスをし、骨がくっつくまで数カ月は安静にします。つまり骨が治るのには時間がかかるということです。
それに反し、皮膚や口腔内の粘膜は治りが早いのです。
例えば指を切ったとします。身体に異常がなければ傷口が数カ月もくっつかないということはありません。通常数日もすれば傷口は閉鎖します。
つまり粘膜は治りが早いのです。
これは外来にさらされている粘膜(皮膚)が損傷(傷)を受けた時、外から
ばい菌の侵入をできるかぎり早く防ぐために治りを早くする生体の防御機構です。
傷口が治るのが何ヶ月もかかっていたのでは大変です。
『β-TCP』は身体にとっては基本的に異物ですので骨に置き換わる前に成長の早い粘膜が『β-TCP』を取り囲んでしまうのです。
単に『β-TCP』を骨面に置いただけでは骨にはなりにくく、実際に『β-TCP』は治りの早い粘膜に被われてしまうのです。
そのために『β-TCP』の上に歯肉が侵入してくるのを防ぐ、シート状の膜を置きます。
この膜は骨ができるまで維持されます。
この膜をGBR膜(GTR膜)と言います。
GBR法(骨増大法)の詳細についてはインプラントの専門知識を参考にして下さい。
GBR膜は重要な役割をします。

膜の種類は大きく分けて2種類あります。
一つは吸収する膜:Tiuuse GuideTM メンブレン(いくつか種類がありますが当医院で使用している膜の商品名です)で、
もう一つは吸収しない膜: e-PTFE膜(GORE-TEXメンブレンという膜を使用しています)です。
Tiuuse GuideTM メンブレンはコラーゲンからできており、吸収するため後から取り出す必要性がないので治療の回数が少なくなります。しかし、この膜には適応症が限られており、強度の問題等から大幅に骨を再生させることはできません。
GORE-TEXメンブレンは吸収しないため後から取り出す必要性がありますが、GBR 法の多くはこの膜を使用します。 GORE-TEXメンブレンは1969年に開発されたもので、歯科領域以外でも、人工血管や人工硬膜、縫合糸等で400万症例に使用されており、医療分野において非常に高い評価を得ている材料です。
どちらの膜を使用するかは適応症があり、その状態によって異なります。
サイナスリフト法においても移植した部分にGBR膜を併用します。

とめどなくなってしまったので今日はこれで終わりにします。

インプラントの大船駅北口歯科インプラントセンター





2007年1月21日

サイナスリフト法:治療法 その4

サイナスリフト法:治療法 その4

 今日も今週ずっと続いているサイナスリフト法についてです。
昨日は移植する骨についての話しをしました。
移植する骨は御自身の骨以外にも使用することがあり、人工の骨があることをお話しました。
今日はその中でも『β-TCP』と言われる人工の骨についてお話します。

このサイナスリフト法の話しの中では最もマニアックな話しになります。
非常に難しい話になり、ブログに書くのはどうかと思いましたが、このブログの主旨である新しい情報および他にはない話しを書くということですので書きたいと思います。
他のHPではまず記載していないような内容ですので、御興味のある方は是非御覧になって下さい。

『TCP』の正式名称は『リン酸三カルシウム:Tricalcium phosphate』と言い、その組成はCa3(PO4)2で骨材料として使用されるものとしては2種類の変態があります。
変態というのは組成が同じで結晶構造の異なる物質のことです。
その一つがβ型であり、今回のテーマである『β-TCP』になります。
『β-TCP』は歯科の臨床上小さな顆粒状態で使用されます。使用する用途により異なりますが、大きさはコマ粒より小さいものです。
『β-TCP』自体が骨になるわけではありません。
『β-TCP』が生体内に移植された後、周囲の骨の細胞(御自身の生体内で生きている骨の細胞です)が『β-TCP』に入り込み次第に骨に置き換わっていきます。
『β-TCP』はその時吸収を起こします。
『β-TCP』が少しずつ吸収し、骨に置き換わる過程を専門用語で『リモデリング』と言います。
しかしどのような条件でも骨に置き換わるわけではありません。
御自身の骨の細胞が生きていけるような状態でないといけません。
例えばコップの中に血液を満たしたとします。
骨の細胞はそのコップの中で生きることはできますが、コップの外に出ることはできませんし、コップの外で生きることはできません。
生体内でも同じようなことが起きます。
血液が充満しているような状況(血流の良い状況)では骨の細胞もいきいきしており、その結果、移植骨である『β-TCP』も骨に置き換わりやすいという環境になります。
骨の表面に単に移植材『β-TCP』を置いても骨にはなりにくいため、骨表面からわざと出血を起こしやすいようにします。
出血を起こすと移植した『β-TCP』は血液に被われることになります。
血液の中には骨の増殖を促す細胞が含まれています。
このようにわざと骨表面から出血を起こすことを『ディコルチケーション』と言います。
また移植した『β-TCP』が動かないようにすることも大切です。
明日はこの移植材『β-TCP』がさらに効果を発揮するための方法をお話します。

ちょっと難しすぎましたね。
明日もちょっと難しい話しになりますが、その後はできるかぎりわかりやすい話しにしたいと思います。

インプラントの大船駅北口歯科インプラントセンター


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