最新インプラント症例ブログ

2008年2月11日

オベイド・ポンティック:審美的に治療を行うために…その3

2/11(月曜日)です。

今日のテーマは、オベイド・ポンティックの3回目で、『ポンティックについてさらに詳しく…』になります。

前回までの内容で、ポンティックとは、ブリッジの欠損部のことであることがお分かりになっていただけたと思います。

ポンティックは欠損部の歯肉の上に乗っかっているだけのものです。
当然、歯肉とくっついているわけではありません。
単に歯肉の上の乗っかっているだけなのです。
そのため、ポンティック部分には食事をすると多少の食物が溜まります。
通常これは、さほど気になることはありません。
(ちなみに私自身も前歯はブリッジになっており、ポンティックがありますが、食事中 特に気になることはありません…体験済みです。)

しかし、場合(個人差はあります)により、歯がない部分は時間の経過とともに痩せていく傾向があります。(歯肉が退縮してく)
これは、歯がないと噛む力が直接骨に加わらないため、骨が痩せてくる現象が起るためです。
この詳細は こちらを参考にして下さい。

ポンティック部分の歯肉が痩せてくると
その部分に食物が詰まりやすくなったりします。
また、審美的にも問題が出てきます。

それでは、一般的なポンティックの形について解説したいと思います。

通常のポンティックの形態
一般的なポンティックの形態は以下の図のようになります。
rijjirappu
クリックすると拡大されます。





1 鞍状型(あんじょうがた)
  馬の鞍(くら)のように歯肉をまたぐように設定されています。
  物が詰まりにくいのですが、逆に清掃性が難しいという欠点があります。

2 船底型(ふなぞこがた)
  通常、下顎の奥歯に使用するタイプです。
  船の底のような形をしているため、このような名前になっています。
  清掃性に優れています。
  しかし、上顎の前歯部にこの形態を採用した場合、発音に問題が生じやす
  いことがあります。

3 リッジラップ型
  通常、上顎の前歯部に採用する形態です。
  発音と清掃性を考慮すると優れた方法です。
  しかし、歯肉に圧力が加わりにくいので、歯肉が痩せてくることがありま
  す。
  歯肉に圧力が加わるということは、その下にある骨にも圧力が加わるため、
  骨が吸収しにくいことがあります。(全てのケースではありませんが…)
  この詳細については こちらを参考にして下さい。


ここまでで、ポンティックについてだいぶ お分かりになったと思います。

次回のブログは2/14(木曜日)になります。
次回のテーマから いよいよ本題に入ります。
『審美性を重要視したオベイド・ポンティックとは?』です。

今週(2/8〜9)のインプラント手術報告

今週(昨日)のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。
日々の臨床で、どのようなことを行っているか 知っていただきたいと思い 今年から始めました。

それでは、今週のインプラント手術の中からインプラント埋入と同時骨増大治療(GBR法)および骨幅拡大治療(スプリットクレスト法)を行った1症例について解説します。

症例は上顎の前歯部です。
初診時にすでに、前歯が2歯分欠損しており、欠損部の両側の天然歯2歯を土台として、ブリッジをしていました。
その土台である天然歯が歯根破折してしまったため、抜歯となったケースです。

歯根破折についての詳細は以下を参考にして下さい。
    ・ 歯根破折

ホームページやこのブログでも良く書きますが、
神経のない歯は脆く、歯根破折する可能性が非常に高いのです。

この歯根破折についての論文は多く報告されており、
2004年にAxelssonが報告した論文によると、
30年間の長期にわたり、歯の喪失率をまとめた結果、
歯を失った原因で最も多かったのは、『歯根破折』であったとしています。

歯根破折は、歯周病や虫歯で抜歯となったことよりも多かったのです。

神経のない歯は寿命が短いのが現状です。

もちろん虫歯が深かったり、痛みがあった場合などは、神経を取り除く必要性がありますが、できるかぎり歯の神経を取らない方が将来的な予知性は高くなります。

もっと言えば、神経を取るような状態にまで、虫歯を放置しないということです。

虫歯治療も早く行えば、神経も取らずに、簡単に行えます。

早期発見、早期治療が最も大切なのです。

話は今回の症例に戻りますが、2歯は 歯根破折していたため、抜歯になりました。

また、もともと歯がない部分(ポンティック部)は、骨の吸収が著しく認められました。

歯がない部分の骨は、力が加わらないため、骨がどんどんと痩せていくのです。
今回のようにブリッジの歯がない部分(ポンティック)は、力が直接骨に加わらないため、痩せていきます。

歯が欠損していると骨が痩せてくる原因については以下を参考にして下さい。
歯がないと骨は痩せていきます

この症例では、骨が痩せた結果、厚みが2〜3ミリ程度しかありませんでした。
今回使用したインプラントは直径が4.1ミリでしたので、骨の幅がぜんぜん足らないことになります。

骨の厚みが2〜3ミリしかない部分に、直径4.1ミリのインプラントを埋入するのですから、無理があるのは当然です。

通常、4ミリ程度のインプラントを埋入するためには、骨の厚みが6ミリはないとダメなのです。

そのため、今回は骨の幅を押し広げる方法を併用してインプラントの埋入を行いました。
この方法を 『スプリットクレスト法』と言います。

上顎の骨が薄い場合には良く行う方法です。(骨の状態により下顎でも行うこともあります…)

今回はインプラント埋入前にこの 『スプリットクレスト法』を行い、骨幅を増大させてからインプラントの埋入を行いました。

それでも骨の幅が不十分な場所には、β―TCPという人工の骨を使用し、骨の増大治療( 『GBR法』)を行いました。

『β―TCP』は人工的に生成された骨なので、それ自体が完全に骨になったりすることはありませんが、ご自身の骨や血液中の細胞が混ざることにより、骨に置換しやすいものです。
また、完全人工生成のため、非常に安全性が高いのも特徴です。
日本において 『β―TCP』は、歯科よりも整形外科等で、複雑骨折の治療等で普及している材料です。

また、 GBR膜 として吸収性『コラーゲン膜』を使用しました。
吸収性膜は、歯肉とのなじみも良く、インプラント同時の GBR法 では世界的に最も使用されている膜で、吸収性膜なしでは、 インプラント同時GBR法は成り立たない治療法です。
日本人にインプラント治療を行う場合、骨の幅が不十分であることが多く、
多くのケースにおいて GBR法を行います。
当医院においてもインプラント治療の約半数はGBR法を併用しています。
吸収性膜なしでは、インプラント治療は行えないと言ってもくらい重要な材料です。

使用したインプラントは、
ストローマン・インプラント   ( I.T.Iインプラント)

SLAタイプ  直径4.1mm 長さ10mmが2本でした。

麻酔方法は虫歯の治療で行うような普通の歯科麻酔です。
インプラントの埋入本数が少なかったり、
インプラント手術に際し、さほど不安がない方にはこうした簡単な麻酔方法でインプラント埋入を行います。
もし、インプラント治療に不安がある場合には
『静脈内鎮静法』
にて麻酔を行います。

今回の治療は、骨吸収等があり、 『スプリットクレスト法』 『GBR法』を併用したため、腫れる可能性があります。

インプラントに対する患者様の不安なこととして、治療後の痛み腫れがあります。

骨の状態に問題がなく、インプラントの治療本数も少ない場合、
手術後に腫れることはほとんどありません。
しかし、今回のような場合には腫れる可能性があります。
腫れた場合、2〜7日程度腫れます。
もちろん個人差はあります。
また、手術後の過ごし方にもよります。
しかし、腫れたからといっても痛みが長く続くようなことはほとんどありません。


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大船駅北口歯科インプラントセンターインプラント 歯周病 専門医

神奈川県横浜市にある 日本歯周病学会歯周病専門医 国際インプラント学会認定医の歯科医院
I.T.Iインプラント認定医でもあり、 GBR法 サイナスリフト 審美インプラント等の難症例も行います。
HPでは 治療費(費用)の説明や インプラント症例 無料相談コーナーもあります。
2008年2月7日

オベイド・ポンティック:審美的に治療を行うために…その2

2/7(木曜日)です。

普段木曜日は休診ですが、2/10(日曜日)が臨時休診のため、本日は診療になります。

今日のブログはオベイド・ポンティックの2回目になります。

まず、前回のおさらいから始めたいと思います。
歯が欠損した場合の治療方法として
1 インプラント
2 義歯
3 ブリッジ
があることを説明しました。

まずこのことを理解していただくためにお分かりにならない方は以下の動画をご覧になって下さい。(2分29秒)


これで、歯がない部分に対する“ 3つの治療 ”について理解されたかと思います。
それでは、今回のテーマであるポンティックの話を始めます。
ポンティックとは、ブリッジの歯がない部分にある
人工の歯のことです。
以下の図を参考にして下さい。
ponthikku
クリックすると拡大されます。






ブリッジの欠損部に対する部位がポンティックであることはご理解いただけたと思います。
このポンティックは、天然歯に対する名称だけではなく、インプラントにも使われます。
例えば、歯が3歯欠損していたとします。
インプラントで治療を行う場合、2本のインプラントを埋入し、ブリッジとします。
インプラントとインプラントの間に存在するのが、ポンティックです。

このポンティックには、さまざまな形態があります。

今回のテーマであるオベイド・ポンティックは、ポンティックの形態の一つなのです。

今日はこれで終了です。


次回のブログは1/14(月曜日)になります。
次回はポンティックについてさらに詳しく解説します。

今週(2/5〜6)のインプラント手術報告

この2日間はインプラントの手術がありませんでした。
そのため、今日は別の話をしたいと思います。

アタッチメント義歯の話です。

この方法は、(総入れ歯)や歯が多数ない方(部分入れ歯)に行う治療法です。

通常、歯が1本もない場合、
完全固定式(元々歯があった状態まで回復できます)にするには、
6〜8本のインプラントを埋入し、ブリッジとします。
このような治療法を行うと、入れ歯ではなくなります。
非常良い治療法です。
しかし、インプラントの埋入本数が多くなるため、治療費がかかります。

そのため、 最小限のインプラント(2本)を埋入し、
そのインプラントを義歯の安定のために、利用する治療法
があります。
この治療を『アタッチメント義歯』と言います。

まず、2本のインプラントを埋込みます。
インプラントが骨と結合するまで、2〜3ヶ月待ちます。
もちろん手術直後から義歯は使用できます。
そして、義歯とインプラントが結合したら、
インプラントと義歯をつなぐアタッチメントという金具を装着します。
これにより義歯とインプラントは強固に固定されますので、
義歯が落ちてくるということはありません

現在義歯を使用している方には、費用や治療期間、手術に際する負担が非常に少なく
効果が高い治療法です。

また、部分義歯を使用している方で、義歯の金具(金属製)が見えて審美的に問題があると思われている場合にも効果的です。
部分義歯を支えている金具の変わりにインプラントとアタッチメントで義歯を固定します。
義歯の大きさが小さい場合、1本のインプラントでも可能な場合もあります。

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2008年2月4日

オベイド・ポンティック:審美的に治療を行うために…その1

2/4(月曜日)です。

2/2(土曜日)、2/3(日曜日)は、 日本口腔インプラント学会(関東甲信越支部)でした。
診療が忙しかったため、全ての治療を他の先生にまかせることができず、2/2の午後のみ参加してきました。
最近のインプラント学会はものすごい人数です。
私が始めてインプラント学会に参加した15年前と比較するとくらべものになりません。
それだけ、歯科医師の興味も高いということです。

特に私が大学生だった頃には、授業でインプラントの講義はありませんでしたので、
それ以前に卒業した先生は、学会等で知識を身につけたいと思っているのでしょう。

さて、今日から新しいテーマです。

『オベイド・ポンティック:審美的に治療を行うために…』になります。

まず、『ポンティック』とはなんのことでしょうか?
『ポンティック』について説明する前にブリッジについて解説したいと思います。
ブリッジを理解するとポンティックは自然と分かってきます。
ブリッジとは歯のない部分に歯を作製する治療方法の一つです。

例えば、前歯が1歯欠損していたとします。
この場合の治療方法として
1 インプラント
2 義歯
3 ブリッジが考えられます。

それぞれの特徴は以下のようになります。
1 インプラント
  インプラントは欠損周囲の歯を削らず、欠損のみに人工の根(多くはチタ
  ン製)を埋め込むものです。
  利点は、
  治療のために周囲の健康な歯を削らない。
  固定式のため違和感がない。
  義歯(入れ歯)やブリッジのように他の歯に負担をかけない。
  が挙げられます。
  欠点として、
  治療期間が長い(最短でも2ヶ月程度)。
  手術を必要とする。
  保険がきかない。
  
2 義歯
  義歯とは“ 入れ歯 ”のことです。
  利点として
  治療のために周囲の健全な歯を削る必要性がない。
  型を取れば、約1週間で完成するため、治療期間が短い。
  麻酔もすることがない。
  ほとんどの義歯は保険が適応される(全ての治療の中で最も安価)。
  欠点として
  取り外しのため、食後には取り外し、清掃が必要になる。
  食事や会話中に取れたりする可能性がある。
  プラスチック製のものが口の中に入るので、違和感が強い。
  部分義歯の場合、義歯を安定させる金具がつき、審美性に問題がある。
  義歯を固定する歯が歯周病等の場合、金具で支えている歯に負担がかかる。
  等があります。
  多くの方はこの義歯を希望しないのが現状です。

3 ブリッジ
  ブリッジは欠損部の両側の歯を削り(全周約1〜2ミリ程度削る)、欠損 
  部を含めた被せ物を装着するものです。
  利点として
  固定式のため、義歯のように取り外すことがないため、違和感が少ない。
  歯を削り、型を取れば、1週間程度で完成する。
  欠点として
  歯(ケースによっては健康な歯を)を削る必要性ある。
  保険の場合、奥歯は金属製である。
  ポンティックが存在するため、その形
  態により清掃性や発音に問題が生じる可能性がある。

ここで、ようやくポンティックがでてきましたね。
このポンティックについての詳細は後で解説しますので、
ここでは上記の欠損部に対する3つの治療法について理解して下さい。
  
以下は、インプラント義歯ブリッジの比較写真です。

3tunochiryouhou
クリックすると拡大されます。





次回のブログは2/7(木曜日)になります。
次回のテーマは『欠損を治療する3つの方法の続き』と『ポンティックとは?』です。

今週(2/1〜2/3)のインプラント手術報告

今週(昨日)のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。
日々の臨床で、どのようなことを行っているか 知っていただきたいと思い 今年から始めました。
それでは、今週のインプラント手術の中から下顎にインプラントを4本埋入した1症例について解説します。

骨の状態はかなり悪く、欠損状態(歯がなかった期間)が長かったため、
骨の吸収が起ってしまっていました。
こうした歯がない部分の骨吸収はよく起ることです。
不適切な義歯の使用や歯が抜けたままにしていると顎の骨は吸収してきます。
骨は機能圧(噛むカ)が加えられることによりその高さや幅は維持されます。
歯周病に問題がなく歯がきちんとあれば顎骨の吸収はほとんどありません。
しかし、抜歯を行うと個人差はありますが、必ず顎骨は吸収していきます。
現在義歯をしている方はわかると思いますが、
義歯を作成しても数年経つと顎骨が吸収するために合わなくなっていきます。
数年おきに顎骨が吸収した分を裏打ちしたり、再製したりする必要性があります。
今回の患者様も歯がなくなってから10年以上経過していました。

もちろん、歯がなくなった原因にもよりますが、
歯周病が進行していたり、歯の根が折れた状態でいると 骨はどんどんと吸収してしまいます。

  この続きおよび詳細は以下をご覧下さい。(クリックして下さい)
   ・歯がないと顎の骨はどんどんと吸収していきます!

下顎において骨の垂直的な吸収が大きい場合、一番問題となるのは、下顎神経との関係です。

下顎神経(下歯槽神経)は通常、骨吸収がない場合、下顎の下方1/3〜1/4ぐらいに位置しています。(個人差はかなりあります)

下の写真は下顎神経を表した下顎の透明模型です。
赤い線が下顎神経です。
kagakusinnkei
クリックすると拡大されます。







歯周病等で骨が吸収した場合、骨は 歯がある下顎骨の上部から吸収が始まりますので、
骨吸収があるとインプラントを埋入する際には骨の高さが不足します。

下の動画は、骨の吸収を解説したビデオです。
お時間がある方はご覧になって下さい。(4分51秒)



インプラントと神経の位置関係ですが、
約2〜4ミリ程度の距離が必要です。

つまり、下顎神経の上2〜4ミリの位置までしかインプラントの埋入はできません。

今回は、下顎神経(下歯槽神経)までの距離が12ミリでしたので、安全性を考え、8ミリの長さのインプラントを埋入しました。

下顎神経までの距離は2ミリあれば、問題ないという論文学的なデータもありますが、
インプラントを埋入する際の機械的刺激も影響されることがありますので、
3〜4ミリは距離をとった方が不難です。

そのため、今回は下顎神経まで4ミリの距離を保つために、8ミリの長さのインプラントを選択しました。

こうした神経との関係にはきちんとした検査が必要です。
    この詳細は以下を参考にして下さい。(クリックして下さい)
     ・SimPlantの導入(コンピュータによる最先端インプラントシュミレーションソフト)
   
使用したインプラントは、
ストローマン・インプラント   ( I.T.Iインプラント)

SLAタイプ  直径4.1mm 長さ8mmが4本でした。

麻酔方法は虫歯の治療で行うような普通の歯科麻酔です。
インプラントの埋入本数が少なかったり、
インプラント手術に際し、さほど不安がない方にはこうした簡単な麻酔方法でインプラント埋入を行います。
もし、インプラント治療に不安がある場合には
『静脈内鎮静法』
にて麻酔を行います。

骨のには大きな問題がなかったために、 『GBR法』は必要ありませんでした。


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2008年1月31日

プラットホーム・スイッチング:platform switching:その6

1/31(木曜日)です。

プラットホームスイッチングの6回目になります。
今日のテーマは、プラットホーム・スイッチングの歴史になります。

今回のテーマである、プラットホーム・スイッチングは偶然から生まれました。

これは、イタリアのDrジャンパオロ.ビンチェンツィがインプラント本体に土台(アバットメント)を装着する際に、規定のものよりも小さい(細い)アバットメントを装着してしまったことから始まりました。

インプラントの被せ物が装着し終わった患者様をメインテナンスにて経過観察していたところ
、おもしろい現象に気がつきました。

現在までの原則からすると、
インプラント本体(フィクスチャー)と
土台(アバットメント)の結合部からは
吸収するはずの骨がまったく吸収していなかったのです。

* インプラントの創設者であるDrブローネマルクもこの発見の前に
この原理の研究をしていたとも言われています。

その後、ニューヨーク大学のDrターナーにより、プラットホーム・スイッチングは臨床応用されるようになりました。

今日はこれから出かけるところがあるので、プラットホームスイッチングについてはこれで終わりです。

プラットホーム・スイッチングについては、今後まとめてホームページに掲載します。

次回のブログは2/4(月曜日)になります。
次回から新しいテーマになります。
新しいテーマは、『オベイド・ポンティック』です。
近年、患者様の審美に対する希望がどんどんと強くなってきています。
『オベイド・ポンティック』とは、審美性を考えた治療法です。
お楽しみに!

今週(1/29〜30)のインプラント手術報告

今週(昨日)のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。
日々の臨床で、どのようなことを行っているか 知っていただきたいと思い 今年から始めました。

それでは、今週のインプラント手術の中から以前にインプラントを埋入したが、感染を起こしたため、インプラントを摘出後に今回再度インプラントを埋入した1症例について解説します。

このケースは4ヶ月程前に上顎に1本のインプラントを埋入しました。
その後、暫く来院ができずにいたことも関係していたのかもしれませんが、型を取る段階で、インプラントが感染しているのが分かりました。
若干ですが、インプラントが動揺していたのです。
欠損部位は奥から2番目で、欠損部位の両側には天然歯が存在していました。
欠損部が、歯と歯の間に位置していたたこともあり、ブラッシングが確実にできなかったことが大きな原因であったかもしれません。
インプラントの蓋(後で解説しますが、今回は1回法インプラントです)に汚れがかなり付着していました。

このようにインプラント手術後に感染を起こすことは非常に稀ですが、1年に1〜2ケースは起ることがあります。
特に歯周病であった場合には大きな問題があります。(今回のケースは歯周病が原因でダメになった分けではありません)
歯周病が存在する状態で、インプラントを行うと、インプラントにも歯周病の細菌が感染するのです。
インプラントが歯周病細菌により感染した状態を インプラント周囲炎と言います。
インプラント周囲炎の詳細は以下を参考にして下さい。
・インプラント周囲炎

先程書きましたように、今回のインプラント手術は 1回法という方法を行いました。
インプラントの1回法手術とは、インプラントの埋入手術の際にインプラントの上部(蓋の部分)が直接口腔内に見えます。
2回法インプラント手術とは、インプラント本体を歯肉の中に完全に埋め込んでしまう方法です。
以下の図を参考にして下さい。

11
クリックすると拡大されます










どちらの方法が優れているということではありません。
骨の状態や使用するインプラントメーカー等、さまざまな理由により1回法2回法を選択します。

患者様において、1回法の利点は、手術回数が1回で済むことです。
2回法は、手術時にインプラントを歯肉の中に埋入するため、型を取る段階で、埋まっているインプラントを歯肉の上に見えるようにする処置が必要になります。
今回の症例では、始めのインプラント手術の際には、骨の状態等から 1回法を選択しました。

1回法の欠点として、インプラントの蓋の部分が口腔内に露出しているため、感染のリスクが2回法と比較すると高いことがあります。

2回法の場合、インプラントが全て、歯肉の中に埋め込まれているため、基本的に外(口腔内)からの感染はありません。

私が主に使用している ストローマン・インプラント  ( I.T.Iインプラント)は、 1回法として開発されたものですが、2回法としても使用します。

1回法にするか? 
2回法にするか? 
は、骨の状況等だけではなく、患者様の口腔内の清掃状況によっても変わります。

口腔清掃状況が確実ではないと判断した場合には、骨の状況等を考えると1回法が適しているインプラントの場合でも、
2回法を選択することもあります。

さて、手術後にインプラントが感染したと考えられた場合には、どのような処置をするのでしょうか?

まず、インプラントを摘出します。
麻酔後、インプラントを埋入した方向と逆方向にインプラントを回すことにより、わりと簡単に摘出できます。
感染して骨と結合(くっついて)いないのですから…

インプラント摘出後は、骨の状況にもよりますが、1〜3ヶ月程度待ちます。

その後、再度インプラントの埋入を行います。

最初に書きましたように、インプラント手術後に感染を起こすことは非常に稀ですが、インプラントを手がけている先生であれば、必ず経験することです。

大切なのは、その後の対応です。

感染していることを早期に判断できないと、インプラントを支えている骨はどんどんと吸収してしまいます。

感染により、骨が吸収してしまった場合には、次にインプラントを行うのが困難になってしまいます。



今回使用したインプラントは、
ストローマン・インプラント   ( I.T.Iインプラント)

SLAタイプ  直径4.1mm 長さ10mmが1本でした。

麻酔方法は虫歯の治療で行うような普通の歯科麻酔です。
インプラントの埋入本数が少なかったり、
インプラント手術に際し、さほど不安がない方にはこうした簡単な麻酔方法でインプラント埋入を行います。
もし、インプラント治療に不安がある場合には
『静脈内鎮静法』
にて麻酔を行います。


また、埋入方法はドリルをほとんど使用しない、 『スプリッティング法』を応用しました。
この方法も年々増えて来ている方法です。
当医院においても骨の柔らかい上顎では、ほとんどの症例において行っている方法です。

手術時間は1本のみでしたので、約5分で終了です。
おそらく腫れることはないでしょう。



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2008年1月28日

プラットホーム・スイッチング:platform switching:その5

1/28(月曜日)です。
プラットホームスイッチングの5回目になります。
今日のテーマは、プラットホーム・スイッチングの利点と欠点
になります。

前回までの話の中で、プラットホーム・スイッチングを応用するとプラットホーム(インプラントとアバットメントの接合部)位置での骨が吸収しないことがわかりました。

それでは、プラットホーム・スイッチングが どの程度 プラットホームでの骨の吸収を防止できるかという 論文を 結論のみ 簡単に紹介したいと思います。

研究対象は、世界4大インプラントの一つで、
最も歴史の長いインプラントである ブローネマルク・インプラント と
プラットホーム・スイッチングの先駆けである アンキロス・インプラント を比較するという研究です。
結論として、埋入6ヶ月後のプラットホーム周囲の骨の吸収は、
ブローネマルク・インプラント 平均1.88ミリ
アンキロス・インプラント 平均0.77ミリ
でした。
プラットホーム・スイッチングを応用した アンキロス・インプラント がいかに骨吸収を防止するインプラントであることが分かります。

それでは、この骨吸収がどのように審美性に影響を及ぼすか ということですが、
骨の吸収があるとそれに伴い、歯肉も退縮していきます。
歯肉が退縮した場合、
歯が長く見えたり、
場合によってはインプラントの接合部の金属が見えてくることがあります。
あまり、見えない奥歯であれば、さほど大きな問題となることはありませんが、
前歯部の場合、問題となることがあります。

先程の研究において ブローネマルク・インプラントと アンキロス・インプラント では骨の吸収には約1ミリ程度の差がありました。
1ミリというと さほど違わないように感じますが、これは大きな差です。
特に、元々骨の幅がないような場合にはプラットホーム・スイッチングは有効な方法です。

また、プラットホーム・スイッチングは骨の吸収を防止するだけでなく、
歯肉の厚み自体を 厚く保つことが可能です。
下図にあるようにプラットホーム・スイッチングは、
土台(アバットメント)自体が細くなるため、
その周囲の歯肉の厚みを確保できます。
インプラント本体(フィクスチャー)より上方に出来る
歯肉の量は、幅の1.5倍とされているので、
細いアバットメントの周囲にできる厚い歯肉のため、
歯肉の高さも高く維持されることになります。
歯肉の高さが維持されれば、
歯肉の退縮も少なくなります。
また、歯肉の厚みが確保できるため、血流量を確保できるという利点もあります。
血液循環が良くなることにより、歯肉退縮も防止できるのです。

puratto5
クリックすると拡大されます。









それでは、プラットホーム・スイッチングの欠点はどのようなことでしょう?

まず、プラットホーム・スイッチングの歴史が浅いということです。
プラットホーム・スイッチングの歴史は、この後で解説しますが、偶然から生まれた方法です。
そのため、基礎研究が若干遅れています。
また、臨床的評価(研究)もまだ完全であるとは言えません。
そうした研究には今後期待したいと思います。

私自身もプラットホーム・スイッチングについては非常に興味を持っていましたが、私が主に使用している
ストローマン・インプラント(I.T.Iインプラント)
には、まだ対応していなかったことと
まだ、十分納得できる臨床データがなかったために、経過を見ていたということです。
しかし、多くの臨床家達が使用を始め、良い結果を得てきていることから私自身も使用を始めました(2008より)。


次回のブログは1/31(木曜日)になります。
次回のテーマは『プラットホーム・スイッチングの歴史 と まとめ』です。

今週(1/25〜27)のインプラント手術報告

今週(昨日)のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。
日々の臨床で、どのようなことを行っているか 知っていただきたいと思い 今年から始めました。
それでは、今週のインプラント手術の中から傾斜埋入インプラントを行った1症例について解説します。

治療部位は上顎の奥歯です。
奥歯に3歯分の欠損がありました。

通常、3歯分の欠損がある場合、3本のインプラントを埋入するのではなく、
2本のインプラントを埋入し、ブリッジとします。

ブリッジについてお分かりにならない方は こちらを参考にして下さい。

インプラントが安定するためには、できる限り長いインプラントを埋入することが必要です。
長さの短いインプラントでは、しっかりとした安定は得られません。

今回のケースでは、上顎奥歯の骨の状態はかなり悪く、欠損状態(歯がなかった期間)が長かったため、骨の吸収が起っていました。

歯がないと骨が吸収してしまう現象は以下をご覧下さい。
歯がないと顎の骨はどんどんと吸収していきます!

上顎の奥歯において骨の吸収が大きい場合、 サイナスリフト法 『ソケットリフト法』を行うのですが、
そのような方法を行わないでも骨が少ない場所に長いインプラントを埋入する方法があります。
それが、今回のケースで行った インプラントの傾斜埋入です。

傾斜埋入方法の詳細は以下を参考にして下さい。
今回は省略させていただきます。
・インプラントの傾斜埋入

下の写真は傾斜埋入を行った症例(今回の症例ではありませんが、傾斜埋入が非常に良く分かる典型的なケースです)です。

yamasina
クリックすると拡大されます。







レントゲン写真の真ん中にあるインプラントの上には上顎洞という空洞が存在しており、インプラントを埋入するための高さがほとんど存在していません。
つまり、長いインプラントを埋入することができないということです。
そのため、両端のインプラントは上顎洞を避け、骨が存在する部位に斜めにインプラントを埋入したケースです。

それでは、斜めにインプラントを埋入することの問題点はあるのでしょうか?
傾斜埋入の欠点はないのでしょうか?

ブリッジ等の複数のインプラントを埋入する場合、基本的に、 インプラントの傾斜埋入の問題はありません。

ただし、術者(歯科医師)の技術的な難しさがあります。
インプラントの傾斜埋入は難易度が高いのです。

つまり、インプラント手術自体の難しさです。
適切な位置に傾斜させて埋入することはきちんとした術前の診査と技術力が必要です。

また、最終的な被せ物の作製時(型を取ったりする過程も…)でも通常の治療よりは難しくなります。

このブログでも良く書きますが、上顎の奥歯にインプラントを行う際、
骨の高さや幅がしっかりしていることは少なく、
多くの場合、骨の吸収が高度に起っていることが多いのです。

そのような場合、さまざまな治療方法を組み合わせて行うことが必要です。
今回の インプラントの傾斜埋入もそうしたテクニックの一つです。

今回使用したインプラントは、
ストローマン・インプラント   ( I.T.Iインプラント)

SLAタイプ  直径4.1mm 長さ12mmが2本でした。

麻酔方法は虫歯の治療で行うような普通の歯科麻酔です。
特にご心配されるようなものではありません。
インプラントの埋入本数が少なかったり、
インプラント手術に際し、さほど不安がない方にはこうした簡単な麻酔方法でインプラント埋入を行います。
もし、インプラント治療に不安がある場合には
『静脈内鎮静法』
にて麻酔を行います。

また、埋入方法はドリル(骨に穴を形成する器具)をほとんど使用しない 『スプリッティング法』を行いました。
ドリルをさほど使用せず、骨の幅を押し広げながらインプラントを埋入するこの方法は骨にダメージが加わりにくく、術後の腫れが少ない治療法です。

手術時間は2本のみでしたので、約10分で終了でした。



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大船駅北口歯科インプラントセンターインプラント 歯周病 専門医

神奈川県横浜市にある 日本歯周病学会歯周病専門医 国際インプラント学会認定医の歯科医院
I.T.Iインプラント認定医でもあり、 GBR法 サイナスリフト 審美インプラント等の難症例も行います。
HPでは 治療費(費用)の説明や インプラント症例 無料相談コーナーもあります。
2008年1月24日

プラットホーム・スイッチング:platform switching:その4

1/24(木曜日)です。

プラットホーム・スイッチングの4回目です。

今日は『従来のインプラントのおける骨吸収像』になります。

まず、前回までの話のまとめから始めたいと思います。
下図を参考にしながらご覧下さい。

puratto3
クリックすると画像は拡大されます。










インプラントには、インプラントの接合部(インプラントとアバットメントの結合部)が存在します。

この接合部のことをプラットホームと言います。

通常、インプラント手術の際には、このプラットホームを骨頂のちょうど上に位置するように埋入します。
これは、インプラントと骨がくっついた後で、このプラットホームに土台(アバットメント)を装着するためです。
プラットホームが骨の深い位置に埋入されていた場合には、後で、土台(アバットメント)をつけつことができなくなってしまいますし、プラットホームが骨頂のかなり上方に位置した場合には、境目(接合部)が歯肉から見えてしまうため、審美的に問題があるからです。

そのため、インプラントを埋入する際には、骨の頂上付近にプラットホームが位置するようにします。

しかし、インプラント埋入後に起ることがあります。

このインプラントの接合部(インプラントとアバットメントの結合部)
つまり、プラットホームから1〜2ミリ下方まで、骨が吸収することがあります。

上図の “1” の状態ですね。

これは、『体内と外界とを閉鎖するには一定の厚さの上皮が必要である』と言う生体の原理(Biological Width)によって起ることです。

骨の吸収が起った場合、それに伴い、歯肉も退縮する可能性があります。
歯肉が退縮すると審美的に問題が生じます。

こうした歯肉の退縮は必ず見られるものではありません。
骨の幅がしっかりしていたり、歯肉の厚みがしっかりあった場合には歯肉の退縮は起りにくいのです。

逆に言えば、治療前に、骨の吸収があったり、歯肉が薄い場合(難症例です)には、治療後に歯肉が退縮する可能性があります。

プラットホームスイッチングとは、上図の “2” のようにインプラントの接合部(インプラントとアバットメントの結合部)くびれさせることにより、骨に加わる炎症波及を防止し、歯肉の厚みを確保することにより、骨の吸収を防ぐというものです。

それではインプラントの骨吸収のレントゲン像を実際に見ていただきたいと思います。
下の写真の左側インプラントを見るとV字状(カップ状)に骨の吸収が認められます。

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画像をクリックすると拡大されます。










インプラント周囲の骨がカップ状に吸収しているのが分かるかと思います。

次回のブログは1/28(月曜日)になります。
次回のテーマは『プラットホーム・スイッチングの利点と欠点』です。

今週(1/22〜23)のインプラント手術報告

今週(昨日)のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。
日々の臨床で、どのようなことを行っているか 知っていただきたいと思い 今年から始めました。
それでは、今週(1/22〜23)のインプラント手術の中からサイナスリフト法後にインプラント埋入を行った1症例について解説します。

初診時に上顎の奥歯の被せ物が取れたとのことで来院されました。
被せ物が取れた理由は歯根破折 です。
歯根破折 を起こすと割れた部位から血液や唾液、食物等が入り込み感染を起こします。
感染を起こすと『膿み』となり、歯の根の周囲の骨が吸収してしまいます。
骨の吸収はあっという間に進行していきます。
歯が折れたりした場合には、できる限り早期の抜歯が必要です。

話は戻りますが、今回のケースは歯根破折した期間が長かったため、骨の吸収がかなり起ってしまいました。

そのため、被せ物が取れた時には骨の高さはほとんどない状態でした。
それでは、上顎の奥歯で骨が吸収した場合の状態および問題点について説明したいと思います。
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画像をクリックすると拡大されます。





以下は、上の図を参考にしながら見て下さい。
上顎の奥歯の上方には 『上顎洞底』という空洞が存在しています。
今回はこの『上顎洞底』について解説していきたいと思います。
『上顎洞底』は、上顎の奥歯の上に存在する骨の空洞になっている部分のことです。
この空洞は頬骨の奥に存在し、鼻腔へとつながっていて、鼻柱骨により左右に分かれています。
この上顎洞の働きは完全にはわかっていません。
多くの場合、歯が存在するとこの上顎洞と上顎の骨の距離は一定の幅がありますが、歯周病等で骨が吸収してしまうと上顎と上顎洞との距離が薄くなってしまいます。
その結果インプラントを行えないことがあります。

上図の説明です。

A  正常な状態です。
  つまり、歯がある状態で上顎洞までの距離があり、十分な骨の高さがあります

B 歯を失った後でも上顎洞までの距離があり、十分な骨高さがある場合です。
インプラントを行うのに問題はないケースです。

C 歯周病等で骨が吸収してしまったために上顎洞までの距離がなくなり、
インプラントを行うのに十分な骨の高さがない状態です。
上顎にインプラントを希望する患者さんの多くは(60%以上)このような状態
です。
このように歯を抜いた場所は年々やせて、場合によっては1〜2mm程度の高さ
 しかない方もいらっしゃいます。

今回も骨の高さが約1ミリ程度しか残っていませんでした。

そこで、上顎洞内部に骨を移植し、骨の増大(再生)をはかる治療法を行いました。
この上顎洞内に骨を再生させる治療法を サイナスリフト法と言います。
今回はこの サイナスリフト法についての詳細は省略させていただきます。
サイナスリフト法については こちらを参考にして下さい。

今回はこの サイナスリフト法を約6ヶ月前にすでに行っていた患者様です。
今日は、上顎洞内に骨が再生したことを確認した後のインプラント埋入手術です。

このように高度に骨が吸収しても、 サイナスリフト法等の骨の再生治療を行えば、インプラント治療は十分可能です。

しかし、こうした サイナスリフト法には時間がかかりますし、
治療後の腫れも伴うことがあり、患者様にとっては負担が高い治療法です。

骨が吸収しすぎないうちに対応することが最も大切です。

さて話を今回のケースに戻します。


使用したインプラントは、
ストローマン・インプラント   ( I.T.Iインプラント)

SLAタイプ  直径4.1mm 長さ10mmが1本でした。

今回の治療前に1本のインプラントは埋入済みになっていたため、今回は追加の1本のみのインプラント埋入でした。

麻酔方法は虫歯の治療で行うような普通の歯科麻酔です。
インプラントの埋入本数が少なかったり、
インプラント手術に際し、さほど不安がない方にはこうした簡単な麻酔方法でインプラント埋入を行います。
もし、インプラント治療に不安がある場合には
『静脈内鎮静法』
にて麻酔を行います。

手術時間は1本のみでしたので、約4分で終了です。
おそらく腫れることはないでしょう。

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2008年1月21日

プラットホーム・スイッチング:platform switching:その3

1/21(月曜日)です。

プラットホーム・スイッチングのの3回目です。

今日は『インプラント埋入後に骨が吸収する?』になります。

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クリックすると画像が拡大されます。






上の写真は前回お話しました。『インプラントの構造』です。
この構造が基本になります。

インプラント手術時に埋め込むインプラント本体を『フィクスチャー』と言います。
このフィクスチャーが骨と結合するまで、下顎で約2〜3ヶ月、上顎で約3〜4ヶ月待ちます。
その後、インプラント本体に土台を装着し、型を取ります。
この時の土台を『アバットメント』と言います。
アバットメント(土台) は ネジ式になっており、フィクスチャー(インプラント本体)に回して固定されます。
(通常の機械に使用する“ネジ”とほとんど同じようなものです)

この『フィクスチャー』『アバットメント』の接合部(境目)が
問題となります。
いくら精度を高めても必ず境目は存在します。

インプラントの接合部(フィクスチャーとアバットメントの接合部)は通常のネジとは比べものにならないくらい精度が高いものですが、この接合部の隙間を完全に無くすことはできません。

このわずかに生じた隙間(マイクロギャップ)は細菌が増殖するためのスペースになる可能性があるのです。

この接合部に炎症が及ぶと生体の原理(Biological Width)から
骨は吸収するようになります。
吸収する距離は約1〜2ミリです。
これは、『体内と外界とを閉鎖するには一定の厚さの上皮が必要である』と言う生体の原理によって起ることです。
生体の原理(Biological Width)は私達歯科医師が、インプラントを学ぶために非常に大切な事項の一つなのです。


以下はインプラント埋入後に起る骨吸収についての論文の一部です。
『インプラント埋入後に機能圧を加えて最初の1年で、接合部に約1mmの
 骨の収が生じる』
Alberktsson T:Int J Oral Maxillofac Impl 1(1):11-25,1986 
Esposito M:Clin Oral Impl Res 4(3):151-157,1993
Javanovic SA: Pract Periodont Aesthet Dent 11(5):551-558, 1999
Saadoun AP: Pract Periodont Aesthet Dent 11(9):1063-1072,1999

まとめますと、
『従来のインプラント本体(フィクスチャー)と土台(アバットメント)では、その境目(接合部)から約1〜2ミリ程度 骨は吸収する』
ということです。

さらに詳しく説明しますと、
プラットホームスイッチングでは、
境目(接合部)が内側に設定されるため(接合部にステップがあるため)、インプラントと骨との接合部が粘膜で覆われる。
その結果、歯肉の厚みが増える。
歯肉の厚みが増えると血流量も増え、細菌に対する粘膜の抵抗力も増える。
これが、骨の吸収を防ぐというものです。


(下図を参考しして下さい)

puratto3
クリックすると拡大されます











例えば、10ミリの長さのインプラントを骨の中に埋め込んだとします。
インプラント自体は完全に骨の中に埋め込まれたとします。
しかし、時間の経過とともにインプラント周囲の骨は吸収を起こし、
おおよそ数年後には約1〜2ミリの骨が吸収を起こし、
最終的には骨に埋まっているインプラントの部分は8〜9ミリになってしまいます。

もちろんこうしたことは全てのケース(すべてのインプラントメーカー)に起るわけではありませんが、多くのインプラントには起りやすい現象です。
そのため、こうしたことをあらかじめ考慮したインプラントの埋入方法を行ったりすることがあります。
また、こうした骨の吸収を最小限に防ぐ形状のインプラントも存在します。

次回のブログは1/24(木曜日)になります。
次回のテーマは『従来のインプラントのおける骨吸収像』です。





今週(1/18〜20)のインプラント手術報告

今週(昨日)のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。
日々の臨床で、どのようなことを行っているか 知っていただきたいと思い 今年から始めました。

それでは、今週のインプラント手術の中からインプラント埋入と同時 『GBR法』および 抜歯即時インプラントおよびを 『ソケットリフト法』行った1症例について解説します。

上顎に3本のインプラントを埋入し、1本は骨の幅が少なかったため(骨の幅が細いため)、骨幅を増やす 『スプリッティング法』とインプラント埋入と同時の 『GBR法』を行いました。
また、1本は 抜歯即時インプラント
もう1本は 『ソケットリフト法』でした。

骨の幅は狭いところで、約3ミリ、平均では、約4〜5ミリ程度でした。
今回使用したインプラントの直径は4.1ミリです。
直径4.1ミリのインプラントを埋入するためには骨の幅が6ミリ以上ないといけません。
つまり、埋入したインプラントの周囲に1ミリ以上の余剰な骨が存在することが必要です。
しかし、上顎にインプラントを埋入する多くのケースでは、今回のように骨幅が少ないことが多く、インプラント治療を困難にしています。
そのため、骨幅を広げる 『スプリッティング法』や骨を増大させる 『GBR法』が必要になってきます。
また、1カ所は骨の高さが非常に少ない状態でした。
実際の骨の高さは5ミリ程度でした。
これでは、長さが5ミリ以下のインプラントしか埋入できないことになります。
長さ5ミリ以下のインプラントでは、安定が非常に悪いのが現状です。
インプラントとしては適していません。
そのため、 『ソケットリフト法』を行い、長さ10ミリのインプラントを埋入することにしました。
詳細は、 『ソケットリフト法』をご覧になって下さい。

使用したインプラントは、 ストローマン・インプラント  ( I.T.Iインプラント)
SLAタイプ 直径4.1mm 長さ10mmが3本でした。

麻酔方法は 『静脈内鎮静法』 です。
静脈内鎮静法は寝ている間に治療が終了するため、治療を受ける患者様にとっては楽な麻酔方法です。

今回も通常のインプラント埋入以外にさまざまな治療法がでてきましたね。
各治療方法についてお分かりにならない方は下記を参考にして下さい。
『GBR法』
『スプリッティング法』
『ソケットリフト法』
抜歯即時インプラント

今回のように1回の手術で骨幅を増大させる 『スプリッティング法』 『GBR法』そして骨の高さが少ない場合に行う 『ソケットリフト法』を行うことは治療を受ける患者様にとって非常に有効な方法です。
治療回数や治療期間の削減になります。
インプラント治療は骨の幅が十分あれば、治療を受ける患者様にとってもさほど負担のないものですが、骨の幅や高さが少ない場合(吸収している場合)には、
さまざまな治療法を行うことが必要であり、患者様にとって負担となります。
そのため、できるかぎり、手術回数を減らす方法を行いたいと思います。

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2008年1月17日

プラットホーム・スイッチング:platform switching:その2

今日は、プラットホーム・スイッチングの2回目になります。

一般的なインプラント構造について解説していきます。

インプラントは下図のように大きく分けて
3つの構造(パーツ)からできています。

1 フィクスチャー(インプラント本体)
2 アバットメント(土台)
3 上部構造(被せ物、補綴物)

プラットホーム・スイッチングを理解するためには、
まずは、
インプラントの基本構造を知ること、
インプラントと骨の関係を知ることが
基本になります。

上記のフィクスチャー、アバットメント、上部構造をよく覚えておいて下さい。

今日のプラットホーム・スイッチングの話はこのインプラントの構造のみです。今朝は出かけなければならないところがありまして…

詳細は インプラントの構造を参考にして下さい。

puratto2
画像をクリックすると拡大されます。






次回のブログは1/21(月曜日)になります。
次回のテーマは『インプラント埋入後に骨が吸収する理由』です。


今週(昨日)のインプラント手術報告

今週(昨日)のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。
日々の臨床で、どのようなことを行っているか 知っていただきたいと思い 今年から始めました。
それでは、今週のインプラント手術の中から 『GBR法』
を行った1症例について解説します。

このケースはインプラントと同時 『GBR法』
ではなく、インプラント治療 『GBR法』
を行ったものです。

このブログを見ている方の多くは 『GBR法』
について知っている方が多いと思いますが、簡単に 『GBR法』
について説明したいと思います。

インプラントを行うためにはしっかりとした骨が存在することが第一条件です。
しかし、歯周病 の放置や 歯を欠損のままにしていた等により骨が吸収し、いざインプラントを行おうとしても顎骨は吸収し、痩せ細ってしまっていることが多いのが現状です。
ホームページやブログのさまざまなところでも書いていますが、インプラント が長期的に安定するためには長く太いインプラントが埋入されることが必要です。
そのためにはしっかりとした骨でないといけません。
骨の幅や高さなない場合には骨を増大させる治療 『GBR法』)が必要になってきます。

『GBR法』には大きく分けて2つの方法があります。
まず、一つ目の方法ですが、骨が大幅に吸収している場合にはあらかじめ骨を増大させる方法を行います。
吸収部に骨を移植し、周囲骨と一体化するまで待ちます。
一般的にこの期間は3〜6ヶ月かかります。その後インプラントを埋入しますのでトータルの時間は非常にかかります。
この方法を ステージドアプローチと言います。
今回行った治療法です。

それに対し、骨の吸収が少ない場合(若干の骨吸収程度)には、インプラントの埋入と同時にGBR法を行います。
これは上記の方法とは異なり治療期間が短縮できます。
この方法を サイマルテイニアスアプローチと言います。
私が行うインプラント治療において約半分がこの方法を用います。

さて今回、 ステージドアプローチGBR法を行いましたが、この理由として、骨の吸収が非常に大きかったためです。
なぜ骨の吸収が起ったのでしょうか?
その原因は歯根破折 です。
歯の根が折れてしまったのです。
歯の根が折れてしまった場合、基本的には抜歯です。

歯根破折 した直後に抜歯すれば、さほど問題はないのですが、
歯根破折 状態で暫く時間が経過すると割れた部位から感染を起こし、膿みとなります。
膿みは、周囲の骨を吸収させてしまうので、割れたままにしておくと骨はどんどんと吸収してしまいます。

今回は歯根破折したまま、かなりの期間が経過してしまったため、骨の吸収はかなり大きいものでした。

もちろん、 『GBR法』により骨を回復させることは可能ですが、
時間もかかり、患者様の負担も大きいものです。

できれば、避けていきたい治療です。

やはりこのような状態にならないように早めの対応が最も大切です。

GBR法に使用した材料は 『自家骨』および、『人工骨』です。
使用した人工骨は 『β―TCP』 です。

自家骨は、今回の治療部位の周囲から採取しました。

また、 GBR膜 として非吸収性Gore-Tex膜を使用しました。
Gore-Tex膜は吸収しない膜のため、後で取り出す必要性がありますが、今回のような ステージドアプローチGBR法では、再度手術が必要(今度はインプラントを埋入)なため、その時に膜の除去を一緒に行います。


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2008年1月14日

プラットホーム・スイッチング:platform switching:その1

今日から新しいテーマです。
『プラットホーム・スイッチングとは?』になります。

今、インプラントの世界で最も話題(2007)になっているのが、
『プラットホーム・スイッチング:platform switching』です。

プラットホーム・スイッチングとは、
『インプラントの太さよりも 上部構造の立ち上がりの太さを細くすることにより、インプラント上部まで 骨を誘導することが可能』になります。
その結果、インプラント周囲の骨が生理的に下がらないようになります。

なにがなんだか分かりませんよね。

このプラットホーム・スイッチングを説明することは非常に難しいことです。
しかし、今後のインプラント界を大きく変化させるようなことなのです。
この項目では、このプラットホーム・スイッチングについて 基礎 から
利点、今後の課題まで、図解で説明していきたいと思います。

また、2007年現在において、全てのインプラントメーカーがこのプラットホーム・スイッチング に対応しているわけではありません。
まだ、ごく一部のメーカーのみが採用しているシステムです。

2007年現在のプラットホーム・スイッチング採用メーカーの一部

1  アンキロス
2  アストラテック
3  3i
4  バイコン

世界で最も歴史のあるブローネマルク・インプラント (ノーベルバイオケア社)も2007年の ワールドカンファレンスでプラットフォーム・スイッチング・アダプターを発表しました。

このように、今後は多くのインプラント製造メーカーがこのシステムを採用するでしょう。

当医院においても今までは主として ストローマン・インプラント   ( I.T.Iインプラント)を使用してきました。

その理由として
1 きちんとした基礎研究のもとになりたっている
2 インプラントメーカーとして世界で2番目に古いメーカーであり、
  臨床経験が長い。(それだけ信頼度が高い)
3 数あるインプラントメーカーで最も使用されているインプラントで
  ある。
まだまだ、理由はありますが、 ストローマン・インプラントは世界をリードしていると言ってもいいでしょう。

しかし、 ストローマン・インプラントのみが100%良いということではなく、
インプラントを使用する部位や骨の状況、最終補綴形態(被せ物の形)等により、他のメーカーの方が優れている場合もあります。
そうしたことから当医院では、
今まで、アストラテック・インプラント や
スプライン・インプラントも使用してきました。

しかし、審美性が重要視されてきた近年では、
さらに審美性を追求するためのインプラントシステムに人気が集中しています。
その一つが『アンキロス・インプラント』です。

このテーマである『プラットホーム・スイッチング』を使用したインプラントでることと、『 ジルコニア・アバットメント』が使用できる利点があります。

当医院においても2008年より、このアンキロス・インプラントを導入していきます。
ただし、現在のところメインはストローマン・インプラントとしますが、
おそらく、アンキロス・インプラントもかなりの数になると思います。
実際に今まで、ストローマン・インプラントを使用していた歯科医師の一部はアンキロス・インプラントを使用し始めています。
その評価は年々高まってきています。

プラットホーム・スイッチングを学ぶことは今後のインプラントを知るうえでも大切なことになります。

それでは、ちょっと難しい話になりますが、プラットホーム・スイッチングの解説を次回から始めたいと思います。

* このテーマ(プラットホーム・スイッチング)は2007のデータをもと
に作製した内容です。
  2007年現在、プラットホーム・スイッチングの研究データはまだ完全に
出そろっていません。
今後はさらに新しいデータが加わる可能性があります。
もし、新たに研究(論文)データが加わった場合には、ホームページ上で
追加していきます。


次回のブログは1/17(木曜日)になります。
次回のテーマは『プラットホーム・スイッチング:インプラント構造』です。



今週(昨日)のインプラント手術報告

今週(昨日)のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。
日々の臨床で、どのようなことを行っているか 知っていただきたいと思い 今年から始めました。

それでは、1/11〜13日で5件の手術がありましたが、その中で、上顎の多数歯欠損に対しインプラント埋入と同時にGBR法およびソケットリフト法を行った1症例について解説します。

患者様は上顎が無歯顎です。(虫歯等で、抜歯した後です)
奥歯は骨の吸収がかなり進行しており、骨の移植を行う必要性のある サイナスリフト法が必要なくらい、状態は良くありませんでした。(骨の高さは1ミリ程度しかありません)

もともとの歯があった状態にまで、回復させるためには、奥までインプラントを埋入し、 ブリッジとすることが考えられます。
しかし、先程書きましたように奥歯は骨の吸収が著しく、このままでは、インプラントは難しい状態です。

そこで、患者様にさまざまな治療方法を説明したところ、
奥までは、インプラントを埋入しないで、前歯部から中間程度の部分まで、インプラントを埋入する計画にしました。

通常、上顎の歯は14歯あります。
今回は一番奥までは歯を作製しない治療法を選択しました。
この理由は先程説明しました 奥に骨がないため、同部に骨を増大(再生)させるためには、治療期間がかかり、治療に伴う患者様の負担も大きく、全てを行うと治療費も高額になってしまうからです。

しかし、完全に奥まで歯がなくても、固定式(ブリッジ)となるわけですから、
歯がまったくない今までとはまったく違います。
治療が完了したら、快適な生活になるでしょう。

さて、治療内容ですが、
使用したインプラントは、
ストローマン・インプラント   ( I.T.Iインプラント)

SLAタイプ  直径4.1mm 長さ10mmが1本
SLAタイプ  直径4.1mm 長さ8mmが4本
SLAタイプ  直径4.1mm 長さ6mmが1本でした。

今回はインプラントの長さとしては短いものです。

短いインプラントの理由として、前歯部においても骨が吸収しており、鼻腔底(びくうてい)と言われる
鼻の穴近くまで、骨の高さがなくなっていたためです。

今回は少しでも、インプラントの高さを獲得するため、鼻腔底のギリギリまで、インプラントを埋入しました。

こうした難症例の場合には術前の診査が大切です。
CT撮影を行い、術前に インプラントのシュミレーション(シンプラント使用)を行うことが非常に大切になります。

麻酔方法は 『静脈内鎮静法』 です。
静脈内鎮静法は寝ている間に治療が終了するため、治療を受ける患者様にとっては楽な麻酔方法です。
麻酔は当医院の麻酔科医が担当します。

今回は骨の高さがないだけでなく、骨の幅も非常に少ない状態でした。
通常、インプラントの直径は約4ミリあります。
直径4ミリのインプラントを埋入するためには、骨の幅は6ミリ存在しないといけません。
しかし、今回は骨の幅は薄いところで、約3ミリです。
そのため、骨の幅を増大させる 『スプリッティング法』を応用し、
さらに骨の幅を増大させる 『GBR法』も行いました。

また、奥では、 『ソケットリフト法』 も行いました。

骨の幅や高さが非常に少ない“難症例”はさまざまな治療法を組み合わせて治療を行います。

日本人のインプラントは欧米人と比較して、難症例であると言われています。
それは、保存不可能な歯の抜歯するタイミングがかなり遅れ、大幅に骨吸収を起こしてから、インプラント治療を選択する傾向にあるからです。
また、骨の幅や高さが欧米人と比較してもともと条件が悪いこともあります。

上記のように骨の状態悪い場合でも、さまざまな治療法を行うことにより、インプラント治療は可能ですが、
そのためには、治療時間もかかり、治療費もかかり、治療における患者様の負担も多くあります。

できるかぎり、“難症例”にならないうちに治療をされることが大切です。

今回のインプラント手術参考資料
サイナスリフト法
ブリッジ
ストローマン・インプラント
( I.T.Iインプラント)
SLAタイプ
CT撮影
インプラントのシュミレーション(シンプラント使用)
『静脈内鎮静法』
静脈内鎮静法
『スプリッティング法』
『ソケットリフト法』
『GBR法』


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神奈川県横浜市にある 日本歯周病学会歯周病専門医 国際インプラント学会認定医の歯科医院
I.T.Iインプラント認定医でもあり、 GBR法 サイナスリフト 審美インプラント等の難症例も行います。
HPでは 治療費(費用)の説明や インプラント症例 無料相談コーナーもあります。

2008年1月10日

審美的にインプラント治療は行えるのか?:その5

さて、今日は、歯と歯の間に隙間ができる原因 !歯が長くなる(長く見える)原因の最終回です。

前回まで、前歯部は審美的にインプラントを行うことは難しい場所であることを書きました。
それは、術前に骨吸収や歯肉が薄い場合には、特に審美的に行うことが難しいことを書きました。
そして、そうした場合、 GBR法 歯肉結合組織移植が必要であることを書きました。

今日は、今回のまとめになります。

前歯部のように審美性が重要視されるインプラント治療の場合、
その症例が持っている難易度を見極めることが重要です。
そして難易度の程度により治療の進め方は違います。
また、患者様が希望されている審美性の希望(満足度)によっても
治療方法は違います。
そのためには、事前の診査が非常に重要になってきます。
CT検査もその一つです。
難易度が高い場合には必要な検査の一つです。

この項では、治療前の段階で、
高度の骨吸収
歯肉が薄い
の問題がある場合には、治療後に必ずしも100%の審美性を獲得することは難しいことがあることをお話しました。
また、高度の骨吸収があったり、歯肉が非常に薄い場合の対処方法として、
GBR法等の 骨の増大治療を行ったり、
歯肉結合組織移植を行ったり
する方法があることもお話しまた。

特に前歯部は審美性が重要視されるため、
インプラント治療にとって難しい部位になります。

難症例を治療するには、さまざまな対応(治療)があります。
しかし、こうした治療の中には
絶対的に行う必要性がある治療
行った方が良いだろう
という治療法もあります。
それは、様々な治療を行えば、それだけ、治療期間が長くなり、
患者様ご自身の負担も増えていきます。
そのため、術前にどれだけ、診断ができるかが、重要なポイントになります。

インプラント治療の研究はかなり進んできています。
インプラントの基本的なことは十分信頼できるレベルに達しています。
それは、インプラントの臨床応用期間や成功率からも立証されています。
今後は、現在のインプラントに付加的な治療法が加わることでしょう。
そしてさらに良いものになっていくでしょう。

しかし、術前に骨吸収が大きい場合には、やはり治療は困難になることでしょう。
今回のテーマである『審美的にインプラント治療は行えるのか?』ということの重要なこととして、
術前に高度に骨吸収を起こさないようにしておくことが最も大切であると思います。
高度の骨吸収があるということはやはり『難症例』であることに違いはなかいからです。
『難症例(骨吸収を起こす)』になる前にきちんとした対応ができるかどうかが一番大切なことです。
具体的なこととして、
1  歯周病を放置しないこと
2  歯根破折した場合にはそのまま放置しない
3  歯がない状態を長期間放置しない
4 進行した虫歯をそのままにしない
等 が挙げられます。
早期対応、早期治療が歯を残すための最も重要なことですし、難症例にならないポイントです。
これは、歯科以外の医科の分野においても大切なことです。
病状が進行(悪化)した段階での治療は困難を極めますし、場合によっては
“手遅れ”になることもあります。

もちろん 医者は“神様”ではありません。
どのような状態でも100%もとに戻せるわけではありません。
早めの対応が最も重要なことなのです。


次回のブログは1/14(月曜日)になります。
次回のテーマは『プラットホームスイッチング』です。
昨年インプラント界において最も話題になったことの一つですし、
今年も中心的な話になるでしょう。


今週(昨日)の手術報告

今週(昨日)の手術(インプラント埋入等)の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。

日々の臨床で、どのようなことを行っているか 知っていただきたいと思い 今年から始めました。

昨日、一昨日で、2件のインプラント埋入手術がありました。
特に難しいケースではありませんでしたが、
1件は、インプラントを義歯の安定に使用(利用)するケースでした。
今日は、この症例を紹介します。

治療部位は上顎です。

現在、上顎に1歯しか歯が残っていない方です。
その残っている1歯に義歯の金具をつけて入れ歯を安定させていたのですが、
唯一残っていた1歯もグラグラしてきたため、
もし、この歯が無くなったら…
義歯が安定せず、食事ができないかもしれない…

という不安があり、先を見越して、義歯を安定させるために、あらかじめ、インプラントを最小限の本数埋入する計画を立てました。

この方法は、歯が1歯もない方(総入れ歯)や歯が多数ない方(部分入れ歯)に行う治療法です。

通常、歯が1本もない場合、
完全固定式(元々歯があった状態まで回復できます)にするには、
6〜8本のインプラントを埋入し、ブリッジとします。
このような治療法を行うと、入れ歯ではなくなります。
非常良い治療法です。
しかし、インプラントの埋入本数が多くなるため、治療費がかかります。

そのため、 最小限のインプラント(2本)を埋入し、
そのインプラントを義歯の安定のために、利用する治療法
があります。
この治療を『アタッチメント義歯』と言います。

まず、2本のインプラントを埋込みます。
インプラントが骨と結合するまで、2〜3ヶ月待ちます。
もちろん手術直後から義歯は使用できます。
そして、義歯とインプラントが結合したら、
インプラントと義歯をつなぐアタッチメントという金具を装着します。
これにより義歯とインプラントは強固に固定されますので、
義歯が落ちてくるということはありません
また、固定が強いため義歯を非常に小さくできるという利点があります。

この場合の治療費ですが、
インプラントが1本21万円(税込)、
アタッチメントが1個52.500円(税込)ですので、
合計、525.000円(税込)かかります。


使用したインプラントは、
ストローマン・インプラント ( I.T.Iインプラント)

SLAタイプ  直径4.1mm 長さ10mmが2本でした。

麻酔方法は虫歯の治療で行うような普通の歯科麻酔です。
インプラントの埋入本数が少なかったり、
インプラント手術に際し、さほど不安がない方にはこうした簡単な麻酔方法でインプラント埋入を行います。
もし、インプラント治療に不安がある場合には
『静脈内鎮静法』
にて麻酔を行います。

骨の状態はかなり悪く、欠損状態(歯がなかった期間)が長かったため、
骨の吸収が起ってしまっていました。
歯がないと骨が吸収してしまう現象は以下をご覧下さい。
歯がないと顎の骨はどんどんと吸収していきます!

そのため、骨幅を増大させながらインプラントを埋入する
『スプリッティング法』
および
GBR法
を併用しました。
GBR法に使用した材料は 『自家骨』および、『人工骨』です。
使用した人工骨は 『β―TCP』 です。
β―TCPは完全に人工に生成された骨です。

また、 GBR膜 として吸収性『コラーゲン膜』を使用しました。

この患者様は高齢ということと、 GBR法を併用したということからインプラント埋入後の治癒(待つ期間)は、
若干長く、約4ヶ月です。
4ヶ月後には、インプラントと入れ歯を固定する アタッチメントが装着されますので、
快適な入れ歯となるでしょう。


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大船駅北口歯科インプラントセンターインプラント 歯周病 専門医

神奈川県横浜市にある 日本歯周病学会歯周病専門医 国際インプラント学会認定医の歯科医院
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