歯周病専門医サイトブログ

2017年5月の記事一覧
2017年5月29日

重度歯周病が治りにくい方の原因について:その4

2017年 5月29日(月曜日)です。

このブログは「大船駅北口歯科 歯周病専門サイト」です。

今日のテーマは、『重度歯周病が治りにくい方の原因について:その4』になります。

このところ講演のための資料作りで毎日おわれています。

先週は1日講演でしたのでかなりの量のスライドを作製しなければいけませんでしたので
ここ3ヶ月間はそのために毎日を費やしていました。

今週は木曜日、
来週も木曜日に
それぞれ講演があるのですが、同じ内容であればいいのですが、
まったく違う内容なので、
それぞれ講演スライドを作らないといけないので大変です。

さて今日も前回の続きです。

今日は根分岐部病変(こんぶんきぶびょうへん)と言う話です。

患者様に対して
ブログ等でこうした話をする先生はあまりいらっしゃらないかと思います。

なかなか患者様には分かりにくい話ですから

しかし、この後詳細に説明しますが、
根分岐部病変(こんぶんきぶびょうへん)がある状態は非常に悪くなりやすいのです。
そのため、根分岐部病変(こんぶんきぶびょうへん)が進行しないうちに治療を開始することが非常に大切です。

根分岐部病変(こんぶんきぶびょうへん)が進行すると
抜歯となる可能性が非常に高くなってしまいます。

早期発見、早期治療が必要なのが根分岐部病変(こんぶんきぶびょうへん)なのです。

それでは分岐部病変がどのような状態であるのかを見ていきましょう!
以下はレントゲン写真です。

歯には根があり、みなさんがお口の中に見えている部分は歯の一部であり、
歯冠と言います。
白く見えるのはエナメル質という部分です。

みなさんが見ることができない歯肉の中には、
歯根(しこん)があり、
その歯根は骨の中に埋まっているのです。

大根 や ニンジンが土の中に埋まっているのと同じです。

ここでみていただきたいのが先ほどのレントゲン写真で、
前歯と奥歯の根の数の違いです。

通常前歯は、1歯に1つの根があります。

それが奥歯では1歯に対して、2〜3の根が存在します。(4根ある場合も1根の場合もありますが)

実際に見てみましょう
以下の写真は奥歯です。
左側の歯は、上顎の奥歯です。
右側の歯は、下顎の歯です。

こんな形になっているのです。

でもなんとなく見たことがある方も多いかと思います。

歯周病は、歯周病細菌による感染症であり、
歯周病細菌感染することで、歯を支えている骨が吸収してきます。
以下の左側は正常な状態で
右側が骨吸収を起こした状態です。

実際のレントゲン写真で根分岐部病変を見ていきましょう。

まずは問題のない正常な状態です。
(根分岐部病変ではありません)

先にも説明しましたように歯には歯根があり、
それが骨の中に埋まっています。
矢印の部分は骨です。
レントゲン上では、骨は白く見えます。

以下のレントゲンは、歯根を黄色く線を引いた状態です。

歯根はこのような形をしています。

これが歯根です。

下の矢印部分が根分岐部です。

このレントゲンではこのケースは根分岐部病変にはなっていません。

以下が根分岐部病変です。

根の根の間の骨が吸収しているのが分かるかと思います。

これで根分岐部がどのような状態であるのかが分かったと思われます。

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2017年5月22日

重度歯周病が治りにくい方の原因について:その3

2017年 5月22日(月曜日)です。

このブログは「大船駅北口歯科 歯周病専門サイト」です。

今日のテーマは、
『重度歯周病が治りにくい方の原因について:その3』になります。

本日は「TCH」という話をしたいと思います。

上下顎の歯が接触する時間は、1日の中で20分以下と言われています。
通常 上下顎の歯が接触するのは、

物を噛む時(咀嚼(そしゃく))と

飲み込む時(嚥下(えんげ)) 、

会話時等に 瞬間的に触れるだけなのです。

それ以外の時間帯では、上下顎の歯が触れることは基本的にありません。

しかし、上記以外でも上下顎の歯が接触することがある場合があります。

その一つが 噛みしめ や 歯ぎしり 等の習癖です。

また、本を読んだり、パソコン 等 下を向く動作が多い方では、
上下顎の歯が自然に接触する機会が多くあります。

他にもスポーツ、車の運転、料理、洗髪、
「黙って集中して作業する行為」や
趣味に没頭する時 等でも
歯を接触させる機会があります。

さらに 緊張状態が続く方では、日常から歯を接触させる行為が続くことがあります。

上下顎の歯が触れない状態を「安静位」と言います。

本来 咀嚼時、嚥下時、会話 等で上下顎が瞬間的に触れる以外には、
この「安静位」を保つことが重要です。

例え 強く噛んでいなくても
上下顎の歯が触れると 口を閉じる筋肉(閉口筋)は働きます。

上下顎の歯が触れている間は、筋肉が働き続けるのです。

こうした歯の接触時間が長くなれば、なるほど筋肉は疲労してきます。

また、口を閉じる筋肉(閉口筋)が働くと、
顎の関節は上方に押さえつけられるので、顎関節の血流循環が悪くなります。

このことを例えると 
正座を長時間すると足がしびれることと同じようなことが起こっているのです。

こうした無意識中の歯の接触を
「TCH(Tooth Contacting Habit):歯列接触癖」と言います。

TCHは、東京医科歯科大学の木野先生らのグループが発表したことです。

東京医科歯科大学の顎関節治療部は、顎関節症で悩む患者さんが
年間2,000人以上来院する世界でも有数の顎関節治療医療機関であり、
長年の臨床研究から
多くの顎関節症状のある方にTCHの改善治療を行った結果、
非常に高い効果があったことが実証されています。

また、TCHが生じると 顎関節部に問題が起こるだけでなく、
歯は摩耗(歯がすり減る)し、
知覚過敏症が起こったり、
歯自体にダメージが加わりダメ(咬合性外傷)になったり、
神経のない歯では折れる(歯根破折)ことが起こりやすくなります。

食いしばり や 歯ぎしり 等 のことを専門用語で「ブラキシズム」と言います。

TCHも ブラキシズムの一種ですが、
食いしばりとの大きな違いは、噛む力の大きさ(強さ)と自覚の有無です。

最大咬合力の約70~80%の力で噛む(食いしばる)ことで
「噛んでいる」と自覚します。

通常 自覚のある 食いしばり の場合には、自覚した時点で噛むことを止めます。
また、筋肉自体も疲労するために、あまり長時間におよぶことはありません。

それに対してTCHは、単に歯が接触するだけですので、
噛む力の大きさ(強さ)は弱いです。
弱い力のために、自覚することが非常に少ないのです。

しかし、弱い力でも長時間作用すると顎関節部 や 歯 に問題が起こります。

こうした長時間の弱い力の方で問題が起こっている方が多いことが分かっています。

TCHの治療(改善方法)として、
認知行動療法を応用したリマインダー法
(TCHを行っているが確認する合図を設定する方法)が有効とされています。

治療方法については、患者様の症状によっても違ってきますので、
担当医にお聞きになって下さい。

臨床研究では、認知行動療法を応用したリマインダー法を行うことで、
数ヶ月から半年程度で多くの方でTCHが軽減してくるようです。

次回のブログでは実際の治療法について解説します。

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2017年5月15日

重度歯周病が治りにくい方の原因について:その2

2017年 5月15日(月曜日)です。

このブログは「大船駅北口歯科 歯周病専門サイト」です。

先週は福岡県で日本歯周病学会が開催され、
私やスタッフと一緒に参加してきました。

はやり学会は様々なことが得ることができ、とても刺激になります。
特に若い歯科医師 や 歯科衛生士にとっては、
単に情報を得るだけでなく、
多くの人と交流をすることで、得られることもいっぱいあります。

また学会で得られた知識をまとめて
院内で報告する予定です。

今日のテーマは、『重度歯周病が治りにくい方の原因について:その2』になります。

前回のブログのおさらいから始めます。

歯周病が進行している方に得意的な細菌が関与していることが分かっており、
以下の細菌は歯周病の進行にとって非常に大きく関与しています。

P.g. 菌 (Porphyromonas ginvalis)
T.d. 菌 (Treponema denticola)
T.f. 菌 (Tannerella forsythia)
A.a. 菌 (Aggregatibacter actinomycetemcomitans)

歯周病細菌は、親から子供へと感染する可能性が非常に高く、
親が進行した歯周病の場合、
子供へ伝播する可能性が高いです。

また子供に感染しても
子供が歯周病になりやすい体質の場合には
歯周病の発症が高くなります。

歯周病の感受性が高い状態です。

また世界的に重度歯周病の方の歯周病細菌と
日本人での歯周病細菌の状態には差があり、
日本人には得意的な細菌の種類が多いことも分かってきています。

P.g. 菌 (Porphyromonas ginvalis)です。

さらにP.g. 菌と言っても
いくつかのタイプがあり、
悪精度の高いP.g. 菌に感染した場合には、
進行が早いことも分かってきています。

さてここまでが前回の話でした。

歯周病の病状の進行として
歯を支えている骨が吸収することで
歯がグラグラとしてきます。

歯周病の進行と骨吸収を図で解説していきましょう。

まず歯周病の基本的な検査である
歯周ポケット検査から始めます。

歯周病の進行程度を知るために、必ず行うのが『歯周ポケット検査』です。
この検査なしでは、歯周病の進行状態を知ることはできません。

検査方法は簡単なものです。

歯と歯肉の間には、元々わずかな隙間(すきま)が存在します。
この隙間のことを『歯周ポケット』と言います。

健康な方では、この『歯周ポケット』の深さは約1~2ミリ程度です。
測定方法は、『プローブ』(写真1)と言われる細い器具を 歯周ポケットに入れて計測します。(図1、写真2)




歯周ポケットの深さが深ければ深いほど歯周病は進行しているということです。
その進行したポケットの中に歯周病菌がひそんでおり、歯肉を腫らすとともに、歯を支えている骨を溶かします。


ポケット(歯と歯肉の境の溝):1~3mm
歯肉が炎症を起こしており、歯ブラシにて出血することがあります。
しかし、歯を支えている骨は溶けておらず、歯肉のみの炎症です。
歯ブラシをしっかり行うことと、歯石を除去することで治ります。

正常な状態の骨の高さです。


ポケット(歯と歯肉の境の溝):3~4mm
歯肉の炎症が進み、歯を支えている骨の吸収が起こってきてます。
この段階であればきちんと治療を行えば、大きな問題にはなりません。
歯肉の下にある歯石を機械的に除去します。


ポケット(歯と歯肉の境の溝):5~6mm
歯を支えている骨もかなり溶け始めてきています。歯周病の専門の治療が必要です。
歯肉が腫れる、出血がある、歯がぐらぐらするといった症状もでる時期です


ポケット(歯と歯肉の境の溝):7mm以上
かなり進行した歯周病です。
歯を支えている骨の吸収もだいぶ進んでいます。
場合によっては抜歯となる可能性もあります。
歯周病の専門の治療が必要です。
歯はグラグラすることがあります。

それでは実際の症例写真をみていきましょう!
始めに健康な方の口腔内写真とレントゲンです。

次に歯周病が進行した方の口腔内写真とレントゲンです。


歯肉は退縮し、
レントゲンでは骨の吸収が認められます。

今日は歯周病の見方の話までになります。

次回さらに進めた話をしていきましょう。

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2017年5月10日

日本歯周病学会参加のため休診致します

5月12日(金曜日)、5月13日(土曜日)は、日本歯周病学会参加のため休診致します。
5月14日(日曜日)は通常通り診療致します。

休診中の予約は以下をご利用下さい。

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2017年5月8日

重度歯周病が治りにくい方の原因について

2017年 5月 8日(月曜日)です。

このブログは「大船駅北口歯科 歯周病専門サイト」です。

今日のテーマは、『重度歯周病が治りにくい方の原因について』になります。

歯周病になる原因にはいくつかのことが考えられます。

まず 歯周病細菌です。
歯周病細菌がいなければ歯周病にはなりません。
これは間違いないことです。

そのため、歯周病を一言で表すと
歯周病は、歯周病細菌による感染症と言えます。

ただし、この歯周病細菌といっても
口腔内には非常に多くの種類の歯周病細菌が存在しています。

その中でも悪性度の高い歯周病細菌に感染すると歯周病の進行が早くなります。

現在最も悪性度の高い歯周病細菌は以下とされています。

P.g. 菌 (Porphyromonas ginvalis)
T.d. 菌 (Treponema denticola)
T.f. 菌 (Tannerella forsythia)
A.a. 菌 (Aggregatibacter actinomycetemcomitans)

という細菌です。
その中でもA.a. 菌 は子供の頃に多くの場合 親から感染する可能性が高く、
父親、母親が歯周病が進行していた場合、
子供に感染する可能性が高くなります。

親が歯周病の場合、
子供もそれを引き継ぐ可能性高いので十分な注意が必要です。

具体的には、子供を小さいころから歯周病の専門医に受診させて
定期的な管理を行っていくことが必要であり、
痛みがない とか
腫れない とか
問題がないからといって歯周病が進行していないとは言えないので
定期的に管理をきちんと行い、
歯周病が発症していないかを確認することが大切であり、
もし、歯周病の発症が認められた場合には、早急の対応が必要になります。

また歯周病細菌を調べておくことも子供の歯周病発症リスクを判断するために有効な方法です。

さて先ほど歯周病細菌を4種類掲載しました。

欧米人 特にアフリカ系の人には、
A.a. 菌 (Aggregatibacter actinomycetemcomitans)の感染による
歯周病が多いことが分かっています。

医学の進歩により
遺伝子解析の結果
A.a.菌 の中でも JP2クローン 2400年前にアフリカ大陸で発生し拡散したことが分かっています。
そのため、アフリカ系の人にはA.a.菌 による歯周病(侵襲性歯周炎)が多いことが分かっています。

しかし、現時点では日本人には A.a.菌 JP2クローン はまだ発見されていません。

日本人で多いのが P.g. 菌 (Porphyromonas ginvalis)です。
そのため、日本人で歯周病が進行した方に対して歯周病細菌の検査を行うと
P.g. 菌 (Porphyromonas ginvalis)が多く検出されます。

ただし、 P.g. 菌 (Porphyromonas ginvalis)といっても
じつは健康な方からも検出されることが分かっています。

こうした研究もさらに進み、現在は
P.g. 菌 (Porphyromonas ginvalis)には5つのタイプがあり、
タイプ2の P.g. 菌 (Porphyromonas ginvalis)が悪性度が高いことも分かっています。

本日は歯周病細菌について説明しましたが、
歯周病が発症するにはいくつもも原因があるのです。

次回からはそうした歯周病細菌以外の話について解説します。

次回からは以下の図がテーマになります。

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