歯周病専門医サイトブログ

2011年6月13日

内科的歯周病治療:飲み薬(抗菌薬)による歯周病治療:その5

6/13(月曜日)です。

このブログは、歯周病に関するブログです。
毎週月曜日 にアップしています。

今日のテーマは、『内科的歯周病治療:飲み薬(抗菌薬)による歯周病治療その5』になります。

このシリーズも5回目になります。
1回目、2回目、3回目、4回目 を読まれていない方は是非先に以下のブログを見られて下さい。

1回目(5/16のブログ)

2回目(5/23のブログ)

3回目(5/30のブログ)

4回目(6/ 6のブログ)

このシリーズでは毎回始めに今までの内容を振り返っているのですが、
同様に過去のブログ内容を簡単に振り返ってみましょう!

内科的歯周病治療とは、通常の歯周病治療と並行して 歯周病細菌に対して効果のある薬(抗菌薬)を併用することにより、歯周病を治そうとする治療法です。(抗菌療法)
内科的歯周病治療(抗菌療法)は、通常の歯周病治療と比較して多くの研究論文で その効果が実証されています。

しかし、適切な時期に 適切な処方が行われないと 効果がないだけでなく、
薬剤耐性 が起こることがあったり、
(薬剤耐性とは、薬剤に対して抵抗性を持ち、これらの薬剤が効かない、あるいは 効きにくくなる現象のこと)
菌交代現象が起こる可能性があります。
(菌交代現象とは、抗生剤の長期投与等により正常細菌が減少し、通常では存在しない細菌や少数しか存在しない細菌が異常に増殖する現象のこと。)

内科的歯周病治療(抗菌療法)の適応症は、
通常の歯周病治療では治らないタイプの難治性歯周炎患者(広汎型重度歯周炎、広汎型侵襲性歯周炎) や 治療抵抗性患者 です。
通常の歯周病治療で十分治る範囲であれば、(抗菌療法)を行ってはいけません。
また、免疫力が低下している易感染性歯周病患者(重度糖尿病 患者様 等)、虚血性心疾患患者 ,
細菌性心内膜炎、大動脈弁膜症、チアノーゼ性先天性心疾患、人工弁、シャント術実施患者…の方
も適応症です。

ここまでが今までのまとめになります。

本日は、抗菌薬の服用は、どの時期から開始したら良いのか?
ということを解説したいと思います。

(抗菌療法)とは、歯周病治療 と並行して
歯周病細菌に効く抗生物質を一定期間服用する治療法です。

ただ、抗菌薬(抗生物質)を飲めば、歯周病が治るというものではありません。

難治性歯周炎に対して、歯周病治療 と並行して(抗菌療法)を行うことは、多くの研究論文でその効果が実証されています。
(抗菌療法)は、科学的根拠の高い治療と言えます。
しかし、どの時期に抗生物質を服用すれば、ベストであるかの研究論文は、効果を研究した論文と比較して少ないのが現状です。

現時点で推奨される(抗菌療法)の時期(タイミング)は、
歯周病初期治療(スケーリング ルートプレーニング) と同時 もしくは
歯周病初期治療(スケーリング ルートプレーニング) 直後となっています。

(抗菌療法)の目的は、
歯周病初期治療(スケーリング ルートプレーニング) では完全に除去できない 歯周病細菌や
歯周ポケット 内部に拡散した歯周病細菌叢を変えて臨床的改善をはかることです。

そのため、歯周病初期治療(スケーリング ルートプレーニング) と同時 もしくは
歯周病初期治療(スケーリング ルートプレーニング) 直後に(抗菌療法)が行われるのです。

参考研究論文
 Berglundh T et al . J Clin Periodontol.1998;25:354-62.
 Guerrero A et al . J Clin Periodontol.2005;32:1096-107.
 Ehmke B et al . J Periodontol.2005;76:749-59
 Rooney J et al . J Clin Periodontol.2002;29:342-50
 Winkel EG et al . J Clin Periodontol.1999;26:461-8

ただし、(抗菌療法)には、重要なポイントがあります。
ポイント1:口腔清掃が良好であること!
      簡単に言えば、歯磨きが適切にできていることが重要です。
      歯磨きが十分に行えていない患者様に(抗菌療法)を行っても効果は期待できません。
ポイント2歯周病治療 を短期間で終了させること!
      これは大きなポイントです。
      理想的には歯周病初期治療( ルートプレーニング) を1週間以内に終了させることです。
      日本の歯科医療では、これがなかなか難しいのが現状です。
      一般的に日本の保険診療で行われている歯周病初期治療(ルートプレーニング) は、
      1回に30分程度の時間をかけて3〜5歯程度を行うため、
      1週間に1回程度の治療間隔であれば、
      約6〜7回(欠損がなく28歯全てが存在している方の場合)かかることになります。
      こうした治療方法ではあまり推奨されません。
      できるかぎり、短期間に行うことが有効です。
      できれば、1回の治療範囲を10歯以上にし、
      1〜2回の短期間に終了させることが有効なのです。

次に どの程度の期間 抗菌薬(抗生物質)を飲めば良いのかという
期間的な解説です。
これは、非常に難しい話しなのです。
その理由として、さまざまな状況より変わってくるからです。
抗菌薬(抗生剤)の種類、
投与量、
感染に関与している細菌の種類、
歯周病の病状の程度
等により変わってくるからです。
効果と副作用を十分に考えて、服用(投与)期間を考えることが重要なのです。
一般的には、3日から7日が目安になります。
以下は各抗生剤による研究論文から得られた投与期間です。(一部のみ)

アモキシリン 7日間
  参考研究論文
  Rooney J et al .J Clin Periodontol.2002;29:342-50
 
アモキシリンとメトロニタゾールの混合 7〜14日間
  参考研究論文
  Guerrero A et al.J Clin Periodontol.2005;32(10):1096-107

アジスロマイシン 3〜5日間
  参考研究論文
  Haffajee AD et al.J Clin Periodontol.2007;34(3):243-53

日本では、薬剤認可の問題等があり、アジスロマイシンが使用されることが多いようです。


次回のブログは、6月20日(月)になります。
次回も抗菌療法の続きです。


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2011年6月6日

内科的歯周病治療:飲み薬(抗菌薬)による歯周病治療:その4

6/ 6(月曜日)です。

このブログは、歯周病に関するブログです。
毎週月曜日 にアップしています。

今日のテーマは、『内科的歯周病治療:飲み薬(抗菌薬)による歯周病治療その4』になります。

このシリーズも4回目になります。
1回目、2回目、3回目 を読まれていない方は是非先に以下のブログを見られて下さい。

1回目(5/16のブログ)

2回目(5/23のブログ)

3回目(5/30のブログ)


はじめて このシリーズを見られる方のために
前回と同様に過去のブログ内容を簡単に振り返ってみましょう!

内科的歯周病治療とは、通常の歯周病治療と並行して 歯周病細菌に対して効果のある薬(抗菌薬)を併用することにより、歯周病を治そうとする治療法です。(抗菌療法)
内科的歯周病治療(抗菌療法)は、通常の歯周病治療と比較して多くの研究論文で その効果が実証されています。

しかし、適切な時期に 適切な処方が行われないと 効果がないだけでなく、
薬剤耐性 が起こることがあったり、
(薬剤耐性とは、薬剤に対して抵抗性を持ち、これらの薬剤が効かない、あるいは 効きにくくなる現象のこと)
菌交代現象が起こる可能性があります。
(菌交代現象とは、抗生剤の長期投与等により正常細菌が減少し、通常では存在しない細菌や少数しか存在しない細菌が異常に増殖する現象のこと。)


そでは、どのような症例に対して内科的歯周病治療(抗菌療法)は効果があるのでしょうか?

通常の歯周病治療に内科的歯周病治療(抗菌療法)を併用すると 歯周病に効果があることが多くの研究により明らかになっています。
 参照文献: 
     Haffajee AD etal Ann Periodontol.2003;8(1):115-81.Review. 
     Herrera D etal J Clin Periodontol.2002;29(Suppl 3):136-59;dis-cussion 160-2.Review

通常の歯周病治療とは、スケーリング や ルートプレーニング と言われる治療のことです。
以下は模型を使用してルートプレーニング を行っているところです。


通常の歯周病治療と内科的歯周病治療(抗菌療法)を併用する理由として、歯周病は感染症 であることから、通常の歯周病治療では反応が悪い症例に対して応用されてきました。

ここで重要なポイントが通常の歯周病治療では反応が悪い症例ということです。
先に説明しました通常の歯周病治療(ルートプレーニング )で治るような症例には、使用しないということです。
あくまで 通常の歯周病治療では治らない(反応が悪い)ようなケースに対して使用する治療です。

通常の歯周病治療で十分治る範囲の歯周病であった場合には、内科的歯周病治療(抗菌療法)を行ってはいけません。

また、内科的歯周病治療(抗菌療法)はあくまでも 歯周病治療 と併用して使用することが必須です。

薬を飲めば、歯周病が治るわけではありません。

インターネット等で
「歯周病は薬で治る!」
というような 過大広告を見ることがあります。

簡単な治療は、治療を受ける患者様にとっては 非常に魅力的な方法です。
しかし、魔法のような治療はありません。

もちろん 内科的歯周病治療(抗菌療法)は、科学的にきちんとした根拠がある治療であり、その適応症さえ きちんと守れば、歯周病を効果的に治すことが可能な方法です。
しかし、そうした適応症をきちんと守らないために、治療を受けられた患者様に不利益を生じることがあります。

これは、治療を行う歯科医師側にも問題があるのです。

例えば、本当は十分 通常の歯周病治療 で十分 治る範囲の歯周病であったとします。
しかし、歯科医師の勧めるままに 内科的歯周病治療(抗菌療法)が行われるケースがあるとします。(宣伝広告として 抗菌療法を全面に勧めている歯科医師がいるのも事実です)
もちろん 通常の歯周病治療 も行われることが前提です。
結果的に言えば、歯周病は治ります。
治療を受けた患者様は、
「歯周病が治った!」と感じますし、 抗菌療法が効果があったと感じるかもしれません。
しかし、もともと通常の歯周病治療 で十分治る範囲であったのですから
抗菌療法に意味があったわけではありません。

抗菌療法の最大の欠点は、何度も説明していますが、
薬剤耐性 が起こったり、
菌交代現象が起こる可能性があるからです。

*薬剤耐性とは、薬剤に対して抵抗性を持ち、
 これらの薬剤が効かない、あるいは 効きにくくなる現象のこと
*菌交代現象とは、抗生剤の長期投与等により正常細菌が減少し、
 通常では存在しない細菌や少数しか存在しない細菌が異常に増殖する現象のこと。


内科的歯周病治療(抗菌療法)の適応症は、
難治性歯周炎患者(広汎型重度歯周炎、広汎型侵襲性歯周炎) や 治療抵抗性患者 です。
また、免疫力が低下している易感染性歯周病患者(重度糖尿病 患者様 等)、虚血性心疾患患者 ,
細菌性心内膜炎、大動脈弁膜症、チアノーゼ性先天性心疾患、人工弁、シャント術実施患者…の方
も適応症と言えます。


次回のブログは、6月13日(月)になります。
次回のブログも本日の続きです。
次回は、内科的歯周病治療(抗菌療法)を行う場合、
「いつから抗菌薬を飲めば良いのか?」
「どれくらいの期間飲めば良いのか?」
等 抗菌薬の使用方法について解説します。



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2011年5月30日

内科的歯周病治療:飲み薬(抗菌薬)による歯周病治療:その3

5/30(月曜日)です。

このブログは、歯周病に関するブログです。
毎週月曜日 にアップしています。

今日のテーマは、『内科的歯周病治療:飲み薬(抗菌薬)による歯周病治療その3』になります。

このシリーズも3回目になります。
1回目、2回目を読まれていない方は是非先に以下のブログを見られて下さい。

1回目(5/16のブログ)

2回目(5/23のブログ)


前回と同様に過去2回のブログ内容を簡単に振り返ってみましょう!

内科的歯周病治療とは、通常の歯周病治療と並行して 歯周病細菌に対して効果のある薬(抗菌薬)を併用することにより、歯周病を治そうとする治療法です。(抗菌療法)
内科的歯周病治療(抗菌療法)は、通常の歯周病治療と比較して多くの研究論文で その効果が実証されています。

適切な時期に 適切な処方が行われないと 効果がないだけでなく、
以下のようなことが起こる可能性があります。

1. 薬剤耐性(薬剤に対して抵抗性を持ち、これらの薬剤が効かない、
  あるいは 効きにくくなる現象のこと)が起こることがある!
  耐性菌については、以下のページを参考にして下さい。
    抗生剤と耐性菌の話し
 
2. 薬物アレルギーが起こる可能性がある!

3. 他の服用している薬との相互作用がある!
  例えば、ワルファリン(抗血栓薬)を服用されている方が
  ペニシリン系の抗生剤を服用すると作用を増強します。

4. 菌交代現象が起こる可能性がある!
  菌交代現象とは、抗生剤の長期投与等により正常細菌が減少し、
  通常では存在しない細菌や少数しか存在しない細菌が異常に増殖する現象のこと。

上記の中でも特に
薬剤耐性(耐性菌の出現)
菌交代現象
について考慮をしていかないと単に薬(抗生剤)を服用しただけでは、効果がないだけでなく
さまざまな問題を引き起こしてしまいます。

ここまでがおさらいです。

さて本日の内容です。
内科的歯周病治療(抗菌療法)には、日本国内で一般的に行われてる方法として以下の2つがあります。
1つ目は、抗菌薬の内服です。
いわゆる抗生剤を服用することです。
2つ目は、歯周ポケット 内部に抗菌薬を注入する方法です。

今回のテーマの話しは、1番目の抗菌薬の内服ですが、
まず先に2番目の歯周ポケット 内部への抗菌薬注入についてから始めたいと思います。
メインの抗菌薬の内服については次回以降のテーマで解説します。

歯周病が発症するためには、細菌(歯周病細菌)の存在があります。
歯周病細菌が、歯周ポケット 内部に存在することにより、
歯肉が腫れたり、歯を支えている骨が吸収します

以下の図が歯周ポケット です。
kensa_03

この歯周ポケット内部で細菌が増殖すると歯肉が腫れてきます。

歯周ポケット内部への 抗菌療法として、
日本では、「2%塩酸ミノサイクリン歯科用軟膏」という薬剤が多く使用されています。
「2%塩酸ミノサイクリン歯科用軟膏」は、軟膏であるため、細い注射器のよなものを使用して歯周ポケット 内部へ注入して使用します。
単に薬を入れるだけですので、非常に簡単な治療法です。
こうした話しを聞くと
「薬を入れるだけで歯周病が治る!?」
と勘違いされる場合があります。

本日は、「2%塩酸ミノサイクリン歯科用軟膏」歯周ポケット 内部へ注入の効果について解説します。

まず、歯肉が急激的に腫れているような方に対して
「2%塩酸ミノサイクリン歯科用軟膏」歯周ポケット 内部へ注入が効果があるのか?
ということから解説します。
日本歯周病学会で報告された研究(論文)によると
歯周病の急性症状を起こした歯周ポケット 「2%塩酸ミノサイクリン歯科用軟膏」を注入した場合、歯肉の炎症の改善と歯周ポケット内の細菌の減少が認められ、有効な治療法であると考えられます。
(梅田 他 日本歯周病学会会誌.1999;41:436-49、野口 他 日本歯周病学会会誌.1995;37:725-36 等)

次に
軽度歯周病、
中程度歯周病、
重度歯周病
の方に歯周ポケット 「2%塩酸ミノサイクリン歯科用軟膏」を注入した場合に効果があるのか?
という話しをしたいと思います。

軽度歯周病であった場合には、「2%塩酸ミノサイクリン歯科用軟膏」を使用しなくても 通常の治療と徹底した歯磨きで十分改善するため、使用する科学的根拠はありません。
逆に薬剤耐性(耐性菌) を引き起こす可能性があります。
軽度の場合には、使用しない方が良いでしょう。

しかし、中程度以上の歯周病の場合には、歯周病治療と並行して使用することにより、細菌数の減少が認められることが多くの研究報告(論文)されています。
(上田 他日本歯周病学会会誌.1992;34(3):695-700、栗本 他 日本歯周病学会会誌.1988;30(1):191-205 等)

しかし、歯周ポケット 「2%塩酸ミノサイクリン歯科用軟膏」を注入しただけで、細菌が死滅するのではありません。
歯周病が治るものでもありません。
基本は歯周病治療 を行うことを前提としています。

そのため、
「薬を入れるだけで歯周病が治る!?」
というのは誤った考え方ということです。
「2%塩酸ミノサイクリン歯科用軟膏」は、細菌の数は減少しますが、
死滅するわけではありませんので、
残った細菌があれば 再度増殖を始めます。

また、「2%塩酸ミノサイクリン歯科用軟膏」歯周ポケット への注入は、一般的に1週間に1回、4週間にわたり行うことが有効であるとされています。
しかし、現実的には、歯周ポケット 内に注入した「2%塩酸ミノサイクリン歯科用軟膏」の効果(MIC:最小発育阻止濃度)は、3〜5日程度とされています。

確しかに中程度以上の歯周病であった場合には、歯周病治療を行うとともに
「2%塩酸ミノサイクリン歯科用軟膏」歯周ポケット への注入は効果があります。

しかし、長期的な使用は
薬剤耐性(耐性菌)
菌交代減少を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

また、あくまで歯周病治療 を行うことが前提であり、
「2%塩酸ミノサイクリン歯科用軟膏」単独で歯周病が治るものではありません。
(石川 他 日本歯科保存学会雑誌.1988;31(2):636-48、栗本 他 日本歯周病学会雑誌.1987;(29)3:930-6 他)

当医院では、出血等の炎症が強い場合で 歯周病治療を行うことを前提とした場合に 炎症消退を目的として使用することがあります。
しかし、薬剤耐性(耐性菌) を助長するリスクがあるため、「2%塩酸ミノサイクリン歯科用軟膏」を繰り返し使用することの科学的根拠は得られていないのが現状です。

適応症をきちんと守ることが重要なのです。

今日は、非常に難しい話しになってしまいましたが、
薬剤を使用する場合には、きちんとした根拠を十分分かった上で使用することが必要なのです。

次回は、今回のメインテーマである
内科的歯周病治療(抗菌療法)について解説します。

次回のブログは、6月 6日(月)になります。



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2011年5月23日

内科的歯周病治療:飲み薬(抗菌薬)による歯周病治療:その2

5/23(月曜日)です。

このブログは、歯周病に関するブログです。
毎週月曜日 にアップしています。

今日のテーマは、『内科的歯周病治療:飲み薬(抗菌薬)による歯周病治療:その2』になります。

前回のブログを読まれていない方は、是非前回のブログ(5/16:月)を読まれて下さい。

まず、前回のブログの内容を簡単に振り返ってみましょう!

内科的歯周病治療とは、通常の歯周病治療と並行して 歯周病細菌に対して効果のある薬(抗菌薬)を併用することにより、歯周病を治そうとする治療法です。(抗菌療法)
内科的歯周病治療(抗菌療法)は、通常の歯周病治療と比較して多くの研究論文で その効果が実証されています。

本日から内科的歯周病治療(抗菌療法)についてをQ&A(質問と回答形式)で解説します。

まず 内科的歯周病治療(抗菌療法)は、どのような患者様に対して行うと有効なのか?
という内容から始めます。

疑問:1 
 内科的歯周病治療(抗菌療法)は どのような歯周病患者様に対しても
 効果があるのでしょうか?

回答:1
 通常の歯周病治療で効果が十分認められると判断されるような場合には、
 内科的歯周病治療(抗菌療法)を行ってはいけません。
 どのような歯周病でも内科的歯周病治療(抗菌療法)を行ったからといっ
 て効果があるのではありません。
 科学的根拠のない治療は行ってはいけません。
 以下のような患者様に対して抗菌療法を行うかの検討をします。

a. 通常の歯周病治療を行っても改善が認められない方
 (ただし、歯磨きが十分にできていることが前提です)

b. 年齢に対して歯周病が非常に進行している方
 (広汎型重度歯周炎、広汎型侵襲性歯周炎)

c. 全身的病気(血糖値不良の糖尿病、免疫機能低下患者、虚血性心疾患…)を
 有する中程度以上の歯周病の方

  上記の( )内のような 生体防御機能が低下する 基礎疾患を有する患者様においては、
  抗菌療法を行うことにより単に歯周ポケット内の細菌を減少させることだけでなく、
  菌血症防止に効果があり
  全身および 他臓器への悪影響を減少させることができます。
  以下は菌血症の説明です。
    歯科治療における菌血症とは、
    汚れ(細菌)が歯周病治療(抜歯 等の他の歯科治療でも起こります)
    を行うことにより、身体の中(血管内)に侵入することを言います。 
    歯周ポケット 内部(歯肉の内部)には当然のことですが、血管が存在
    します。
    特に歯周病で歯肉が腫れている方は出血が起こっていることが多いため、
    歯周ポケット 内部に存在する汚れ(歯石)と血管が触れているこ
    とになります。
    他の言い方をすれば、汚れ(歯周病細菌)が血管に触れている状態と
    いってもいいでしょう。
    こうした汚れ(細菌)が一時的に血管内部に侵入することを菌血症
    言います。
    特に 歯周病治療 等の歯科治療を行うとこうした菌血症が起こることが
    報告されています。
    歯周病治療の基本的な治療であるルートプレーニング では、
    報告に差はありますが、8〜79%の確立
    で菌血症が生じると報告されています。
    事実ルートプレーニング を行った後(6分後)に採血して調べると血
    液中から歯周病細菌が発見されることが報告されています。
    しかし、このような菌血症は、健康な方であれば1時間もしないう 
    ちにいなくなるため、問題となることはありません。
    そのため、さほどご心配になることはないのです。
    しかし、注意が必要な方もいらっしゃいます。
    それが 上記に記載した 心疾患の方 や 糖尿病の方など 全身的にご病気を持っていられ 
    る方や 抵抗力が低下している方です。

d. 細菌性心内膜炎、大動脈弁膜症、チアノーゼ性先天性心疾患、人工弁、
 シャント術実施患者…の方

  上記のような方は、歯周病治療を行う上で最もリスクが高い患者様と言えます。
  上記の疾患等を 有する患者様は、歯周病治療において菌血症を起こす可能性が高いため、
  抗菌療法の対象と言えます。
  このことは、米国心臓病学会のガイドライン(AHA2007ガイドライン)でも
  明確に指摘されています。


今日は、だいぶ難しい話しになりました。
次回も内科的歯周病治療(抗菌療法)についてをQ&A(質問と回答形式)で解説します。
お楽しみに!

次回のブログは、5月30日(月)になります。



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2011年5月16日

内科的歯周病治療:飲み薬(抗菌薬)による歯周病治療:その1

5/16(月曜日)です。

このブログは、歯周病に関するブログです。
毎週月曜日 にアップしています。

今日のテーマは、『内科的歯周病治療:飲み薬(抗菌薬)による歯周病治療』になります。

この話しはとても面白い話しです。
何回かのシリーズで解説したいと思います。
本日は最初なので、
「内科的歯周病治療:飲み薬(抗菌薬)による歯周病治療とはなにか?」
という話しから始めたいと思います。

 内科的歯周病治療とは、通常の歯周病治療と並行して 歯周病細菌に対して効果のある薬(抗菌薬)を併用することにより、歯周病を治そうとする治療法です。(抗菌療法)
内科的歯周病治療(抗菌療法)は、通常の歯周病治療と比較して多くの研究論文で その効果が実証されています。

しかし、以下のようなことをきちんと分かっていないと
「薬を飲めば 歯周病は治る!」
という誤った知識 や 治療法になってしまいます。

まず 内科的歯周病治療(抗菌療法)は治療を受けられる患者様にとって
「飲み薬を飲むだけで歯周病が治る!」
といった誤解を生んでいる ということです。

次に 使用する歯科医師側にも問題があり、きちんとした適応症を守らずに使用されていることがあります。

適切な時期に 適切な処方が行われないと 効果がないだけでなく、
以下のようなことが起こる可能性があります。

1. 薬剤耐性(薬剤に対して抵抗性を持ち、これらの薬剤が効かない、
  あるいは 効きにくくなる現象のこと)が起こることがある!
  耐性菌については、以下のページを参考にして下さい。
    抗生剤と耐性菌の話し
 
2. 薬物アレルギーが起こる可能性がある!

3. 他の服用している薬との相互作用がある!
  例えば、ワルファリン(抗血栓薬)を服用されている方が
  ペニシリン系の抗生剤を服用すると作用を増強します。

4. 菌交代現象が起こる可能性がある!
  菌交代現象とは、抗生剤の長期投与等により正常細菌が減少し、
  通常では存在しない細菌や少数しか存在しない細菌が異常に増殖する現象のこと。

上記の中でも特に
薬剤耐性(耐性菌の出現)
菌交代現象
について考慮をしていかないと単に薬(抗生剤)を服用しただけでは、効果がないだけでなく
さまざまな問題を引き起こしてしまいます。

そのため 次回からは、治療を受ける患者様にとって有益な治療となるための情報として
科学的根拠に基づく 内科的歯周病治療(抗菌療法)を明確にしていきたいと思います。(Q & A 形式)


次回のブログは、5月23日(月)になります。



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2011年5月9日

歯がしみるのは、歯周病?:その2

10/19(月曜日)です。

このブログは、歯周病に関するブログです。
毎週月曜日 にアップしています。

今日のテーマは、『歯がしみるのは、歯周病?:その2』になります。

前回の歯周病ブログでは、
歯周病になると なぜ歯がしみるのか?
という話しをしました。
また、歯が虫歯でないのに歯がしみることを
知覚過敏症ということを説明しました。
本日は、知覚過敏症の 治療方法 や 予防方法 についてです。

知覚過敏の治療方法ですが、
知覚過敏の薬を歯の根に塗ります
それでは、薬を塗れば、治るかと言いますと
状況にもより違いますが、完全に治らないケースもあります。

前回のブログで
知覚過敏が起る原因として、歯肉が退縮し、歯の根の表面にある
『象牙細管』という非常に細い管が露出することを説明しました。
この『象牙細管』は、歯の表面に無数に存在します。

知覚過敏の薬には、さまざまな種類がありますが、基本的な作用として、
この『象牙細管』の中に 薬が入り込み、細い管を封鎖するのです。

しかし、『象牙細管』の穴は無数にあるので、全てを封鎖させることはできません。

また、一度封鎖したとしても、取れてしまうこともあります。
特にブラッシング圧が強い方の場合、歯ブラシで 歯の根を擦ることにより
『象牙細管』に詰めた薬が 取れてしまうのです。

また、『象牙細管』を薬により封鎖できたとしても、
知覚過敏により 神経に刺激が伝わり過ぎた場合には、神経自体に炎症が生じてしまいます。
こうなると いくら『象牙細管』を封鎖しても 内部の神経が炎症を起こしているので 薬の効果はありません。

また、知覚過敏を防止する他の方法には、薬局等で市販されている『知覚過敏防止歯磨き剤』を使用することも有効なことです。
症状によっては、この歯磨き剤で治ることもかなりあります。

次に 知覚過敏症の予防方法についてです。

知覚過敏を悪化させないために、以下のことを注意することが大切です。
まず、ブラッシングの圧力です。
歯を一生懸命磨こうと思い、強い力で“ゴシゴシ ”と擦ると
歯の根の表面も削れてしまいます。
歯の根が削れると、『象牙細管』がさらに露出し、しみるのが強くなってしまいます。
また、硬い歯ブラシを使用しても同様なことが起ります。

また、噛み合わせが強い方も知覚過敏が起りやすいのです。
この話はちょっと難しい話にはなります。
見えている歯の表面は、『エナメル質』という硬い組織で被われています。
また、歯肉の中にある根の表面を『セメント質』と言います。
そして、『エナメル質』『セメント質』の境目を『エナメル・セメント境』と言います。
『エナメル・セメント境』は、『エナメル質』『セメント質』という違う組織の境目であるため、脆くなっています。
噛む力が強い方は、この『エナメル・セメント境』に負担がかかりやすいのです。
『エナメル・セメント境』に負担が加わると、亀裂が入り、割れてきます。
『エナメル・セメント境』が崩壊するのです。
このことを専門用語で『デンタル・コンプレッション・シンドローム』と言います。
『エナメル・セメント境』が壊れると『象牙細管』が露出してきます。
これにより知覚過敏が生じやすくなるのです。
『デンタル・コンプレッション・シンドローム』を防止するためには、
『ナイトガード』と言われるマウスピースを装着することが有効です。

次回のブログは、5月16日(月)になります。



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2011年5月2日

歯がしみるのは、歯周病?

5/ 2(月曜日)です。

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今日のテーマは、『歯がしみるのは、歯周病?』になります。

冷たい飲み物 等でしみる方は非常に多くいらっしゃいます。
本日のテーマは 歯がしみるのは、歯周病? ですが、
しみるのと 歯周病 には関係があるのでしょうか?

実は非常に関係があるのです。

歯周病は感染症 です。
一般的な歯周病では、歯磨きがきちんとできないと
歯周ポケット という歯と歯の間(隙間)から汚れ(歯周病細菌)が入り込み
歯周ポケット 内部で歯周病細菌が繁殖します。
この感染が原因により 歯の周囲組織(歯肉 や 骨 等)を破壊します。
これが、骨吸収なのです。
shimiru_01

実際のレントゲンで見てみましょう!
以下のレントゲンは歯周病の方のレントゲンです。
スライド1

骨吸収が非常に高度に起こっているのですが、
レントゲンを見慣れていないと分かりづらいので
骨吸収部位を線で書いてみましょう!

以下の赤線は、現在の骨吸収の状態を表したものです。
スライド2

次に 骨吸収を起こす前の状態を青線で表します。
スライド3

両方の線を合わせたのが以下のレントゲンになります。
スライド4

骨吸収を起こす前の元々の状態が青線
現在の骨吸収が起こった状態が赤線です。
いかに骨吸収が起こっているのが分かるかと思います。
さらに骨吸収を分かりやすくするために骨吸収した部分を赤色の領域で表します。
スライド5


それでは、骨吸収 と 歯がしみる のはどのような関係があるのでしょうか?
骨吸収が起こると それに伴い 歯肉も退縮するのです。
本日の最初でお見せした以下の図です。
shimiru_01

上記の 左の図 と 右の図 では、
歯周病が起こると骨吸収と歯肉の退縮が起こっているのが分かると思います。
ここで歯の構図を見てみましょう!
スライド2

以下の○の部分のみを拡大して見てみましょう!
スライド3

拡大したのが以下の図です。
スライド4

この象牙質は本来 歯肉の中に埋まっている部分です。
しかし、骨吸収が起こると
先に説明しましたように 歯肉の退縮が起こります。
歯肉た退縮すると 本来歯肉の中に隠れていた根(象牙質)が露出します。
この象牙質をよく見ると 緑色の線が見えます。
(実際は緑色ではありませんが、分かりやすくするために色を付けてます)
この緑色の細い管(線)を象牙細管と言います。
この 象牙細管の線の先には神経があるのです。

つまり、こういうことです。
歯周病になると骨吸収が起こります。
骨吸収が起こると歯肉も退縮します。
歯肉の退縮が起こると 本来歯肉の中にあった根(象牙質)が見えてきます(露出)。
象牙細管が露出するのです。
この象牙細管に水 や 風 が当たると
刺激が伝わり、神経が過敏になり しみるのです。
これを知覚過敏症(ちかくかびんしょう)と言います。

大雑把に言えば、
急に服を脱いだために 寒くなった ということです。

何となく歯周病 と 知覚過敏症 の関係が分かってきたと思います。

次回のブログでは 知覚過敏症の治療方法 等について解説します。

次回のブログは、5月9日(月)になります。



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2011年5月2日

本日のブログは夜アップします

5/ 2(月曜日)です。

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本日のブログは夜アップします。
遅くなりますが、よろしくお願い致します。

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2011年4月25日

歯周病予防薬:クロルヘキシジン

4/25(月曜日)です。

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今日のテーマは、『歯周病予防薬:クロルヘキシジン』になります。

当医院を受診される患者様には、非常に進行した歯周病の方が多くいらっしゃいます。
重度歯周病の方です。
そうした患者様から よくあるご質問が以下のようなことです。
「歯周病に効果のある薬はありますか?」
「歯周病を治す薬を下さい!」
「歯周病に効果があると書いてある ○○○ という歯磨き剤を使用してるのですが、
 本当に効果があるのですか?」

こうした ご質問は私が歯科医師として働き始めた20年ほど前から
づっとあります。
先週来院された 歯周病患者様からも 同様のご質問がありました。

そこで 本日のブログは、以前にも解説したことがある内容ですが、
歯周病予防薬について解説します。

この話しは、前回のブログでも少し話しが出てきた内容です。
グルコン酸クロルヘキシジン含嗽剤のことです。
(前回と前々回のブログも参考にして下さいね)
グルコン酸クロルヘキシジン含嗽剤科学的根拠のある唯一の歯周病予防薬といってもいいでしょう!

この科学的根拠のあるグルコン酸クロルヘキシジン含嗽剤
他の 効果があると宣伝(?)している歯周病に効果がある歯磨き粉(剤)
デンタルリンス(マウスヴォッシュ)
とは 違いがあるのでしょうか?

歯周病に効果があると宣伝している歯磨き粉(剤)デンタルリンス(マウスヴォッシュ)は 本当に効果があるのでしょうか?
歯周病は治るのでしょうか?
答えとしては、歯周病の予防には効果がある可能性があります。
あくまで可能性です。
予防です。
しかし、歯周病が治ることはありません。
歯周病に効果があると宣伝している歯磨き粉(剤)や デンタルリンスでは、歯周病は治りません!!
これは、歯周病の成り立ちを考えればご理解できます。

まずは、「歯周病はどのようにしてなるのか?」
という話しをしたいと思います。
重要なポイントです。

歯周病の原因は、『歯』と『歯肉の境目』に付着した汚れ(食べかす)がその境目の内部に侵入することから始まります。
この『歯』と『歯肉の境目』のことを専門用語で
『歯周ポケット』と言います。

まず 歯周ポケットについて解説します。
歯周ポケットの測定方法は、『プローブ』(写真1)と言われる細い器具を 歯周ポケットに入れて計測します。(図1、写真2)
inspection1

この歯周病ポケット内部に侵入した汚れを取り除くことが 歯周病の治療です。

歯周病の治療の中でも最も一般的に行われるのが、ルートプレーニング です。
これは、歯肉の中に「キュレット」と言われる器具を挿入し、
内部の汚れ(歯石 等)を取り除く治療です。
以下の図はルートプレーニング を行っているところです。
スライド1

歯周病のなると歯と歯肉の境目(歯周ポケット )に 汚れ(食べかす)が入り込みます。
歯肉の深い中に汚れ(歯石)が入り込むのです。
この歯肉の中に存在する歯石を見てみましょう!
以下の写真が歯肉の内部に入った汚れ(歯石)です。
この黒っぽいものが 歯石 なのです。
スライド1

こんなものが歯肉の中に溜まっているのです。

この歯石を取り除くことは非常に難しいのです。
私達歯周病専門医 が行っても 完璧に歯肉の中深くまで侵入した歯石を取り除くことは困難です。
実際に模型でルートプレーニング を行っている動画(21秒)がありますので、ご覧になって下さい。


以下の動画は、分かりやすくするために 抜歯した歯で歯石を取り除いている動画(55秒)です。


前置きが長くなってしまいましたが、こうした歯石が 歯周病の効果があるとされる歯磨き剤を使用したからといって取れると思いますか?
絶対に取れません!

また、『歯周ポケット内部(深く)にまで届く、毛先の細い歯ブラシ』というコマーシャルもあります。
これはどうでしょうか?
答えとしては、そのような歯ブラシを使用しても歯周ポケット内部に侵入した歯石を取り除くことは不可能です。
逆に歯周ポケット内部を傷つけてしまう可能性があります。

私達 歯周病専門医 から言えば、歯周ポケット内部(深く)にまで歯ブラシを届かせる必要性はありません。
歯周ポケット内部の汚れを取り除く行為は 歯科医師の仕事です。
患者様は、歯肉の上(歯周ポケットの上)についている汚れを取りのいていただくのが役目です。
この歯周ポケット上部の汚れを歯ブラシで取り除くことだけで十分です。
しかし、現実的に歯周ポケット上部の汚れを歯ブラシで取り除くこと自体も大変なことです。
かなりの努力が必要です。
現実問題として、100%近く歯ブラシができる患者様は、ほとんどいません。
10人いれば、1人いれば良いほどです。
ほとんどの患者様は、歯肉の上に存在する汚れさえ、取り除くことができていないのが現状です。
でも、ほとんどの方は
「100%とは言わないが、だいたいできているだろう!」
と思っています。
現実と理想のギャップはほど遠いです。
患者様には、この歯周ポケットの上部の汚れを取っていただくだけで十分です。
このことに集中していただきたいのです。

さて話しは、本日のテーマである「歯周病予防薬」に戻ります。
歯周病予防薬としてきちんとした科学的データ(根拠)があるのは
『グルコン酸クロルヘキシジン』
という薬剤です。
学術的論文として、
『0.36%以上のグルコン酸クロルヘキシジンは歯周病予防に対して効果があります』
ただし、上記以下の濃度の場合には、その効果は減少します。
これは きちんとした科学的根拠のあるデータです。
しかし、これはあくまでも
「予防」です。
0.36%以上のグルコン酸クロルヘキシジン』を使用しても
進行した歯周病が治ることはありません。
「予防」です。

現在 進行した歯周病が治るような科学的根拠のある「薬」はありません。
しかし、多くの患者様は、薬局で販売されているような
歯周病予防歯磨き剤 や マウスウオッシュ を効果があるものとしてご使用されています。
こうした薬剤等を決して使用してはいけない とは言いません。
あくまで「予防薬?」の一つとしてご使用していただきたいのです。

問題なのは、こうした 市販されているものに頼り切ってしまうことです。
本来であれば、通常の歯周病治療で十分治るはずが、
市販の「予防薬?」に頼った結果、
歯周病を悪化させたり、することがあります。

なにが効果があって、
なにが効果がないのか?
現在の歯周病の状態でなにをすることが必要なのか?
を十分ご理解することが一番大切なのです。


次回のブログは、5月 2日(月)になります。


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2011年4月18日

Full Mouth Disinfection:歯周病細菌除去療法 その2

4/18(月曜日)です。

このブログは、歯周病に関するブログです。
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今日のテーマは、『Full Mouth Disinfection:歯周病細菌除去療法 その2』になります。

前回と前々回のブログを読まれていない方は、是非先に過去2週のブログをご覧になって下さい。

    •4/4のブログ(歯周病治療と菌血症)

    •4/11のブログ(Full Mouth Disinfection:歯周病細菌除去療法 その1)

前回のブログでは、
歯周ポケット
ルートプレーニング(歯周病細菌除去療法)
について解説しました。

このルートプレーニング(歯周病細菌除去療法) の進め方として
1回の治療で4〜7歯程度を行うため、
口腔内全体が歯周病の場合には 治療回数は4〜6回になります。
通常、『SRP:スケーリング・ルートプレーニング』は、1週間に1〜2回程度行うペースが最適です。
もし、これが、1ヶ月に1回というようなペースで行った場合には、問題が生じる可能性があります。

つまり、『SRP:スケーリング・ルートプレーニング』によって歯肉の内部がきれいになった(除菌)されたとしても、
他の部位がまだ汚れていれば、『SRP:スケーリング・ルートプレーニング』した部位にも 再度新たな感染が生じてしまう可能性があります。
ある程度短期間で行う必要性があることが『SRP:スケーリング・ルートプレーニング』にとって重要なのです。
これが欠点でもあります。

ここまでが前回のブログの話しです。

本日の話しを始めます。
そこで、1日で 全ての歯周病に感染した歯に対してルートプレーニング(SRP、スケーリング・ルートプレーニング、歯周病細菌除去療法) を行えば、新たな感染を生じないという考え方が このテーマである
『フルマウスSRP法』です。
また、『Full Mouth Disinfection』とも言います。
『フルマウス(Full Mouth)』とは『口腔内全体』という意味で、
『Disinfection』とは『殺菌』という意味です。
口腔内全体を 1日で殺菌しましょうということです。
理論的には優れた治療法です。

しかし、現実的な問題点として 治療時間があります。
先程書きましたように7歯程度のルートプレーニング(SRP、スケーリング・ルートプレーニング、歯周病細菌除去療法) で約30〜60分の治療時間がかかるわけですから、
口腔内全ての歯を行うとすると 120〜240分かかることになります。

こんなに長時間は口を開けていられませんよね!

ただし、考え方としては 優れた方法だと思います。

そのため、60分程度で全体的にルートプレーニング(SRP、スケーリング・ルートプレーニング、歯周病細菌除去療法) が行えるような場合にはこうした方法を行います。

また、インプラントが既に埋入してある患者様で、歯周病が再発して場合には感染防止のため、歯周病に感染している歯は一度に全て行うことにしています。

さて ここで問題となるのが、前々回のブログで紹介したテーマの歯周病治療と菌血症 の話しです。
このブログをご覧になっていない方のために簡単にルートプレーニングと菌血症について解説します。

歯科治療における菌血症とは、
汚れ(細菌)が歯周病治療(抜歯 等の他の歯科治療でも起こります)を行うことにより、身体の中(血管内)に侵入することを言います。

歯周ポケット内部(歯肉の内部)には当然のことですが、血管が存在します。
特に歯周病で歯肉が腫れている方は出血が起こっていることが多いため、歯周ポケット 内部に存在する汚れ(歯石)と血管が触れていることになります。
他の言い方をすれば、汚れ(歯周病細菌)が血管に触れている状態といってもいいでしょう。
こうした汚れ(細菌)が一時的に血管内部に侵入することを菌血症と言います。
特に歯周病治療等の歯科治療を行うとこうした菌血症が起こることが報告されています。
ルートプレーニング では、報告に差はありますが、8〜79%の確立で菌血症が生じると報告されています。
事実ルートプレーニング を行った後(6分後)に採血して調べると血液中から歯周病細菌が発見されることが報告されています。
しかし、このような菌血症は、健康な方であれば1時間もしないうちにいなくなるため、問題となることはありません。
そのため、さほどご心配になることはないのです。
しかし、注意が必要な方もいらっしゃいます。
それは心疾患の方や 糖尿病の方など 全身的にご病気を持っていられる方や 抵抗力が低下している方です。

『フルマウスSRP法:Full Mouth Disinfection』を行うと大量の細菌が粘膜に触れることになるので、通常のルートプレーニングよりも菌血症の確立が高くなります。
こうしたことも『フルマウスSRP法:Full Mouth Disinfection』の問題点と言えます。

つぎに『フルマウスSRP法:Full Mouth Disinfection』を効果的に行うための治療方法について説明します。

『SRP:スケーリング・ルートプレーニング』をさらに効果的に行う方法として

1 『局所的薬物送達療法:LDDS(Local drug delivery system)』

2 『抗菌性グルコン酸クロルヘキシジン含嗽剤の使用』

3 『経口的抗菌薬の投与』

が考えられます。
順番に説明します。

『局所的薬物送達療法:LDDS(Local drug delivery system)』とは、
歯肉の内部(歯周ポケット )に 抗菌作用のある薬を直接注入し、
歯周ポケット 内部の細菌を直接除菌するという方法です。
日本の歯科界では、『塩酸ミノサイクリン』という 薬 が良く使用されています。
『塩酸ミノサイクリン』は、 テトラサイクリン系 の抗生物質で、細菌の発育を抑制する作用があります。
歯周ポケット内部 に薬を入れるだけの治療です。
痛みもありません。
しかし、『局所的薬物送達療法:LDDS』は、歯周ポケット 内部の細菌の数を減らすことはできても、
それ自体が 歯根表面 に付着した『歯石』そのものを取り除くことはできません。

次に『抗菌性グルコン酸クロルヘキシジン含嗽剤の使用』です。
『グルコン酸クロルヘキシジン』という 含嗽剤 は 歯周病細菌 に対して効果が高いものです。
『抗菌性があるクロルヘキシジン』を治療中に使用していただくことにより 口腔内の 歯周病細菌 の 繁殖 を防ぎます。

さらに『経口的抗菌薬の投与』です。
歯周病細菌に効果がある『抗生剤』をある程度の期間(2〜4週間程度)服用していただきます。
抗生剤の効果により、歯周病細菌を少なくするのです。
歯周病の進行程度によりこの抗生剤の効果は非常に高いと言えます。
しかし、全ての抗生剤が歯周病に効果があるのではありません。
効果がある抗生剤は決まっているのです。
有効性の高い薬を使用しなければ意味はありません。


次回のブログは、4月25日(月)になります。



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