4. 口臭の治療Q&A

口臭の治療についてよくある質問をまとめてみました。

Q:食後に重要な「お口直し」とは?口臭治療の必須ポイント

A:そもそもオーラルケアー習慣は、仏教から起こった習慣が広がったものですが、仏教では日々の勤めとして、飲食後に「口をすすいで飲む」ということを行ないます。
これを「お口直し」とも言います。口臭で悩んでいる方は、是非以下の「お口直し」を行なって下さい。
それでは、実際の「お口直し」の方法について解説します。

飲食後に水を口に含み、人にわからない程度にブクブクして、頬に付着している食べかすや歯の間に詰まっている食べかすを取り除き、飲みほして下さい。
吐き出しではいけません。
うがいではありません。
次に再度水を口に含み、舌をよく口の中で口蓋(上あご)に擦り付けて洗って下さい。
そして先程と同じように水を飲みほして下さい。吐いてしまうと抗菌作用のある唾液を出してしまうことになりますので、良いことではありません。
こうしたことを味や臭いがなくなるまで繰り返します。
特に乳製品飲料(牛乳、ヨーグルト等)やコーヒー、お茶などは舌の上に残りやすいので注意が必要です。

この「お口直し」は、水以外を口腔内に入れた際には、必ず行なうことが必要です。当然ジュース等を飲んだ後にも必要です。
喫煙されている方は、禁煙されることが最も効果的ですが、喫煙直後に「お口直し」を行なうことにより口臭を抑えることができます。
タバコに含まれるタール等は、舌を乾燥させ、舌の上に残りやすいからです。
タールは水に溶けやすいため、喫煙直後の「お口直し」は非常に有効です。
また、「お口直し」後にはガムを噛むことにより舌の上はきれいになりますし、唾液の分泌を促進させて口臭を抑えます。

Q:口臭予防を行うための歯磨きに有効なポイントはあるのでしょうか?

A:口腔内を原因とする口臭の原因は、細菌(嫌気性細菌)の活動による代謝産物の臭いです。
そのため、細菌を増殖させないことが重要です。
口腔内の細菌が最も多くなるのは、唾液の分泌が減少している時です。
唾液には、細菌を減少させるための抗菌物質が含まれています。
唾液を多く分泌させることが口臭撃退に大きく関係してきます。
そのため、唾液の分泌が少なくなると細菌が増殖しますので口臭が起こります。
唾液の分泌が最も少ないのは就寝時です。

また、就寝前に口腔内を清潔にすることは、就寝時の細菌繁殖に大きく影響します。そのため、口臭予防を前提とした歯磨き時期は、起床時と就寝前です。
それでは、それ以外には歯磨きを行う必要性はないのか?ということですが、口臭を気になさる方の多くは、歯磨きを行いすぎているのです。 歯磨き後には、当然のことながらうがいを行いますよね。
このうがいにより唾液は洗い流されてしまいます。
うがいが多いのは口臭によって悪いことなのです。
ただし、食後に歯を磨かなくて良いということではありません。口臭が気になる方は、必要以上に歯磨きを行うことは、良いことではありません。

また、口臭が気になる方は歯磨き剤の使用は逆効果になります。
なにも付けない状態で歯磨きして下さい。

口臭予防には水分補給が重要!

口臭予防には水分補給が重要です。
それではどのような飲み物が良いのでしょうか?

口臭予防として最も良い飲み物は、水です。
緑茶は防臭効果があると考えられている方もいらっしゃいますが、緑茶の取り過ぎは逆効果です。
茶葉に含まれる苦み成分のテオフィリンやカフェインは交感神経を興奮させる作用があります。
カフェインの多い飲み物を摂取すると眠気が覚めるのは、交感神経が刺激されるからです。
唾液を分泌させるのは副交感神経ですから、交感神経支配になってしまうと唾液の分泌は逆に抑制されてしまいます。
ちなみにカフェインの多い飲み物は以下になります。

  • 緑茶(煎茶) 26~30mg(150mlあたり)
  • 紅茶     28~44mg(150mlあたり)
  • コーヒー   60~180mg(150mlあたり)

また、お茶には利尿作用があることはご存知のことと思います。
お茶等を飲んでも尿として排出されてしまうため、水分補給という点では水には劣ります。
ただし、お茶等のカフェインが含有されている飲み物は、リラックス効果もあるので決して悪いということではありません。
頻度の問題です。
口臭を気になさる方の中には、お茶の防臭作用が口臭に良いと考え、必要以上に飲用されている場合があるのです。
コーヒーは酸性度が強く、舌苔に残りやすいので口臭対策としては不向きです。
コーヒーや紅茶を飲用した後には、必ず「お口直し」が必須です。
詳細は、以下をご覧下さい。 Q:食後に重要な「お口直し」とは?口臭治療の必須ポイント

Q:食後の口臭を予防する方法はありますか?

A:食後に口臭がある原因としては、大きく分けて以下のことが考えられます。

  • a.食べた食品自体の臭い(ニンニクを食べた等)
  • b.食後に歯磨きを行ったが、部分的に食物が残っており、その食物が時間の経過とともに唾液の酵素により分解され、口腔内の酸性度が高まり(pHが下がる)、それがもととなり細菌の酸素活性が高まり、細菌が口臭のもととなる代謝産物を放出したため
  • c.唾液には、細菌を減少させるための重要な働きがあります(抗菌作用)。
    また唾液は、口腔内が酸性(pHの低下)に傾くとそれを正常状態に戻す能力があります(緩衝能力)。
    これらの能力が低下している

上記のことを改善するためには、細菌をコントロールすることが重要です。
まずb.ですが食物が残っているのが原因ですので、歯磨きを行うことは重要ですが、口臭を気になさる方の多くは、実際には食後にきちんと歯磨きをされていることがほとんどです。
逆にこの歯磨き方法等に問題があるのです。
ほとんどの場合、口臭は口腔内細菌が増殖することにより起こります。
細菌が増えるのをコントロールしているのが、唾液です。
唾液の分泌および口腔内の停滞が適切に行われている方は口臭が起こりにくいと言えます。
歯磨きをあまり頻繁に行う方は、うがいを行うたびに唾液が洗い流され損失してしまいますので、口腔内の唾液が減少し、細菌の増殖が起こり、口臭が起こります。
そのため、唾液の損失を起こさないために頻繁に歯磨きを行い過ぎるのは良くありません。
また、歯磨き剤の使用もマイナスです。
歯磨き剤を使用せずに歯磨きを行い、口をゆすぐのは軽く行うことです。
また、マウスウォッシュの使用も口腔内環境を大きく変えてしまう可能性がありますので使用されない方が良いでしょう。

次に舌表面には、食物が残りやすいので舌表面の対策が必要です。
軽く水を含み、舌を口蓋(上顎)にこすりつけるようにして舌に付着した汚れを擦り落とします。
口腔内に含んだ水は飲み込んで下さい。
この行為を「お口直し」と言います。
口臭が気になる方には必ず行なっていただきたいことです。
詳細は、以下をご覧下さい。 Q:食後に重要な「お口直し」とは?口臭治療の必須ポイント

どうしても飲み込むのに抵抗のある方は、水を吐く程度にして、うがいをしすぎないように注意して下さい。
歯ブラシ等で舌を磨くのは止めて下さい。
皮膚をたわしで擦るようなもので、舌表面が傷ついてしまいます。
この詳細は以下をご覧下さい。 Q:舌をきれいにすることは重要?

次に頬にも食物が停滞していますので、頬の内側を舌で擦り、汚れを拭いとって下さい。
最後にガムを噛むことです。
ガムを噛むことにより唾液の分泌は多くなりますので、細菌の増殖を抑えることにつながります。
ガム法については、以下をご覧下さい。 Q:口臭予防方法:ガム法

Q:口臭予防のため舌運動とは?

A:舌を良く動かすことは、唾液の分泌にとって非常に効果があるだけでなく、舌をきれいにするためにも重要なことです。
具体的な方法ですが、
口を若干あけます。(指2本程度)
口を開けたままの状態で斜め上(45度)を向きます。
舌を上顎の口蓋側、下の前歯の裏側、左右の奥歯の内側というように動かします。
できるかぎり舌の根元を動かすように行って下さい。
1回の時間は約3分、これを1日3回行って下さい。

口臭が気になる方の中には、話しをすると他人に口臭があると思われると気にするあまりに会話が少なくなる場合があります。
さらにひどくなると人との交流が少なくなる方もいらっしゃいます。
会話が少なくなると舌の機能が衰えてきます。
その結果、唾液の分泌が減少し口臭を引き起こしやすくなります。

Q:口臭予防方法:ガム法

A:ガム法とは、名前のとおりガムを噛むことで口臭を緩和させる方法です。
口臭減少にとって非常に効果が高い方法です。
もちろんガムの臭いで口臭を消すのではありません。
まずガム法の目的を列挙します。

目的1:口腔内緊張の緩和リハビリ

口臭が気になる方の中には、精神的不安をもっていることが多くあります。
精神的不安が持続すると会話が少なくなったり、呼気の臭いが気になるあまり口を閉じていることが多くなることがあります。
こうなると舌の動きが停滞します。
(舌が動かなくなります)舌の動きが鈍くなると唾液の流れが停滞し、唾液分泌も減少してきます。
また、口を閉じた状態(会話が少なくなると)では、舌の位置が以下のようになります。
通常、会話をしたり、口を開けたりする場合で、お口を少し閉じた状態では、以下のように上顎(口蓋)と舌にはある程度の隙間があります。 この図は顔を横から見たところです。

会話をしたり口を開けたりする状態

これは口臭が起こりにくい状態です。
しかし、会話をほとんどない状態(口を閉じた状態)が続いたり、口臭を気にするあまり、口を開けないようにしていたり、精神的不安が持続すると舌はあまり動かなくなり、唾液の分泌が少なくなります。
そして以下のように舌の位置は、上顎に近づき、上顎との隙間が少なくなります。
口を開ける回数が少なくなることもあり、喉の奥は酸素が少ない状態となります。
こうなると酸素が嫌いな嫌気性菌が繁殖しやすくなります。

会話をしない状態(口を閉じた状態)

嫌気性菌は、口臭の原因となるガスを発生します。
抗菌性のある唾液の分泌も減少するので、ますます菌の繁殖が増えていきます。
ガム法を行なうことにより舌の運動を強制的に行なうことが可能となり、口腔機能(舌機能)の改善をはかるのです。

目的2:安静時唾液流の確保

これも上記と同様に舌のガムを噛むことにより舌の動きが活発になります。
結果的に唾液の流れが起こり、口臭を緩和させることが可能となるのです。

目的3:舌苔(ぜったい)付着防止

食後の食べかすは、舌の上に残りやすいのです。
舌の上に残った食べかすにより舌が白っぽくなっているものを舌苔(ぜったい)といいます。
口臭が気になる方の多くは、舌の上に付着している舌苔を頻繁にブラシのようなもので除去している場合が多いのですが、これは絶対に避けなければいけません。
舌の上に付着した舌苔は、専用のスクレーパーというヘラで軽く取る程度にしないといけません。
舌苔を歯ブラシ等で擦ったりすると舌粘膜が傷つき、舌粘膜が炎症を起こし、剥がれ落ちた舌粘膜が口腔内に散らばり、細菌繁殖を起こし、口臭を悪化させます。
後で詳細は解説しますが、ガム法を行なうことで舌の上の付着している舌苔を取り除き、奇麗にすることが可能になります。

目的4:舌粘膜過敏の改善と口腔乾燥防止

ガム法を行なうことにより、舌の動きが活発になり、唾液の分泌が促進され、唾液の流れも行なわれるようになるため、口腔乾燥の防止になります。

目的5:口腔内pHの中性化

口腔内が酸性化すると口臭が起こりやすくなることは、さまざまなところで何回も解説してききたことです。
ガム法を行なうことにより唾液の分泌が促進され、口腔内のpHが中性化しやすくなります。
口腔内の中性化、唾液の緩衝能力についての詳細は、以下をご覧下さい。 Q:唾液の緩衝能とは?

ガム法が有効な方

  • 食後の口腔内不快感がある方
    唾液緩衝能力の低い方や咀嚼能力の低い方に対して飲食後の唾液確保を可能にする。
  • 緊張時口臭がある方
    口腔内緊張の緩和リハビリ
  • 安静時唾液流量の低い方
    水の摂取と並行して安静時唾液を確保する
  • 喫煙者、コーヒー愛好者
    喫煙後、コーヒーを飲んだ後の舌表面への付着物を取り除く
  • 口呼吸の是正と舌苔が気になる方
  • 咀嚼機能が低下している方

それでは、ガム法の目的がだいたい分かったところで具体的なガム法の使用方法について解説します。
まず、食後にお口直しを行なって下さい。
お口直しは、唾液を損失させず、口腔内に残存した食べ残しを効果的に除去する非常に有効な方法です。
口臭が気になる方は、食後に必ず行なって下さいね。
お口直しの方法については、以下を参考にして下さい。 Q:食後に重要な「お口直し」とは?口臭治療の必須ポイント

お口直し後にガムを噛みます。
通常どおり噛んで下さい。
そして、ここからがポイントです。
味がなくなったガムは、捨てずにそのまま口腔内に保持しておきます。
ガムを丸くして絶対に噛まずに残しておきます。
会話をする時には、ガムを上顎の奥歯の頬側に入れておきます。
ほっぺたと奥歯の間に挟んでおくのです。
結構落ちないでそのまま頬と奥歯の間に保持されます。

そして、会話をしない時には、舌の上でコロコロとガムを転がします。
舌の上でガムを転がすことにより、舌の上を奇麗にするのです。
そして、会話や水を飲む時には、再度ガムを上顎の奥歯と頬の間に挟みます。
決して噛んではいけません。
味がなくなった後は、まるめて舌の上でコロコロと転がすだけです。
絶対に噛まないことが大切です。
口腔内に異物(ガム)があることにより 唾液分泌反射が起こることを利用しているのです。
また、この時に使用するガムは、一般的なガムではありません。
一般的に販売されているガムは、噛んでいると柔らかくなってしまい、長時間形態を丸く保持させることが難しいのです。
もちろん加糖入りのガムはダメですよ!

推奨するガムとして口臭予防を目的として専用のガムがあります。
ブレスコントロールガムです。
以下のような成分が特徴です。

特徴成分1:ローズマリーエキス ニンニク臭などの揮発性硫黄化合物を分解するポリフェノール
特徴成分2:リンゴポリフェノール 医科応用ではアトピー治療に使用されている天然素材で、口腔乾燥や粘膜過敏を改善させる
特徴成分3:ガムベース 天然ガムベース主体 軟化しにくいガムであり、咀嚼力と口腔生理機能のトレーニングに最適
特徴成分4:甘草エキス マメ科の甘草の根および根茎から抽出・濃縮されて得られるエキス.グリチルリチル酸を含み、消炎効果がある。
特徴成分5:エリスリトール 口に含むと融解熱によって口腔内の温度を低くする作用があり、口腔内温度を低くすることにより口臭を起こしにくくする。
ブレスコントロールガム