金属アレルギー検査(パッチテスト)

金属アレルギー検査

口腔内によく口内炎ができる、金属の詰め物やブリッジ等に触れる粘膜が赤くなっている、手や足、全身にアレルギー症状があったので皮膚科で治療を行って治療を行っているが治らない等で、もしかしたら「金属アレルギーでは?」と考えられている方もいらっしゃるかと思います。
また、歯科治療を行うにあたり、金属製の材質を使用すると言われているが、金属アレルギーかもしれないので心配されている方もいらっしゃいます。
金属アレルギーを疑った場合、どこで検査すれば良いのでしょうか?
また、どのような検査があるのでしょうか?
また、検査費用はどれくらいかかるのでしょうか?
この項では、こうした内容を解説します。

1. 金属アレルギー検査(パッチテスト)

当医院では、金属アレルギー検査(パッチテスト)を行うことができます。
歯科で使用される以下の16種類の金属を調べることができます。
パッチテストは、金属アレルギー検査の中で 最も一般的に行われる方法であり、信頼性の高い検査法と言えます。

検査金属名 検査試薬
1.アルミニウム (塩化アルミニウム2%)
2.コバルト (塩化コバルト2%)
3.スズ (塩化第二スズ1%)
4.鉄 (塩化第二鉄2%)
5.プラチナ:白金 (塩化白金酸0.5%)
6.パラジウム (塩化パラジウム1%)
7.マンガン (塩化マンガン2%)
8.インジウム (三塩化インジウム1%)
9.イリジウム (四塩化イリジウム1%)
10.銀 (臭化銀2%)
11.クロム (重クロム酸カリウム0.5%)
12.クロム (硫酸クロム2%)
13.ニッケル (硫酸ニッケル5%)
14.亜鉛 (塩化亜鉛2%)
15.金 (塩化金酸0.2%)
16.銅 (硫酸銅1%)

※ 鳥居薬品株式会社 製造 パッチテスト試薬金属使用

パッチテスト手順

1.パッチテスト開始

パッチテスト開始

次回まで(48時間)は以下を禁止

  • 湯船につかることは禁止
    耐水性フィンチャンバーAQUAを使用しているので直接水が触れないように注意すれば簡単なシャワーはOK
  • 運動禁止(汗は大敵)
  • インキや検査液が付着することがあるので汚れても問題ない肌着を着用する

2.48時間後 1回目の判定

1回目の判定

テープを除去後、約1時間 お待ちいただきます。
これは検査試薬を貼った絆創膏の影響を排除するためです。
この日から入浴可能ですが、検査部位は擦らないで下さい。
インキで印を付けるので汚れても問題のない肌着を着用して下さい。
粘膜部の発赤 等で判断します。

3.72時間後 2回目の判定

2回目の判定

4.約一週間後 3回目の判定

3回目の判定

パッチテスト注意点

  • 検査部位にペンで位置決めの印を記入します。汗をかくと取れやすいのでご注意して下さい。
  • 検査期間中は運動は禁止です。夏場の検査は基本的に行えません。
  • <女性の方で背中にパッチテストを貼った方は、テープを除去するまでブラジャーの着用はできません。/li>
  • 検査試薬が服に付着することがありますので、テープを除去するまでは必ず肌着を着用して下さい。
  • パッチテスト実施期間(最初の48時間)は、試薬の貼ったテープが取れたりすることがあるため、運動は避け、重い荷物を持つ等も避けて下さい。
  • 反応が強い場合には、炎症後色素沈着が起こり、跡が長期間残る場合があります。
  • 女性の検査担当者をご希望の場合には、お知らせ下さい。
  • 初診時は、口腔内検査(レントゲン、歯周病検査 等)および 問診のみとなります。
  • 検査期間中は、ステロイド剤、鎮痛薬(NSAIDs)、抗アレルギー薬は中止して下さい。
  • 判定記録のためパッチテスト部の写真を撮ることがあります。

パッチテスト(金属アレルギー検査)実施日

パッチテストの日程は、以下の2パターンからご選択して下さい。

パターン1 パターン2
注意事項

※ 1回目の判定と2回目の判定は必ず来院日を守って下さい
※ 3回目の判定は、上記日程より多少ズレても大丈夫です。
※ 1回目、2回目の判定が祝日 学会 等 で休診の場合にはできません。

パッチテスト中でも簡単なシャワーが可能な耐水性フィンチャンバーAQUAを使用

パッチテストは一般的に皮膚科で行われおり、健康保険が適応されます。
しかしながら金属アレルギー検査で使用される金属検査試薬は高額であり、保険で設定されている検査費用が安価なため、採算が合わない 等 からパッチテスト自体を敬遠されている皮膚科もあります。
また保険点数上、パッチテストで使する 検査試薬を塗布する絆創膏自体にもコストをかけることが困難であるため、安価な製品となってしまうのも実状です。
また、パッチテストを敬遠される患者様の中には、1回目の検査判断までの48時間入浴ができないことを理由に検査自体を躊躇されることがあります。
当医院で使用しているフィンチャンバー AQUA(アクア)は、耐水性のテープを使用しているため、簡単なシャワー程度の水滴から検査試薬を保護することができるため、パッチテスト中も従来の検査より快適に過ごせます。

※パッチテスト部に直接触れなければ、簡単なシャワー程度は可能です。
※パッチテスト部を擦らないようにご注意下さい。
※耐水テープを使用していますが、できるかぎりパッチテスト部には水が触れないようにご注意下さい。
※1回目の検査までの48時間は運動を控えて下さい。
※湯船につかることは禁止です。

耐水性フィンチャンバーAQUA

パッチテストの有効性は?

パッチテストで陽性と診断された場合には、その金属にアレルギー反応があることが判断できますが、仮に陰性(パッチテストで発赤 等の反応がない)であったとしても絶対にその金属にアレルギーの問題がないとは言い切れないのです。こうした状態を偽陰性と言います。

パッチテストの副作用

パッチテストにも副作用があります。
軽度な副作用としては、パッチテストで貼る絆創膏にかぶれる場合があります。
また 反応が強くでた場合には、皮膚に潰瘍ができたり、炎症後色素沈着が起こる可能性があります。
潰瘍や色素沈着は、皮膚に跡を残すことがありますので この点は十分ご理解された上でパッチテストを受けていただくことが必要です。
また、パッチテストを行うことで 検査試薬による感作されることもあります。
こうした反応には 個人差があり、事前に予測することは不可能です。

パッチテスト治療費

当医院で行うパッチテストは、自費診療となります。
検査費用 : 8,800円

※初診時には口腔内診査(レントゲン 等)の費用(約3,000~5,000円)が別途かかります。
※口腔内の状態により多少変わります。

2.リンパ球幼弱化試験

この検査は、採取した血液から 白血球の一種であるリンパ球に疑われる金属(金属アレルギーの可能性のある金属)を混合して リンパ球に形態変化が起こることをみる方法です。
患者様は、採血をするだけで 試験管の中で行うため、パッチテストのように患者様の負担は少ないです。

リンパ球幼弱化試験はどこで受けられるか?
皮膚科です。
しかし、どこの皮膚科でも対応可能ということではありません。
アレルギー外来をかかげている皮膚科や金属アレルギーを受けられることが必要です。
来院前にHPや電話でご確認をされて下さい。

リンパ球幼弱化試験の治療費は?
健康保険が適応されませんので、自費診療となります。
具体的な治療費は、各 皮膚科(アレルギー外来)に問い合わせて下さい。
1検体で1万円程度とされています。

3.チャレンジテスト

金属アレルギー検査として一般的に行われるパッチテストを行っても偽陰性(本当は金属アレルギーが存在するがパッチテストでは陰性反応と判断される場合)となる場合があります。
こうした場合にご自宅でも可能な試験方法があります。
具体的には、金属アレルギーが起こりやすい食品を多量に摂取することで反応をみる方法です。
アレルギー反応が起こりやすい代表的な金属として、「ニッケル」があります。大豆やチョコレートは「ニッケル」が多く含まれる食品です。
こうした食品を一時的に多量に食べることでかゆみや発赤が起こるかを判断する方法です。
一般的に通常の5倍程度の量を4日間服用します。
板チョコであれば、1日に3枚程度を4日間です。

※チャレンジテストを実施される場合には、必ず医師の指示のもと行うことが必須です。
※症状が強く現れる可能性がありますので、十分な注意が必要です。

4.歯科治療による判断(フレアーアップ)

虫歯治療 等で 金属の被せ物 等を 除去すると削った削片が口腔内に散らばります。
こうした金属片を飲み込んだり、口腔粘膜から吸収されることで、一時的にアレルギー症状が悪化することがあります。
悪化した場合には、金属アレルギーに陽性の可能性が高いと言えます。
実際に歯科治療で金属を除去した際に、アレルギー症状が悪化されたことを経験された方は、金属アレルギーの可能性があります。
アレルギー外来がある皮膚科 等でパッチテストを受けられて下さい。