歯が割れないための方法 (ファイバーコアによるボンディング接着システム)その1

はじめに

歯科医院で『歯(歯の根)が割れていますので抜歯しましょう!』と言われた方には大切な話です。
是非御覧になっていただきたい内容です。

『ファイバーコア』を使用した『ボンディング接着システム』は歯根破折(歯の根が折れること)が起らないための新しい治療法です。
まず、歯根破折について説明したいと思います。
歯(歯の根)が割れた(折れた)場合には“抜歯”する必要性があり、その後の治療として『インプラント』を希望される患者様が多くいらしゃいます。

その理由として天然歯を傷つけなく、違和感がない治療として『インプラント』が優れているからです。
『インプラント』以外の治療方法としては『ブリッジ』と『義歯』が考えられます。
『ブリッジ』は固定式であり、装着後に違和感はありませんが、欠損部(抜歯部)の両サイドの歯を削る必要性があります。
歯を削ると歯自体が脆くなる傾向があります。
特に神経のない歯は突然、折れてしまうことがあります。
歯が折れて“抜歯”となったことを経験された患者様の多くは、次の治療を選択する場合、天然歯を削る『ブリッジ』よりも、『インプラント』を選択されます。

話は戻りますが、なぜ歯が割れるのでしょうか?
ホームページのさまざまなところでこの話は書いてありますが、大切なことなので ここでもその話をしたいと思います。

『歯根破折』の原因の多くは神経がない歯で起こります。
神経のない歯はもろく通常の咬む力でも割れてしまうことがあります。
こうした状態を患者さんに説明する時“木”に例えてお話しすることがあります。
生き生きとした“木”はたたいたり、蹴ったりしても折れたりすることはありませんが、“枯れた木”は折れる可能性があります。
神経を取った歯も“枯れた木”と同じような状態になります。
神経のない歯は血液供給がなくなるため脆くなってしまうのです。

ここで問題なのが、折れてしまった歯が何とかならないものだろうかと考え、“抜歯”をためらい、時間が経過してしまうことです。
破折したままの状態でいると破折した部分から感染が起こり、周囲骨の吸収が起こります。
骨の吸収が大きく起こるとその後に『インプラント』を埋入する場合には非常に不利な状態になります。
もし、『歯根破折』と診断された場合には早期に対処(“抜歯”となることが多い)する必要性があります。
歯はできるかぎり削らないことが大切であり、神経を取らないことも大切です。
※ ただし、虫歯があったり、虫歯が神経まで達していた場合には歯を削ったり、場合により神経を取る治療が必要になります。

『抜随』とはなにか?

次に神経を取る治療(『抜随』と言います)の話からします。
下図1―aは健康な状態の歯です。
下図1-bは虫歯が神経まで達した状態です。
神経まで虫歯が達していると神経を取り除かねばなりません。
これが『抜随』です。

下図1-cは虫歯を取り除き、神経も取り除いた状態です。
赤い神経がなくなっています。
『抜随』が終了した状態です。
また神経を取り除くと同時に血管(血液循環)も無くなります。

『抜随』とはなにか?

『コア』とはなにか?

『抜随』についてはだいたいおわかりになったと思います。
次は『コア』についての解説です。
下図2は虫歯の除去時に薄くなった歯質を削除した状態です。
このままでは歯は作れません。
そこで歯の土台になる部分(これを『コア』と言います)を作ります。

『コア』とはなにか?

『コア』の作製

下図3が『コア』です。
この『コア』はあくまでも『土台』であり、被せ物の『歯』ではありません。
『被せ物の歯』はこの『コア』を装着した後に型を取り、最終的に装着します。
『コア』はあくまでも『土台』です。
その素材には金属コア、ファイバーコアがあります。
以前はほとんどが金属コアでした。

『コア』の作製

『コア』を歯質に接着する方法

この『コア』を先程の歯に接着材にて付けます。(下図4)
このテーマである『ファイバーコア』の接着方法(ボンディング接着システム)
については後で説明します。

『コア』を歯質に接着する方法

最終的な被せ物

最終的な歯は『コア』の装着後に型を取り、接着剤で装着します。
下図5になります。
続きは歯が割れないための方法(ファイバーコアによるボンディング接着システム)その2を御覧になって下さい。 歯が割れないための方法(ファイバーコアによるボンディング接着システム)その2

最終的な被せ物