リステリン等の洗口剤は効果があるのか?

マウス・ウオッシュの効果

テレビのコマーシャルで歯周病に効果があると放映されている『洗口剤(マウス・ウオッシュ)』は、効果があるのでしょうか?
はじめに結論からお話しますが、『洗口剤(マウス・ウオッシュ)』は、歯周病の予防効果(軽度の歯肉炎には効果がある)はあっても 歯周病を治す十分な効果はありません。
それは、洗口液が歯周ポケットの内部にまで届くことはありませんし、もし届いたとしても"バイオフィルム"が存在するかぎり歯根面に付着している歯周病細菌には効果を発揮しません。
ここで、"バイオフィルム"について解説します。
例えば、台所や風呂場の清掃を少ししないでいるとそこは、ヌルヌルとしてきます。
その ヌルヌル を除去しようと思っても、塩素系の薬剤等を使用しない限り、ブラシのみではなかなか取除くことは困難であると思います。
この除去しづらい ヌルヌル が"バイオフィルム"です。
歯の表面 や 歯周ポケット内部にも同様の"バイオフィルム"が形成されます。
"バイオフィルム"の内部には複数の細菌が生息しています。
"バイオフィルム"という家の中で 複数の細菌が共同生活をしていると思って下さい。
問題なの"バイオフィルム"は薬剤や殺菌剤などの外敵から身を守るためにバリアとして働いていることです。
洗口液は あくまでも歯肉の上に対して効果を発揮するものであり、予防として使用するものです。
"バイオフィルム"を除去するためには、機械的に擦りとらなければなりません。
バイオフィルムという汚れの上から いくら薬をかけても 汚れの内部(バイオフィルムの中)には薬液は浸透していかないのです。

歯周病に効果がある洗口剤

①クロルヘキシジン

クロルヘキシジン(0.12~0.2%)は、殺菌作用と界面活性作用を有する消毒薬で、局所にとどまり、その効果を長時間にわたって放出し続ける能力の高い洗口材(消毒薬)です。
ADA(アメリカ歯科医師会)とFDA(アメリカ政府食品医薬品局)の両者により歯垢の蓄積と歯肉炎を予防し、減少させる目的で処方することが承認されている唯一の洗口液です。
写真1はコンクールF(グルコン酸クロルヘキシジン)といわれる含嗽液です。

クロルヘキシジン

0.12~0.2%程度の頻度での使用で効果があるとされています。
欠点として 長期的に使用すると歯面が茶褐色に着色します。
また クロルヘキシジンは有効な抗プラーク(歯垢がつかない)剤として欧州では0.2%溶液、欧米では0.12%溶液が用いられています。
臨床的な使用方法としては、歯周外科やインプラント前の消毒や治療後の洗口用として用いられる他、日常のうがい薬としても使用されています。
次に、少し難しい話しですが、作用機序としてはクロルヘキシジンの陽イオンが微生物の細胞膜の陰イオンに結合し、表面構造を変化させて、細胞溶解や膜上での代謝障害を起こすことにより効果を発揮します。
注意事項としては、我が国においては粘膜に使用した際にショック症状が報告されている関係上から洗口用としては先程説明したように緒外国より100倍近い低濃度での使用が指示されていますが、その濃度では口腔内細菌に対しては効果はありません。
グルコン酸クロルヘキシジンの詳細は下記参考リンクをご覧下さい。

②リステリン

フェノール化合物として代表的なものにリステリンがあります。

リステリン

リステリンは ご存じのように 薬局等で一般的に購入できるものです。
リステリンの殺菌カは、長時間にわたって放出し続ける能力は低いものの、ブラッシングと併用することにより歯肉炎に対する効果があることが報告されています。
ADA(アメリカ歯科医師会)は、歯周炎の予防とプラーク(歯垢)の蓄積を予防し、減少させる目的で使用することを推奨しています。
しかし、持続性と殺菌効果はコンクールFと比較して明らかに劣ります。

下記にはリステリンに関するメーカサイドの内容を記載します。
イギリスの外科医リスクーが手術部位の感染を防ぐ消毒薬として検討したとに由来する。120年近い歴史を持つ世界で最初につくられたマウスウォツシュ(洗口液)です。
50年以上にわたり、様々な研究者や専門家による基礎研究ならびに臨床試験が行われ、その確かな殺菌作用と予防効果が多く報告されています。
現在市販されている口腔衛生製品の中で、最も広く使われ、最も広範に研究されてきたものの一つといえ、現在では世界50ヶ国以上で愛されています。
1987年9月、アメリカ歯科医師会(ADA)歯科治療委員会によって、口の細菌に殺菌性を発揮する洗口液としての認定証が与えられました。 当医院においてもトイレの洗面所にリステリンが置いてあります。
これは、治療前後に口腔内を清潔にすることは非常に大切であると考えているからです。
また、リステリンは、非常に手軽であり、コストも他の洗口剤と比較して安価であるかです。
ただし、使用しすぎないで下さい。

【リステリン使用方法】
まず、ブラッシングで汚れを取ります。
汚れた付着した状態では、効果はありません。
これは、『バイオフィルム』があるからです。バイオフィルムについては下記参考リンクをご覧ください。
リステリン20mlを口に含み、30秒すすいで吐き出します。
適量は一回につき約20ml。
1000mlボトルの場合はキャップ約半分、500ml用ではキャップ約8分目、250ml用ではキャップ約1杯と半分、80mlではキャップ約3杯となります。
強い刺激はリステリンの特徴ですが、強すぎると感じる人は、慣れるまで水で倍くらいに薄めてお使い下さい。
毎回の歯磨き後に使用するのが理想的ですが、1日2回朝晩の使用で効果があります。

③ボピドンヨード液(イソジン液)

ボピドンヨード液(イソジン液)は殺菌効果を有する消毒薬であり、10%のボピドンヨードを15~30倍希釈したものを含嗽用として使用します。
薬局等で"イソジンうがい薬"等として購入できます。

ボピドンヨード液(イソジン液)

殺菌カは長時間にわたって放出し続ける能力は低いものの、ブラッシングと併用することにより歯肉炎に対する効果があることが報告されています。
注意事項として以下ことがあげられます。

  • 特有の味や臭いのため、原液の量を少なめにする人や、逆に効果を期待して多く入れすぎる人もあるようですが、効果の減弱や副作用の発現につながる恐れがあるので、正しい希釈法を守ることが大切です。
  • 希釈後は徐々に効き目が低下するため、使用するときのみ薄め、薄めた液は早めに使用することが必要です。
  • 用法・用量に「1日数回うがい」とありますが、口腔内の自浄作用を保ちつつ口内細菌の繁殖を抑えるには、1日4~6回のうがいが適当です。
  • 小児の場合、うがいができずにそのまま飲み込んでしまう場合があります。この場合、通常の希釈後であれば心配はありませんが、原液を誤飲することがないように、子供の手のとどかない所に保存してください。
  • 誤飲した場合には、片栗粉や小麦粉を水に溶かしたものや、牛乳(120~230mL、幼児の場合は15mL/kg以下)、または卵を飲ませるなどの対処法があります。
    これは、タンパク質やデンプンに、ヨウ素を低毒性のヨウ化物に変化させる効果があるためです。
  • 甲状腺疾患を持つ人や、その既往歴がある人は、連用しないようにすることが大切です。また、ヨウ素過敏症の患者さんは、ヨウ素を含有しないうがい薬を使うようになさって下さい。

商品名として下記の名称で購入できます。
イソジンガーグル,ガルナール含嗽液,JDガーグル,ジサニジンガーグル,ネオヨジンガーグル,ネグミンガーグル,ボピヨドンガーグル,ボピロンガーグル,ポリヨードンガーグル,イソジンうがい薬,うがい用ボピヨドン,ケンエーうがい薬,ネオヨジンうがいぐすり,ボピドンうがい薬,ボピドンうがい薬「ツキシマ」