歯科医師は職人?

今日は月曜日なので、治療の話ではなく歯科全般の話しをしたいと思います。
歯科医療は内科等とは違い職人だと思います。とくにインプラントに関して言えば、まさに職人の治療だと思います。
インプラントは規格化された(種類はありますが、インプラントの長さは太さは決まっています)
ものを顎の骨に埋入する治療です。
もちろん生体の中に入れるわけですから人体(顎骨)の解剖や血管、神経の走行、最終的に被せるものの噛み合わせ等さまざまな知識が必要になってきます。
インプラントの埋入方法も規格化されたドリルのようなもので順番に穴を開け、入れるだけです。
しかし、このインプラントの手術の仕方に大きな差(技術力)があるのです。
例えば、1年間にインプラントを10本程度しか行っていない歯科医師と年間500本以上のインプラントを行っている歯科医師とでは技術力に差があるのは当然です。
まず、手術時間が違います。
1本のインプラントを埋入するのに5分(麻酔時間は除く)で行える歯科医師もいれば30分以上っかる歯科医師もいます。
時間がかかればかかるほど治療後に腫れる確立も高くなりますし、治療中の患者さんの不快感も高くなります。
経験というのはものすごい大切なファクターになります。
またなにをすれば良いかということを術前にきちんと理解していれば治療時間は短くなります。
術前診断は重要です。術前にきちんとしたシュミレーションを行うことにより、骨の状態を把握し、場合によっては骨の幅が少なく、インプラントがきちんと埋入できない可能性があると診断されれば骨を再生させる治療(GBR法:詳細はHP参照)を術前に行うとかあるいはインプラントと同時に行うとかがわかります。
本当に術前の診断は重要なのです。
職人という話しに戻りますが、この診断を十分しても技術力がなければ治療は上手くいきません。
歯科医師と言えども、手先の器用な人もいれば不器用な人もいます。
細かい作業ですから不器用な人は困ります。
しかし、多くの人はきちんとしたトレーニングをすることにより一定のレベルに必ずなります。
問題なのはこのトレーニングということです。
私自身も昨年(2005年)は年間に約700本程度のインプラント埋入を行いましたが、もちろん
始めてインプラントを埋入した時もあったわけです。始めてインプラントを埋入した時はものすごく緊張したのを覚えています。
しかし、単にいきなりインプラントをしたのではありません。
インプラントを行うにあたり、解剖等の基礎勉強を十分し、模型で何度もトレーニングします。
そしてベテランの先生の手術見学をなんどもして基礎がためをしてから始めました。
もちろん最初のインプラント症例は誰もが問題なくできる簡単なケースです。
それから簡単なケースを積み上げ、少しずつ難症例をこなしていくことになります。
今ではGBR法、抜歯即時インプラント、ソケットリフト法、サイナスリフト法等 インプラントに関する治療はほとんど全て行うようになりましたが、誰にでも始めはあるものです。
しかし、この勉強やトレーニングを十分せず、また自分の力量以上のことをいきなり行う歯科医師がいるのも現状です。
私の医院には他医院から治療(インプラント手術)の見学にくる先生がいますが、数回見た程度でいきなり知識も十分でないのにご自身の医院でインプラントを始めようとする先生がいます。
これは非常に危険なことです。
私どもの医院には卒業して数年程度のインプラントの経験の無い先生がいます。将来的には開業してインプラントを行いたいという意欲をもっています。
そのためにはまず、基礎知識が大切であることを十分話します。
まず毎日本を見させます。基本的なことが十分理解するまでなんどでも勉強します。
そして私が手術を行う際にアシスタントとして手伝います。
本で勉強したことと実際の手術をとおして治療を目に焼きつけていきます。
それから模型を使ったトレーニングに入ります。
そして十分基礎がためができたところでいよいよ実際の臨床に入るわけです。
そこまでは長い道のりです。
もちろん始めは誰もができる簡単な症例からです。
私自身も始めてインプラントを行うまでに約7年のトレーニング期間がありました。
私達臨床家は自分自身ができれば良いということではいけません。
次の世代にその技術をきちんと伝えることは大切なことです。
私自身も多くの先輩がたに教えていただきここまできました。
当医院で働いている若い先生も技術や知識を身に着けて将来は難症例をこなせるような歯科医師になってもらいたいものです。
しかし、難症例ができるかどうかはその先生の努力次第です。
またいくら知識があっても技術力がなければだめなのです。それが歯科医師が職人と言う理由です。

インプラントの大船駅北口歯科インプラントセンター