サイナスリフト法:その2
3/9(月曜日)です。
最近2回は、上顎の奥歯に インプラントを埋込むための 骨の高さが存在しない場合、
ソケットリフト法が有効な方法であることを解説してきました。
しかし、骨の高さが5ミリ以下であれば、ソケットリフト法は適していなく、
サイナスリフト(上顎洞底挙上術)が適していることも解説しました。
それでは、このサイナスリフト法(上顎洞底挙上術)を行えば、
『インプラントが可能なの?』
ということになります。
この答えの前にサイナスリフト法についてもう少し解説します。
まず、上顎洞という存在について再度解説します。
下図のように上顎洞は、上顎の奥歯の上方に存在する空洞です。
クリックすると拡大されます。
Aの図は、奥歯がまだ、存在する状態です。
歯がある状態で上顎洞までの距離があり、十分な骨の高さがあります。
Bの図は、上顎の奥歯を抜歯した状態です。
歯を失った後でも上顎洞までの距離があり、十分な骨高さがあります。
インプラントを行うのに問題はありません。
Cの図は、歯周病等で骨が吸収してしまったために 上顎洞までの距離がなくなり、インプラントを行うのに十分な骨の高さがない状態です。
上顎にインプラントを希望する患者さんの多くは(60%以上)このような状態です。
このように、歯を抜いた場所は年々やせて、場合によっては1〜2mm程度の幅しかない方もいらっしゃいます。
さて そのような骨吸収により 骨の高さがほとんどなくなってしまった状態が下図になります。
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サイナスリフト法の治療方法としては、上顎洞の側面から切開をし、上顎洞内部に“ 穴 ”を開けます。
この側面から開けた“ 穴 ”から移植材をいれます。
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移植を行うことにより、上顎洞は、上図の点線の位置から押し上げられ インプラントを行うのに十分な高さを得ることができます。
文章にすると簡単そうに思えますが、実際はそうではありません。
まず、なにが大変なのかと言いますと、
移植材の問題です。
移植材として主に使用されるのが、『自家骨』です。
『自家骨』は、患者様ご自身の口腔内から採取するのがほとんどです。
これが、患者様にとっては大変なのです。
もちろん、麻酔を行いますので、痛みはありませんが、
治療後の腫れ等がかなり起ります。
それでは、『自家骨』以外の方法はないのでしょうか?
『人工骨』を使用する方法もあります。
人工の骨ですから、患者様の口腔内から取ってくる必要性もありません。
『そんないい方法があるのであれば、人工骨で行いたい!』
と思うかもしれません。
しかし、現在時点の見解しては、人工骨のみでは、骨の再生が十分とは言えません。
歯科医師の中には、サイナスリフト法(上顎洞底挙上術)を行う際に、100%人工骨のみを使用しているという報告も確かにあります。
しかし、こうした報告は、まだ、確実な方法ではなく、
現時点では、『自家骨』と『人工骨』を半分づつ、混合して使用することが良いとされています。
次回のブログでは、こうした点についてさらに詳細を解説したいと思います。
次回のブログは3/12(木曜日)になります。
今週(3/6〜9)のインプラント手術報告
今週(昨日)のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。
それでは、今週のインプラント手術の中から上顎にインプラント埋入を行った1症例について解説します。
昨日のインプラント手術は、上顎に2本しか歯が残っていない患者様のインプラントでした。
残っている2本の歯は、すでに 歯根破折しており、抜歯するしかない状態でした。
2本の歯を抜歯してしまうと、上顎は完全に歯がなくなってしまいます。
いわゆる総義歯です。
そこで、今回は、残っている2本の歯を抜歯すると同時に、7本のインプラントを埋入し、手術当日に固定式の仮歯を装着する方法と行いました。
手術当日に固定式の仮歯になりますので、今までの義歯は、全く使用しないことになります。
こうしたインプラントの方法を『インプラント即時荷重(負荷)』と言います。
インプラントの埋入本数が多いため、治療時間がかかります。
手術自体は、朝9:40から開始しました。
まず、麻酔科医による静脈内鎮静法を行います。
この麻酔により、患者様は、眠った状態になります。
手術中は、づーっと眠った状態ですので、痛みもご心配もまったくありません。
静脈内鎮静法後に、歯肉への麻酔が終了したのが、10:10頃です。
さて、これでインプラント手術が開始です。
まず、 歯根破折している2歯を抜歯しました。
次にインプラントの埋入です。
骨の幅が少ない部分もあり、インプラントをより強固に安定させるため、 『スプリッティング法』という治療方法を併用しながらインプラント埋入を行いました。
この方法は、ドリルをさほど使用せず、骨の幅を押し広げながらインプラントを埋入するこの方法は骨にダメージが加わりにくく、術後の腫れが少ない治療法です。
使用したインプラントは、 ストローマン・インプラント ( I.T.Iインプラント) SLAタイプであり、 直径4.1ミリ、長さ12ミリ が5本、直径4.1ミリ、長さ10ミリ が1本、直径4.8ミリ、長さ10ミリ が1本の合計7本でした。
また、骨の治癒と再生を促進するため、 『 P.R.P法 』という治療法も併用しました。
さて、インプラントの埋入が完了したのが、11:00頃です。
本来は、ここで終了ですが、
今回は、即時加重(負荷)・インプラント ですので、すぐ固定式の仮歯の作製にかかります。
固定式の仮歯は、あらかじめ作製してあるので、埋入したインプラントに固定するだけです。
でもこの固定が少し大変なのです。
インプラントを埋込む位置はあらかじめ、シュミレーションにより決まっていますが、
実際に手術を行うと、骨の状況等により多少の位置は変わってきます。
そのため、仮歯の最終的な位置や噛み合わせは、埋込んだインプラントに合わせ、調整をしていきます。
仮歯の調整に約80分かかりました。
終了したのが、12:20頃です。
その後麻酔が切れるのを待ち、今後の注意事項のお話をして、
患者様が帰えられたのが、12:50分頃でした。
治療を開始したのが、9:40でしたが、
もちろんまだ、義歯を使用している状態です。
3時間後には、義歯ではなく、固定式の仮歯が装着されたことになります。
今回は、非常に早く治療が終了できたケースです。
通常は、今回より1時間程度かかることが多いです。
おそらく患者様は、数日間腫れるとは思いますが、手術当日から固定式の仮歯になりますし、なにより義歯を使用しなくて良い開放感があります。
即時加重(負荷)・インプラント は全ての症例に適応されることはありませんが、適応症さえ合えば、非常に良い方法です。
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大船駅北口歯科インプラントセンターインプラント 歯周病 専門医
神奈川県横浜市にある 日本歯周病学会歯周病専門医 国際インプラント学会認定医の歯科医院
I.T.Iインプラント認定医でもあり、 GBR法 、 サイナスリフト、 審美インプラント等の難症例も行います。
HPでは 治療費(費用)の説明や インプラント症例、 無料相談コーナーもあります。