インプラントの難症例:どのような状態が難症例か?:その2

2/21(木曜日)です。
今日も前回の続きで、骨の吸収を起こす“3つの理由” その2になります。

その2 歯根破折により骨が吸収してしまった!
歯の根が割れてしまうことはよくあります。
この原因の多くは 神経がない歯で起こります。
神経のない歯はもろく通常の咬む力でも割れてしまうことがあります。
こうした状態を 患者さんに説明する時に ” 木 “ に例えてお話しすること
があります。
生き生きとした木はたたいたり、蹴ったりしても折れたりすることはあり
ませんが、枯れた木は折れる可能性があります。
神経を取った歯も枯れた木と同じような状態になります。
神経のない歯は血液供給がなくなるため、脆くなってしまうのです。

歯の根が破折してしまった場合、折れている場所にもよりますが、
ほとんどの場合 >抜歯となります。
ここで問題なのが、折れてしまった歯が何とかならないものだろうかと考
え、抜歯をためらい、時間が経過してしまうことです。
破折したままの状態でいると破折した部分から感染が起こり、
周囲骨の吸収が起こります。
骨の吸収が大きく起こるとその後にインプラントを埋入する場合に非常に
不利な状態になります。
もし、歯根破折と診断された場合には早期に対処(抜歯となることが多い)
する必要性があります。
骨の吸収がほとんどない場合には抜歯と同時にインプラントが埋入
抜歯即時インプラントを参照)できますし、
骨の吸収が軽度から中程度であれば抜歯と同時にインプラントを埋入し、
さらにGBR法( 『GBR法』を参照)を行うことになります。
しかし、長期間破折を放置しておくと吸収は大きくなり、インプラントを
行うのに条件が悪くなります。
歯根破折をそのままにしておくと難症例になります。

次回のブログは2/25(月曜日)になります。
次回は、今日の続きで、『骨吸収を起こす3つの理由:その3』です。

今週(2/19〜20)のインプラント手術報告

今週(昨日)のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。
日々の臨床で、どのようなことを行っているか 知っていただきたいと思い 今年から始めました。
それでは、今週のインプラント手術の中からサイナスリフト法後にインプラント埋入を行った1症例について解説します。

今回のケースは、初診時に 上顎の左右ともに奥歯が4歯欠損していたため、インプラントによる治療を希望されて来院された患者様です。

診査の結果、上顎の奥歯は、高度に骨吸収を起こしており、場所によっては、約1ミリ高さしか存在しない状態でした。

通常、インプラントを適切に埋入するためには最低でも6〜8ミリ程度の骨の高さがないと行えません。

今回は、場所により 骨の高さが 1ミリですので、そのままインプラントを埋入するにはまったく無理な状態でした。

このように、1ミリ程度の骨の高さしか存在しない場合、インプラントを埋入するためには、 サイナスリフト法を行うしか方法はありません。

サイナスリフト法とは、骨の移植を行い、骨の高さの増大を行う治療方法です。

『なんだ、骨の移植を行えば、できるのか!』

と 思われるかもしれませんが、
この治療法は時間がかかり、
治療後の腫れも わりと強く起る治療法です。

治療期間は、 サイナスリフト法を行い、骨ができるまで、個人差はありますが、6〜12ヶ月です。

骨が再生後にインプラントの埋入になります。

そして、インプラントを埋入し、骨と結合するまでさらに6ヶ月程度はかかります。

つまり、治療期間は合計で、12〜18ヶ月程度はかかることになります。
場合によっては、もっとかかることもあります。

また、 サイナスリフト手術直後には、腫れが伴います。

この腫れは インプラント治療の中でも最も高頻度で起ります。
また、腫れの程度は、3〜10日間程度起ることがあります。
場合によりさらに続くこともあります。

私の経験上、 サイナスリフト法後に ほとんど腫れないという方も 今までにはいらっしゃいましたが、
基本的に 腫れると思っていただいた方が良いでしょう。

しかし、今回のように 骨の高さが1ミリしか存在しない場合には、 サイナスリフト法を行うしかありません。

サイナスリフト法の詳細については下記を参考にして下さい。
サイナスリフト法

話は戻ります。

今回の症例は、約7ヶ月前に サイナスリフト法を上顎の左右に行いました。

今回は、その片側のみにインプラントの埋入を行ったのです。

埋入したインプラントは、1本のみです。
2本は、 サイナスリフト法と同時に埋入を行ってあります。

それでは、 サイナスリフト法のみを行う治療と
サイナスリフト法同時にインプラントを埋入する方法の違いですが、
骨の高さは少ないが、3ミリ程度あり、インプラントを埋入する時にインプラントが安定できる状態であれば、同時に行います。

しかし、インプラントの安定が得られないようであれば、
無理せず、 サイナスリフト法のみを行い、
骨がきちんとできて(再生して)からインプラントの埋入を行った方が安全です。

今回の症例は、場所によっては、3ミリ程度の骨の高さがあったので、その部分には サイナスリフト法同時にインプラントの埋入が行えたのですが、
1ミリしか骨の高さがない場所は、前回 骨の再生治療のみ行ったのです。

そして、7ヶ月経過し、骨が再生したため、今回のインプラント埋入となりました。

使用したインプラントは、
ストローマン・インプラント   ( I.T.Iインプラント)

SLAタイプ  直径4.1mm 長さ10mmが1本でした。

麻酔方法は虫歯の治療で行うような普通の歯科麻酔です。

今後の治療スケジュール
今後の予定としては、
1. 約7〜10日後に“抜糸”、
2. その後、 約6ヶ月後に型を取り( サイナスリフト法後なので通常より時間がかかります)、
3. 型取りの後、 約20日で完成した被せ物を装着し、完了です。

今回のように骨の吸収が著しい場合には、治療期間がかかり、大変なのです。

骨が吸収しないようにすることが大切です。

骨が吸収する3つの理由については、現在シリーズで書いていることですので、次回のブログもご覧になって下さい。

いつもはこれで終了ですが、今回は確定申告時期ですので、お役立ち情報を書きたいと思います。

医療費の確定申告

歯科で行ったインプラント治療等の自費診療確定申告の対象になります。
是非 確定申告して下さい。

医科、歯科で支払った医療費が一定の金額以上の場合は控除の対象になります。
1年間(1月1日から12月31日)に医科、歯科の治療費(保険、自費診療とも含まれる)として支払った金額の合計が10万円以上の場合は控除の対象になります。(ただし上限は200万円までです)
具体的な控除額は(支払った医療費―保険等で補填された額)
―10万円もしくは所得金額の5%(いずれか低い金額)です。
確定申告時に源泉徴収票と一緒に医療費の領収書を税務署に提出します。

* 領収書の再発行はできませんので領収書は大切に保管して下さい。
* 通院にかかった交通費も対象になります。
(しっかりとした交通費の内訳(車、電車、タクシー等) と 領収書 が必要です)

医療費控除:参考例

所得金額500万円(妻:所得なし、子供2人)で、1年間に支払った医療費の合計が100万円だった場合。
100万円―10万円=90万円が医療費控除になり、所得税として9万円、住民税として77,500円の合計167,500円が還付されます。

* 上記は参考例であり、年度、特別減税等は考慮していません。
詳細は税務署にお問い合わせ下さい。

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大船駅北口歯科インプラントセンターインプラント 歯周病 専門医

神奈川県横浜市にある 日本歯周病学会歯周病専門医 国際インプラント学会認定医の歯科医院
I.T.Iインプラント認定医でもあり、 GBR法 サイナスリフト 審美インプラント等の難症例も行います。
HPでは 治療費(費用)の説明や インプラント症例 無料相談コーナーもあります。