金属アレルギー治療の最前線:オールセラミック:その6

2015年 6月22日(月曜日)です。

始めに休診案内です。
7月4日(土曜日)
7月5日(日曜日)
日本口臭学会出席のため休診となります。

このブログは「大船駅北口歯科 歯周病専門サイト」です。

歯周病専門のブログですが、このところ金属アレルギーについてアップしています。

それは、金属アレルギーで悩む方が多いからです。

それでは本日のブログ開始です。

今日のテーマは、
『金属アレルギー治療の最前線:オールセラミック:その6』になります。

世界的に金属治療は激減しており、
オールセラミック治療が急激に増えています。

これは患者さんのメタルフリー治療の希望もありますが、
最も大きな点は、
オールセラミックの精度が格段に向上しているからです。

現在オールセラミックの多くは、
CAD / CAM という方法で作製されています。

CADとは、
Computer  Aided  Design であり、

CAMとは、
Computer  Aided  Manufacturing
のことです。

従来の被せ物(金属製 や セラミック 等の被せ物)は、
簡単に言えば、歯型をとった物に石膏という硬い材質を流し込み、
型から複製された模型上で、
被せ物を作製していました。

作製するのは、歯科技工士であり、
もちろん全てハンドメイドです。

完全にオーダーメイドのため、
完成された被せ物は、歯科技工士の技術力に大きく左右されます。

また、1つの被せ物を作製するのに非常に長くの時間がかかります。

精度の高い被せ物を作製するのは、
巧みの技なのです。

それに対して、
CAD / CAM は、
コンピューター上で設計されたセラミック 等を
ミリングマシンという器械で削りだして作製されます。

歯科技工士の技術力に差がでにくく、
被せ物の種類にもよりますが、
今までの被せ物作製と比較すると
圧倒的に作製時間が短縮されます。

こうしたことは、コストの削減にも大きく貢献しており
実際に被せ物の種類によっては、
以前からあったオールセラミックと比較すると
安価に提供されています。

また、前回のブログでも解説しました
オールセラミックと歯を接着させる技術も格段に向上しており、
オールセラミックの破損率も
かなり低くなってきています。

このようなことから
CAD / CAM で作製されたオールセラミックは、
安価で、作製期間が短く、成功率が高いことで
患者様にとっても利益があり、

成功率の高さから医院側にとっても非常に利益も高く、

作製する歯科技工士にとっても
短期間で高品質なセラミックが安定供給できる利益があります。

オールセラミックに関わる全ての人にとって利益があるわけですから
当然今までの金属治療が劇的に変わってくるのは当然のことです。

世界的にもCAD / CAMで作製されたオールセラミックは、
ごく普通の治療となっています。

しかし、日本ではまだ完全に普及したとは言えません。

その理由は、日本の保険制度にあります。

日本人の口腔内には未だに金属の被せ物 や 詰め物が多くあるのが実状です。

口を開けると「キラット」金属が見えるのも日本人の特徴です。

見た目にもかっこいいものではありませんよね。

しかし、オールセラミックの特徴は、
単に見た目が良いというだけではないことは、
今までのブログで解説してきました。

虫歯になりにくいことも特徴です。

CAD / CAM の歴史は以外と古く
1985年にさかのぼります。

当医院でも使用しているセレックシステム(CEREC)が
始めてのCAD / CAMと言われています。

このセレックシステム(CEREC)は、
スイスにあるチューリッヒ大学のWerner H. Mormann教授らのグループが、
ドイツ・シーメンス社と共同で開発したものです。

開発同時は、完成したセラミックの精度がまだまだ良くなく、
多くの歯科医師が敬遠していたシステムでした。

しかし、その後の研究開発とともに
コンピューターの精度向上と
セラミックを削り出すミリングマシンの性能向上により
一気に高い精度でオールセラミックが普及するようになってきています。

また、デジタルカメラの性能向上により
今まで型取りを行なっていたものが必要なく作製できるケースもあります。

これは歯を削った後、
今まであれば、歯形を取ります。
その歯形に石膏を流し込み、
歯の模型を作製した後で、
セラミック等を作製していました。

しかし、さまざまな条件にもよりますが、
歯を削った後に
歯形を取らずに
歯を口腔内カメラで撮影することで、
セラミックを作製することが可能となっています。

このことは、
歯形を取ることが苦手な方にとっては非常に利点になります。

また、口腔内カメラによる歯の撮影は、
それ以外にも多くの利点があります。

歯形は、さまざまな状況により変形を起こします。
また、歯形から模型にするための石膏も固まる過程で変形を起こします。
こうした変形が大きいくなると
完成したセラミック自体も適合が悪くなります。

どのような方法をとっても
歯形 や 石膏の 変形をまったくなくすことは
難しいため、
時々、型をとったセラミックが合わないということは
どの歯科医師でも経験されることです。

口腔内カメラの精度 等によっても違いますが、
今までの行程で起こっていたテクニカルエラーが起こらないことも
CAD / CAM 治療の特徴です。

現在米国の歯科技工所のカタログを見ると
従来の型取りから作製された模型でセラミックを作製する場合と
口腔内カメラで取り込んだデータを技工所に送りセラミックを作製する場合の
2つのパターンがあり、
日本ではまったく普及していないデジタルデータでの
作製が可能となっています。

現在日本では、
院内にセラミック等を作製する歯科技工士がいない場合には、
型取りから作製された模型を
歯科技工所に郵送したり、
歯科技工所のスタッフが受け取りに来ることで
始めてセラミックの作製が可能でしたが、
デジタルデータでのやり取りが可能となると
さまざまなところでコストの削減が可能となります。

実際に米国のセラミック等の歯科技工料金表を見ると
従来の型取りから作製されたオールセラミックと
口腔内カメラによるデジタルデータから作製されたオールセラミックの
料金には違いがあります。

もちろん
口腔内カメラによるデジタルデータから作製されたオールセラミックの方が安いです。

これは当然のことながらオールセラミックの費用が安くなることにもつながり
患者様に利益となります。

それでは本日の内容になります。
少し前のブログでは、
金属アレルギーの検査について解説しました。

検査の結果、
金属アレルギーがあった場合には、具体的にどうしたら良いのでしょうか?

本日は、具体的な金属アレルギー治療について解説します。

治療法1: アレルゲンと診断された以外の金属を使用する!?
パッチテスト(金属アレルギー検査)で
陽性(アレルギー反応が認められた金属がある)と断定された以外の金属を
使用することも一つの方法と言われていますが、
この方法はお勧めできません。

実際に金属アレルギーについて記載された書籍 等の情報でも
「アレルギー反応で陰性(問題なし)と判断された金属の使用も考えられる」
というようなことを書いてあることがあります。

しかし、できるかぎり陰性(問題なし)と判断された金属であっても
使用は避けるべきです。

その理由として、パッチテストで陽性(問題あり)と判断されれば、
その金属がアレルギーの原因となりますが、

陰性(パッチテストで反応がない)であったとしても
絶対にその金属にアレルギーの問題がないとは言い切れないのです。

パッチテストで陰性であっても、実際には問題となっている可能性があるの
です。
こうした状態を偽陰性と言います。

また、現時点で陰性と判断された金属(問題がないとされた金属)であっても
今後ずっと問題がない(安全)とは言い切れないのです。

例えば、「ニッケル アレルギー」患者の半数以上の人に
「コバルトアレルギー」があると報告されています(交差反応)。

金属アレルギーの方の場合には、
どのような金属であっても使用しない方が安全であると考えられます。

また、費用的な問題もあります。
健康保険で使用される金属は「12%金銀パラジウム合金」と言います。
その組成は、メーカーによっても多少違いますが、
銀46% パラジウム20% 銅20% 金12%
その他(亜鉛・ガリウム・イリジウム・インジウム)2%
というような状態です。

金属アレルギーの方は、高確率でパラジウムに陽性反応があります。
もし、パラジウムを使用しない金属というようにする場合には、
金属アレルギーの可能性の低い金属を使用することが必要です。

例えば、チタンが考えられます。

しかし、チタンを使用した被せ物等は、健康保険の対象ではありませんので、
結果的に保険適応外(自費診療)となります。
当然のことながら健康保険よりは、高額になります。

また、「12%金銀パラジウム合金」に使用されているですが、
金属アレルギー陽性率の高い、ニッケル や コバルトと比較すれば、
確かにパッチテストで陰性となる可能性もありますが、
といっても歯科で使用される金の詰め物 や 被せ物 は、純金ではありません。
純金では加工が困難なため、他の金属も含めて作製されています。
合金です。

そのため、金なら大丈夫ということではありません。
もちろんパッチテストで金が陰性反応であっても
偽陰性という可能性もあるのです。

そのため、パッチテストで陰性反応と診断された金属を使用しても絶対に安全とはいきれないのです。
陰性反応とされた金属で新しく作成しても、
後で問題が起これば、撤去が必要です。
それが、健康保険が適応されない金属であれば、費用的な負担も大きくなります。

そうであれば、始めから金属を使用しない治療(ノンメタル治療)が望ましいです。

治療法:2 レジンによる治療(健康保険 適応治療)
レジンとは、樹脂(プラスチックのようなもの)を使用した治療で、
健康保険が適応されるため、コストを抑えることが可能です。

また、通常 1回の治療で行えるため通院回数も少なくてすみます。
(虫歯の状態 や 被せ物形態 等によって異なります)

さらに 基本的に どこの歯科医院でも対応が可能です。
(ノンメタル治療には、いくつかの重要なポイントがあるため
理想的には金属アレルギーの治療を十分理解、熟知されており、
経験豊富な歯科医院の方が良いでしょう。)

しかし、レジンという素材には、
健康保険が適応され 治療が比較的簡単な点もありますが、欠点もあります。

レジンは、強度(耐久性)に問題があるため、
しっかりと噛む部位 や 歯を覆うような被せ物には適応できません。
通常は、前歯の歯の間にある虫歯 や 奥歯であっても上下顎がしっかりと
噛み合ないような部位に使用されます。

実際に、金属を撤去し、レジンでの治療が可能であるのかを歯科医院で判断してもらうことが良いでしょう。

耐久性 等を考え、レジンを使用することが適応であった場合には、
治療の簡単さ、治療費の安さを考えると良い選択肢です。

治療法:3 オールセラミックによる治療
金属アレルギーの方の口腔内の治療法で最も優れているのが、
オールセラミックによる治療法です。

よく患者様から受けるご質問の中で、
セラミックオールセラミック は違うのですか?」
と聞かれます。

一般的に言われる「セラミック」という素材には、金属が使用されています。

「セラミック」の見えない内部(内側)は金属製です。

一般的に言われるセラミックの日本語の名称は、
陶材焼付金属冠(金属陶材焼付冠)と言います。

金属のフレームに瀬戸物を焼き付けて作製されているため、
内部には金属が使用されているのです。

実際にオールセラミックセラミックを見て比較して見ましょう。
セラミックの比較

上記の写真のように一般的に言われるセラミックには、
内部に金属が使用されているのです。

次回のブログも今回の続きです。

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