金属アレルギー治療の最前線:オールセラミック:その3

2015年6月9日(月曜日)です。

このブログは「大船駅北口歯科 歯周病専門サイト」です。

今日のテーマは、
『金属アレルギー治療の最前線:オールセラミック:その3』になります。

このテーマも3回目です。

ここまでの話をまとめると
第1回目では、オールセラミック治療は世界的に急速に普及してきており、
金属を使用しないメタルフリー治療が常識になってきていることを
データを見ながら解説しました。

もう金属を使用した歯科治療は過去の治療といっても良いでしょう。

これからは、金属を一切使用しない治療に変わっていくことになります。

ただし、噛み合わせの点 等から金属を使用した方が良いケースもありますので
最終的な判断は、口腔内のさまざまな状況をみて決めることになります。

しかし、今後の歯科治療は、
金属を使用しないメタルフリー治療が進んでいくことは間違いありません。

これは、メタルフリー治療には、多くの利点があることはもちろんですが、
患者様からのメタルフリー治療の希望が
多くなってきていることもあります。

さて、今までの2回の話では、
一般的に行われてきた金属製の詰め物は、
金属製の詰め物の 熱膨張係数の違いや
セメントと言われる物で着けているため、
しっかりと歯とくっついているわけでないことから取れやすく、
虫歯になりやすいことを解説してきました。

厳密に言えば、
セメントは、歯と接着しているのではなく、
歯と金属の間に固まって維持させているだけのものなのです。

そのため、虫歯治療を行った後は、
オールセラミックをレジンセメントでしっかりと接着することで
今まであった問題点を改善させることが可能になってきたことを解説してきました。

この接着ということが
詰め物を取れにくくさせたり、
虫歯になりにくくさせたりする大きなポイントなのです。

オールセラミックをレジンセメント
歯としっかりと接着させた治療は、
非常に有効な治療法なのです。

それでは、オールセラミックには問題はないのでしょうか?
オールセラミック治療を行なえば、
一生問題なく維持できるのでしょうか?

本日はそうした疑問を解説します。

オールセラミックの問題点についてです。

先週までの話をご覧になっていない方のために、
先週までの話を簡単にまとめます。

先週までのブログをご覧になっていただいた方も
再度見ることで
さらにご理解がしやすくなります。

オールセラミック治療は、従来の虫歯とは大きく異なる治療です。

従来の虫歯治療は、
虫歯を削った部位に金属を詰めるわけですが、
この時に使用するのがセメントです。

セメントは 厳密に言えば、
歯や金属と接着しているのではなく、
歯と金属の間に介在して固まり、金属を動かなくしている材料です。

家の庭塀でよく使用されているブロックと同じようなものです。

ブロックでできた壁は、
ブロック同士をセメントという泥状のものを
ブロック間に介在させて固まらせて、固定させます。
これによりブロックでできた壁が維持されているのです。

歯科で使用する金属と歯の間にあるセメントも同じです。

セメントは、口腔内で長く使用していると劣化します。
口腔内は非常に過酷な環境であり、

唾液 や
咬合力(噛む力)、
金属の熱膨張 による収縮、膨張の繰り返し

によって容易に崩壊(セメントが砕け、溶ける)してしまいます。

セメントが崩壊することで、
歯と金属製の詰め物に隙間(すきま)ができ、
そこから唾液 や 汚れが侵入し、
金属内部で細菌が繁殖して、再度虫歯(2次カリエス)になってしまいます。

セメントが崩壊することで
結果的に
詰め物が取れたり、
歯が欠けたりします。

また、詰め物が取れた場合、
細菌の侵入と繁殖により、
内部が虫歯がなっていることが多く、
再度治療を行うために、
さらに多くの歯を削ることになり、
場合により 虫歯が深いと神経を取り除く治療が必要になることもあります。

そうした問題点を解決するために行われているのが「オールセラミック治療」なのです。

オールセラミック治療は、歯とセラミックをしっかりくっつけるための接着方法を
があってこそ効果を発揮します。

樹脂含浸層 (じゅしがんしんそう)を介在することで
歯とセラミックが強固に接着し、
強度を増すことで、再び虫歯になることを抑制することが可能です。

また、金属を使用しないため、
審美的にも優れ、
金属アレルギーの原因にもなりません。

それでは、オールセラミック治療は万能な治療なのでしょうか?

なにか問題点はないのでしょうか?

オールセラミック治療にも欠点があります。

まず、オールセラミックは、レジンセメントで付けることで、
強固に歯と接着することが可能となります。

しかし、噛み合わせの問題 等から破損(壊れる)する可能性がないわけで
もありません。

しかし、もしセラミックが破損したとしても
再度セラミックを再製すれば良いことになります。

金属治療の場合、金属が取れると内部では虫歯になっていることが多く、
場合によっては、虫歯の進行が大きく、神経まで達していることもあります。

もし、神経を取るようなことになってしまえば、
歯へのダメージはさらに大きくなります。

歯を長く維持させるためには、
神経を取らない方が良いのです。

オールセラミックの他の欠点として、
保険が適応されないこともあります。

しかし、近年ではオールセラミックの費用も
以前と比較すると だいぶ安価になってきています。
当医院でも新しいオールセラミック作製システムを導入してから
以前の半額になっています。

今後オールセラミック治療が普及するにつれて、
さらに治療費は下がることが予想されます。

次にオールセラミック治療の成功率のデータを説明します。

以下は、オールセラミック治療についての成功率のデータになります。

シロナデンタルシステムズ株式会社が公表している臨床研究データによると、
従来法のセラミックインレー(部分的なセラミックの詰め物)
の15年後の残存率は約68%とされています。

つまり、従来のセラミックインレー(部分的なセラミックの詰め物)は、
15年後には約3分の1が破折、脱離 等のトラブルが発生しているという
結果です。

当医院で取り扱っている オールセラミック(セレック)
15年後の残存率を調べた臨床研究によれば、
約93%と非常に高いデータがでています。

上記のようにオールセラミック(セレック)の臨床成績は、非常に高い
ものですが、それでも100%ということではありません。

こうした点もオールセラミック治療の今後の課題になります。

しかし、上記の約93%というデータは、
過去のレジンセメントを使用したデータであり、
接着方法についてもここ数年で
さらに向上すべく改良されています。

セラミックのブロックの精度も向上しています。

こうしたことを考えると
今から15年経過した時点で、
現在行なっている方式での成功率のデータをとれば、
オールセラミック治療の成功率は、
格段に向上していることでしょう。

日々医療技術は向上しているのです。

次回も本日の続きとなります。

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