今日のインプラント午後2件
今日は午後に2件のインプラント手術がありました。
 1件は下顎の前歯部にインプラント埋入です。
 もう1件は上顎に4本のインプラント埋入でした。
 奥歯にはインプラントを埋入するための骨の高さが十分ないため『カンチレバー』という方法を行いました。
 カンチレバーとは奥歯の骨が吸収しており、インプラントが埋入できない場合などに行う方法で、前歯に埋入したインプラントを連結し、骨のない奥歯に被せ物を追加し、奥歯でも噛めるようにする方法です。
 通常、上の奥に骨の高さがない場合には上顎洞挙上術(サイナスリフト)という骨の高さを増大させる治療法を行いますが、この治療は時間(サイナスリフトだけでも3〜6ヶ月程度かかります)がかかります。また患者さんにとってこのサイナスリフトは負担もあり、少し大変な治療です。
 そのためケースによっては『カンチレバー』という方法を行うこともあります。
 実際の症例が下の写真のようになります。        
 奥に付けたダミーの歯を『カンチレバー』と言います。
 それではこのようなカンチレバーは良いのでしょか?
 問題は起らないのでしょうか?
 以下にはカンチレバーを行った被せ物の予後を10年間観察した論文を報告します。
 論文著者:Curtis M Becker
 掲載論文誌:Quintessence International 6/2004
 対象患者 :36名
 使用インプラント:I.T.Iインプラント
 使用本数および被せ物の数:115本、60の装置
以上の条件のもと埋入したインプラントを10年間観察した。
 結果 :10年後に全ての症例、全てのインプラントにおいて口
     腔内、レントゲン所見において異常は認められなかっ
     た。
 考察 :カンチレバーによる治療は条件さえそろえば良好な結果
     を得る治療であることがわかった。その条件とは以下の
     ようなことである。
    1.骨との結合が良いインプラント表面をもったものを使用
      すること。
     (これはSLAインプラントと言われるもので当医院ではこ
      のインプラントを100%使用しています)
   
    2.直径4.1mm以上のインプラントを使用すること
     (当医院でも特別なことがないかぎり直径4.1mm以上の
 インプラントを使用しています)  
    
 3.ネジ式でない接着剤を使用した被せ物にすること
  
 上記のようなことであればカンチレバーという治療は問題なく行えるということです。  
インプラントの杉山歯科医院
