インプラントにおける難症例:4

インプラントにおける難症例:4

前回は骨の『リモデリング』とは
1. 骨が常に新しく作られたり、
2. 骨が溶けてなくなったり、
3. できた骨の形を持続しようとする働き
であることをお話しました。
また骨が常に新しく作られるということを『骨形成(能)』と言うこともお話しました。
今回はこの『骨形成(能)』が年齢とともに衰えるという論文をご紹介したいと思います。

骨の再生(新生)に大きな役割を行う細胞があります。
『間葉系幹細胞』です。
また聞き慣れない難しい名前がでてきました。
とりあえず骨を作る細胞だと思って下さい。
今回ご紹介する論文は年齢別にみた骨髄組織中の『間葉系幹細胞』の量の話です。

骨髄組織中の『間葉系幹細胞』の量は新生児で0.0001%
です。
単位が小さくわかりずらいので新生児での割合を1とします。
10代ではこの量(骨髄組織中の『間葉系幹細胞』)が新生時の
1/10になります。
35歳では 1/25
50歳では 1/40
80歳では 1/200
にまでなってしまいます。
つまり骨形成(能)は年齢とともにどんどんと衰えていくのです。
簡単に言うと年をとるごとに骨折した部位はくっつきにくくなるのです。

インプラント治療においては年齢とともに骨と結合(くっつく)時間が長くなる(時間がかかる)かどうかの結論はでていませんが、
一般的に20代より70代の方が骨とくっつく時間を長くすることが必要と考えられています。
骨粗鬆症の患者さんに対してはどうでしょう。
骨粗鬆症の患者さんにおいてもインプラント治療は禁忌ではありません。
インプラントの成功率をみても骨粗鬆症の患者さんとそうでない患者さんでは大きな差はありません。
しかし、インプラントと骨が結合する時間を長くとります。
通常下顎ではインプラントと骨が結合(くっつく)まで2〜4ヶ月程度の期間がかかります。
(使用するインプラントの種類によっても違います)
しかし、骨粗鬆症の患者さんはできれはこの倍の期間をとった方が良いと考えられています。

少しずつ骨に詳しくなってきましたね。
インプラント治療の基本はこの骨の性質を知ることです。

次回もこの続きです。

インプラントの大船駅北口歯科インプラントセンター