インプラントにおける難症例:7

インプラントにおける難症例:7

前回自家骨はGBR法を行うにあたり『骨誘導能』があり、非常に有効な移植材であることをお話しました。
しかし、自家骨を採取するため場所が必要であり、患者さんにとってそれは大変なことであることもお話しました。
(『骨誘導能』とは骨を作る細胞自体を呼び集める能力のことです)

今回は自家骨以外の移植材についてお話したいと思います。

GBR法に使用される『骨移植材(骨補填材)は以下のような種類があることを前回お話しました。
1 自家骨
2 他家骨、同種骨
3 異種骨
4 代用骨
です。
今回は2番目の『他家骨、同種骨』についてです。
海外において使用されている『他家骨、同種骨』には
『DFDBA』と『FDBA』という物があります。
a. 『DFDBA』は
  ヒト脱灰凍結乾燥骨(demineralized freeze-dried bone allograft)
b. 『FDBA』は
  ヒト非脱灰凍結乾燥骨(freeze-dried bone allograft)
の頭文字を取った略語です。
つまり他の人間の骨です。
米国では組織銀行(ティッシュバンク)があり、ヒトの骨は使用されています。
安全性については米国組織銀行協会(American Association of Tissue Bank)の指標する基準に達していれば感染の問題はないとされています。
米国の他家骨移植は年間約500.000症例行われており、そのうち歯科に関連する症例は年間約200.000症例あります。
現時点で感染例は報告されていません。
他骨が使用されている大きな理由として自家骨移植(ご自身の骨のこと)は骨(自家骨)を採取する場所を確保しなければならず骨(自家骨)の採取する量や、骨(自家骨)を採取することで患者さんが大変(苦痛が伴うこと)なことです。
他骨移植は患者さんにとっても治療する側にとっても楽なことです。
また歯科領域においては骨の新生(再生)に効果があるという報告が多数あります。
しかし、日本では免疫的な問題、感染の問題だけでなく、倫理上の問題からも使用は難しいと考えられます。
そうした良い面はこの後の『異種骨』でもお話ししたいと思います。
ただし、個人的には安全性があるからといって他のヒトの骨を使用したくありません。
ちなみに当医院では使用しません。
先程お話しましたように米国の論文を中心として『DFDBA』や『FDBA』の臨床応用報告はあり、その効果も認められています。
フォローするわけではないですが、骨の再生という面を考えれば良いものであると考えられます。

ちなみに『DFDBA』や『FDBA』は日本では厚生労働省による認可は受けていません。
ただし、認可は受けていなくても歯科医師が患者の了解のもと使用することは違法ではありません。
日本においても使用されている先生もいるかもしれませんが、患者さの同意が絶対に必要です。

患者さんご自身も気になる場合にはGBR法等の骨移植を行う際にはどのような『骨移植材(補填材)』を使用するか聞いてみて下さい。
通常は自家骨と人工骨(また後日お話します)ですが…

それではまた次回

インプラントの大船駅北口歯科インプラントセンター