インプラントにおける難症例:13

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『コンポジット移植材』の続きです。
前回は『骨』には2種類あり、それは『皮質骨』と『海綿骨』であることを書きました。

1.『皮質骨』は骨の表面にある硬い骨のことです。
  そして下顎の骨は『皮質骨』が多い場所です。
2.『海綿骨』はその内部(皮質骨の内側)にある柔らかい
  骨です。
  特徴として骨の新生(再生)を起こす細胞が豊富に含ま
  れています。そのため『GBR法』や『サイナスリフト(上
  顎洞底挙上術)法』には最も適した骨です。
  上顎の骨は『海綿骨』が多い場所です。

上記が『皮質骨』と『海綿骨』の特徴でした。

今回は『皮質骨』と『海綿骨』の特徴をさらに書きたいと思います。

今までの『皮質骨』と『海綿骨』の特徴を話すと『海綿骨』の方が非常に優れているということになります。
通常私達インプラント医は『GBR法』を行う際、好んでこの『海綿骨』を使用します。
しかし、骨の新生(再生)に対し、多くの骨の細胞を含んでいることだけが『海綿骨』の特徴ではありません。
それ以外の特徴を知ってこそ、効果的(有益な)治療が行えるのです。
『海綿骨』の欠点として早く吸収(溶けやすい)ことが挙げられます。
骨の幅や高さが大幅にない時(骨が大幅に吸収してしまっている時)にはできるかぎり骨の幅や高さを確保したいものです。
骨が回復(再生)するには時間がかかります。
例えば、腕や足を骨折した場合、骨がくっつくまで何ヶ月と期間がかかります。
『GBR法』においても骨が新生(再生)するまでには期間(時間)がかかります。
その期間は状態にもよりますが3〜6ヶ月程度です。
このテーマの最初にも書きましたが、根本的な話として
移植した骨がそのままくっついて骨になるのではありません。
移植した骨の中に生存している骨の細胞や既存の周囲からの骨に生存している骨の細胞が骨を作ります。
このことを『骨伝導(能)』と言うことを前に解説しました。
そして『移植した自家骨』は細胞が住む『家』なのです。
『移植した骨(家)』の中で新しく骨の細胞が増え、新しい骨を新生(再生)させるのです。
できた骨は『新しい家』なのです。
できれは『新生した骨(新しい家)』ができる直前まで『移植した骨(家)』があってくれた方が骨の細胞にとってはいいことになります。

ここで話を『海綿骨』に戻します。
『海綿骨』の欠点として早く吸収(溶けやすい)ということを書きました。
早く溶けてしまうとできた骨の高さや幅は思って以上に新生(再生)されないことになります。
骨の幅や高さを十分新生(再生)させたい時には『皮質骨』も有効になります。
つまり『皮質骨』は溶けにくいのです。
吸収しにくい(溶けにくい)ということは移植した形を保ちやすいということになります。
これが『皮質骨』の利点です。

私達インプラント医は『GBR法』で骨移植(自家骨移植)を行う際、その状況(状態)により『皮質骨』と『海綿骨』を使い分けているのです。

また今後お話をする機会があると思いますが、『皮質骨』を主に利用した『GBR法』を『ブロック骨移植』や『オンレーグラフト』と言います。
まあこれは特殊な治療法で、実際に行える歯科医師自体も非常に少ない治療法です。
インプラントの中でも特殊な治療法と思って下さい。

『自家骨』の中でも『皮質骨』と『海綿骨』についてだいぶ分かってきたと思います。

ここまでがんばってみられている方はもうすでにかなりの『ツウ』です。

通常、患者さんでここまで知っている方はいないでしょう。

インプラントの大船駅北口歯科インプラントセンター