リアルタイムPCR法:細菌検査によるリスク診断:その6

現在は朝の5:30です。
これから熊本に学会に行ってきます。
そのため、明日はブログは休みです。
院長は休みですが、病院自体は診療しています。
今日(9/15:土曜)は、山科先生、真鍋先生、島崎先生になります。
明日(9/16:日曜)は、山科先生、真鍋先生、北浜先生になります。

さて今日はリアルタイムPCR法の6回目になります。

さていよいよ本題です。
先日は、嫌気性菌(酸素の無いところを好む)が、歯周病の原因であったことを解説しました。
しかし、以前はこの『嫌気性菌』を採取するのが非常に困難でした。
現在では、PCR法と言われる検査により、可能となりました。
『 PCR法 』とは『 Polymerase Chain Reaction 』の頭文字をとったもので、日本語では『 ポリメラーゼ連鎖反応 』と言います。
方法を簡単に説明します。

1 患者様の唾液を採取もしくは歯周ポケット内部の細菌をペーパーポイン
  トにて採取します。
  病院で行う作業はこれだけです。
  後は、検査会社に委託します。

2 採取した菌体から『 DNA 』を抽出します。
* 『 DNA 』抽出とは
  唾液中の菌体(死骸でも可)から遺伝子(DNA)を取る作業のこと
  です。
  簡単に言うと菌の殻から中身を取り出すことです。

3 菌数を定量的に検出
  総口腔内菌数に対する目的菌の存在比を算出

  検査の結果が出るまでには7〜10日ほどかかります。

次にPCR法を応用した歯周病治療の実際についてです。

PCR法によりA a菌が0.01%以上、P i 菌が5%以上、
P g菌が0.5%以上 検出され、『難治性歯周炎』や『侵襲性歯周炎』と診断された場合の治療法です。
先にも書きましたが、通常 歯周病の初期治療は『ルートプレーニング』と言われる治療を行います。
歯周ポケット内部に侵入した歯石や歯周病細菌の除去です。
通常、中程度の歯周病であれば、この『ルートプレーニング』で治りますが、
A a菌が0.01%以上、P g菌が0.5%以上存在するような『侵襲性歯周炎』の場合、歯周ポケット内部の細菌を除去しても、歯肉の内部に深く浸透しているため、機械的に除去するだけでは完全に除菌できない可能性があります。
『ルートプレーニング』を行っても、また新たに細菌の感染が起るためです。
この繰り返しのため、完全な除菌が困難になっているのです。
そのため、『ルートプレーニング』と同時に抗生剤を服用し、歯周病ポケット内部の除菌(ルートプレーニング)と生体内部の細菌(歯肉の内部に潜んだ細菌)の除菌を同時に行うことが必要になります。
そのための診断としてPCR法により細菌の種類や数を正確に判断することが必要なのです。
現在、A a菌、P g菌に対しては『ルートプレーニング』と同時に『アジスロマイシン』という抗生剤を服用することが有効とされています。

つまり、『PCR法』を応用した『侵襲性歯周炎』の治療とは
細菌検査により、A a菌、P g菌の存在を確認した場合に抗生剤(アジスロマイシン)を服用しながら『ルートプレーニング』を行い、歯周ポケット内部と
生体内部の両方から歯周病細菌を除菌する治療法なのです。
この治療の詳細は 『歯周病患者様におけるインプラント治療:フルマウスSRP法』を参考にして下さい。

それでは明日はブログは休みになりますので、明後日この続きを書きたいと思います。

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大船駅北口歯科インプラントセンターインプラント 歯周病 専門医

神奈川県横浜市にある日本歯周病学会歯周病専門医 国際インプラント学会認定医の歯科医院
I.T.Iインプラント認定医でもあり、GBR法、サイナスリフト、審美インプラント等の難症例も行います。
HPでは治療費(費用)の説明やインプラント症例、無料相談コーナーもあります。