審美的にインプラント治療は行えるのか?:その4

今年2回目のブログです。
審美的にインプラント治療は行えるのか?:その4になります。
歯肉が薄い場合に起る問題
以下は歯肉が薄い方に起ることです。
薄い歯肉は時間の経過とともに退縮していきます。
退縮を起すと審美的に問題を生じる可能性があります。
少しでもこの退縮を防止するためには予め歯肉を厚くする治療を行うことが有効です。
そのためインプラントを埋入時もしくはインプラント埋入後(型を取る前)に歯肉を厚くする治療を行う必要性がある可能性があります。
(この歯肉の厚くする治療法を『歯肉結合組織移植』と言います)
歯肉の増大治療(歯肉結合組織移植)
通常、歯周病等の病的な状態でなくとも加齢とともに歯肉は下がってくるものです。
これは生理的な現象です。
歯肉退縮には個人差があり、下がりにくい方もいれば下がりやすい方もいらっしゃいます。
特に歯肉が薄い場合、歯肉が下がりやすくなります。
歯肉が下がってくるとインプラントの金属部分が見えてくることがあります。
奥歯の場合であれば歯肉の退縮がある程度起っても審美的に大きな問題を生じることはありませんが、前歯では問題となります。
歯肉退縮の予防策として歯肉の厚みをあらかじめ増やす(増大させる)治療法があります。
この治療を『歯肉結合組織移植』と言います。
治療方法は上顎の内側(口蓋側)に麻酔を行い、歯肉を採取します。
採取した歯肉を歯肉の薄い部分に移植します。
治療は麻酔をして行いますのでもちろん痛みはありませんが、
治療後、採取した上顎の内側の部分に違和感を感じたり、食事がしずらいということがあります。
その期間は1日程度から人により10日程度になることもあります。
この治療法は
インプラント埋入時(インプラント埋入と同時)に行う場合と
インプラント埋入後(インプラント埋入後2〜3ヶ月後)に行う場合
の2つの方法があります。
上顎の前歯部等審美的な部位であれば行った方が無難な治療です。
ketugousosiki
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今年から、インプラント情報(歯科情報)以外にも、
インプラント手術報告も書いて行きます。
まず、今年最初のインプラントの手術報告です。
上顎に5本のインプラント埋入を行いました。
使用したインプラントは、
ストローマン・インプラント ( I.T.Iインプラント)
SLAタイプ  直径4.1mm 長さ12mmが4本、
SLAタイプ  直径4.1mm 長さ8mmが1本でした。
麻酔方法は 『静脈内鎮静法』 です。
静脈内鎮静法は寝ている間に治療が終了するため、治療を受ける患者様にとっては楽な麻酔方法です。
5本のうち4本はインプラント埋入と同時に 『GBR法』を行いました。
GBR法に使用した材料は 『自家骨』および、『人工骨』です。
使用した人工骨は 『β―TCP』 です。
β―TCPは完全に人工に生成された骨です。
世界的には他の動物(牛や豚)の骨を使用した人工骨(Bio-Oss®等)の使用が一般的ですが、こうした動物由来の人工骨は、日本においては、患者様が希望されることが少ないため、当医院では使用していません。
* しかし、世界的には骨の再生が良いことと、安全性が 多くの研究に
より報告されています
『β―TCP』は人工的に生成された骨なので、それ自体が完全に骨になったりすることはありませんが、ご自身の骨や血液中の細胞が混ざることにより、骨に置換しやすいものです。
また、完全人工生成のため、非常に安全性が高いのも特徴です。
日本において 『β―TCP』は、歯科よりも整形外科等で、複雑骨折の治療等で普及している材料です。
また、 GBR膜 として吸収性『コラーゲン膜』を使用しました。
吸収性膜は、歯肉とのなじみも良く、インプラント同時の GBR法 では世界的に最も使用されている膜で、吸収性膜なしでは、 インプラント同時GBR法は成り立たない治療法です。
日本人にインプラント治療を行う場合、骨の幅が不十分であることが多く、
多くのケースにおいて GBR法を行います。
当医院においてもインプラント治療の約半数はGBR法を併用しています。
吸収性膜なしでは、インプラント治療は行えないと言ってもくらい重要な材料です。
また、埋入方法はドリルをほとんど使用しない、 『スプリッティング法』を応用しました。
この方法も年々増えて来ている方法です。
当医院においても骨の柔らかい上顎では、ほとんどの症例において行っている方法です。
残りの1本は 『ソケットリフト法』を行いました。
これもインプラント治療において当たり前に治療になっています。
上顎の奥歯で、骨の高さが少ない場合、 『ソケットリフト法』 は、患者様の負担も少なく、非常に優れた治療法です。
インプラント治療を手がける先生の多くは行っている処置法です。
ただし、このようにインプラントの埋入本数が多かったり、 GBR法 を併用すると治療後に腫れる可能性が高くなります。
次回のブログは1/10(木曜日)になります。
次回は審美的にインプラント治療は行えるのか?:その4(最終回)です。
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大船駅北口歯科インプラントセンターインプラント 歯周病 専門医
神奈川県横浜市にある日本歯周病学会歯周病専門医 国際インプラント学会認定医の歯科医院
I.T.Iインプラント認定医でもあり、GBR法、サイナスリフト、審美インプラント等の難症例も行います。
HPでは治療費(費用)の説明やインプラント症例、無料相談コーナーもあります。