どのような状態が難症例か?:その9(最終回)

3/17(月曜日)です。

今日も前回の続きで、どのような状態が難症例か?:その9:全身疾患による難症例とは?『放射線治療の既往および血友病等の血液疾患は難症例か?』になります。

この内容も以前書いたものですが、重要な話なので、書きたいと思います。

今日で、『どのような状態が難症例か?』のシリーズは終了です。

放射線治療の既往がある患者様はインプラント治療が可能か?

ガン(癌)の治療で現在放射線治療を行っている方は基本的にインプラント治療ができません。
特に顎骨に放射線を受けている場合には外科処置は禁忌です。
また麻酔を行うことも危険です。
歯科麻酔により骨髄炎を起こす可能性があります。
そのため、インプラント以外の通常の歯科治療においても注意が必要です。
特に口腔領域の悪性腫瘍に対する放射線治療後は口腔内の炎症が起ったり、骨髄炎を併発していることが認められます。

また、放射線治療後には唾液の分泌量の減少が認められることがあります。
唾液の分泌が少なくなると、虫歯や歯周病が起る確立が高くなります。
そのため、放射線治療後には口腔内の管理をきちんとしておかないと虫歯や歯周病になった場合でも治療が難しいことがあるため、注意が必要です。
ただし、放射線治療後に一定の期間が経っている場合には医科担当医(放射線科医)との相談によってインプラント治療が行える場合もあります。
放射線治療後にインプラントをご希望の場合にはまず、担当歯科医師に今までの治療経過の詳細を伝えて下さい。

血友病等の血液疾患は難症例か?

血友病とは?(簡単なミニ知識)

血漿(けっしよう)の中には12種類の血液凝固因子があり、血小板と協力して止血のはたらきをしています。
凝固因子が先天的に欠乏しているために、出血しやすく、血が止まりにくい病気が血友病です。

血友病の方はインプラント治療が可能か?

ご自身が血友病等の血液疾患であることが分かっている方は外科処置が禁忌であることをご理解していらっしゃるかと思いますが、そうした既往がなくても普段ケガをした時に血が止まりにくいことを経験された場合には一度 血液検査をされることが大切です。
また、インプラント治療を受ける際にもそうしたことを自覚されている場合には担当歯科医師に必ず伝えて下さい。

今日で、『どのような状態が難症例か?』のシリーズは終了です。
次回から新しいテーマになります。

『インプラント治療後 なぜ腫れるのか?』です。
もちろん必ず腫れるわけではありませんが、腫れることもあります。
どのような時に腫れて、それはその程度続くのか?
等を解説したいと思います。

次回のブログは3/20(木曜日)になります。

今週(3/15〜17)のインプラント手術報告

今週(昨日)のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。
日々の臨床で、どのようなことを行っているか 知っていただきたいと思い 今年から始めました。
それでは、今週のインプラント手術の中から上顎に5本のインプラント埋入を行った1症例について解説します。

患者様は、初診時に上下顎に数本しか歯が残っていなかった方です。
そして、残っている数本の歯自体も 歯周病や虫歯で抜歯しなければならない状態でした。

そのため、全ての歯を抜歯し、下顎に6本、上顎に8本のインプラントを埋入し、インプラント・ブリッジ とする計画を立てました。

しかし、上顎の奥歯については、骨の吸収が非常に高度にあったために、すぐインプラントの埋入ができない状態でした。

このように骨が吸収してしまった原因は、 歯周病です。
歯周病の状態を放置すると歯を支えている骨が吸収してしまうため、奥歯においては、高度の骨吸収が起っていました。

歯周病による骨吸収の結果、骨の高さは1〜2ミリしか存在しない状態でした。

そのため、奥歯においては、骨を増大させる治療法を行いました。

サイナスリフト法です。

サイナスリフト法を行うと骨ができるまでに時間(期間)がかかります。

状態や個人差はありますが、6〜10ヶ月程度(骨が再生する期間のみ)です。

かなりの時間がかかります。

そのため、骨の高さや幅が ある程度存在する 上顎の前歯部分には、先にインプラントの埋入を行いました。

そして、先に埋入したインプラントで仮歯を作製します。

この仮歯は奥歯の治療が終了するまで、使用していただきます。

このように骨の状態が悪く、多数のインプラントを埋入する場合、治療計画をきちんと立てていないと、治療が終了するまで、患者様は噛むことに不自由になってしまいます。

さて今回は、上顎に前歯部には すでにインプラントが埋入してあり、今回は奥歯にインプラントを 追加埋入したケースです。

インプラントの埋入本数が多かったため、麻酔は、 静脈内鎮静法にて行いました。

手術時間は、 『GBR法』 『スプリッティング法』を併用したため、約60分かかりました。

埋入本数が多く、治療が複雑な場合、このような 静脈内鎮静法による麻酔、寝ている間に治療
が完了するため、患者様には楽な麻酔です。

使用したインプラントは、
ストローマン・インプラント ・ ( I.T.Iインプラント)
SLAタイプ 直径4.1ミリ、長さ10ミリ が5本でした。

今後の治療スケジュール
今後の予定としては、
1. 約7〜10日後に“抜糸”、
2. その後、 約3〜4ヶ月後に型を取ります。

治療費
今回の手術を含め、上顎の治療費の合計は、
インプラントが1本21万円(税込)×8本、
最終的な被せ物は、
手前がハイブリッドセラミックで1歯105.000円(税込)×12歯分、
ですので、合計2.940.000円(税込)になります。
多数歯欠損であり、埋入本数も多く、インプラント治療では、最も費用がかかる治療方法です。

多数歯欠損がある場合で、治療費を抑えたい方は以下を参考にして下さい。
  ・ 治療費を抑えるインプラント治療(アタッチメント義歯)

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大船駅北口歯科インプラントセンターインプラント 歯周病 専門医

神奈川県横浜市にある 日本歯周病学会歯周病専門医 国際インプラント学会認定医の歯科医院
I.T.Iインプラント認定医でもあり、 GBR法 サイナスリフト 審美インプラント等の難症例も行います。
HPでは 治療費(費用)の説明や インプラント症例 無料相談コーナーもあります。