インプラント症例:73回目

9/20(月曜日)です。
このインプラント症例ブログは毎週 月曜日木曜日にアップしています。
『73回目のインプラント症例』になります。
このブログですが、毎週 月曜日 と 木曜日 にアップしていますが、
暫くは、月曜日だけになります。
ちょっと学会発表 等の仕事があるため、少し忙しく、
暫くの間は月曜日だけのアップになります。
本日の症例は、上下顎に骨吸収が起こっていたケースです。
特に上顎の奥歯には、骨吸収が起こっていたため、
ソケットリフト法 で対応しました。
ソケットリフト法 は、上顎の奥歯では非常に良く行う方法です。
本日の症例の前に、上顎奥歯の解剖とソケットリフト法 について解説します。
ソケットリフト法 をすでにご存知の方は、飛ばして見て下さい。
上顎の奥歯にインプラントを埋入するためには、上顎洞ということをしっかりと理解することが重要です。
上顎洞とは、上顎の奥歯の上に存在する骨の空洞になっている部分のことです。
多くの場合、歯が存在するとこの上顎洞と上顎の骨の距離は一定の幅がありますが、
歯周病 等で骨が吸収してしまうと上顎と上顎洞との距離が薄くなってしまいます。
その結果インプラントを行えないことがあります。
このことについて、図で解説します。(ご存知の方は飛ばして下さいね)
p_img_01
A.歯がある状態で上顎洞までの距離があり、十分な骨の高さがある。
B.歯を失った後でも上顎洞までの距離があり、十分な骨高さがある。
インプラントを行うのに問題はない
C.歯周病等で骨が吸収してしまったために上顎洞までの距離がなくなり、
インプラントを行うのに十分な骨の高さがない。
上顎にインプラントを希望する患者さんの多くは(60%以上)このような状態である。
このように歯を抜いた場所は年々やせて、
場合によっては1〜2mm程度の幅しかない方もいます。
また後で症例を見ながら解説をしますが、上記のように上顎の奥歯で骨
高さが少ない場合には、どうしてもインプラントを行うことができません。
そのためにソケットリフト法 を行い、インプラントを埋入するのです。
次にソケットリフト法 について解説します。
ソケットリフト法 は、上顎と上顎洞との距離が狭く、そのままではインプラントは不可能であるが、 5mm以上の距離がある場合に行う方法です。
通常インプラントを行うのには最低10mm(予知性のある治療を行うのに必要な最低限の骨量と考えている)の骨の高さが必要であるが、ソケットリフト法を応用すれば 5mmの骨の高さがあればインプラントを行うことができます。
治療自体はインプラントの穴を形成する器具を使用しないため通常のインプラトを行う場合よりも痛みや腫れがない治療法です。
図で解説します。
p_img_04
骨の高さが少ない状態でインプラントを埋入すると
短いインプラントしか埋入できませんし、
無理して長いインプラントを埋入しようとすると
上顎洞内部にインプラントが突き抜けてしまいます。
これではいけません。
そこで、上顎洞を上方に引き上げる方法を行います。
上顎洞は、硬い骨ではありません。
大雑把に言えば、布が垂れ下がっている状態であると思って下さい。
垂れ下がった上顎洞という布を下(下方)から押し上げます。
そして、押し上げてできた空洞に人工の骨を入れ、空洞を維持します。
次に 押し上げられた上顎洞にインプラントを埋入するのです。
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ソケットリフト法は、本当に良く使用する治療方法です。
上顎の奥歯では、ソケットリフト法なしでは、できない症例が非常に多いのです。
前置きが長くなりましたが、本日の症例を見てみましょう。
患者様は、歯肉の退縮 や 歯周病で来院されました。
しかし、検査の結果、神経のない歯が非常に多く、問題がいっぱいありました。
本日は、前置きが長かったので、少し短縮してお話をします。
以下のレントゲンは初診時ではありません。
初診から暫くした状態です。
上顎の左側の奥歯の差し歯(被せ物)が脱離した時の状態です。
スライド01
今回治療の対象となるのは、下顎の左側の奥歯と上顎左側の奥歯です。
下顎の左側の奥歯は、神経がなく、虫歯になっていたことと 根の先に膿みが溜まっていたため、抜歯しました。
上顎左側の奥歯も差し歯(被せ物)が取れてきましたが、治療不可能のため、抜歯となりました。
スライド02
以下が、抜歯後の状態です。
抜歯後の治療方法には、
1.インプラント
2.欠損の両側の歯を削り、ブリッジ
3.義歯(入れ歯)
が考えられます。
それぞれの利点、欠点をご説明したところ
患者様は、インプラント治療をご希望されたため、検査を行いました。
スライド03
このような状態になってしまったのには、理由があります。
神経のない歯が多いのです。
以下の黄色丸は、神経がない歯です。
スライド04
この患者様は、お若い方です。
口腔内全体を見ると前歯には、オールセラミックという被せ物が多く装着されています。
おそらく、審美的な理由から歯を削り、オールセラミックをしたのでしょう。
歯科医師の立場から言えば、歯を削る治療はお勧めできません。
確かに、歯を削り、セラミックを被せれば、見た目はすぐに良くなります。
しかし、歯を削ることは決して良いことではありません。
削った歯は、健康な歯と比較するとダメになるリスクは圧倒的に高くなります。
また、この患者様の場合、歯を削る段階で、神経を取ったのでしょう。
オールセラミックを行ってあるほとんどの歯が神経がありません。
大変な状態です。
なぜ、このような神経のない歯になってしまったのでしょう?
治療する歯科医師側にも問題があったのではないでしょうか?
患者様が審美的に治療したい というご希望を最優先させた結果かもしれません。
神経を取ることは、決して良いことではないことを患者様ご自身もきちんと理解することが重要です。
神経がない歯は、一生トラブルなして保ち続ける可能性は低いです。
いつかは、ダメ(抜歯)となる可能性が高いと言えます。
どれくらい保つかは、その後のお手入れにも大きく左右されますが、
5〜30年と言われています。
神経がない歯が 数年でダメになることも良くあります。
神経がない歯の寿命が5〜30年ということは、
20歳で神経と取った場合、どんなに保っても50歳ではダメになるということです。
もちろん、それ以上長く保つこともありますが、
現実的には、なにかのトラブルは起こるでしょう。
それでは、症例の続きになります。
骨吸収が非常に大きかったのです。
いつものように 骨吸収の状態を分かりやすくするために
骨吸収の状態を線で書いたのが以下のレントゲンになります。
青線が骨吸収を起こす前の骨の位置です。
赤線は、現在の骨の位置です。
スライド05
さらに分かりやすくするために 骨吸収部位を赤色の領域で表します。
スライド06
骨吸収が起こっているのが分かるかと思います。
次に上顎洞です。
以下の緑線は上顎洞という空洞です。
緑線の内側は空洞なのです。
骨ではありません。
ただの 穴 です。
スライド07
これも さらに分かりやすくするために、上顎洞 を緑色で表示します。
スライド08
このままの状態で上顎左側の欠損部にインプラントを埋入すると
短いインプラントしか埋入できません。
短いインプラントは、安定が悪く長期的には問題が起こりやすいのです。
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そこで少しでも長いインプラントを埋入する計画を立てました。
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本日の最初にご説明したソケットリフト法 を応用したインプラントの埋入です。
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次に下顎左側の奥歯にも問題がありました。
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下顎も骨吸収の状態を見てみましょう。
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骨吸収以上に問題があったのが、下顎神経の存在です。
下の顎には、下顎神経という太い神経の管があります。
この下顎神経の位置は、上方にあったり、下方にあったりと 個人差があります。
この患者様の場合、かなり上方にあったのです。
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下顎は、
骨吸収がある!
下顎神経が上方にある!
という2点から インプラントを埋入する長さに制限がありました。
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さて実際の治療解説になります。
上顎左側の欠損部を拡大して見てみましょう!
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拡大したレントゲンが以下です。
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骨の高さがほとんどないのが分かるかと思います。
詳細は、後で解説しますが、先にインプラント埋入後のレントゲンになります。
スライド18
インプラント埋入後のレントゲン拡大を見てみましょう!
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奥のインプラントの尖端に見える白っぽくなっているのがソケットリフト法 によって入れられた人工骨です。
このままでは、わかりづらいので、
骨の状態を赤線
もともとの上顎洞の状態を緑線
現在の上顎洞の位置を黄色線で表示します。
スライド20
人工骨によって上顎洞が上方に押し上げられたのが分かるかと思います。
さらに治療前後の比較を見てみましょう!
スライド23
こう見ると分かりやすいと思います。
以下が治療終了後です。
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今後問題となるのが神経がない歯です。
患者様は、まだ若い方ですので、次々に問題は出てくると思います。
そのため、神経がない歯が多いことを考えて治療計画を立てることが重要です。
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次回のブログは9/27(月曜日)になります。
次回もまだまだ続く『インプラント症例』です。
さまざまケースを紹介しますので、きっと あなたと同じような症例があるはずです。
本日は、話しが長くなってしまいましたので、今週のインプラント手術報告はお休みさせていただきます。
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