内科的歯周病治療:飲み薬(抗菌薬)による歯周病治療:その5

6/13(月曜日)です。

このブログは、歯周病に関するブログです。
毎週月曜日 にアップしています。

今日のテーマは、『内科的歯周病治療:飲み薬(抗菌薬)による歯周病治療その5』になります。

このシリーズも5回目になります。
1回目、2回目、3回目、4回目 を読まれていない方は是非先に以下のブログを見られて下さい。

1回目(5/16のブログ)

2回目(5/23のブログ)

3回目(5/30のブログ)

4回目(6/ 6のブログ)

このシリーズでは毎回始めに今までの内容を振り返っているのですが、
同様に過去のブログ内容を簡単に振り返ってみましょう!

内科的歯周病治療とは、通常の歯周病治療と並行して 歯周病細菌に対して効果のある薬(抗菌薬)を併用することにより、歯周病を治そうとする治療法です。(抗菌療法)
内科的歯周病治療(抗菌療法)は、通常の歯周病治療と比較して多くの研究論文で その効果が実証されています。

しかし、適切な時期に 適切な処方が行われないと 効果がないだけでなく、
薬剤耐性 が起こることがあったり、
(薬剤耐性とは、薬剤に対して抵抗性を持ち、これらの薬剤が効かない、あるいは 効きにくくなる現象のこと)
菌交代現象が起こる可能性があります。
(菌交代現象とは、抗生剤の長期投与等により正常細菌が減少し、通常では存在しない細菌や少数しか存在しない細菌が異常に増殖する現象のこと。)

内科的歯周病治療(抗菌療法)の適応症は、
通常の歯周病治療では治らないタイプの難治性歯周炎患者(広汎型重度歯周炎、広汎型侵襲性歯周炎) や 治療抵抗性患者 です。
通常の歯周病治療で十分治る範囲であれば、(抗菌療法)を行ってはいけません。
また、免疫力が低下している易感染性歯周病患者(重度糖尿病 患者様 等)、虚血性心疾患患者 ,
細菌性心内膜炎、大動脈弁膜症、チアノーゼ性先天性心疾患、人工弁、シャント術実施患者…の方
も適応症です。

ここまでが今までのまとめになります。

本日は、抗菌薬の服用は、どの時期から開始したら良いのか?
ということを解説したいと思います。

(抗菌療法)とは、歯周病治療 と並行して
歯周病細菌に効く抗生物質を一定期間服用する治療法です。

ただ、抗菌薬(抗生物質)を飲めば、歯周病が治るというものではありません。

難治性歯周炎に対して、歯周病治療 と並行して(抗菌療法)を行うことは、多くの研究論文でその効果が実証されています。
(抗菌療法)は、科学的根拠の高い治療と言えます。
しかし、どの時期に抗生物質を服用すれば、ベストであるかの研究論文は、効果を研究した論文と比較して少ないのが現状です。

現時点で推奨される(抗菌療法)の時期(タイミング)は、
歯周病初期治療(スケーリング ルートプレーニング) と同時 もしくは
歯周病初期治療(スケーリング ルートプレーニング) 直後となっています。

(抗菌療法)の目的は、
歯周病初期治療(スケーリング ルートプレーニング) では完全に除去できない 歯周病細菌や
歯周ポケット 内部に拡散した歯周病細菌叢を変えて臨床的改善をはかることです。

そのため、歯周病初期治療(スケーリング ルートプレーニング) と同時 もしくは
歯周病初期治療(スケーリング ルートプレーニング) 直後に(抗菌療法)が行われるのです。

参考研究論文
 Berglundh T et al . J Clin Periodontol.1998;25:354-62.
 Guerrero A et al . J Clin Periodontol.2005;32:1096-107.
 Ehmke B et al . J Periodontol.2005;76:749-59
 Rooney J et al . J Clin Periodontol.2002;29:342-50
 Winkel EG et al . J Clin Periodontol.1999;26:461-8

ただし、(抗菌療法)には、重要なポイントがあります。
ポイント1:口腔清掃が良好であること!
      簡単に言えば、歯磨きが適切にできていることが重要です。
      歯磨きが十分に行えていない患者様に(抗菌療法)を行っても効果は期待できません。
ポイント2歯周病治療 を短期間で終了させること!
      これは大きなポイントです。
      理想的には歯周病初期治療( ルートプレーニング) を1週間以内に終了させることです。
      日本の歯
科医療では、これがなかなか難しいのが現状です。
      一般的に日本の保険診療で行われている歯周病初期治療(ルートプレーニング) は、
      1回に30分程度の時間をかけて3〜5歯程度を行うため、
      1週間に1回程度の治療間隔であれば、
      約6〜7回(欠損がなく28歯全てが存在している方の場合)かかることになります。
      こうした治療方法ではあまり推奨されません。
      できるかぎり、短期間に行うことが有効です。
      できれば、1回の治療範囲を10歯以上にし、
      1〜2回の短期間に終了させることが有効なのです。

次に どの程度の期間 抗菌薬(抗生物質)を飲めば良いのかという
期間的な解説です。
これは、非常に難しい話しなのです。
その理由として、さまざまな状況より変わってくるからです。
抗菌薬(抗生剤)の種類、
投与量、
感染に関与している細菌の種類、
歯周病の病状の程度
等により変わってくるからです。
効果と副作用を十分に考えて、服用(投与)期間を考えることが重要なのです。
一般的には、3日から7日が目安になります。
以下は各抗生剤による研究論文から得られた投与期間です。(一部のみ)

アモキシリン 7日間
  参考研究論文
  Rooney J et al .J Clin Periodontol.2002;29:342-50
 
アモキシリンとメトロニタゾールの混合 7〜14日間
  参考研究論文
  Guerrero A et al.J Clin Periodontol.2005;32(10):1096-107

アジスロマイシン 3〜5日間
  参考研究論文
  Haffajee AD et al.J Clin Periodontol.2007;34(3):243-53

日本では、薬剤認可の問題等があり、アジスロマイシンが使用されることが多いようです。

次回のブログは、6月20日(月)になります。
次回も抗菌療法の続きです。

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