歯周病治療の難しさ

11/ 7(月曜日)です。

このブログは、歯周病に関するブログです。
毎週月曜日 にアップしています。

始めに今週の休診についてのお知らせです。
11/12(土曜)はインプラント講演会出席のため、休診となります。
このところ 学会 等で休診が多くご不便をおかけしております。

今日のテーマは、『歯周病治療の難しさ』になります。

当医院を受診される患者様の多くは、重度歯周病の方です。
重度です。

重度歯周病となってしまう原因はさまざまなことがあります。
• 口腔清掃不足(歯磨きが十分できていないこと)、
• 噛み合わせ(歯並びの問題、歯ぎしりの有無 等)、
• 喫煙、
• 食生活 や 運動 といった生活習慣、
• 睡眠、
• ストレス

歯周病となってしまう原因には さまざまなことがあります。
単に歯磨きができていないだけではありません。

例えば、喫煙に関してですが、
喫煙と歯周病の関係は、歯周病の学会、論文において 数多く報告されています。
ある報告によると、喫煙者は、非喫煙者と比較して、
歯周病の進行は 6倍以上も早い という結果報告もあります。
実際の臨床で診療を行っている私の経験からしても
喫煙者は、歯周病が治らないと実感しています。

また、歯周病は生活習慣病ですから
上記に記載したような生活習慣に大きく影響されます。
生活習慣病ということであれば、
糖尿病 や 高血圧 といった病気と同様のことが言えます。
糖尿病 や 高血圧の方が 病院で処方される薬を服用していれば、
治るわけではありません。
いくら 薬を服用していても 高カロリーの食生活 等 であった場合には
当然のことながら 治りませんよね。

歯周病の治療も同様です。
歯科医院での治療だけでは治りません。
全身疾患 等に問題があれば、歯周病の治りも良くありません。

この点が虫歯治療とは大きく違うのです。
虫歯治療であれば、
治す ということだけを考えれば(予防は別ですが…)、
虫歯を除去し、詰め物を行ったり、型を取り被せ物を装着して終了です。
患者様には 適切な通院を行っていただければ、治るわけです(予防は別ですが…)。

しかし、歯周病治療は、歯科医院の治療(努力)だけでは治りません。
これは、先程説明した糖尿病 や 高血圧 等の生活習慣病を治すことと同じです。
患者様ご自身にも相当な努力をしていただかないと治りません。

確かに 糖尿病 や 高血圧 の薬を服用すれば、改善は認められます。
しかし、不適切な生活習慣であった場合には、
その効果は限定的であり、治らない場合もあったり、
さらに状況は悪化していくこともあります。

歯周病の進行程度を測定する検査として歯周ポケット検査 があります。
歯周病の治療 を行うと この歯周ポケット は改善してきます。
これは、生活習慣が適切にされていなくても 治療を行えば 改善傾向は認められます。
しかし、こうした治療行為は、限定的なことになってしまいます。

適切な生活習慣が達成されなければ
歯周病の改善度合いも少ないですし、
必ずといっていい程再 発します。

元々重度歯周病であった場合には、
再発した場合には、歯を失うことになります。(抜歯)

歯周病の方は、
糖尿病 等の生活習慣病となった方が 一生 食生活等の努力を行うことが必要であるのと同じです。

歯周病とは、生活習慣病ですから
患者様の持続的な努力なしては、一度改善したとしても 良い状態を維持していくことは難しいのです。

最近の歯周病ブログでは、このようなことを書くことが非常に多くなりました。
その理由として、
「歯周病になぜなったのか?」
「歯周病の原因は?」
「歯周病を治すには どのようなことが必要なのか?」
等をきちんとご理解していただくことが 最も重要であるからです。

近年はインターネットで さまざまな情報を得ることができるようになりました。
しかし、知り得る情報が偏ったこともあり、
歯周病の本質をまったくご理解されないまま
単に
「歯周病の再生治療という方法を見たから この治療法を行えば 治る!」
と考えられている患者様も多くいらっしゃいます。

多くの歯科医院のホームページがある中で
HPを見た方の興味をひくように
過大な表現や
誤解を生むような表現、
中には完全に誤った情報
等がみうけられます。

そうした情報のみを見られた方にとっては、
「この治療法を行えば、歯周病は治る!」
といった誤解を生んでしまうのです。

その典型的なことが このブログでも何度も警告している
パーフェクトペリオ という薬です。
この薬を使用すれば、あたかも歯周病が完治するような表現で 販売しているサイトがあります。

歯周病で悩んでいる方にとっては、
単にうがい薬のみで歯周病が治るのであれば、
のどから手がでるほどほしい 
と思われるかもしれません。

もし、本当にパーフェクトペリオ という薬だけで歯周病が治るのであれば、私達歯科医師は、歯周病治療なんか行わないで 薬のみを販売した方が良いことになります。
その方が圧倒的に楽ですよね。
うがい薬のみで治るのですから…
こんな簡単なことはありません。
患者様にとっても非常に喜ばしいことですし、
私達医療サイドにとっても 非常に良い方法と言えます。

歯周病の本質は、歯周病細菌による感染症です。
口腔内から感染を取り除くことができなければ
歯周病の進行を抑えることができません。

現実問題として 単にうがい薬だけでは歯周病細菌の感染を抑えることはできないのです。

さまざまな情報が飛び交う中で 正しい情報 と 誤った情報 を選別することは難しいことであり、
単純な情報や 簡単な情報 ほど 信じやすい(
信じたい)ことになっているのです。

一度誤って認識した情報を 正しい情報に変えることは
非常に難しいことです。

歯周病の患者様に
歯周病の検査後に 現状の説明を行い、治療方法の説明を行っても
ご自身で得た情報による考え方を 変えることはなかなか難しいことです。
「自分の考え方が最も正しい!」
と考えられいる方がいらっしゃるのです。

歯周病の治療を始める前に
まず、歯周病とはどのような病気であるのかを十分理解していただくことが
最も重要なことなのです。

最近の歯周病で悩む患者様の特徴として
多くの歯科医院をさまようように転々としていられる方がいらっしゃいます。
中には 確かに歯科医院自体に問題があったと感じられる場合もあります。
(歯周病の検査もまったく行われていない 等)
しかし、患者様ご自身の考え方 で治療を行ってくれない ために
歯科医院をさまようことがあります。

その一つとして、抜歯があります。
進行した重度歯周病の場合、どうしても抜歯しなければならないことがあります。
歯周病の治療は 歯周病細菌の感染を除去することですから
治療によって感染を取り除けない場合には 抜歯となります。
抜歯を行わないと 感染は取り除けないわけですから
その感染は、さらに他の歯へも転移してしまいます。
また、感染が進行すると骨吸収も大きくなります。
つまり、治る見込みのない歯をそのまま放置することにより
さらに病状が悪化してしまうのです。

本当に最近は 治療内容ではなく、
治療に入る前の 段階から説明させていただくことが本当に多くなりました。

「もっと早く治療していれば…十分治ったのに…」
「もっと早く ダメな歯を抜歯していれば…他の歯に感染しなかったのに…」
「早く抜歯しなかったために 骨が吸収してしまい、抜歯後の治療が難しくなってしまった…」
ということが本当に多くあります。

歯周病とは少し違いますが、
最近よく多いこととして
歯根破折 を放置されるケースがあります。

歯根破折 とは、神経がない歯が 脆いために折れてしまうことです。
折れた場所によっても対処方法は違いますが、
ほとんどの場合、抜歯となります。
しかし、患者様の中には抜歯をどうしてもためらう方がいらっしゃいます。
歯根破折 を放置することは本当に危険なことです。
折れた部位から感染が起こり、歯の周囲の骨が吸収を起こします。
折れた部位は、自然に治ったりすることはありませんので、
状況はどんどんと悪化してしまいます。

先週だけでも何人もこうした方がいらっしゃいました。
その中の1例を紹介します。
場所は、上顎の前歯です。
神経がない歯であり、セラミックの差し歯を行ってあります。
その歯が 数年前に他の歯科医院で歯根破折 と言われ、抜歯の必要性を説明されたが、
痛みもなかったためにそのまま放置してしまったとのことでした。
時々腫れたりすることがあったが、大きな痛みがないためにそのまま放置していたそうです。
最近になり、腫れが大きくなったために
そろそろダメかと思い、抜歯後にインプラント治療を希望されて来院されました。
検査の結果、感染が非常に高度に進行しており、
骨吸収が大きく起こっていました。
そのため、抜歯後には大きく凹みができるような穴が開いてしまうような状況になってしまいます。
このような状況ではインプラント治療を行っても審美的に大きな問題となってしまうため、
現実的には抜歯後にインプラント治療は難しいことを説明しました。
また、さらに問題は歯根破折 した周囲の歯にも及んでいました。
周りの歯も骨吸収が起こっており、将来性が非常に低い状況となってしまっています。

「もっと早く抜歯していれば…」
と本当に後悔するような状況です。

きちんと現在の状況を理解することが治療の第一歩です。

今日のテーマは「歯周病治療の難しさ」でした。
治療内容が難しいというよりは、
現在の状況をきちんと理解していただくことが最も難しいという内容でした。

次回のブログは、11月 14日(月)になります。

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