歯周病専門医サイトブログ

2012年2月13日

細菌の話し:その6

2/13(月曜日)です。

このブログは、歯周病に関するブログです。
毎週月曜日 にアップしています。

昨日、口腔インプラント学会に参加してきました。
日本口腔インプラント学会 第31回 関東 甲信越支部学術大会


今日のテーマは、『細菌の話し:その6』になります。

このテーマは、シリーズになっていますので始めて見られる方は、是非1回目からご覧んになって下さい。
以下をクリックして下さい。
細菌の話し:その1

細菌の話し:その2

細菌の話し:その3

細菌の話し:その4

細菌の話し:その5


あまりにも難しいシリーズとなっているので、本日残りをまとめて最後になります。
ちょっと長い話しですが、最後までご覧になって下さい。

嫌気性菌は口臭の原因となる
嫌気性菌の中には増殖する過程で「硫化水素」「脂肪酸」を産生します。
これが強い悪臭を放ち、口臭の原因の一つとなっています。

バイオフィルムには抗生剤が効かない!?
前回まで何度も解説してきましたバイオフィルム内に生息細菌には抗生剤が効きにくいことが分かっています。
この理由として以下のことが考えられます。
1. 抗菌剤の浸透性が低い
2. バイオフィルムの深部では細胞の活動性が低い
3. 細菌自体が抵抗性を獲得している
            *Socransky S,et al:Periodontol 2000,2002
そのため、歯周病で歯肉が腫れている人に単に抗生剤を服用しても この効果を最大限に発揮することは難しくなります。
バイオフィルムは細菌にとってバリアーですから
バイオフィルムを破壊することが重要なのです。

細菌の排除(駆除)方法(バイオフィルムの除去方法)
よく 患者様からのご質問で
「歯周病にデンタルリンス等の洗口剤は効果がありますか?」
と聞かれます。
予防という観点で言えば、効果がないとは言いませんが、
バイオフィルムの中に存在する細菌を除去することはできません。
先に説明しましたようにバイオフィルムというバリアに守られている細菌は薬液による効果は、ほとんど認められません。
歯周ポケット内部に侵入した細菌を排除(駆除)する方法は、
スケーリング・ルートプレーンング(SRP:scaling and root planning )
以外にはないと言ってもいいでしょう。
細菌の住処であるバイオフィルム機械的に除去することが最も効果があります。
*Slots J,et al:Periodontol 2000,2002
歯肉縁上にある歯石(バイオフィルム)に対しては、
PMTC(Professional mechanical tooth cleaning)に勝るバイオフィルム除去はありません。
そして、スケーリング・ルートプレーンング や PMTC後には患者様ご自身による徹底的な歯磨きが重要です。
              *Lavanchy D,et al:J Clin Periodontol,1987
こうしたことが可能であって始めて 抗菌性のある消毒薬 や 内科的薬物治療(
飲み薬による歯周病治療)が有効となります。
            *Kinane DF:Ann R Australas Coll Dent Surg,2000

歯周ポケット内部に存在する嫌気性菌から内毒素が産生され、それが歯の根(歯根面)に付着しています。
以前は、この歯根面に付着している内毒素を徹底したスケーリング・ルートプレーンング(SRP:scaling and root planning )を行うことにより除去できると考えられて来ました。
簡単に言えば、歯根面を一層削るような行為です。
                 *Aleo J et al:J Periodontol,1975
しかし、スケーリング・ルートプレーンング(SRP:scaling and root planning )を行い過ぎると 歯根面が削れるため、患者様は冷たい物でしみる(知覚過敏症)ことが多く起こりました。
現在では、嫌気性菌が産生する内毒素は歯根面の表層のみに付着しているだけであり、ブラシのようなもので簡単に除去できるということが分かってきています。
* Nakib N H,et al:J Periodontol,1982
以下は、スケーリング・ルートプレーンング(SRP:scaling and root planning )を行っている動画(YouTube)です。



歯周病細菌を除去後 どれくらいの期間維持できるのか? 
—歯周病細菌の再発—

歯周病の治療としてスケーリング・ルートプレーンング(SRP:scaling and root planning )という 歯肉の中(下)に存在するバイオフィルムを機械的に除去すると劇的に嫌気性菌は減少します。
しかし、100%の細菌が除去できるわけではないので
12〜16週後にはもとの菌叢に戻る傾向がみられます。
    *Slots,J.et al:J.Periodontol.,1979
歯周病治療(スケーリング・ルートプレーンング:scaling and root planning )により歯周ポケット内部の嫌気性菌は激減しますが、絶対にゼロになるわけではありません。
そのため、残った嫌気性菌が再度増えていくのです。
また歯周ポケットの外部から新たに感染(侵入)してくることも考えられます。
                    *Waerhaug J:J Periodontol 1978

また、使用した歯ブラシに付着して生き残った細菌が 再度感染を起こす可能性も指摘されています。
若年期に発症し重篤な骨吸収を起こす侵襲性歯周炎(しんしゅうせいししゅうえん)に関与している A a菌(Aggregatibacter actinomycetemcomitans )は、歯磨きを行った後に 69%も歯ブラシに付着して残っているという研究データがあります。
また、歯ブラシに残ったA a菌は、24時間後でも23%が生き残っているというのです。
              *Muller HP,et al:J Clin Periodontol,1989
上記のデータは歯磨剤を使用しない状態でブラッシングを行ったデータです。

こう考えれば歯ブラシも決して衛生的ではないですね。

また、歯周病治療(スケーリング・ルートプレーンング:scaling and root planning )は、行う術者によりその能力が変わります。
術者の差による歯周病治療結果に関する研究データは多く存在します。
前歯部において歯周病治療(スケーリング・ルートプレーンング:scaling and root planning )を行った場合、歯周病が中程度(歯周ポケット4〜6ミリ)の場合には、
歯石の除去率は、歯周病専門医79%であったのに対して、
一般開業医では66%の歯石除去率であった。
となっています。
歯周病専門医の方が歯石除去率が高いということです。

次に 歯周病が重度(歯周ポケット6ミリ以上)の場合には、
歯石の除去率は、歯周病専門医81%であったのに対して、
一般開業医では34%の歯石除去率でした。
               * Brayer WK,et al:J Periodontol,1989

歯周ポケットが深くなれば なる程 治療は難しくなるため、
歯石の取り残しが多くなるというものです。
つまり、誰が歯周病治療(スケーリング・ルートプレーンング:scaling and root planning )を行うかによっても 治療効果が変わってくるのです。
しかし、歯周病専門医が行ったとしても100%無菌にすることは不可能なのです。
                *Fleischer H,et al:J Periodontol.1989
ただし、臨床的には100%無菌にする必要性はありません。
歯周病の進行を臨床的に抑える程度まで細菌数を減少させることが重要なのです。


真菌(カビ)は歯周病の原因なのか?
2001年の朝日新聞に「歯周病に抗カビ剤が有効」という記事が掲載されました。
これは、神奈川県内の歯科医院の先生が 歯周病治療に
「アンフォテリシンB という ポリエン系抗真菌剤を使用したところ 歯周病が改善した」
という意見を元に掲載された情報です。
この情報により歯周病で悩んでいる患者様 や 一部の歯科医師が飛びつき 一時ブーム(?)
となりました。
しかし、当然のことながら科学的根拠はなく、うわさだけが先攻してしまったのです。
日本歯周病学会でも社会的影響が大きいとして、学術的に否定情報をHP等で公開しています。
真菌(カビ)は、正常口腔内でも検出される率が高い真菌です。
しかし、真菌(カビ)は、歯周ポケットの深い部分では検出されることは稀です。
真菌(カビ)は、好気性(酸素のあるもとで生きる)あるいは 通性嫌気性(若干の酸素の元もで生息可能)のため、
酸素がほとんど存在しない歯周ポケットの深い部分(嫌気性)では
生息が難しいのです。
しかし、難治性歯周炎の患者様 や
糖尿病を伴う歯周病患者様、
HIV陽性患者様
の歯周ポケットで検出されたというデータがありますが、
こうした患者様は免疫能の低下 や 抗菌剤の使用等により増殖した可能性が高いといえます。
(日和見感染)Slots J,et al:Oral Microbiol Immunol,1995
こうした科学的根拠のない治療はかなり多く出回っています。
きちんと注意することが必要です。

パーフェクトペリオは歯周病細菌に効果があるのか?
何度もこのブログでも解説したことがあるテーマです。
抗真菌剤アンフォテリシンBと同様に問題となっているのか「パーフェクトペリオ」というものです。
これもある先生がテレビで宣伝(?)したために、爆発的に広まってしまったことです。
また、誤った情報にも関わらず 
歯周病に効く(?)、
利益がある(?)
と考えた歯科医師が便乗してしまい、
多くの患者様に不利益をもたらすことになってしまったのです。
現在でもインターネットで検索すると「パーフェクトペリオ」を宣伝しているHPを多く見かけます。
ここまでの内容を見られた方は、歯周病はバイオフィルムによる感染であることをご理解していただけたと思います。
いくら「パーフェクトペリオ」でうがいをしてもバイオフィルムが破壊されることはありませんし、
歯周ポケット内部(歯根面)に付着している歯石が取れることはありません。
歯周病治療の長い歴史の中でも
効果的にバイオフィルムを除去するための科学的根拠のある治療方法は、機械的に除去する
スケーリング・ルートプレーンング(SRP:scaling and root planning )
PMTC(Professional mechanical tooth cleaning)
なのです。

次がこのテーマの最後になります。
口腔細菌による全身疾患
口腔内細菌は、歯周組織(歯周ポケット内部)から血液中に入り込んで循環器障害を起こしたり、細菌が産生する毒素や酵素は臓器が細胞障害をもたらします。

・細菌心内膜炎
 デンタルプラーク中に最も多く存在するStreptococcus sanguinis は細菌性
 心内膜炎の患者の患部から高頻度に検出されます。
 その侵入菌数は、歯周病が進行すると増えていきます。
 デンタルプラーク細菌は、さまざまな部位に付着する能力が強く、バイオフ
 ィルムを形成するため、血液中に入り込むと菌血症となり、心内膜に付着し
 てバイオフィルムを形成して心内膜炎を起こします。

・ 糖尿病
?型糖尿病の方は、歯周病の発症リスク
2〜4倍高いという報告があります。
              *Emrich LJ,et al:J Periodontol,1991
食事によって吸収された栄養分はグルコースという形で血管内にはいります。
これにより血糖値が高くなります。
この血糖値を下げるのが膵臓から分泌されるインスリンです。
インスリンの作用によりグルコースは肝臓 や 筋肉、脂肪細胞 に貯蔵されます。
血糖値が低くなると 貯蔵されていたグルコースが血液中に放出されて血糖値を一定に保つのです。
糖尿病(?型)の場合、脂肪細胞からでるTNF-αという物質が
インスリンの作用阻害するため、血糖値を一定に保ことができなくなります。
歯周病が進行すると このTNF-αが大量に分泌されるため 血糖値が安定しなくなるのです。
上記以外にも
・好中球の機能低下
・微小血管障害
・コラーゲンの合成抑制
・歯根膜細胞の機能異常
等が考えられています。
逆に歯周病を治す血糖値が安定するという研究報告もなされています。
              *Grossi SG,et al:J Periodontol,1997

・ 早産(低出生体重児出産)
重度の歯周病に罹患している母親は、歯周病に罹患していない健康は口腔内の母親より 7倍以上高い確立で低出生体重児を出産しているという報告があります。
            *Offenbacher S,et al:J Periodontol,1996

・ 心筋梗塞
口腔内細菌(Streptococcus sanguinis、Porphyromonas gingivalis等)は血小板凝集を引き起こすため、血管内で血栓が形成され、血管が閉塞して血流を阻害して心筋梗塞を引き起こします。

・ 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
歯周病と骨粗鬆症に関する研究は年々増加しています。
骨粗鬆症 患者様は、非骨粗鬆症 患者様と比較して 歯周病による骨吸収が増大し、骨密度も低下しているという報告があります。
            *Geurs NC,et al:Periodontol 2000,2003

これでこのシリーズは終了です。
次回から新しいテーマになります。
簡単な話しにしたいと思います。

次回のブログは、2月20日(月)になります。



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