新しい歯周病治療:PDT(フォトダイナミックセラピー:光線力学療法):その2

2013年 9月 9日(月曜日)です。

このブログは、歯周病に関するブログです。
毎週月曜日 にアップしています。

始めに9月の休診の案内です。

9月14日(土) 午後  院長不在
  (日本口腔インプラント学会出席のため)

9月15日(日) 休診
  (日本口腔インプラント学会出席のため)

今日のテーマは、『新しい歯周病治療:PDT(フォトダイナミックセラピー:光線力学療法):その2』になります。

PDTとは、
Photo Dynamic Therapy(フォトダイナミックセラピー)の略で、
日本語では光線力学療法と言います。

最新の歯周病治療です。

前回のブログをご覧になっていない方は、是非前回のブログを先にみていただくと
以下の内容がより分かりやすくなると思います。

ルートプレーニング 等の歯周病治療により歯石 等の感染物質を取り除く際に歯周病細菌 歯周ポケット内部 に散らばって残ってしまうことがあります。
もちろん始めの細菌の数によってもこうしたことには差があります。
ルートプレーニング については、前回のブログで動画を含めて解説しましたが、
ルートプレーニング を大雑把に説明すると
「耳かき」を行っているようなものです。
耳の穴の中にある汚れ(垢)を機械的に取り除くのが「耳かき」です。
歯周病の治療であるルートプレーニング も同様です。
ルートプレーニング を行うことにより歯石(汚れ)は結構取れますが、全て(100%)取れるわけではありません。
砕かれた歯石の削片 や 目で見えない細菌 等は 残る可能性があります。
大量の細菌が残ると それが元になり、歯周病が再発することがあります。

また、重度歯周病 の場合、歯周ポケット 内部には、大量の歯周病細菌 が生息しています。
この細菌が腫れや、出血の原因となっているだけでなく、骨が吸収 を起こします。

歯周病細菌 を減らすことが歯周病を治す第一歩なのです。

それでは 実際の使用方法について解説します。
詳細はその後で説明します。

まず、歯周ポケット 内部にバイオジェル(光活性剤)を入れます。
次に歯周ポケット 内部に光エネルギーを約1分間照射します。
大まかな流れはこれで終了です。
非常に簡単な治療です。

図で見てみましょう!
スライド1

痛みはありませんし、非常に短時間で行えます。

それでは、詳細の話しになります。
ちょっと難しい話しになりますが…
まず、使用するバイオジェルですが、0.01%のメチレン-ブルー色素を含む中性リン酸緩衝液で、
この色素は、歯周病細菌(グラム陰性菌 および グラム陽性菌 の細胞壁を構成するリポポリサッカライド、糖脂質の脂質)に得意的に結合します。

簡単に言えば、歯周ポケット 内部にバイオジェルを入れると歯周病細菌と結合(くっつく)ということです。

このバイオジェルは光感受性物質と言い、
光を吸着すると 化学反応が起こり活性酸素を発生させることができます。

この時に使用する光エネルギーは、「Periowave」という装置を使用します。
「Periowave」は、670nmの波長で 220mWの低出力光エネルギーです。
発熱を起こすこともないため、痛みを感じることはありません。

光エネルギー(Periowave)を照射することにより、色素(バイオジェル)が結合した歯周病細菌は破壊されます。
このバイオジェル(色素)は、人間の身体の細胞には結合しません。

また、光が照射される1〜2ミリが有効範囲であるため、その効果は限局的です。
そのため、ピンポイントでバイオジェル(色素)を塗布し、光を照射することが必要です。

以下は、「Periowave」という光エネルギーを照射する装置です。
非常に小さいものです。
スライド2

次にPDT
適応症 および 治療のポイントについて解説します。

   PDTの適応症 および 治療のポイント

1.歯周病治療と併用すると有効!
  歯周病の治療と併用して行うことにより効果があります。
  あくまで歯周病に対してPDT単独で使用するのではなく、
  PDTに歯周ポケット内部の感染物質(歯石 等)を超音波スケーラー等で
  除去(クリーニング)してからPDTを行い、PDT終了後には必ず破壊された歯周病細菌
  および 毒素を洗浄することが必要です。

2.メインテナンス(定期検査)で使用すると有効!
  PDTによって ある程度の期間 歯周病細菌の再発を抑えることが可能とな
  りますので、メインテナンスにおいて歯周ポケットの再発した部位に使用
  することにより維持安定を得ることができます。
  どれくらいPDTの効果が持続するかということは、
  さざざまな条件により大きく変わりますが、約1〜2ヶ月は維持可能となります。
  つまり、重度歯周病の方 や 再発率の高い人は、
  メインテナンスの度に行うと効果が高いということになります。
  PDTを行えば、一生歯周病細菌がいなくなるということではありません。

3.再発しやすい歯周病には有効!
  歯周病は歯周病細菌よる感染症です。
  そのため、もともと歯周病細菌が多い方は 再発率が高くなります。
  歯周病が再発しやすい方にはPDTは最適と言えます。

4.歯周病治療における菌血症の防止に有効!
  歯科治療における菌血症とは、
  汚れ(細菌)が歯周病治療(抜歯 等の他の歯科治療でも起こります)
  を行うことにより、身体の中(血管内)に細菌侵入することを言います。 
  歯周ポケット 内部(歯肉の内部)には当然のことですが、血管が存在
  します。
  特に歯周病で歯肉が腫れている方は出血が起こっていることが多いため、
  歯周ポケット 内部に存在する汚れ(歯石)と血管が触れているこ
  とになります。
  他の言い方をすれば、汚れ(歯周病細菌)が血管に触れている状態と
  いってもいいでしょう。
  こうした汚れ(細菌)が一時的に血管内部に侵入することを菌血症
  言います。
  特に 歯周病治療 等の歯科治療を行うとこうした菌血症が起こることが
  報告されています。
  歯周病治療の基本的な治療であるルートプレーニング では、
  報告に差はありますが、8〜79%の確立で菌血症が生じると報告されています。
  事実ルートプレーニング を行った後(6分後)に採血して調べると血液中から
  歯周病細菌が発見されることが報告されています。
  PDTルートプレーニング 前に行うことにより、
  歯周病細菌の減少をはかることが可能となるため、菌血症のリスクを減少できます。

d. 細菌性心内膜炎、大動脈弁膜症、チアノーゼ性先天性心疾患、人工弁、
 シャント術実施患者…の方に有効!

  上記のような方は、歯周病治療を行う上で最もリスクが高い患者様と言えます。
  上記の疾患等を 有する患者様は、歯周病治療において菌血症を起こす可能性が高いため、
  PDTは有効と言えます。

5.インプラント周囲炎(インプラントの歯周病)に有効!
  インプラントは虫歯になることはありませんが、歯周病のような状態 にはなります。
  このことをインプラント周囲炎 と言います。
  インプラント周囲炎 はインプラントがダメになる原因として最も高いことです。
  メインテナンス(定期検査) の際にPDTを使用し、細菌の減少を行うことも有効ですし、もしインプラント周囲炎 になってしまった場合にも効果が高い治療と言えます。

PDTは 医科領域ではすでに 臨床に多く応用されています。

例えば、早期の肺ガンにも行われています。
そのメカニズムは、
まず 癌細胞に集まる光活性剤を静脈注射します。
次に 気管支内に内視鏡ファイバー挿入し 癌病巣部に光を照射すると、
癌細胞が消滅するというものです。
この早期の肺ガンに対するPDTは保険適応されています。

また、皮膚科領域では ニキビ治療に応用されています。
アクネ菌の殺菌に高い効果がある治療となっています。

歯周病領域では、2000年入り多くの研究報告がされています。
多くの研究によりPDTを使用すると
歯周病細菌の減少が認められることが明らかになっています。

今までの1回〜3回のPDTブログでも解説してきましたように
PDT治療は、抗生剤を使用した歯周病治療に比較して 耐性菌のリスクがなく、
副作用といった問題もほとんどないため、生体にとって非常に優しい治療と言えます。

しかし、まだまだ分かっていない部分もあります。
先にも説明しましたように PDTを歯周病治療に応用することにより
歯周病細菌は確実に減少します。
しかし、1回のPDTで歯周病細菌が完全になくなるわけではありません。
1回より2回繰り返した方がより効果が高いという報告もあります。
また、歯周ポケット が非常に深い場合には、その最深部にまで的確にバイオジェル(光活性剤)を届かすことが難しい場合もあります。
このようなテクニカル的な問題も今後課題となっていくでしょう。

また、進行した歯周病の場合、単にPDTを行っただけで歯周病が治るわけではありません。
あくまで今まで行われてきた通常の歯周病治療(ルートプレーニング 等) と併用することにより効果を発揮するのです。

歯科の場合、こうした画期的な治療法が臨床に応用されると
その使用方法や適応症をきちんと把握していない歯科医師が使用することにより
効果があらわれないこともでてきます。
また、患者様ご自身がインターネット等で情報を集める際に
「PDTを使用すれば、簡単に歯周病が治る!」
といった誤った知識となることもあります。

インターネットは情報を集めるには非常に便利なツールですが、
誤った情報 や 理解不足により 大きな誤解を生むことがあります。
正しい知識を得ることが最も重要であるのです。

また他の欠点として
現在 歯科領域ではこのPDTは保険が適応されていません。
そのため、自費診療となります。
当医院でのPDTの治療費は
1歯 2.000円(1回分)となっております。

次回のブログは、9月30日(月)になります。

9月16日(月)と9月23日(月)は祝日のため、ブログも休みです。

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オリコン歯科医院ランキング2012年度版発表!

オリコン(音楽のオリコンチャートが有名ですが…)の2012年度版が
公表されました。
オリコンは、音楽以外でもさまざまな分野でアンケート調査を元にしてランキングを発表しています。
当医院はインプラント治療で 11部門中 5部門で ベスト10入りをしました。
ランキングされた多くの歯科医院は、大学病院 や 規模の大きい歯科医院ばかりでしたので、当医院のような小規模の個人歯科医院が選出されることはとても喜ばしいことです。
今後も多くの患者様に支持されるよう スタッフともどもがんばってきたいと思います。

ランキングの詳細は、以下をクリックして下さい。
  オリコン2012年 インプラント治療前のケア・説明部門: 7位
  
  オリコン2012年 インプラント治療の丁寧さ部門: 10位
  
  オリコン2012年 インプラント治療結果部門: 8位
  
  オリコン2012年 治療プランの充実度部門: 10位

  オリコン2012年 治療後のアフターケア・保障制度の充実度部門: 6位

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