内科的歯周病治療:飲み薬(抗菌薬)による歯周病治療

2015年11月23日(月曜日)です。

始めに休診案内です
12月5日(土曜日) 日本臨床歯科CAD/CAM学会
12月6日(日曜日) EBAC合同研修会(大阪ほんだ歯科口臭研修会)
のため休診となります。

このところ 学会 等で 休診の日が続き患者様にはご不自由をおかけします。

日々勉強をすることが大切です。

先週のブローグでも話ましたが、
CAD/CAMという分野は非常に進歩が早いので
常に新しい情報を知ることが必要です。

さて本題です。

このブログは「大船駅北口歯科 歯周病専門サイト」です。

今日のテーマは、
『内科的歯周病治療:飲み薬(抗菌薬)による歯周病治療』になります。

ここ数年、年末になるとこの話を書きます。

歯周病治療は、根拠のない治療が毎年と言っていい程流行ます。

「この治療を行なえば歯周病が簡単に治る!」

「1回で歯周病が治る!」

「どんな歯周病でも必ず治る!」

といったような言葉巧みに患者様を勧諭するようなことが
本当に毎年起こります。

これは歯周病だけでなく、
さまざまな病気で起こります。

例えば
「これを飲めば癌に効果がある!」
「これを服用すれば血圧が下がる!」

といったことや
ダイエットなんて本当によくありますよね
「いままでどんなダイエット法を行なっても効果がなかった方が これを服用することで激やせ!」
というようなダイエット方法なんて本当によく聞く話です。

昔流行った あのダイエット法はどこに…
というようなことも多くあります。

まあ人間って 簡単なことや 誘惑に負けてしまうものです。

簡単…
すぐに…
誰でも…

というような言葉に弱いものです。

本日の話は、
歯周病を簡単に治す
ということを広告として商売している方の話です。

何回かのシリーズで解説したいと思います。

まず「内科的歯周病治療:飲み薬(抗菌薬)による歯周病治療とはなにか?」
という話しから始めたいと思います。

内科的歯周病治療とは、
通常の歯周病治療と並行して 歯周病細菌に対して効果のある薬(抗菌薬)を併用することにより、歯周病を治そうとする治療法です。(抗菌療法)

内科的歯周病治療(抗菌療法)は、
通常の歯周病治療と比較して多くの研究論文で その効果が実証されています。

しかし、以下のようなことをきちんと分かっていないと
「薬を飲めば 歯周病は治る!」
という誤った知識 や 治療法になってしまいます。

まず 内科的歯周病治療(抗菌療法)は治療を受けられる患者様にとって
「飲み薬を飲むだけで歯周病が治る!」
といった誤解を生んでいる ということです。

次に 使用する歯科医師側にも問題があり、きちんとした適応症を守らずに使用されていることがあります。

適切な時期に 適切な処方が行われないと 効果がないだけでなく、
以下のようなことが起こる可能性があります。

1. 薬剤耐性(薬剤に対して抵抗性を持ち、これらの薬剤が効かない、
あるいは 効きにくくなる現象のこと)が起こることがある!
耐性菌については、以下のページを参考にして下さい。
抗生剤と耐性菌の話し

2. 薬物アレルギーが起こる可能性がある!

3. 他の服用している薬との相互作用がある!
例えば、ワルファリン(抗血栓薬)を服用されている方が
ペニシリン系の抗生剤を服用すると作用を増強します。

4. 菌交代現象が起こる可能性がある!
菌交代現象とは、抗生剤の長期投与等により正常細菌が減少し、
通常では存在しない細菌や少数しか存在しない細菌が異常に増殖する現象のこと。

上記の中でも特に
薬剤耐性(耐性菌の出現)
菌交代現象
について考慮をしていかないと単に薬(抗生剤)を服用しただけでは、効果がないだけでなく
さまざまな問題を引き起こしてしまいます。

それでは、
内科的歯周病治療(抗菌療法)についてを
Q&A(質問と回答形式)で解説します。

疑問:1
内科的歯周病治療(抗菌療法)は どのような歯周病患者様に対しても
効果があるのでしょうか?

回答:1
通常の歯周病治療で効果が十分認められると判断されるような場合には、
内科的歯周病治療(抗菌療法)を行ってはいけません。
どのような歯周病でも内科的歯周病治療(抗菌療法)を行ったからといっ
て効果があるのではありません。
科学的根拠のない治療は行ってはいけません。
以下のような患者様に対して抗菌療法を行うかの検討をします。

a. 通常の歯周病治療を行っても改善が認められない方
(ただし、歯磨きが十分にできていることが前提です)

b. 年齢に対して歯周病が非常に進行している方
(広汎型重度歯周炎、広汎型侵襲性歯周炎)

c. 全身的病気(血糖値不良の糖尿病、免疫機能低下患者、虚血性心疾患…)を
有する中程度以上の歯周病の方

上記の( )内のような 生体防御機能が低下する 基礎疾患を有する患者様においては、
抗菌療法を行うことにより単に歯周ポケット内の細菌を減少させることだけでなく、
菌血症防止に効果があり
全身および 他臓器への悪影響を減少させることができます。
以下は菌血症の説明です。
歯科治療における菌血症とは、
汚れ(細菌)が歯周病治療(抜歯 等の他の歯科治療でも起こります)
を行うことにより、身体の中(血管内)に侵入することを言います。
歯周ポケット 内部(歯肉の内部)には当然のことですが、血管が存在
します。
特に歯周病で歯肉が腫れている方は出血が起こっていることが多いため、
歯周ポケット 内部に存在する汚れ(歯石)と血管が触れているこ
とになります。
他の言い方をすれば、汚れ(歯周病細菌)が血管に触れている状態と
いってもいいでしょう。
こうした汚れ(細菌)が一時的に血管内部に侵入することを菌血症
言います。
特に 歯周病治療 等の歯科治療を行うとこうした菌血症が起こることが
報告されています。
歯周病治療の基本的な治療であるルートプレーニング では、
報告に差はありますが、8〜79%の確立
菌血症が生じると報告されています。
事実ルートプレーニング を行った後(6分後)に採血して調べると血
液中から歯周病細菌が発見されることが報告されています。
しかし、このような菌血症は、健康な方であれば1時間もしないう
ちにいなくなるため、問題となることはありません。
そのため、さほどご心配になることはないのです。
しかし、注意が必要な方もいらっしゃいます。
それが 上記に記載した 心疾患の方 や 糖尿病の方など 全身的にご病気を持っていられ
る方や 抵抗力が低下している方です。

d. 細菌性心内膜炎、大動脈弁膜症、チアノーゼ性先天性心疾患、人工弁、
シャント術実施患者…の方

上記のような方は、歯周病治療を行う上で最もリスクが高い患者様と言えます。
上記の疾患等を 有する患者様は、歯周病治療において菌血症を起こす可能性が高いため、
抗菌療法の対象と言えます。
このことは、米国心臓病学会のガイドライン(AHA2007ガイドライン)でも
明確に指摘されています。

今日は、だいぶ難しい話しになりました。
次回も内科的歯周病治療(抗菌療法)についてをQ&A(質問と回答形式)で解説します。
お楽しみに!

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