歯周病細菌を実際に見てみる

2016年 5月30日(月曜日)です。

このブログは「大船駅北口歯科 歯周病専門サイト」です。

先日は鹿児島で日本歯周病学会が開催されました。
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やはり 学会はいろいろなことを得ることができる非常に良い機会です。

始めて日本歯周病学会に参加したのが1993年の春でしたから
もう23年にもなります。

学会に参加される方も知っている先生が多くなり、
学会後の夜は、同窓会のような感じです。

今回得たことを早速臨床にいかす準備を進めています。

また最近は、ブログのアップが遅れることが多くなっています。
現在毎月大学病院で講演があり、
その資料作りで日々追われています。
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講演スライドを作製するために
毎日数時間かけて1ヶ月まるまるかかりますので
まあ大変です。

そんなこともあり、
ブログの更新が頻繁に行なえない状態です。

これが1年間(12回)ありますので
それなりに大変な1年になりますが、
参加されている先生達に少しでも勉強になればと思い、頑張っています。

さて今日のテーマです。

今日のテーマは、
『歯周病細菌を見てみよう』になります。

口腔内には、細菌がウヨウヨしています。
以下は歯周病細菌の動画です。

このような細菌の動画を見るとビックリしますよね。

しかし、口腔内に細菌がいることは普通のことなのです。

口腔内細菌を顕微鏡でみることは、
患者様の治療に対するモチベーションを高めることには非常に効果的です。

しかし、単にインパクトを与えることのみであると
細菌を見た本当の意味がなくなってしまいます。

どのような細菌がいるのか?(いたのか?)
治療によりどのようななるのか?(なったのか?)
等が分からないと顕微鏡によって細菌をみた意味がありません。

それでは口腔内細菌について簡単に説明します。

人間は一生の中で無菌の状態でいられるのは胎内で過ごす期間だけです。

出生するとすぐに細菌感染を起こし、生体の各所で菌の増殖が始まります。

一度細菌感染した部位は一生排除されずに定着するものも少なくないのです。

つまり私達の生体は細菌と共存している状態なのです。

そのため、口腔内に細菌が存在することは、当然のことであり、
口腔内に細菌が存在しない人はいないのです。

ここで問題なのは、
いても問題を起こさない細菌
多く存在すると問題を引き起こす細菌
が存在するということです。

歯周病細菌はどこから感染すると思いますか?

例えば、
侵襲性歯周炎(しんしゅうせいししゅうえん)
の原因菌とされるAa菌(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)は、
大人から大人へと感染することはなく、
まだ 永久歯が生えそろわない
10歳頃に大人から子供へ感染することが研究により分かっています。
* Slos J:Scand J Dent Res,1976

これは子供の口腔内はまだ細菌のグループが安定していないため、
外来から感染を起こします。

また、抗生剤を長期服用していた場合などは、
口腔内の健康な細菌グループがいったんいなくなるため、
新たに細菌の環境がそろう前に細菌に感染する可能性があります。

* 細菌の名称はよく変わります 上記は2011年時点での名称です。
旧名は、Actinobacillus actinomycetemcomitansです。
* 1999年以前に思春期前歯肉炎、若年性歯周炎、急速進行性歯周炎と
呼ばれていたものを まとめて侵襲性歯周炎と分類しています。

その他の歯周病細菌についても
夫婦間 や 親子間 で感染していることが多くの研究で明らかにされています。
* Greenstein G, et al:J Periodontol,1997
* Petit M D A,et al:J Periodont Res,1993

口腔内には500〜700種類の細菌が生息しています。

全ての細菌が問題なのではありません。

歯周病に関しては、スピロヘータという細菌が問題となる細菌の一つです。

これは上記の動画で ウヨウヨと動いている ほそ長い らせん状の細菌のことです。

このスピロヘータは、
歯周病が進行した歯周ポケット内部では大量に認められるため、
歯周病の活動度や重症度と関連される細菌です。

治療後にもこの細菌の割合が高いと再発が早いとされ、
この細菌の水準が治療効果の指標として有効とされています。

口腔内に細菌が存在することは当たり前のことです。
問題となるのは、細菌のバランスと種類なのです。

問題となる歯周病細菌として、
嫌気性菌(けんきせいきん)という存在があります。

口腔内の細菌を理解するためには、
好気性菌(こうきせいきん)
嫌気性菌
という2つの細菌を知ることが必要です。

好気性菌は、
酸素が存在する部位でのみ生きることが可能な細菌です。

嫌気性菌は、
酸素が存在する部位では生きるのが困難な細菌です。

嫌気性菌は、酸素が嫌いなのですね。

それでは、どこで歯周病細菌(嫌気性菌)は繁殖するの?

酸素が届かない場所ってどこなの?

ということになります。

私達が生活している地上での酸素濃度は約21%とされています。

口腔内には、酸素濃度が非常に低い場所があります。
それが深い歯周ポケットなのです。

歯周ポケット内部の深い部分の酸素濃度は1%以下です。

深い歯周ポケットは、
酸素が嫌いな嫌気性菌(歯周病にとって悪い菌)にとっては
とても住み心地が良い場所なのです。
図1

歯周病治療の検査で必ず行うことは、
この歯周ポケット検査 です。

歯周ポケット が深いと
その内部で嫌気性菌が繁殖するのです。

そのため、歯周病治療 は、
歯周ポケット を浅くすることが大きな目的です。

歯周ポケット が浅ければ、
嫌気性菌が繁殖しにくいからです。

ちなみに
喫煙者は、非喫煙者と比較して、歯周病の進行は6倍以上も早いという論文データがあります。

この理由(原因)の一つとして喫煙者の歯周ポケット内部の酸素濃度は
正常状態(非喫煙者)の半分程度だからです。

こうしたデータからも喫煙者は嫌気性菌が繁殖しやすい環境であることが分かります。

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