インプラントにおける診査・1

はじめに

インプラントが成功するか否かは適切な治療計画によって左右されます。
レントゲン診査や”診断用ワックスアップ”といわれるシミュレーションにより骨の幅や高さ、審美的要素などを十分に検討することによりインプラントを適切な位置に適切な方法で埋入することができます。
この項では特に重要な診査となるレントゲン診査を中心に実際の症例を通して話したいと思います。
それではさっそく症例1を見ていきましょう。
症例1は上の歯が3歯しか残存してなく、現在義歯を使用している患者さんです。
どうしても義歯がなじまず、固定式の歯にしたいとの思いで来院されました。
単に歯のない部分にインプラントを埋入すれば良いと思われますが、実際には診査の結果、インプラントを埋入するための骨の幅や高さがほとんどなかったケースです。しかし、術前の十分な診査によりそうしたことがわかればGBR法やソケットリフト法、サイナスリフト法(下記参考リンク参照)を対応して行えばインプラント埋入が可能であることがわかります。

参考リンク

症例1:口腔内所見

口腔内の状態からは骨の幅も十分にあるように思われます。
しかし、レントゲン診査の結果、骨の高さが幅がないことがわかりました。
GBR法やソケットリフト法の併用が必要です。

症例1:レントゲン診査(パノラマX線写真)

下のレントゲンは症例1のパノラマX線写真というレントゲン写真です。
インプラントの診査時に最も使用されているレントゲン撮影法の一つです。
それではこのレントゲンからどのようなことがわかるのでしょうか?

下記の1~5はインプラントを埋入するために重要な部分を表しています。
できる限り長いインプラントを埋入できるかが、インプラントが長期的に安定するかどうかにかかってきます。この症例では上顎にインプラントを行うための骨の高さが不足しています。特殊な治療が必要です。(ソケットリフトおよびサイナスリフトの項目参照)

症例1:レントゲン診査(側方セファロX線写真)

下のレントゲンは顔を側方から撮ったレントゲン写真で側方セファロX線写真といいます。
写真2でわかるように緑色の点線が本来の骨の位置を表しています。上顎は長期間にわたり義歯(歯がなかったため)であったため、赤の実線のように骨の吸収が著しく進行しています(歯がないと…の項目を参照)。
この状態でインプラントを行うのは困難と考えられます。(インプラントを埋入する骨幅が非常に少なくなっています)GBR法が必要であることがわかります。(GBR法の項目を参照)