歯周病治療
歯周病関連情報
レントゲン撮影による人体への影響
はじめに
歯周病の治療を行うにあたり、レントゲン撮影は かかせない検査になります。
そのレントゲン撮影を行うにあたり、ご心配される方もいらっしゃいます。
『レントゲン撮影って何回も受けて大丈夫なの?』
『妊娠中でレントゲン撮影は大丈夫?』
といった内容です。
以下では、レントゲン撮影を行う際によく患者様から質問されることについて書きたいと思います。
レントゲン撮影のよくある質問
質問1:何回もレントゲン撮影を受けていますが、大丈夫なのでしょうか?
回答:
通常のレントゲン撮影で受ける放射線の量は非常にわずかな量ですので、ご心配はいりません。
確かに多量の放射線を受けると人体に影響を及ぼすという報告はあります。
しかし、白血病やガン等の人体に影響がある量とは『1000ミリ シーベルト以上』とされています。
この放射線量以下では問題は生じないとされています。
ちなみに、胸部レントゲン写真1枚で『約0.1ミリ シーベルト』ですから、約1万回胸部レントゲンを受けないと『1000ミリ シーベルト』にはなりません。
しかし、胸部レントゲン撮影を1万枚撮影したからといって、すぐに影響がある訳でも勿論無く、おそらく有意な影響が出てくるのは、何十・何百万枚ということになるでしょう。
また、歯科医院で虫歯等を撮影するレントゲン(デンタルレントゲン)は胸部レントゲンの何十分の一です。
さらに、最近はデジタルレントゲンを採用している歯科医院もだいぶ増えてきています。
デジタルレントゲンの放射線量は通常のレントゲンの何十分の一ですから、
歯科医院でデジタルレントゲン撮影を行った場合、胸部レントゲンの数百万分の一であると思って下さい。
ありえないことですが、もし歯科医院で虫歯のレントゲンを毎日100枚撮ったとします。
毎日、100枚ですよ。
ありえないことですが…
それを1年間行ったとします。
それでも『1000ミリ シーベルト』にはなりません。
もちろん当医院はデジタルレントゲンです。

質問2:妊娠中のレントゲン撮影は可能でしょうか?
回答:
これもよくある質問です。
まず結論から言いますと、歯科治療において行うレントゲン撮影で胎児に影響を及ぼす可能性は限りなくゼロに近いものです。
これは、上記に示したように通常の歯科レントゲン撮影自体が人体に及ぼす可能性がほぼないことと、歯科で行うレントゲン撮影は当然『顔』を焦点に撮影しますので、胎児に向けての撮影ではありません。
さらに、胸から下には『防護用の鉛エプロン』を着用して撮影を行います。
このため、現実的には胎児方向へのレントゲンの影響はほぼないと言ってもいいでしょう。
しかし、妊娠時は精神的な問題があることがあり、私達・歯科医師もそうした点を考慮してレントゲン撮影がどうしても必要な場合にはご説明させていただきます。
また、妊娠時の胸部や腹部へのレントゲン撮影が必要な場合、下記の時期は避けた方が良いでしょう。
受精後から8日までの着床前期であれば、流産を起こす可能性が他の時期よりも高まります。
受精後2~8週の器官形成期では奇形発生の可能性が他の時期より高まります。
また、胎児への放射線被曝を避けるため、急を要しない下腹部のレントゲン撮影は 10dayルールと言って、『月経開始後10日以内』に行うことが良いとされています。
質問3:レントゲン室に入室すると被曝するのですか?
回答:
レントゲン室の入り口には『入室禁止』と書いてあるため、時々このような質問をされることがあります。
結論からお話しますと
被曝しません。
レントゲン撮影のスイッチを入れた時のみX線は発生しますので、入室したのみでは影響はありません。
ちなみにレントゲン撮影での『ひばく』は漢字で書くと
『被曝』です。
『被爆』ではありません。

質問4:歯科治療で撮影するレントゲンはどの程度人体に影響があるの?
回答:
通常 歯科で受ける放射線量を気にする必要性はありませんし、事実 生体に影響はありません。
それより、レントゲン撮影を避け、的確な診断ができない方が問題は多いと思われます。
以下は、医療で行うレントゲン撮影において部位別に受ける放射線量です。
歯科で使用するレントゲン撮影がいかに少ないかわかると思います。
撮影部位 | 1回当たりの有効線量 (ミリシーベルト) |
---|---|
頭部 | 0.10 |
胸部 | 0.07 |
胃 | 3.3 |
腰椎 | 1.4 |
膀胱 | 2.5 |
股関節 | 0.34 |
集団検診:胸部 | 0.05 |
集団検診:胃 | 0.06 |
歯科:デンタル (虫歯撮影) |
0.0229 |
歯科:パントモ (顎全体撮影) |
0.043 |
放射線まめ知識
海外旅行で被曝!
自然界にも放射線は存在します。
自然放射線被爆量は航空機の利用によりさらに増加します。
特に海外旅行では被爆量は急激に増加します。
東京大学医学部の甲斐倫明先生らによる 成田-ニューヨーク路線の往復被曝線量の計算値は約86ミリ シーベルトとされています。
これは、胸部レントゲン1枚(65ミリ シーベルト)の撮影より、米国往復の被爆量は多くなることを示しています。
また、同じ航空機の利用でも北極圏航路を取ると被曝量は多いようです。