インプラント症例:84回目

12/13(月曜日)です。
このインプラント症例ブログは毎週 月曜日木曜日にアップしていますが、暫くの間は 月曜日だけになります。(ちょっと忙しいので…すみません)
『84回目のインプラント症例』になります。
昨日は、当医院の忘年会でした。
早いもので、今年もあと3週間で終わりです。
多くの先生、スタップの協力があってこそです。
感謝です。
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ちょっと飲み過ぎてしまい 起きるのが遅くなってしまいましたので
本日のブログは以前ご紹介した症例を再アップします。
本日の症例は、上顎の歯が全てない方です。
歯を失った原因が『噛み合わせ』です。
噛み合わせが原因といっても 『噛み合わせって どのようなこと?』と思われるかもしれません。
噛み合わせが原因で歯がダメになると言っても、さまざまなことが考えられます。
本日紹介する症例は、夜間の噛む力が強いタイプの患者様です。
分かりやすく言えば、『歯ぎしり』や『くいしばり』が強い方です。
インプラントにトラブルが起こる原因として最も多いことです。
歯ぎしりでインプラントがダメになる?
本当に?
と思われているかもしれません。
しかし、この『歯ぎしり』や『くいしばり』は非常に問題なのです。
『歯ぎしり』や『くいしばり』でインプラントがダメになる話の前に
インプラントと天然歯の違いについてお話します。
天然歯には『歯根膜』というものが存在します。
『歯根膜』とは、歯の根の周囲にある薄い膜状のもので、
歯と骨をつなぐ『じん帯』のような役割をしています。
また、『歯根膜』の中には 咬む力を感知する知覚神経が存在します。
『歯根膜』には一定の幅があり、物を咬むとこの幅の分だけ歯は動きます。
つまり『歯根膜』は『クッション』のような役割をしています。
この『クッション』が噛む力をコントロールするのに非常に大切なのです。
しかし、インプラントには この『クッション(歯根膜)』は存在しません。
骨と『クッションがないインプラント』がダイレクトに骨と接触しているため、咬むカによって動くことは ほとんどありません。
そのため、噛合わせに問題がある場合には無理な力がインプラントに直接加わり 影響を及ぼします。
この詳細については以下を参考にして下さい。
インプラントと天然歯の違い!
これで、インプラントと天然歯の違いが分かったと思います。
『私は、歯ぎしり や くいしばり をしていないから大丈夫!』
と思われているかもしれませんが、大きな間違いです。
『歯ぎしり』や『くいしばり』は、ほとんどの方がしていると言われています。
『ギリギリ』と音として聞こえる方もいれば、
まったく音がしない方もいらっしゃいます。
『歯ぎしり』と『くいしばり』によって歯はどんどんと削れていくのです。
硬い歯でも、被せ物の金属でも必ず すり減ります。
毎日のことですから、感じないとは思いますが、
歯を良く見ると、削れた痕(あと)があります。
『歯ぎしり』と『くいしばり』が強い方ですと、歯の1/3程度まで削れている場合があります。
さて前置きはこれくらいにして、
本当に噛む力によってインプラントがダメになるケースは多いのです。
今回ご紹介する症例も噛み合わせが非常に強いか方です。
まず、初診時のレントゲン写真と見ながら解説していきます。
患者様は、10年以上前に来院された方です。
その頃のレントゲンは、まだデジタルではありませんでした。
いわゆるフィルムのレントゲンです。
このブログのために古いレントゲンを探してきました。
フィルムレントゲンは、かなり劣化していましたので 写りが悪くてすみません。
スライド01
いつもと同じように骨吸収の状態を線で書いてみました。
青線が骨吸収を起こす前の骨の位置です。
赤線は、現在の骨の位置です。
骨が吸収してしまったのが分かるかと思います。
黄色線は、鼻腔です。
鼻の穴です。
緑線は上顎洞です。
上顎洞(緑線の上方)は空洞です。
骨ではなく、穴が開いているのです。
上顎洞の詳細は、以下を参考にして下さい。
上顎洞
スライド02
いつもこのブログを読まれている方は、だいぶ分かってきたと思います。
このレントゲン写真を見て、
『奥歯にはわりと骨吸収が少なく、骨の高さが残っている!』
と感じられたかもしれません。
そのとおりなのです。
上顎では、歯が1本も残っていませんが、わりと骨が しっかりしているのです。
このことから この方が歯を失った原因が予想できます。
もし、歯周病 歯根破折 が原因で歯を失った場合には、骨の吸収が起こっています。
また、下顎においても奥歯は骨吸収を起こしていますが、
前歯はわりと大丈夫です。
骨吸収が起こっていないのに歯がダメになる?
このようなケースでは、噛み合わせが原因の可能性が考えられます。
実際に患者様に『歯ぎしり』と『くいしばり』があるかどうかを聞いたことろ、
家族からも『歯ぎしり』と『くいしばり』があることを指摘されているとのことでした。
経験の浅い 若い歯科医師の場合、インプラント治療のために レントゲン撮影を行った結果、
この症例のように骨が十分ある場合、
『インプラント治療が楽で良かった!』と思うことがあります。
骨が十分存在していれば、インプラント治療はさほど難しくないからです。
しかし、これは大きな診断ミスです。
『これほど骨が残っているのに なぜ歯を失ったのか?』
ということを考える必要性があります。
患者様は、義歯(総入れ歯)を使用していましたが、
総入れ歯の違和感が非常に強く、入れ歯でない方法を希望されて来院されました。
診査の結果、下顎の左右2歯も抜歯と診断しました。
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そこで、上顎にはインプラントを複数本埋入し、インプラントによるブリッジの治療計画を立てました。
ここで問題となったのが、『歯ぎしり』と『くいしばり』の問題です。
『歯ぎしり』や『くいしばり』に問題がある方のインプラント治療は、どのようなことに注意が必要なのか?
ということを患者様に十分ご説明し、可能なかぎりリスクが少ない治療法をお話しました。
まずは、骨の状態をさらに把握するために診査を行いました。
以下は、×印を抜歯後に行った診査のためのレントゲン写真です。
スライド04
レントゲン上の細い棒状のものは、インプラントの埋入予定部位に 規格化されたピンを置き、
実際のインプラント埋入部位と実際の長さを計測するための診断方法です。
現在は、CT画像上 でインプラント埋入シュミレーションソフトを使用し解析できますが、10年以上前は、このようなピンを入れた状態で規格レントゲン写真を撮影することも多かったのです。
さてここで問題なのが、
何本のインプラントが必要か?
ということです。
もちろんインプラントの埋入本数が少なければ、治療費も安くすみます。
しかし、それが無理な設計であった場合には、
結果的にインプラントがダメになってしまいます。
適正なインプラントの本数が重要なのです。
もし、この患者様が『歯ぎしり』や『くいしばり』がなければ、
上顎に4本のインプラントを埋入し、ブリッジとすることも可能かもしれません。
以下のようなシュミレーションです。
スライド1
5本ではどうでしょうか?
スライド2
6本ではどうでしょうか?
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通常、インプラントの必要な本数は、欠損数の半数以上です。
下顎の欠損部位を考え、今回上顎に必要な歯の数は、12歯です。
つまり、6本のインプラントが必要と考えられます。
しかし、こうしたことは決まっていることではありません。
例えば、短いインプラントしか埋入できない場合には、インプラントの本数を増やして強度を増す必要性があります。
逆に長いインプラントが埋入可能であれば、インプラントの本数は少なくも大丈夫です。
そのため、ケースによっては、4本のインプラントも正解ですし、
5本のインプラントも正解です。
もちろん6本のインプラントでも正解です。
ここで先程のインプラントの診査のレントゲンを再度見てみましょう。
スライド1
左右の奥歯の骨の高さは、約8〜10ミリです。
8〜10ミリの骨の高さは、わりと吸収していない方ですが、
それでも十分な骨の高さではありません。
特に上顎左側の奥歯の中央部では、骨の高さが6ミリ程度しか存在しません。
現在の骨の高さ、『歯ぎしり』や『くいしばり』があることを考え、
最終的なインプラントの本数は、先程あった
欠損数の半数以上の数のインプラントに決定しました。
以下のようなシュミレーションです。
スライド4
上顎の左側は4本、右側は3本の合計7本のインプラントを埋入し、12歯分を作成する治療計画です。
また、より長いインプラントを埋入するためにソケットリフト法 を併用してインプラントを埋入しました。
治療後が以下のレントゲンになります。
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治療後のレントゲン写真に骨吸収の線を入力したのが以下になります。
スライド10
上顎洞内(緑色の線から上方は空洞です)に入り込んだ部分がソケットリフト法 を行った部位です。
『歯ぎしり』や『くいしばり』等が考えられる場合には、できるかぎり長いインプラントを埋入することが非常に重要なのです。
今回の症例のように
骨吸収の状態や『歯ぎしり』や『くいしばり』等を考え 最終的なインプラントの本数は決まるのです。
無理をした治療計画は、結果的に問題を引き起こします。
使用したインプラントは全てストローマンインプラント(ITIインプラント) です。
次回のブログは12/20(月曜日)になります。
次回もまだまだ続く『インプラント症例』です。
さまざまケースを紹介しますので、きっと あなたと同じような症例があるはずです。
先週のインプラント手術報告
先週のインプラント手術の中から、
難しいケース であったり、
特殊なケース 等を抜粋して、紹介するコーナーです。
今週も多くのインプラント手術がありましたが、その中で
比較的 簡単であったケースと
非常に大変だったケースを紹介します。
他の症例は また治療が終了しましたらこのブログでアップしたいと思います。
まず、比較的 簡単なケースです。
下顎左側の奥歯が1歯だけ欠損していたケースです。
患者様の年齢はお若い方です。
欠損の奥の歯は、神経がない歯です。
このような場合、インプラント以外の治療方法としては、
義歯(入れ歯)もしくは、ブリッジが選択可能です。
多くの方は、取り外し式の義歯(入れ歯)はご希望されません。
そのため、欠損部の両側の歯を削り、3歯分の連結された被せ物を行う ブリッジを選択されます。
しかし、先にもご説明しましたように 欠損部の奥歯は神経がない歯です。
このブログでもよく解説していますが、神経がない歯の将来性は非常に良くありません。
神経のない歯は脆く、突然折れる(歯根破折) 可能性があります。
患者様はお若い方ですので、今回 もし ブリッジを選択された場合、30年、40年とこのブリッジが長く保つ可能性は低いと考えられます。
もし、欠損の奥歯がダメ(抜歯)になった場合、
下顎左側の奥歯が完全になくなってしまいます。
将来性を考えれば、ブリッジではなく インプラントがベストな選択になります。
治療自体は、骨吸収が起こっていたため、骨幅は約3ミリ程度しか存在しない状態でした。
骨幅を増大させる治療法を行いました。
スプリッティング法(リッジエクスパンジョン法)
GBR法(骨増大法) を併用してインプラントを埋入しました。
使用したインプラントはストローマンインプラント(ITIインプラント) です。
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次に今週で非常に大変であった症例です。
上顎に歯が1本もない方です。
これが本当に大変でした。
奥歯には、骨の高さがまったくありませんでした。
具体的には上顎左右の奥歯では、骨の高さは2ミリ以下です。
前歯部においても骨の状態はよくない状態でした。
骨幅がある部位でも3〜4ミリ程度、
骨幅が少ない部位では1ミリ程度しかありませんでした。
インプラント治療を適切に行うために必要な骨幅は約6ミリです。
この理由として、インプラント自体(本体)の太さ(直径)は約4ミリあります。
太さ(直径)4ミリのインプラントを埋めむためには、当然のことながら
それ以上の太さの骨幅がないといけません。
インプラントの太さより、骨の幅が細ければ うまくいかないことは 想像の範囲であると思います。
今回は、先程説明しましたように
骨幅がある部位でも3〜4ミリ程度、
骨幅が少ない部位では1ミリ程度
でしたから 結構大変な治療でした。
スプリッティング法(リッジエクスパンジョン法)
OAM(大口式)インプラントシステム
GBR法(骨増大法)
PRP法
を併用し、なんとか6本のインプラントを埋入しました。
しかし、2部位にはとてもインプラントを埋入するだけの骨幅が確保できなかったため、
人工骨を入れてGBR法(骨増大法) のみを行いました。
かなり大変な治療でした。
手術時間も1時間30分かかりました。
麻酔は、静脈内鎮静法(眠っている間に終了します) で行いました。
このような大変なケースの場合、通常の麻酔では無理です。
使用したインプラントは、アンキロス インプラント です。
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今後の治療スケジュール
今後の予定としては、
1. 約7〜10日後に“抜糸”、
2. その後、
1症目は 約2〜3ヶ月後
2症例目は 約3〜4ヶ月後に型を取ります。
治療費
インプラントモニターの場合、1本168.000円(消費税込)になります。
当医院のインプラント治療費用の中には、
治療中のレントゲン撮影や薬代、
土台(アバットメント) の費用、
仮歯 の費用、
治療経過のレントゲン撮影、
セラミック等の被せ物の費用、
スプリッティング法(リッジエクスパンジョン法)
OAM(大口式)インプラントシステム
GBR法(骨増大法:インプラント埋入と同時の場合)
ソケットリフト法 の費用、
静脈内鎮静法(眠っている間に終了します) の費用も含まれています。
治療計画以上の追加費用はありません。
全て含まれた費用です。
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現在、新規にインプラント症例集のページを作成しています。
さまざまなケースを見ていただくことにより、よりインプラント治療についてご理解していただきたいと思います。
そのため、症例を公開しても大丈夫という方(インプラントモニター)を募集しています。
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